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吉富 寛; 立部 洋介; 川井 啓一; 古渡 意彦
Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.81 - 84, 2014/04
原子力機構放射線標準施設(FRS)は、線量計等の校正を行う施設である。FRSは福島第一原子力発電所から120kmに位置しており、2011年3月の福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質によって、建屋周辺から内部の管理区域に至るまで広範囲に汚染された。事故から1か月後のFRS管理区域内の汚染レベルは、最大で3.8Bq/cmであり、汚染核種は、Cs, Cs, I, Te、及びIであった。広範囲に汚染された環境下において管理区域内にもたらされる汚染については、これまでのところ、あまり知見がない。一方で、FRSでは被校正器への放射性物質の付着等によって、校正業務に影響を及ぼすことが懸念され、管理区域の汚染低減化は必須であった。汚染低減の取り組みの中で、(1)蒸気や水拭きによる除染、(2)管理区域への土埃の侵入阻止、が有効であることがわかった。結果として、管理区域内の汚染による表面密度は、外部と比較して数十分の1に低減することができた。
小川 数馬*; 向 高弘*; 川井 恵一*; 高村 徳人*; 花岡 宏史*; 橋本 和幸; 柴 和弘*; 森 厚文*; 佐治 英郎*
European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging, 36(1), p.115 - 121, 2009/01
被引用回数:23 パーセンタイル:57.81(Radiology, Nuclear Medicine & Medical Imaging)癌性骨転移疼痛緩和に有用であるビスホスホネート骨格に安定なRe錯体を導入したRe-MAG3-HBPを開発してきた。一方、本薬剤の錯体形成部位MAG3とTcとの錯体Tc-MAG3は、血清蛋白結合性が高く、蛋白結合阻害剤の併用により、血液及び非標的臓器からのクリアランスの促進に有効であることが示されており、本薬剤においても、同様な効果が期待される。そこで、本研究では、Re-MAG3-HBPの血液及び非標的臓器からのクリアランスの促進を目的に、本標識薬剤における蛋白結合阻害剤の影響を検討した。その結果、セフトリアキソンの併用によりRe-MAG3-HBPのラット血清,人血清及び人血清アルブミン中での蛋白結合率は大きく減少した。さらに、Re-MAG3-HBPのラット体内動態におけるセフトリアキソン併用の影響を検討したところ、骨への集積性を損なうことなく、血液及び非標的臓器である肝臓,腎臓からのクリアランスが促進された。これらの結果は、蛋白結合阻害剤が、血清蛋白質と高い親和性を有するRe-MAG3-HBPの薬物動態を改善するのに有用であることを示している。
眞田 幸尚; 根本 誠*; 鈴木 敬*; 川井 啓一*; 百瀬 琢麿
Proceedings of 12th International Congress of the International Radiation Protection Association (IRPA-12) (CD-ROM), 7 Pages, 2008/10
東海再処理施設における臨界警報装置更新に際し、検出器の配置位置を再設計した。設計のための最小臨界事故時の線量評価の結果から、保守的な設計条件を設定した(線検出器; 機器からの距離10m以下、140cm以下のコンクリート遮へい; 中性子検出器; 機器からの距離15m以下、60cm以下のコンクリート及び鉄遮へい)結果的に検出器は7個所設置することとした。本設計を実際の更新工事に反映した。
眞田 幸尚; 小林 博英; 古田 定昭; 根本 和彦*; 川井 啓一*; 橋本 哲夫*
Radioisotopes, 55(12), p.727 - 734, 2006/12
時間間隔解析法を利用したウラン系列子孫核種によるバックグラウンドを低減しアルファ線を測定する方法を開発した。まず、時間間隔解析法の理論を用いてRnの子孫核種で半減期の短いPo(164microsecond)とその上位核種であるBiの相関事象ペアを測定する方法について検討を行った。検討結果から、測定に必要な装置の設計・開発を行った。測定システムには、検出器にSi半導体検出器を用い、システム全体として不感時間ができ得る限り短くなるような設計とした。製作したシステムについて、Th電着線源を使用し相関事象を測定できることを確認するとともに、測定効率である相関事象率の測定を行った。また、実際に作業環境中で空気粉塵を採取し、相関事象の測定を行った。今回の研究から以下の事項が確認された。(1)時間間隔解析法によるPoの測定理論が示された。(2)Poを測定できる装置を開発した。(3)相関事象測定の確認方法として、Th電着線源を使用する方法を示した。今後、トリウム系列の子孫核種の測定方法等を検討し、実際の放射線管理に反映する予定である。
眞田 幸尚; 野原 尚史*; 安達 康敬*; 根本 和彦*; 川井 啓一*; 小林 博英; 橋本 哲夫*
JAEA-Technology 2005-009, 33 Pages, 2006/01
時間間隔解析法を利用したウラン系列子孫核種によるバックグラウンドを低減し線を測定する方法を開発した。まず、時間間隔解析法の理論を用いてRuの子孫核種で半減期の短いPo(164s)とその上位核種であるBiの相関事象ペアを測定する方法について検討を行った。検討結果から、測定に必要な装置の設計・開発を行った。測定システムには、検出器にSi半導体検出器を用い、システム全体として不感時間ができ得る限り短くなるような設計とした。製作したシステムについて、Th電着線源を使用し相関事象を測定できることを確認するとともに、測定効率である相関事象率の測定を行った。また、実際に作業環境中で空気粉塵を採取し、相関事象の測定を行った。今回の研究から以下の事項が確認された。(1)時間間隔解析法によるPoの測定理論が示された。(2)Poを測定できる装置を開発した。(3)相関事象測定の確認方法として、Th電着線源を使用する方法を示した。(4)空気粉塵試料中のPoを測定し、検出効率を評価した。(5)Thの添加試験により、ランダム事象混入時の相関事象の測定方法を示した。今後、トリウム系列の子孫核種の減算方法等を検討し、実際の放射線管理に反映する予定である。
Oblozinsk, P.*; Herman, M.*; Mughabghab, S. F.*; Sirakov, I.*; Chang, J.*; 中川 庸雄; 柴田 恵一; 川合 將義*; Ignatyuk, A. V.*; Pronyaev, V. G.*; et al.
AIP Conference Proceedings 769, p.438 - 441, 2005/05
5つの主要評価済核データライブラリーに入っている核分裂生成物核種の断面積データをレビューした。本件は、評価国際協力ワーキングパーティ(WPEC)のサブグループ21の作業として行ったもので、原子番号31から68の範囲の核種に対する最善の評価済データを推奨することを目的としている。全部で、既に存在している211核種のデータを調査し、さらに新たな7核種のデータを加え、218核種に対する推奨値を決定した。
河野 俊彦*; 松延 廣幸*; 村田 徹*; 瑞慶覧 篤*; 中島 豊*; 川合 將義*; 岩本 修; 柴田 恵一; 中川 庸雄; 大澤 孝明*; et al.
JAERI-Research 2003-026, 53 Pages, 2003/12
原子力技術開発において重要なウラン,プルトニウム,トリウムの同位体に対する中性子核データの新たな評価を行った。この評価値は日本の評価核データライブラリであるJENDL-3.3の一部となる。この評価の主たる目的は、前ヴァージョンに対して報告されていた幾つかの問題点の解決,データの精度向上,主要核種に対する共分散の評価、である。JENDL-3.2に格納されている種々の核データを検討し、その多くについて再評価を行うか、もしくはより信頼できる数値に置き直した。JENDL-3.3の重核データに対して種々のベンチマークテストが行われ、臨界性予測精度は以前のJENDLよりも向上していることが報告された。
柴田 恵一; 河野 俊彦*; 中川 庸雄; 岩本 修; 片倉 純一; 深堀 智生; 千葉 敏; 長谷川 明; 村田 徹*; 松延 廣幸*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(11), p.1125 - 1136, 2002/11
被引用回数:669 パーセンタイル:96.97(Nuclear Science & Technology)前版JENDL-3.2のフィードバック情報及び各種ベンチマークテストの結果をもとに、新版JENDL-3.3のための評価が行われた。JENDL-3.2での大きな問題点は新版により解決された。即ち、熱中性子炉体系での臨界性過大評価はUの核分裂断面積及び核分裂中性子スペクトルの改訂により解消された。また、重要な重核での不適切な2次中性子エネルギー分布は統計模型計算に置き換えられた。さらに、中重核での天然元素及び同位体評価値間の矛盾も無くなった。一方、20核種について共分散データを収納した。JENDL-3.3の信頼度は原子炉及び遮蔽に関するベンチマークテストにより検証された。ベンチマークテストの結果は、JENDL-3.3の予測精度がJENDL-3.2を上回ることを証明した。
深堀 智生; 千葉 敏; 柴田 恵一; 池田 裕二郎; 有賀 武夫; 渡辺 幸信*; 村田 徹*; 山野 直樹*; 川合 將義*
Reactor Dosimetry: Radiation Metrology and Assessment (ASTM STP 1398), p.591 - 598, 2001/00
原研核データセンターではシグマ委員会の協力の下、International Fusion Material Irradiation Facility (IFMIF)における照射損傷推定の基礎データであるJENDL PKA/KERMA Fileを整備している。同ファイルには、29元素78核種の一次反跳原子(PKA)スペクトル、KERMA因子、はじき出し断面積(DPA)を10eVから50MeVのエネルギー範囲で格納予定である。中重核に関しては、上記物理量を評価済核データファイルから実行単一粒子放出近似(ESPEA)を用いて計算するために、処理コードシステムESPERANTが開発された。軽核に関しては、PKAスペクトルはSCINFUL/DDXやEXIFONコードを用いて、中性子核データと同時に推定された。本報告では、ESPEAによる処理法の信頼性の検証及びJENDL PKA/KERMA Fileの現状に関して報告する。
河野 俊彦*; 松延 廣幸*; 村田 徹*; 瑞慶覧 篤*; 中島 豊*; 川合 將義*; 岩本 修; 柴田 恵一; 中川 庸雄; 大澤 孝明*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 37(4), p.327 - 334, 2000/04
評価済み中性子核データライブラリーの最新版JENDL-3.3のためにU-233、U-235,U-238,Pu-239,Pu-240及びPu-241の核分裂断面積を同時に評価した。核データ評価では、それぞれの反応の絶対測定及びU-235対Pu-239のような相対測定が考慮された。本評価のために計算コードSOKを開発し、共分散評価システムKALMANに組み込んだ。実験データの誤差は関係する論文あるいはレポートから推定した。最終結果は、既存のJENDL-3.2及びENDF/B-VIの評価値と比較される。また、共分散ファイルの作成に必要な、評価値の誤差についても議論される。
河野 俊彦*; 松延 廣幸*; 村田 徹*; 瑞慶覧 篤*; 中島 豊*; 川合 將義*; 岩本 修; 柴田 恵一; 中川 庸雄; 大澤 孝明*; et al.
JAERI-Research 2000-004, p.76 - 0, 2000/02
評価済核データライブラリーJENDL-3.3作成のために、アクチニド核種の核分裂断面積を決定する計算コードSOKを開発した。このコードでは各反応の絶対測定及び相対測定(例えば、Pu-239の核分裂断面積とU-235の核分裂断面積の比)が考慮でき、それらすべてのデータに対する最小自乗フィットにより断面積を求めることができる。今回求めたのはU-233,U-235,U-238,Pu-239,Pu-240及びPu-241の核分裂断面積及びその共分散(誤差)である。本報告書では、評価の手法及び実験値のデータベースについて述べるとともに、得られた結果を評価済データJENDL-3.2及びENDF/B-VIと比較し検討する。
中川 庸雄; 柴田 恵一; 千葉 敏; 深堀 智生; 中島 豊; 菊池 康之; 河野 俊彦*; 神田 幸則*; 大澤 孝明*; 松延 廣幸*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(12), p.1259 - 1271, 1995/12
被引用回数:497 パーセンタイル:99.95(Nuclear Science & Technology)JENDL-3のベンチマークテストからのフィードバック情報を考慮してJENDL-3評価値の改訂作業が行われた。主要な改訂点は、主要アクチノイド核の共鳴パラメータ、捕獲及び非弾性散乱断面積、核分裂スペクトル、構造材核種の全断面積及び非弾性散乱断面積、核分裂生成物核種の共鳴パラメータ、捕獲及び非弾性散乱断面積、及びガンマ線生成データである。改訂されたデータはJENDL-3第2改訂版、JENDL-3.2として1994年6月に公開された。予備的なベンチマークテストによれば、JENDL-3.2による種々の炉特性予測は、以前のJENDL-3.1に比較して大幅に向上していることが証明された。
浅見 哲夫*; 飯島 俊吾*; 五十嵐 信一; 井原 均; 川合 将義*; 菊池 康之; 小室 雄一; 柴田 恵一; 高野 秀機; 竹田 敏一*; et al.
日本原子力学会誌, 31(11), p.1190 - 1217, 1989/11
最近完成したJENDL-3に関して、原子力学会誌の特集記事に寄稿した。JENDLの評価方法とそのベンチマークテストの結果を報告した。またJENDLに密接に関係しするFP崩壊データライブラリーの紹介をし、JENDL-3以後のデータの展望を述べた。
眞田 幸尚; 小林 博英; 根本 和彦*; 川井 啓一*; 橋本 哲夫*
no journal, ,
時間間隔解析法を用いたバックグラウンド補償型ダストモニタを用いて空気中放射性物質濃度の測定を行った。本ダストモニタは、Si半導体検出器を用いて線及び線を同時に測定し、測定したパルス間の時間間隔情報からバックグラウンドとなるRn-222の子孫核種を減算することができる。本ダストモニタを利用することによって従来より、プルトニウム等の人工放射性核種を迅速かつ確実に検知することが可能となる。
小川 数馬*; 向 高弘*; 川井 恵一*; 高村 徳人*; 花岡 宏史*; 橋本 和幸; 佐治 英郎*
no journal, ,
癌性骨転移疼痛緩和薬剤には、高い骨集積性とともに、速やかな血液及び非標的臓器中からの消失(クリアランス)が、求められる。これまでに、ビスホスホネート骨格に安定なRe錯体を導入したRe-MAG3-HBPを開発し、その有用性を明らかにしてきた。一方、本薬剤の錯体形成部位MAG3とTcとの錯体Tc-MAG3は、血清蛋白結合性が高く、蛋白結合阻害剤の併用により、血液及び非標的臓器からのクリアランスの促進に有効であることが示されている。そこで、本研究では、Re-MAG3-HBPの血液及び非標的臓器からのクリアランスの促進を目的に、本標識薬剤における蛋白結合阻害剤の影響を検討した。その結果、血清アルブミンに高親和性を示す薬物セフトリアキソンの併用によりRe-MAG3-HBPのインビトロにおける蛋白結合率は減少し、ラット体内動態においては、骨への集積性を損なうことなく、血液及び非標的臓器である肝臓,腎臓からのクリアランスが促進された。これらの結果は、蛋白結合阻害剤セフトリアキソンが、Re-MAG3-HBP投与時の骨髄被曝等副作用の軽減に有用であることを示している。
眞田 幸尚; 辻村 憲雄; 清水 義雄; 井崎 賢二; 神 和美; 三上 智; 小林 博英; 川井 啓一*
no journal, ,
国内外の規定基準類を調査し対象施設の特徴を考慮した臨界警報装置の配置設計を行った。本設計の結果をもとに、プルトニウム転換技術開発施設の臨界警報装置を更新する予定である。
曳沼 裕一; 眞田 幸尚; 長谷川 市郎; 金澤 信之; 川井 啓一*; 百瀬 琢麿
no journal, ,
核燃料サイクル工学研究所プルトニウム転換技術開発施設には、臨界事故の発生が直ちに検知できるよう法令に基づき、臨界警報装置を設置している。本装置は、プラスチックシンチレーション検出器により臨界事故の線を検知し、施設内外の警報器により従業員等の退避を促すとともに近接を防止する機能を有し、2 out of 3冗長を採用するなどの信頼性を考慮した設計となっている。従来の臨界警報装置は、設置から約20年が経過し保守用部品の製造中止などから更新が必要となった。ここでは、2007年11月に運用を開始した更新後の新しい臨界警報装置の設計及び配置について報告する。
吉富 寛; 立部 洋介; 川井 啓一; 古渡 意彦; 仁平 敦; 深見 智代; 澤畠 勝紀
no journal, ,
原子力機構放射線標準施設(FRS)は、線量計等の校正を行う施設である。FRSは、東日本大震災で被災し、応急修理を余儀なくされた。その後の施設の利用再開にあたり、課題となったのは、福島原発事故に起因する放射性物質による汚染の管理であった。校正を行う管理区域の汚染は、放射性物質の付着等によって線量計の指示値が変動し、校正業務にも影響を及ぼすことが懸念された。そこでわれわれは、汚染環境下であっても、施設利用を再開し、継続的に運用することを目的として、管理区域内の汚染レベルの把握とその低減化に努めた。低減対策を講じる前の管理区域内の汚染レベルは最大3.8Bq/cmであり、汚染核種は、Cs, Cs, I, Te、及びIであった。そこで、汚染低減対策を実施しながら、汚染レベルの推移を監視し、利用を順次再開していった。低減対策として、水拭き除染,靴の履き替え,持ち込む物品の汚染検査,立入り区域の制限等を行った。汚染レベルは、スミヤ法によって随時確認し、適切な低減対策の実施に反映させた。また、3月後に実施したGe半導体検出器によるin-situ測定の結果からは、管理区域は一般区域と比較しても十分に低減されており、結果として、FRSは従来どおりの高品質な校正業務を継続できた。
吉富 寛; 立部 洋介; 古渡 意彦; 川井 啓一; 宮内 英明; 吉澤 道夫
no journal, ,
日本原子力研究開発機構原子力科学研究所には、ISO6980-1:2006で規定された線源構造の異なる2つの線標準校正場がある。線は連続スペクトルを持ち、周囲の物質により容易に散乱・吸収されるため、線源構造が校正場の線質に影響することが考えられる。しかしながら、異なる校正場であっても、同一線源核種で、線校正場の指標の1つである線残留最大エネルギーが同じ場合は、被校正物は同じ応答を示すことが期待される。そこで、両方のSr/Y校正場において、ガラス線量計,OSL線量計及びEPDに対する応答を比較した。その結果、ガラス線量計では、20%程度応答に違いがみられた。発表では、これらの結果を踏まえて、両校正場の校正用標準線源の線源構造の違いが、校正場の線スペクトルに及ぼす影響について検討し、それらが個人線量計の校正に対してどのような影響を与えるのかを考察する。
吉富 寛; 谷村 嘉彦; 立部 洋介; 川井 啓一; 古渡 意彦; 吉澤 道夫
no journal, ,
放射線標準施設(FRS)では、幅広いエネルギー及び線量率で光子校正場を整備・供用している。福島第一原子力発電所事故以降、急激に普及した簡易型線量測定器の校正で重要となる、数Sv/hの線量率領域の校正場は、これまで重視されていなかった。そこで、FRSにおいてSv/h線量率域の光子校正場の構築を行った。光子校正場の構築では、国家標準とのトレーサビリティを確保することが不可欠である。そこで、国家標準で値づけられたA6型電離箱検出器を用いてA8型電離箱検出器の校正定数を求め、A8型検出器で基準線量率を測定した。FRS第3照射室(12.5m6.4m6.5m)内のコンクリート床上120cmの位置に設置したCs線源(111MBq)からの線により、数Sv/h線量率域の校正場を構築することができた。一例として、2.2Sv/h(H(10))の校正場の場合、拡張不確かさ1.5%(k=2)で決定できた。さらに、Sv/h以下の線量率域への拡張のため、3"3"NaI(Tl)シンチレーション検出器とG(E)関数法を組合せた線量率の測定を試みた。国家標準とのトレーサビリティについては、A8型検出器とNaI(Tl)シンチレーション検出器の比較測定を行う置換法により確保した。発表では、これらの校正場を利用した簡易型測定器の特性試験の結果についても報告する。