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乙坂 重嘉*; 上平 雄基; 池之上 翼; 川村 英之
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(4), p.409 - 423, 2022/04
被引用回数:4 パーセンタイル:47.47(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所(FDNPP)の事故後、様々な観点から多くの海洋観測、シミュレーションによる事故起源放射性核種の動態研究が行われた。事故由来の放射性核種の海洋への輸送過程には、(1)海洋への直接排出、(2)大気を経由した海洋への沈着、(3)陸面に沈着した後の河川からの流入がある。主要な事故由来放射性核種の一つであるCs-137(Cs)の場合、事故直後の海洋への供給量(8-21PBq)のほとんどが(1)と(2)のプロセスによるものと推定されている。海底に蓄積されたCsの量は、海洋に運ばれた量の約1%(0.2PBq)に過ぎないが、沿岸部の堆積物に長期間残留し、徐々に海水や海底付近の生態系に移行すると考えられる。
上平 雄基; 内山 雄介*; 川村 英之; 小林 卓也; 乙坂 重嘉*
Journal of Environmental Radioactivity, 238-239, p.106724_1 - 106724_16, 2021/11
被引用回数:12 パーセンタイル:58.02(Environmental Sciences)放射性核種の海水及び海底堆積物間の移行を考慮した3次元海洋拡散モデルを開発した。福島沿岸の海底堆積物中のCs-137の再解析を行い、福島第一原子力発電所事故に由来する溶存態Cs-137の海底堆積物への移行メカニズムを調べた。モデルと観測データの比較により、モデルが海洋構造と海水および海底堆積物中のCs-137濃度を十分に再現できることが示された。また、事故後の福島沿岸の堆積物中のCs-137分布は、原発からのCs-137直接海洋放出の影響が顕著であった2011年6月までに、主に溶存相からの吸着により形成されたことが示された。
鈴木 崇史; 乙坂 重嘉; 桑原 潤; 川村 英之; 小林 卓也
JAEA-Conf 2018-002, p.103 - 106, 2019/02
福島第一原子力発電所(1F)事故起因の放射性物質の海洋中での動態解明を行うことを目的に、西部北太平洋における3地点でIの鉛直分布を明らかにした。3地点とも1F事故起因とみられるIは混合層内に存在していた。また最も南側の観測点では水深370m-470mに1F事故起因とみられるIによる極大層が存在していた。溶存酸素濃度及び周辺海域の流速を考慮すると、この極大層は、別の海域の表層に存在していたIが速い下降流によって、水深370m-470mに到達したと考えられる。
鈴木 崇史; 乙坂 重嘉; 桑原 潤; 川村 英之; 小林 卓也
Marine Chemistry, 204, p.163 - 171, 2018/08
被引用回数:3 パーセンタイル:14.97(Chemistry, Multidisciplinary)福島第一原子力発電所から放出された放射性物質の深さ方向への移行を調べる事を目的に、親潮,黒潮、及びそれらの混合海域においてヨウ素129(I)の鉛直分布を明らかにした。福島第一原子力発電所起因のIは親潮及び混合海域においては表層で、黒潮海域においては亜表層で観測された。親潮及び混合海域で観測されたI/Csは福島第一原子力発電所の原子炉内のそれより高いことが明らかとなった。高いI/Csは、(1)事故時に放射性ヨウ素は放射性セシウムより放出されやすかった、(2)汚染地域からIが再放出され、大気経由で沈着した、(3)放射性セシウムが除去された汚染水が観測地点に到達した可能性が示唆された。また亜表層で観測された福島第一原子力発電所起因のIは黒潮続流の蛇行によって運び込まれたと考えられる。、
鈴木 崇史; 乙坂 重嘉; 桑原 潤; 川村 英之; 小林 卓也
Biogeosciences, 10(6), p.3839 - 3847, 2013/06
被引用回数:26 パーセンタイル:58.89(Ecology)福島第一原子力発電所事故により環境中にさまざまな放射性物質が放出された。事故起因のIの影響を評価することを目的に事故前後における海水中のI濃度を測定した。事故前のI濃度の結果から北太平洋の北緯36度から44度における濃度分布は緯度の減少とともに減少している傾向を示した。事故後の海水中のI濃度は最大値で73倍、平均値で約8倍上昇していることが明らかとなった。また鉛直分布の結果から水深1000mまでの事故起因Iのインベントリーは(1.8-9.9)10atoms/mであった。海水中のI測定結果から海産生物摂取による内部被ばく量を見積もったところ、事故起因のIによる被ばく量は極めて小さいと考えられる。
川村 英之; 伊藤 集通; 小林 卓也; 乙坂 重嘉; 広瀬 直毅*; 外川 織彦
Journal of Oceanography, 66(5), p.649 - 662, 2010/10
被引用回数:2 パーセンタイル:6.03(Oceanography)日本海におけるストロンチウム90とセシウム137の濃度分布と全存在量を計算するために数値実験を行った。モデル結果は、日本原子力研究開発機構が1997年から2002年の間に行った日本海海洋調査で得られた観測結果とよく一致した。表層におけるストロンチウム90濃度とセシウム137濃度は、それぞれ1.0-1.5Bq/mと2.0-2.5Bq/mの範囲であり、これらは北西太平洋における表層濃度と同程度である。しかしながら、中深層における濃度は外洋に比べて高く、このことは日本海において冬季の鉛直混合が活発であることを示唆している。数値実験により見積もられた日本海の海水中に含まれるストロンチウム90とセシウム137の全存在量は1.34PBq(1PBq=10Bq)と2.02PBqとなり、これらは日本海海洋調査で得られた観測データから計算された値と同程度であった。また、ストロンチウム90とセシウム137の全存在量の経年変化を計算し、1960年代半ばにそれぞれ4.86PBqと7.33PBqの最大値を示すことがわかった。
川村 英之; 伊藤 集通; 小林 卓也; 乙坂 重嘉; 広瀬 直毅*; 外川 織彦
Proceedings of Joint International Conference of 7th Supercomputing in Nuclear Application and 3rd Monte Carlo (SNA + MC 2010) (USB Flash Drive), 4 Pages, 2010/10
日本原子力研究開発機構は、1997年から2002年の間に日本海海洋調査を実施して、日本海における人工放射性核種濃度の分布を明らかにした。本研究の目的は、海洋大循環モデルを使用して数値実験を行い、日本海海洋調査で得られたさまざまな知見を確証することである。数値実験は、大気中核実験が主な起源である大気降下量を海面の境界条件とし、東シナ海の平均表層濃度を対馬海峡からの流入境界条件とした。モデル結果は、SrとCsの濃度に関して、観測結果とよく一致した。表層におけるSrとCsの濃度は、それぞれ1.01.5Bq/mと2.02.5Bq/mであり、表層から深層にかけてこれらの濃度は指数関数的に減少する。また、日本海全域におけるSrとCsの全存在量は、それぞれ1.34PBq(1PBq=10Bq)と2.02PBqとなり、日本海海洋調査で得られた観測データによる見積もりとよく一致した。さらに、1945年から2000年における全存在量を計算して、1964年にSrは4.86PBq、Csは7.33PBqの最大値を示すことがわかった。
乙坂 重嘉; 鈴木 崇史; 田中 孝幸; 伊藤 集通; 小林 卓也; 川村 英之; 皆川 昌幸*; 荒巻 能史*; 千手 智晴*; 外川 織彦
JAEA-Data/Code 2009-020, 27 Pages, 2010/02
原子力機構が実施した日本海海洋調査の最終成果物のひとつとして、日本海の海洋環境パラメータと放射性核種に関するデータベース(JASPER)の第1巻が2007年に公開された。第1巻では、代表的な人工放射性核種(ストロンチウム-90,セシウム-137及びプルトニウム-239,240)について、海水及び海底土中の濃度データが収録された。今回はその第2巻として、海水中の放射性炭素同位体比データと、栄養塩濃度(ケイ酸,リン酸,硝酸及び亜硝酸)を含む海洋学的指標(塩分,水温,溶存酸素濃度)のデータが公開される。この第2巻には、現時点で20,398データレコードの登録があり、その内訳は、放射性炭素が1,660データ,水温が2,695データ,塩分が2,883データ,溶存酸素濃度が2,109データ,栄養塩濃度が11,051データである。このデータベースは、人工放射性核種による日本海の汚染状況の継続的な監視,日本海内の生物地球化学的循環,数値シミュレーションモデルの開発検証の各分野において強力なツールとなることが期待される。
小林 卓也; 外川 織彦; 伊藤 集通; 乙坂 重嘉; 川村 英之; 林 圭佐*; 島 茂樹*; 中山 智治*; 印 貞治*
JAEA-Research 2009-040, 63 Pages, 2009/12
使用済燃料再処理施設の平常運転時には、施設から少量の放射性核種が海洋へ計画的に放出される。このため、再処理施設の平常時に海洋へ放出される放射性核種に起因する環境影響を把握することは、施設に対する周辺住民の理解・安心の醸成に貢献するうえで重要なことである。そこで筆者らは、再処理施設から六ヶ所村沖合の下北海域へ放出される放射性核種の移行を予測することを目的として、それまでの日本原子力研究開発機構での研究成果を当該海域に適合させるために、気候値を使用した海水循環予測コードの整備、及び海水中放射性核種移行予測コードの整備を行った。これに併せて、下北海域において沈降粒子特性データを実測し、海水中放射性核種移行予測コードに用いるパラメータを検討した。本報告書は、平成15年度から20年度までに実施した下北沖海域を研究対象海域とした研究成果から、特に重要と思われる成果についてまとめたものである。
伊藤 集通; 乙坂 重嘉; 川村 英之
Journal of Nuclear Science and Technology, 44(6), p.912 - 922, 2007/06
被引用回数:11 パーセンタイル:60.39(Nuclear Science & Technology)日本海における人工放射性核種「Sr, Cs, Pu」の全存在量を初めて見積もった。各調査地点における海水及び海底堆積物中の核種インベントリ、そしてその合計である全インベントリは調査地点の水深に対応して変動することがわかった。そしてSr, Cs, Puに対する全インベントリはそれぞれ、0.52-2.8kBqm, 0.64-4.1kBqm, 27-122Bqmの範囲にあった。海水,海底堆積物中の核種インベントリの測点水深への依存性と格子化水深データを用いて見積もられた日本海における全存在量はSrで約1.20.4PBq, Csで約1.80.7PBq, Puで約6914TBqとなり、これらの総量はおよそ3.1PBqであった。これら3核種の存在量比(Sr:Cs:Pu)は1.0:1.6:0.059でプルトニウムの選択的な蓄積を示唆した。これは存在量と供給量のバランスからも支持されており、それは、SrとCsについては存在量と供給量がほぼ同じレベルにあるが、Puにおいては存在量が 40%弱の超過になっていることを示した。なお、この研究は、日本とロシアの排他的経済水域を網羅して、1997-2003年に実施された広域調査プロジェクト「日本海海洋調査」で得られたデータに基づいて行われた。
乙坂 重嘉; 天野 光; 伊藤 集通; 川村 英之; 小林 卓也; 鈴木 崇史; 外川 織彦; Chaykovskaya, E. L.*; Lishavskaya, T. S.*; Novichkov, V. P.*; et al.
Journal of Environmental Radioactivity, 91(3), p.128 - 145, 2006/00
被引用回数:20 パーセンタイル:41.52(Environmental Sciences)1998年から2002年にかけて、日本海の22観測点で観測した堆積物中の放射性核種(Sr, Cs及びPu)の存在量と存在比から、同海域における粒子状放射性核種の輸送と蓄積過程を明らかにした。日本海における堆積物中のSr, Cs及びPuの存在量は、それぞれ0.6-87Bq/m, 5.9-379Bq/m及び0.6-78Bq/mの範囲であった。日本海盆及び大和海盆では、深海(水深2km以深)部における堆積物中の放射性核種存在量は同程度であったが、堆積物中の平均Pu/Cs比は大和海盆に比べて日本海盆で大きかった。特に西部日本海盆で見られた大きなPu/Cs比は、この海域表層へのPu/Cs比の大きな粒子の生成と深海への急速な粒子沈降がもたらした結果であると結論付けられた。対馬海盆及び大和海盆縁辺部では、堆積物中の放射性核種の存在量及びPu/Cs比が大きかった。対馬暖流による粒子状放射性核種の水平輸送が南部及び東部日本海における堆積物への大きな放射性核種の蓄積をもたらしたと考えられた。
伊藤 集通; 荒巻 能史*; 乙坂 重嘉; 鈴木 崇史; 外川 織彦; 小林 卓也; 川村 英之; 天野 光; 千手 智晴*; Chaykovskaya, E. L.*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 42(1), p.90 - 100, 2005/01
被引用回数:14 パーセンタイル:67.11(Nuclear Science & Technology)1996-2002年の期間、日露の研究機関の協力で人工放射性核種の広域調査プロジェクトが日露の両排他的経済水域にまたがった日本海で実施された。本プロジェクトの目的は、Sr, Cs, Pu等の核種の海洋中での移行を明らかにすることである。2001-2002年には4回の調査航海が実施された。これら調査で得られた放射性核種の濃度とその分布はこれまでに得られた知見の範囲内であったことから、現在日本海に対する新たな放射性核種源となるような事故,投棄あるいは過去の廃棄物からの漏洩等が発生していないことが確認された。また、海水中におけるインベントリは、グローバルフォールアウトで同緯度帯の海洋にもたらされた量の約2倍であり、日本海におけるそれら核種の蓄積が示された。さらに、亜表層におけるSr及びCs濃度が日本海の広い範囲で時間変動していることが明らかとなり、溶存酸素データとの比較解析により、この時間変動は日本海の上部の水塊移動と関連付けられた。
乙坂 重嘉; 伊藤 集通; 川村 英之; 小林 卓也; 鈴木 崇史; 外川 織彦
第45回環境放射能調査研究成果論文抄録集,平成14年度, p.77 - 78, 2003/12
科学技術庁/文部科学省による受託研究と、ISTCパートナープロジェクトによって、日本海の22観測点で採取された海底土試料中の人工放射性核種(セシウム-137,ストロンチウム-90及びプルトニウム-239, 240)濃度について報告する。西部日本海盆では、全ての観測点で有意な放射能濃度が観測され、その水平的な変動は他の海域に比べて小さかった。旧ソ連及びロシアによる放射性核種の投棄海域(日本海盆の西側)とその他の海域との間には、有意な放射性核種濃度の差は見られなかった。大和海盆の一部の観測点では有意な放射能は検出されなかったが、その一方で南東部の2測点で局所的に大きな濃度が観測された。堆積物中の放射性核種濃度と観測点の水深の間に有意な相関関係は見られなかった。日本海における堆積物中の放射性核種濃度の分布は、放射性物質の投棄などの人為的な事象に起因するものではなく、それぞれの海域が持つ地理的特徴を反映したものであると考えられる。日本海における放射性核種の移行過程をより詳細に理解するために、沈降粒子による溶存成分の除去と鉛直輸送,海水流動,陸起源粒子の供給過程等といった物質循環過程を総合的に評価する必要がある。
横山 博巨*; 金沢 俊夫*; 福間 忠士*; 為清 好三*; 柳田 甲二*; 降矢 喬*; 河野 弘志*; 伊藤 圭二*; 白倉 貴雄*; 柏原 晋一郎*; et al.
PNC TN8410 87-086VOL2, 944 Pages, 1986/09
None
横山 博巨*; 金沢 俊夫*; 福間 忠士*; 為清 好三*; 柳田 甲二*; 降矢 喬*; 河野 弘志*; 伊藤 圭二*; 白倉 貴雄*; 柏原 晋一郎*; et al.
PNC TN8410 87-086VOL1, 1037 Pages, 1986/09
動燃再処理工場に設置されている既設蒸発缶(ステンレス綱製)を新材料製蒸発缶と交換 設置することを前提として、それに必要な詳細設計を実施した。すでに実施されている新型酸回収蒸発缶基本設計(2)ならびに小型モックアップ試験設備の設計、製作、異材継手・開発の成果を参考にした。蒸発缶の詳細設計、性能計算、耐震設計、板取り設計、異材継手設計、セル内配管設計、蒸発缶撤去、設置工事設計、蒸発缶の点検、保守設計、蒸発缶試運転計画、製作技術仕様書の検討、作業工程検討等を行った。
乙坂 重嘉; 小林 卓也; 川村 英之; 鈴木 崇史
no journal, ,
環境動態研究グループが福島第一原子力発電所事故以降進めてきた海洋研究について、これまでに得られている結果をまとめた。シミュレーション研究では、海洋中放射性核種移行モデルと、海洋大循環モデルを用いて、事故当時からの放射性核種の拡散状況を解析した。その結果、(1)3月中旬に大気中に放出された放射性核種は、福島県の北東沖の太平洋上に沈着し、黒潮続流や中規模渦とともに移流したことと、(2)福島第一原子力発電所から直接放出された放射性核種は、福島県と茨城県の沿岸を南下し、黒潮続流によって拡散されながら東に移動したことが推測された。海洋調査研究では、これまで明らかにされていなかった放射性セシウムの堆積物への初期沈着過程を中心に解析を進めた。その結果、(3)堆積物中の大部分は、上記(2)の過程を経て沿岸域を移動し、事故後の半年以内に沿岸堆積物に沈着したと推測された。
伊藤 集通; 乙坂 重嘉; 川村 英之
no journal, ,
日本海における放射性核種の存在量の把握と、これらの移行過程及び海水等の循環過程の解明を目的として、日本海の日本とロシアの排他的経済水域内での調査研究を1997-2002年の期間に行った。その結果として、海水中,海底土中の人工放射性核種の濃度レベル及び分布、並びに移行に関して個別に報告を行ってきたが、今回は、日本海における人工放射性核種の全存在量について報告する。溶存態核種に分類されるSr及びCsの全存在量は、それぞれ、5502900Bq/m, 6804400Bq/mの範囲にあった。全存在量の測点間の差は、基本的には各測点の水深の違いに依存しており、海域の違いによる目立った差は見られなかった。海水中と海底土中での存在量の比を見ると、多くの測点で全存在量の99%以上を海水中の存在量が占めていたが、大和海盆の縁辺部では海底土中の存在量の寄与が、Srで約19%、Csで約327%と比較的大きくなっていた。一方、粒子親和性の強いPuでは、全存在量は、37136Bq/mで、基本的には測点の水深に依存するものの、大和海盆内でのばらつきが大きく、とくに、Sr及びCsで海底土中の存在量の比率が大きくなっていた大和海盆縁辺部の測点では、海底土中の存在量が全体の50%を越え、最大では93%に達する結果を得た。
小林 卓也; 川村 英之; 乙坂 重嘉
no journal, ,
福島第一原子力発電所から海洋へ放出された放射性核種(Cs-137)について、海水中に存在する粒子状物質への吸脱着、海底への堆積及び海底からの再浮遊を考慮した拡散シミュレーションを実施し、福島沖海域近傍における放射性核種の拡散挙動を予測した。堆積物の放射性核種濃度は、大気沈着によって2011年3月16日までに福島第一原発周辺海域で高濃度域が出現し、低濃度であるが宮城・福島・茨城の沿岸に沿って広く分布した。その後海洋への直接漏洩に伴い沿岸域を中心に高い濃度の分布域が出現した。計算領域における堆積物中放射性核種濃度の積算値の時系列によると、濃度は3月27日から急激に増加し、4月21日にピークとなり、4月26日から減少する傾向を示した。すなわち、堆積物中の放射性核種の初期分布は事故発生から約40日で形成されたことが示唆された。
川村 英之; 伊藤 集通; 小林 卓也; 乙坂 重嘉; 広瀬 直毅*
no journal, ,
日本原子力研究開発機構では、日本海における人工放射性核種の分布を把握することを目的として、1997年から2002年の期間中に日本海の海洋調査を行った。本研究の目的は、海洋調査で得られた人工放射性核種の分布を数値モデルにより再現し、その移行過程を解明することである。数値モデルの海面境界条件として、Sr-90とCs-137のグローバルフォールアウトによる年間積算量を与えた。数値実験の結果、表層から中層のSr-90とCs-137の濃度は観測値と比較的一致したが、1000m以深の深層では濃度が低いという問題があった。今後は、数値モデルのパラメーターや境界条件等を改良して再実験を行う予定である。
川村 英之; 小林 卓也; 伊藤 集通; 乙坂 重嘉; 外川 織彦; 鬼塚 剛*; 広瀬 直毅*
no journal, ,
原子力機構が1997年から2002年の間に行った日本海海洋調査で明らかになった知見を数値モデルで解明するために、現在日本海における物質循環モデルの開発を行っている。日本海物質循環モデルは、海洋大循環モデル・海洋中放射性核種移行モデル・低次生態系モデルから構成されている。現在、Sr-90とCs-137を海洋大循環モデルの中にトレーサーとして組み込み、核実験起源の大気降下量を海面境界条件とした予備実験を行っている。その結果、Sr-90とCs-137の表層濃度は1960年代に最大で、それぞれ約6Bq/m, 7Bq/mとなり、その後徐々に濃度は小さくなって1990年代には約2Bq/m, 3Bq/mと計算され、これらの経年変化は観測結果と一致した。また、2001年に補正した日本海全域に含まれるSr-90とCs-137の全存在量は、それぞれ約1.34PBq, 2.02PBqとなり、観測データから見積もられた値に近いものとなった。