Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
宇田川 昂; 萩原 幸; 河西 俊一; 貴家 恒男; 江草 茂則; 橋本 修*; 山本 泰*; 園田 克己*; 小野 利夫*; 長田 大三郎*; et al.
JAERI-M 85-220, 26 Pages, 1986/01
種々の機械特性とその破壊面の電子顕微鏡による観察から、加工性に優れた数種のFRPについて、それぞれの放射線劣化挙動を検討した。ビスフェノール型エポキシを母材とするFRPは10~30MGyの低下が始まった。これは、母材の耐放射線性が低いことによる。さらに、母材が同一であるにもかかわらず、基材としてはガラス繊維よりカーボン繊維の方がFRPの機械特性低下に明らかな影響を与える線量が大きく、劣化開始線量は約60MGyとなった。BTレジン系の樹脂を母材とするGFRPは、少なくとも60MGyの線量に耐えた。3点曲げ強度は100MGyの線量でも影響されない。これは、母材と界面の耐放射線性が共に高いことによる。種々の機械特性試験のなかで、せん断強度が放射線劣化を最も敏感に反映した。
河西 俊一; 貴家 恒男; 須永 博美; 上松 敬; 瀬口 忠男; 河野 功*
EIM-86-125, p.49 - 54, 1986/00
高分子に対するイオン照射効果を検討するために、広い面積に均一なプロトン照射が可能な装置を試作した。またCTAフィルム線量計を用いた吸収線量評価法を確立した。それらを用いて、PE、PP、PET、PESの4種類の高分子についてプロトンと電子線照射との比較を行った。1粒子あたりで比較するとプロトンは電子線に比べて、約20~25倍の照射効果を示したが、線量換算をするとPE、PPでは差が認められなかった。しかし、芳香族高分子、特にPESでは、プロトン照射のほうが劣化が少なくなった。プロトンで照射したPESの赤外吸収スペクトルは電子線照射の場合と多少異なっており、両者の損傷の機構が違う可能性があることがわかった。
河西 俊一; 萩原 幸
Radiation Physics and Chemistry, 27(1), p.65 - 70, 1986/00
有機高分子材料が放射線照射環境下で使用される機会が増大し、その耐放射線性付与技術の確立が重要な研究課題となってきている。高分子の耐放射線性の向上に、芳香族化合物の添加が有効であることはよく知られているが、作用機構については不明な部分が多い。我々はこの作用機構の解明の一端として、励起エネルギー移動による安定化に注目し、芳香族化合物を添加した高分子の発光挙動の研究を進めている。本論文では、電子線照射下で高分子の励起発光を測定する装置の試作とその概容を報告する。また、芳香族化合物として、アセナフテン、およびアセナフチレンを種々の合成高分子(エチレンプロピレンジエン共重合体、シス-1,4-ポリブタジエン、およびスチレンブタジエンゴム)に添加した系での励起エネルギー移動の確認と、その高分子依存性について述べる。
宇田川 昂; 河西 俊一; 萩原 幸
EIM-85-156, p.31 - 39, 1985/00
複合材料に汎用される母材樹脂を用いたGFRPとCFRPの室温における耐放射線性を3点曲げ試験で評価、検討した。 FRPの耐放射線性は第1義的に母材の耐放射線性に支配される。また、母材と基材の接着系の耐放射線性の違いで、CFRPがGFRPより優れる。GFRPはアミノ基官能型の芳香族または脂肪族系シランカップリング処理による接着系の選択で、耐放射線性が向上する。さらに、放射線劣化したFRPの耐熱性は、100C付近の低い温度域で未照射時に比べて著しく低下する。
萩原 幸; 宇田川 昂; 河西 俊一; 江草 茂則; 武田 展雄
Journal of Nuclear Materials, 133-134, p.810 - 814, 1985/00
被引用回数:4 パーセンタイル:54.56(Materials Science, Multidisciplinary)この報告は耐放射線性の優れた有機複合材料を得る基礎研究として、室温照射(電子線3MeV,1.0Mrad/hr)210Mradまでの劣化挙動を3点曲げ試験、剪断試験、電子顕微鏡観察等により考察したものである。複合材料、ガラス/di-glyciohylether bisphenol-Aは少線量で強度低下を起し、マトリックス相に大小多数のボイド生成が認められた。劣化はマトリックスの放射線分解によると考えられる。ガラス/TGDDMでは3000Mradで強度が急激に低下した。電顕観察から充てん材-マトリックス界面の剥離が劣化の原因であることがわかった。なお、カーボン/TGDDMでは210Mrad照射後も強度の低下はみられず、また、ボイド生成、界面剥離等も認められなかった。以上の事実から、複合材料の耐放射線化には、耐放射線性の樹脂の選択と、界面の耐放射線化が重要であることを述べる。
萩原 幸; 河西 俊一
日本ゴム協会誌, 58(11), p.698 - 705, 1985/00
合成ゴムに対する芳香族化合物の放射線保護作用を、筆者らが最近行った発光挙動の研究の成果をもとに解説した。また実用耐放射線性助剤である臭素化アセナフチレン縮合体のモデル物質を添加した時高分子系に生じるエネルギートラップサイトの特徴を説明した。さらに現在、精力的に行なわれている芳香族化合物の励起状態に関する研究を紹介し、耐放射線性との関連を述べ、将来の研究の方向を考察した。
河西 俊一; 萩原 幸; 勝村 庸介*; 田畑 米積*; 田川 精一*
Radiation Physics and Chemistry, 26(6), p.705 - 713, 1985/00
芳香族化合物を高分子に添加した時、放射線安定性が増す。この作用機構を解明するために、アセナフテン(At),アセナフチレン(Ay)を添加したEPDMゴムで、ピコ秒パルスおよび定常電子線照射による発光挙動を測定し、系中の励起エネルギー移動過程を調べた。AtまたはAyの添加によって、非常に速い速出で高分子の励起エネルギーを移動し、効率よく光として放出するAT発光バンドを生成することがわかった。さらに芳香環を有するDCPで架橋すると、400nmにメルバンドを生成し安定性が増す。また重合性のAyの場合、AgのエキシマーバンドがXu,ATより低いレベル(450nm)に生成し、高分子鎖にグラフト重合することによるエネルギー移動の効率が良くなることと合わせて、Atよりも耐放射線性助剤としてすぐれていることがわかった。
宇田川 昂; 河西 俊一; 萩原 幸
EIM-84-130, p.19 - 25, 1984/00
電子線照射したガラス/エポキシ系FRPの曲げ強度を20000Mradまで調べた。さらに照射後の環境による促進劣化を調べるため、熱または水にさらした後の曲げ強度も合わせて検討した。さらに曲げ破壊面を電子顕微鏡で観察し、ガラス繊維と母材樹脂の接着状態を調べた。一方吸収線量に伴う母材樹脂の2次転移温度の劣化を測定することにより、放射線および環境劣化のメカニズムを考察した。その結果、放射線による強度低下には、繊維と樹脂の界面(接着系)の劣化による界面剥離と、樹脂の劣化によるラミネート樹脂層における層間剥離の二種類があることを見い出した。照射線量とともに樹脂の二次転移点は大幅に下がり、照射後二次転移点以上の温度にさらしたFRPは劣化が促進されるが、水による促進効果は吸水率1%(150C熱水中2時間浸せき)以下では観測されなかった。
貴家 恒男; 河西 俊一; 武久 正昭
J.Phys.Chem., 88(15), p.3326 - 3329, 1984/00
700MPaまでの高圧下でビニルモノマーの誘電特性を測定した。基をもつビニルモノマーの誘電率'は200~300MPa附近で急激に増大した。この圧力は圧力~体積(P-V)関係に不連続を与える圧力に対応し、これまで報告した高圧下では平面構造を有するビニルモノマーは短距離に配列するという考えを支持する結果を得た。圧力~'に不連続性を与える圧力はモノマーの化学構造により変化し、基とビニル基との位置関係と密接に関連する。
宇田川 昂; 河西 俊一; 江草 茂則; 萩原 幸
Journal of Materials Science Letters, 3, p.68 - 70, 1984/00
被引用回数:8 パーセンタイル:50.31(Materials Science, Multidisciplinary)放射線環境下での電気絶縁材料、構造材料として有機複合材料が注目されているが、その放射線劣化機構はまだ確立されていない。この報告は耐放射線性の優れた有機複合材料を得る第一歩として、室温における20,000Mradまでの放射線劣化挙動を3点曲げ試験、電子顕微鏡観察で考察したものである。複合材料は4種類(Glass/Epoxy、Carbon/Epoxy、Glass/Polyimide、Carbon/Polyimide)を用い、照射は3MeVの電子加速器で行った。Glass/Epoxyでは3,000Mrad、Carbon/Polyimideでは、5,000Mradを超えると曲げ強度が急激に低下した。これらの現象は同時に、破壊が繊維切断から界面の劣化による樹脂と繊維のせん断破壊に変化することが破断面の電子顕微鏡観察から確認された。Carbon/Epoxyでは、5,000Mrad以上でEpoxyが低下しているにもかかわらず、急激な強度の劣化は見られなかった。これらの結果から、界面の劣化が有機複合材料の曲げ強度を支配することを明らかにした。
江草 茂則; M.A.Kirk*; R.C.Birtcher*; 萩原 幸; 河西 俊一
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, B1, p.610 - 616, 1984/00
4種類の有機複合材料(充てん材:ガラス、カーボン繊維、マトリックス:芳香族エポキシ、ポリイミド)に対し、室温での電子線照射、及び室温もしくは5Kでの中性子照射を行ない、材料の機械強度の変化を測定して複合材料の放射線劣化に対する線質の効果を検討した。電子線は~15,000Mradまで、中性子は~500Mradまで照射した。線質効果は三点曲げ応力破壊における亀裂成長エネルギーの線量当りの変化速度から評価した。中性子の大線量照射データが不足しているため今後より詳細な検討が必要であるが、これまでのデータに対する考察では、単位線量当り、中性子/電子線=7/1の割合で中性子のほうが劣化促進効果が大きいと推論された。
江草 茂則; M.A.Kirk*; R.C.Birtcher*; 萩原 幸; 河西 俊一
Journal of Nuclear Materials, 119(2-3), p.146 - 153, 1983/00
被引用回数:15 パーセンタイル:81.67(Materials Science, Multidisciplinary)4種類の有機複合材料(充てん材:ガラス、カーボン;マトリックス:エポキシ、ポリイミド)に対し、2MeVの電子線を室温にて照射し、機械特性の変化を測定した。いずれの試料でもヤング率は15,000Mrad照射後も有意な変化を示さなかった。これに対し、せん断係数および破壊強度はガラス/エポキシ系では2,000Mradから低下し、他の試料では5,000~10,000Mradで低下した。この結果は、界面における接着剥離が照射により起こり、マトリックスから充てん材への荷重伝達能力が低下したためと推論された。破壊挙動として、破壊(亀裂)生長エネルギーが照射のかなり初期から増大した。この事実は界面における接着強度の低下が起こるためと結論した。
河西 俊一; 貴家 恒男; 武久 正昭
Journal of the Physical Society of Japan, 52(9), p.3093 - 3100, 1983/00
被引用回数:6 パーセンタイル:55.69(Physics, Multidisciplinary)我々は、平面的な分子構造を持つ種々のビニル化合物が、高圧下で構造液相を持つことを報告してきた。中でもアクリロニトリル、trans-1,2-ジクロロエチレンは、常圧下でも低温で構造を持ち、構造形成には平面構造と分子四極子モーメントが必要な条件であることを明らかにした。これはビニル基の特質なのか?今回平面的で価電子密度の高い基を持つ酢酸メチルを取り上げ、常圧、高圧下でのT測定、常圧下での比容の温度変化を測定した。その結果、常圧下では、T、比容の温度変化から、-12Cで液-液相転移を観測した。また、Tの温度変化の解析から、酢酸メチルは、相関時間の近い値の二つの回転運動モードを持ち、転移点で一つのモードから他のモードへ移ることが明らかになった。高圧下のT測定から、液-液相転移の圧力-温度関係を求めた。
貴家 恒男; 河西 俊一; 武久 正昭
Macromolecules, 16, p.545 - 548, 1983/00
被引用回数:1 パーセンタイル:14.41(Polymer Science)アクリル酸メチルの構造異性体である酢酸ビニルのP-V測定と放射線重合速度の圧力依存性を検討した。比容積は20C 200MPa付近で急変し特異なP-V挙動を示した。同時に測定した酢酸メチルも同様な挙動を示した。この事実から、酢酸ビニルも高圧下で集合状態が変り、液液相転移することが確かめられたと同時に、酢酸ビニルおよびアクリル酸メチルは高圧下で置換基が中心となった配列が起っていると結論した。一方、酢酸ビニルの高圧重合においては、アクリル酸メチルの場合に認められた特異な重合速度の圧力依存性が認められなかった。両モノマーの構造上の比較から、平面構造に由来する配列が起きても、酢酸ビニルの場合はビニル基の運動性が抑制されないためと結論した。
河西 俊一; 貴家 恒男; 武久 正昭
Journal of the Physical Society of Japan, 51(5), p.1579 - 1583, 1982/00
被引用回数:13 パーセンタイル:72.75(Physics, Multidisciplinary)trans-1,2-dichloroethylene(trans-DCE)とcis-DCE,1,2-dichloroethane(EDC)の、常圧下でのスピン格子緩和時間(T)の温度依存性を、各々の融点から室温までの温度範囲で測定した。その結果、cis-DCEとEDCのTは、この実験条件下では、通常の等方的な液体の温度依存性を示したが、trans-DCEは、-16Cで、一次の液-液相転移を示す、「とび」を持った。この転移は、同時に測定した体積-圧力測定でも、「折れ」として観測された。 trans-DCEの二つの液相を、高温相をL、低温相をLと名づける。Tの解析から、Lは、分子運動は回転運動が中心となっている通常の等方液相であるが、Lは、分子の回転運動がほとんど停止した、並進運動だけの中間相であることがわかった。cis-DCE、EDCがこの中間相を持たないことから、この中間相の形成には、trans-DCEの大きな分子四重極モーメントが大きな役割を果していることがわかった。
河西 俊一; 貴家 恒男; 武久 正昭
J.Phys.Chem., 85, p.1271 - 1274, 1981/00
スチレンとエチルベンゼンの高圧下での、スピン格子緩和時間(T)を測定した。用いた装置は、米プラクティス社製PR103を高圧をかけられるように改造したもので、連続90°パルス法でTを測定した。測定は、温度を一定にして常圧から180MPaまでの圧力範囲で行った。 スチレンの場合、Tの圧力変化のisobarは、0から80MPaではTは連続的に変化するが、それ以上の圧力では一次の相転移を思わせる「とび」が見られる。この「とび」の大きさは圧力とともに大きくなり、その両側のTの大きさから両域とも液相であり、スチレンはこの圧力域で二つの液相を持つことがわかった。 この液-液相転移は、エチルベンゼンでは観測されないことから、スチレンのビニル基の平面構造が関与しており、またTの温度依存性の検討から、高圧下でスチレン分子がクラスターを形成し、それがあたかも一つの分子のように運動していると考えた。
河西 俊一; 貴家 恒男; 武久 正昭
Journal of the Physical Society of Japan, 50(9), p.3080 - 3084, 1981/00
被引用回数:11 パーセンタイル:68.31(Physics, Multidisciplinary)今までの一連のビニルモノマーの構造液相の発見の一つとして、常圧下でのTiの解析から、trans-1,2-dichloroethylene(trans-DCE)が-20C以下で分子の回転運動が欠けたあたかもネマチック液相を思わす構造液相を持つことを以前に報告した。 この報分は、引続いて、trans-DCEの高圧下でのT及び600MPaまでの体積-圧力関係の測定を行い、高圧下でのT及び600MPaまでの体積-圧力関係の測定を行い、高圧下での液相構造を議論したものである。その結果、高圧下でさらに、新しい構造液相の存在を確認した。trans-DCEは等方的な液相に加え、2つの構造液相を持つ。
河西 俊一; 武久 正昭
J.Macromol.Sci.,Part A, A14(4), p.605 - 615, 1980/00
アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸n-ブチル(BA)の高圧下における放射線重合およびas-polymerizedポリマーモノマー共存系のP-V挙動を測定した。両モノマーのP-V挙動はメタクリル酸エステルの場合とは異なり、2000kg/cm(MA)、1300kg/cm(BA)で異常性を示した。これに伴い重合挙動も変化し、これらの圧力で重合速度が極小となった。また30004500kg/cmの圧力域で、両モノマー共に重合速度の圧力依存性をほとんど示さなかった。4500kg/cm以上では再び大きな圧力依存性を示した。共存系のP-V挙動は、これを作った圧力域に対応して、特徴的な挙動をした。これらを総合して、アクリル酸エステルは低圧側でエステル基を中心とした、また30004500kg/cmの圧力域ではビニル基を中心としたモノマー分子の配列が起こるものと推論した。
貴家 恒男; 河西 俊一; 武久 正昭
J.Phys.Chem., 84(20), p.2595 - 2598, 1980/00
スチレン(St),-メチルスチレン(-MST),アクリロニトリル(AN),メタクリロニトリル(MAN)、およびSt,AN飽和化合物であるエチルベンゼン(EB),プロピオニトリル(PN)のP-V-T挙動を測定した。ビニル基を有するSt,-MST,AN,MANは結晶化圧力より低い圧力域で急激な比容積変化を伴う一次転移類似な挙動をする。この転移が起る圧力域は重合速度の圧力依存性が急変する圧力域で一致する(前報)。またP-Vデーターから転移の潜熱を計算すると、結晶化時のそれの1/10程度であった。重合挙動の圧力依存性の変化と考え合せ、この圧力域でモノマー系はisotropicな液体からanisotropicな液体に液~液転移すると結論した。飽和化合物であるEB,PNのP-V曲線はスムーズで、液~液転移は認められない。この事実から、この種の液~液転移に対し、平面構造をもつビニル基が重要な役割をしていると結論した。
河西 俊一; 貴家 恒男; 武久 正昭
Journal of the Physical Society of Japan, 48(4), p.1307 - 1310, 1980/00
被引用回数:10 パーセンタイル:63.53(Physics, Multidisciplinary)高圧下の放射線重合反応の測定で観測されたアクリロニトリル(AN)の液相内での相転移をより微視的に観るため、NMRを用いて常圧下で分子運動性の測定を行なった。ANの融点から常温の温度範囲で、高分解能ftNMRで、HとCの両方のスピン・格子緩和時間(T)と化学シフトを測定した。化学シフトはこの温度領域で連続的に変化したが、Tは-26Cで「折れ」を伴う異常な温度依存性を持った。以上の結果から、常圧下でANは-26Cを転移点とする液相-液相転移を持つことが確かめられた。この転移は化学シフトの温度依存から、電子状態を含む分子の構造の変化を伴なったものでないことが言える。Tを二つの分子運動-回転と並進運動の寄与に分けると、転移点では回転運動の変化の割合が大きく、この転移は分子の回転運動の変化が大きく寄与していると考えられる。