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北尾 貴彦; 佐藤 宗一; 久野 剛彦; 山田 敬二; 綿引 優; 鎌田 正行
JNC TN8410 2003-014, 29 Pages, 2003/11
IAEAが六ヶ所再処理工場保障措置分析所(On-site Analytical Laboratory)において高放射性廃液(以下、HALWという)中の微量プルトニウム(以下、Puという)濃度分析法として適用を検討しているPu(Ⅵ) 吸光光度法について、東海再処理工場のHALWを用いた比較検討試験を実施した。本検討ではPu(Ⅵ)吸光光度法におけるPu(Ⅵ)吸光度定量方法として、(1)検量線法、(2)Nd内標準法、(3)還元法を検討した。検討用試料は東海再処理工場にて発生したHALW溶液を採取し、固相抽出操作によってPuを完全に除去した後、既知量のPuを添加することによって調製した。この溶液の吸光スペクトルを測定し、3種類の定量方法を用いた測定結果について正確さ及び精度を評価した。各定量方法の試験結果等について以下に示す。(1)検量線法: 測定に必要な試料は1バッチあたり1試料のみでよく、前処理操作は簡便である。調製値と測定値は良好に一致した。(2)Nd内標準法: 調製値に対して検量線法よりも正確な測定値が得られた。本法では測定に必要な試料として、1バッチあたり2試料(内標準物質であるNdを添加した試料と添加していない試料)を必要とするが、前処理操作に起因するPu濃度の定量への影響は小さい。(3) 還元法: 測定値は調製値と比較して全体的に高い結果となった。これは、HALW溶液中の共存元素によるベースラインの変動がPu(Ⅵ)吸光度の定量に影響を与えているためと思われる。3種類の定量方法について比較検討した結果、検量線法が迅速かつ簡便な方法であり、六ヶ所再処理工場保障措置分析所に対して適用性の高い定量方法であることが認められた。検量線法による測定時間は前処理操作を含めて1バッチあたり約1時間であり、HALW試料に対する検出下限値は1.3mgPu/Lであった。