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木口 憲爾*; 金城 雄*; 正橋 佳世子*; Tu, Z.; 田村 元*; 白井 孝*; 金勝 廉介*; 小林 泰彦; 田口 光正; 渡辺 宏
JAERI-Review 2000-024, TIARA Annual Report 1999, p.51 - 53, 2000/10
日本原子力研究所高崎研究所の細胞局部照射装置を利用して、家蚕の初期発生制御機構の解析を進めている。これまでの研究から、重イオンマイクロビームを細胞性胞胚期卵のさまざまな部位に照射すると、照射面積、線量及び照射部位に応じて、照射卵から孵化した幼虫の体節や付属肢等に欠失、重複、融合などの形態異常が生じることが判明している。そこで、照射部位と異常発生部位との対応関係を追求、発生研究の基礎となる発生予定原基分布図(fate-map)の作成を試みた。その結果、胚域の前極側から後極側に向かって頭部から尾部形成領域が順に配列している原基分布図が得られ、受精前のまだ核のない部位へのUVレーザー照射によって得られた原基分布図と、今回作成した細胞性胞胚期卵のそれを比較すると、概略一致するものの、いくつか相異する点があることが明らかになった。
小林 泰彦; 田口 光正; 渡辺 宏; 山本 和生*; 山崎 修平*; Tu, Z. L.*; 金城 雄*; 木口 憲爾*
Proceedings of 11th International Congress of Radiation Research (ICRR-11), 2, p.182 - 186, 2000/00
生物に対するイオンビームの照射効果を詳細に解析するためには、従来のランダムな照射方法から脱却して細胞の特定部位に照準した局部照射による影響を明らかにする必要がある。また重イオンマイクロビームは特定の細胞への局部照射による細胞群の機能解析や胚原基マップ作成などの研究に応用できるほか、新しい細胞微細加工技術に発展する可能性を持っている。そのためわれわれは、アパーチャー系でコリメートした重イオンマイクロビームを大気中に取り出して顕微鏡観察下の生物試料に照射する装置を製作し、AVFサイクロトロンの垂直ビームラインに設置した。この生物用重イオンマイクロビームを用いて原研で進めている、カイコ発生初期卵に対する重イオン局部照射効果及びカイコ受精卵の発生過程の解析研究について概説する。
木口 憲爾*; 島 拓郎*; 金城 雄*; Tu, Z. L.*; 山崎 修平*; 小林 泰彦; 田口 光正; 渡辺 宏
JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, p.53 - 55, 1999/10
日本原子力研究所高崎研究所の細胞局部照射装置を用いてさまざまな生物の受精卵や胚子を重イオンで局部照射することによって、発生過程の解析が可能である。カイコは、その遺伝学的バックボーンや形態的・生理的な特徴から、この実験目的には理想的な材料の一つである。そこで、重イオン局部照射がカイコの初期発生過程に及ぼす影響を調べるために、受精直後の卵及び細胞性胞胚期卵に炭素イオンを局部照射し、照射された分裂核及び細胞の形態変化を観察したところ、照射を受けた分裂核は、その後分裂できずに肥大化し、その多くは正常に移動を続けて周辺細胞質に到達するが、一部は脱落して周囲の正常核と置換する場合があることがわかった。また受精直後卵を局部照射した場合は、発生した胚子には照射による影響が見られなかったのに対し、細胞性胞胚期卵への局部照射では、照射部位に対応した形態異常が胚子に誘導された。