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永野 博彦*; 神田 裕貴*; 鈴木 優里*; 平舘 俊太郎*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; Guo, Z.*
Discover Soil (Internet), 2, p.27_1 - 27_9, 2025/04
Water-extractable organic matter (WEOM) obtained from air-dried soil samples can be used to estimate microbial biomass instead of chloroform fumigation extraction (CFE) using fresh, moist soils and toxic solvents. However, the accuracy of such WEOM-based estimates has not been evaluated. We evaluated relationships between WEOM measurements obtained from air-dried soils and microbial biomass measurements obtained through CFE based on 50 soil samples from each of 10 soil profiles in Japanese forests and pasture. The amount of water-extractable organic carbon (C) obtained from air-dried soils corresponded to 31% of microbial biomass C, demonstrating a strong correlation. This result supports our hypothesis that WEOM represents a quantitative alternative to microbial biomass, particularly for C, offering a solution to the practical difficulties involved in measuring microbial biomass using CFE.
小嵐 淳; 竹内 絵里奈; 國分 陽子; 安藤 麻里子
Radiocarbon, 67(2), p.307 - 317, 2025/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geochemistry & Geophysics)加速器質量分析による土壌試料の放射性炭素(C)年代測定は、陸域炭素循環の解明において極めて有用である。しかし、土壌試料の前処理においてふたつの困難がある。現代炭素の混入による試料の汚染と、硫黄不純物によるグラファイト生成の阻害である。そこで本研究では、3つの異なる前処理法について、
Cを含まない試料と硫黄含有量が大きい土壌試料に対する
C分析を行うことで、それらの前処理法の有効性を評価した。その結果、これらの前処理法は、少なくとも硫黄含有量が6.9%以下の土壌試料に対して適用可能であることが明らかになった。また、現代炭素による汚染の程度は前処理法によって異なるものの、いずれの方法でも、
C年代が12,000年前未満の試料に対して、陸域炭素循環研究に利用する上で十分な精度をもって
C年代を推定することができることを明らかにした。
阿部 有希子; 中山 理智*; 安藤 麻里子; 丹下 健*; 澤田 晴雄*; Liang, N.*; 小嵐 淳
Geoderma, 455, p.117221_1 - 117221_11, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Soil Science)森林土壌に蓄積されている炭素の半分以上が下層土壌(30cm以深)に存在している。しかし、下層土壌の陸域炭素循環における寄与やそれを制御する要因については未解明な点が多い。そこで本研究では、下層土壌からのCO放出量を定量評価するとともに、CO
放出に影響を与える要因を明らかにすることを目的とした。有機炭素蓄積特性の異なる2つのタイプの森林土壌(火山灰土壌と非火山灰土壌)を対象に、深さ60cmまでの土壌を採取し、培養実験により深さごとのCO
放出速度を測定した。また、放出されたCO
の放射性炭素同位体比を分析した。その結果、下層土壌からのCO
放出は、全体(深さ0-60cm)の放出量の6-23%を担い、1950年以降に固定された有機炭素の分解に起因していることが明らかになった。下層土壌からのCO
放出は、土壌微生物が利用しやすい有機炭素の量と微生物バイオマス量に規定されていることが示唆された。
鈴木 優里*; 平舘 俊太郎*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 蓬田 匠; 神田 裕貴*; 永野 博彦*
Soil (Internet), 11(1), p.35 - 49, 2025/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Soil Science)The present study evaluated overall trends of the dry-wet cycle effect on carbon dioxide (CO) release and explored environmental and soil predictors for its effect size among ten Japanese forests and pastureland soils. In the 84-days incubation including three dry-wet cycles, CO
release was 1.3 to 3.7-fold greater than that under the continuously constant moisture condition. This increasing magnitude of CO
release by dry-wet cycles was found to correlate with pyrophosphate extractable aluminum content in soil. Whereas soil microbial biomass carbon was significantly lower in dry-wet cycle than in continuously constant moisture, there was no significant relationship between the microbial biomass decrease and the increasing magnitude of CO
release. Thus, the present study showed that comprehensive increase in soil CO
release by dry-wet cycles is regulated by organo-aluminum complexes which are vulnerable against dry-wet cycles.
Battulga, B.; 中西 貴宏; 安藤 麻里子; 乙坂 重嘉*; 小嵐 淳
Environmental Science and Pollution Research, 31, p.60080 - 60092, 2024/10
プラスチックの破片が水生環境および陸上環境で遍在的に分布していることが報告されている。しかし、プラスチックと放射性核種との相互作用や、環境プラスチックの放射能についてはほとんど知られていない。今回われわれは、環境中のプラスチックと放射性セシウム(Cs)の間の相互作用媒体としてのプラスチック関連バイオフィルムの役割を調査するためにプラスチック破片の表面で発達するバイオフィルムの特徴を調べる。バイオフィルムサンプルは日本の二つの対照的な沿岸地域から収集されたプラスチック(1-50mm)から抽出された。プラスチックの放射能は、バイオフィルムの
Cs放射能濃度に基づいて推定され、周囲の環境サンプル(つまり、堆積物や砂)と季節ごとに比較された。
Csの痕跡は、バイオフィルムの放射能濃度21-1300Bq kg
(乾燥重量)のバイオフィルムで検出され、これは0.04-4.5Bq kg
プラスチック(乾燥重量)に相当する。われわれの結果は
Csとプラスチックとの相互作用を明らかにしバイオフィルム中の有機成分と鉱物成分が環境プラスチック中の
Csの保持に不可欠であるという証拠を提供する。
Battulga, B.; 中山 理智; 松岡 俊将*; 近藤 俊明*; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
Water Research, 264, p.122207_1 - 122207_12, 2024/10
被引用回数:7 パーセンタイル:87.53(Engineering, Environmental)環境中のマイクロプラスチック(MP、サイズ: 5mm)上の微生物の付着とバイオフィルムの形成に対する注目が高まっている。ここでは、微生物の生態と水生生態系への影響についての理解を深めるために、プラスティスフィア内の微生物群集を調査する。我々は、16S遺伝子とITS遺伝子のアンプリコン配列を使用して、日本の2つの対照的な沿岸地域のMP、地表水、底質、海岸砂における細菌および真菌群集の構成と多様性を特定した。サンプルの種類と研究場所に応じて、大幅に異なる微生物の多様性と分類学的組成が検出された。炭化水素分解群集の定着とMP上での病原体の発生の結果として、微生物分類群の複雑なプロセスがMP関連バイオフィルムの特性、ひいてはMPの特性に影響を与える。この研究は、MP関連バイオフィルムにおける微生物の代謝機能に焦点を当てており、これは地球生態系に対するプラスチック破片の真の影響を明らかにする鍵となる可能性がある。
中山 理智; 阿部 有希子; 安藤 麻里子; 丹下 健*; 澤田 晴雄*; Liang, N.*; 小嵐 淳
Applied Soil Ecology, 201, p.105485_1 - 105485_12, 2024/09
被引用回数:3 パーセンタイル:64.86(Soil Science)森林において窒素は植物の生育の制限要因である。樹木を含む植物は種間の養分競争が苛烈な時、表層に加え下層土壌からも窒素を吸収している。しかし、下層土壌における窒素循環に関する知見は限られている。本研究では、2つの異なる土壌タイプに成立する日本の森林において、窒素の純無機化速度および硝化速度の深度プロファイル(0-60cm)を調査した。またPLS-PMモデルを用いて、窒素循環に重要な要因の特定を行った。土壌重さ当たりの窒素無機化、硝化はAndosolの表層で高く、深度とともに低下したが、Cambisolにおいてその傾向は見られなかった。微生物バイオマス量と土壌有機物量は表層における窒素循環の空間分布を規定することが知られているが、深度方向の窒素循環にもそれらが重要であることがPLS-PMモデルによって明らかとなった。さらに、土壌体積当たりで計算をすると、土壌タイプや深度に関わらず窒素無機化速度は一定であった。これにより、Andosol, Cambisolの双方において、下層土壌は重要な植物の窒素吸収源であることが示唆された。
Battulga, B.; Munkhbat, D.*; 松枝 誠; 安藤 麻里子; Oyuntsetseg, B.*; 小嵐 淳; 川東 正幸*
Environmental Pollution, 357, p.124427_1 - 124427_10, 2024/09
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)水生環境および陸上環境におけるプラスチック破片の発生とその特徴は、広範囲に研究されてきた。しかし、環境中のプラスチック関連バイオフィルムの特性と動的挙動に関する情報はまだ限られている。この研究では、モンゴルの内陸河川系からプラスチックサンプルを収集し、分析、同位体、熱重量分析技術を使用してプラスチックからバイオフィルムを抽出し、バイオフィルムの特性を明らかにした。抽出されたバイオフィルムから有機粒子と鉱物粒子の混合物が検出され、プラスチックが河川生態系の汚染物質を含む外因性物質のキャリアであることが明らかになった。熱重量分析により、バイオフィルムの約80wt%を占めるアルミノケイ酸塩と方解石を主成分とするミネラルが主に寄与していることが示された。本研究は、水生生態系における有機物および物質循環に対するプラスチック関連バイオフィルムの影響を解明するのに役立つ、バイオフィルムの特性および環境挙動に関する洞察を提供する。
佐藤 雄飛*; 石塚 成宏*; 平舘 俊太郎*; 安藤 麻里子; 永野 博彦*; 小嵐 淳
Environmental Research, 239, Part 1, p.117224_1 - 117224_9, 2023/12
被引用回数:3 パーセンタイル:58.10(Environmental Sciences)土壌有機物(SOM)の安定性は地球上の炭素循環や気候変動問題を理解する上で重要な研究課題である。本研究では段階的昇温過程を経た強熱減量法(SIT-LOI)がSOMの安定性の評価に対する利用可能性を検証するため、日本各地で採取した有機物及び無機物の各含有率並びに放射性炭素分析に基づくSOMの平均滞留時間(MRT)のそれぞれが異なる土壌試料を用いた検証実験を実施した。本実験の結果、SIT-LOIデータはSOMのMRTと強い相関を示した。これはSIT-LOIデータが実環境におけるSOMの安定性に対する指標となることを示唆するものである。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 西村 周作
Ecotoxicology and Environmental Safety, 262, p.115177_1 - 115177_9, 2023/09
被引用回数:6 パーセンタイル:63.96(Environmental Sciences)日本の森林土壌における放射性セシウム(Cs)の深度分布の将来を把握することは、福島第一原子力発電所事故の環境影響を評価する上で重要である。本研究では、土壌有機物の濃度プロファイルが最終的な
Csの深度分布を決定するという仮説を立て、土壌有機物プロファイルが異なる森林土壌における大気圏核実験起源
Csの約半世紀後の深度分布を調べることでその仮説を検証した。その結果、土壌層の
Cs保持能力は、調査地や土壌深度にかかわらず土壌有機炭素濃度の関数として表せることが示された。このモデルを用いることで日本の森林土壌における最終的な
Cs深度分布を予測できることを示した。
Battulga, B.; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; Bolormaa, O.*; 川東 正幸*
Ecotoxicology and Environmental Safety, 261, p.115100_1 - 115100_10, 2023/08
被引用回数:2 パーセンタイル:12.87(Environmental Sciences)河川環境に広がるプラスチックは、環境汚染の主要な要因の一つである。本研究では、モンゴルのトゥール川周辺で採取した発泡ポリスチレン(PSF)プラスチックに付着した金属を調査した。金属のサイズ依存性は、PSFが都市の河川環境における汚染物質の指標となることを示した。PSFに蓄積されたAl, B, Cr, Cu, Mn, Mo, Na, Ni, Pb及びZnの平均濃度は、1967.0169.1、116.0
25.7、12.7
6.6、35.0
7.6、9.8
6.0、6.3
1.3、1506.8
282.8、0.4
0.3、10.2
5.0及び103.1
28.5
g/gであった。本研究結果により、広範囲に広がったプラスチックが環境中で有害化学物質のキャリアの1つになる可能性があることが示された。
Battulga, B.; 安藤 麻里子; 松枝 誠; 小嵐 淳
Environmental Science and Pollution Research, 30(31), p.77226 - 77237, 2023/05
被引用回数:2 パーセンタイル:10.09(Environmental Sciences)過去十年間において、水圏環境のマイクロプラスチックの地球規模の調査は、科学的に幅広く関心が持たれている。本研究は、同位体分析及び示唆熱天秤-質量分析法を含む多次元分析を行い、環境中のマイクロプラスチックの挙動及び特性を明らかにしたものである。マイクロプラスチックサンプルは、日本の対照的な二つの沿岸域で採取した。採取したポリエチレン,ポリプロピレン,ポリスチレンから成るマイクロプラスチックのC値は、-25.6‰
-31.4‰、-23.4‰
-30.9‰、-27.3‰
-28.6‰であった。また、ポリエチレンとポリスチレンから成るマイクロプラスチックの熱分析において単段階吸熱反応が確認された。本研究により、マイクロプラスチックの劣化が水圏環境における挙動及び特性に重要な役割を担っていることが示唆された。
堅田 元喜*; 山口 高志*; 渡辺 誠*; 福島 慶太郎*; 中山 理智*; 永野 博彦*; 小嵐 淳; 舘野 隆之輔*; 久保田 智大
Atmospheric Environment, 298, p.119640_1 - 119640_12, 2023/04
被引用回数:1 パーセンタイル:13.75(Environmental Sciences)Moderately elevated reactive nitrogen (Nr) deposition due to anthropogenic activities can have an impact on forest production via throughfall and canopy retention processes. Forest fragmentation can increase dry deposition of atmospheric ammonia volatilized from agricultural areas, and consequently increase spatial variability of Nr deposition even within the same forest (edge effect). However, little is known about the edge effect and its impact on forest production in a deciduous broad-leaved forest in Asian countries. Here, we performed the field observations of atmospheric concentration and deposition of inorganic Nr gases and particles in a Japanese fragmented forest from May 2018 to April 2019. The results demonstrated that annual dry deposition of ammonia was dominant in the annual total dissolved inorganic Nr deposition at the forest edge, including the edge effect. Additionally, agricultural activities such as fertilization in the area surrounding the forest likely enhanced the potential of canopy retention of NH, known as Nr species readily absorbed by tree canopy.
永野 博彦*; 安藤 麻里子; 田中 草太*; 蓬田 匠; 香西 直文; 小嵐 淳
Frontiers in Forests and Global Change (Internet), 6, p.1228053_1 - 1228053_9, 2023/00
被引用回数:3 パーセンタイル:51.05(Ecology)Microbial decomposition of soil organic matter (OM) is crucial in terrestrial carbon cycles; however, analytical approaches to explain the decomposition process in soil have not been completely successful. Forty air-dried soil samples were applied to water extraction and OM analysis. The C and N contents and natural abundances of C and
N exhibited positive correlations between the bulk soil OM and water-extractable OM (WEOM). However, the C/N ratio in WEOM showed values around 10, a value similar to that for microbial biomass. The
C and
N enrichments in WEOM relative to soil OM were negatively and positively correlated, respectively, with the concentrations of organo-mineral complexes and short-range order minerals, which play significant roles in soil OM stabilization in soils. These relationships suggest that the stable isotopic enrichments in WEOM can be a good indicator of the microbial utilization of soil C and N under different substrate availabilities.
太田 雅和; 小嵐 淳
Isotope News, (784), p.28 - 31, 2022/12
福島第一原子力発電所事故の影響を受けた森林では、沈着した放射性セシウム(Cs)による樹木汚染が問題となっている。しかしながら、森林内の各
Cs移行過程が樹木(特に、福島の林業で重要な資源である幹の木部)の汚染に及ぼす影響については、十分な理解が得られていない。本研究では、森林樹木-リター層-土壌系における
Csの動態を計算するモデル「SOLVEG-R」を提案し、これを福島県内のスギ植林地および天然のブナ林に適用した事例を紹介する。モデル計算の結果および計算と現地観測の結果の比較から、森林に沈着した
Csの樹木への移行においては、事故時に葉あるいは樹皮に補足された
Csの表面からの取り込みがそのほとんど(
99%)を占めることが示された。一方で、根による土壌中
Csの取り込みは少なく、事故後の50年間にわたり、表面からの取り込みよりも数桁小さい値を保つことが示された。これらの結果、樹木の内部汚染が、事故直後に樹木表面から取り込まれた
Csの内部再循環(転流)によって引き起こされることが分かった。樹皮を介した表面からの取り込みの重要性も明らかとなり、樹木による
Cs取り込みの100%(事故時に葉が無かったブナ)あるいは30%(事故時に展葉していたスギ、残りの70%は葉の表面からの取り込み)を占めた。試験地の樹木について、2021年時点では、
Csの放射壊変と樹木成長に起因する希釈効果の影響によって樹幹木部の
Cs放射能濃度が年あたり3%で低下していることが示された。
Zhang, J.*; Kuang, L.*; Mou, Z.*; 近藤 俊明*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; Li, Y.*; Tang, X.*; Wang, Y.-P.*; Peuelas, J.*; et al.
Plant and Soil, 481(1-2), p.349 - 365, 2022/12
被引用回数:10 パーセンタイル:73.14(Agronomy)Soil warming effects on soil organic carbon (SOC) decomposition and stabilization are highly variable, and the underlying mechanisms are poorly understood. In this study, concentration, stability (dissolved, particle and mineral-associated SOC), and source (plant-derived and microbial-derived) of SOC, soil microbial community composition, and enzyme activities were studied in a 10-year soil warming field experiment in an East Asian monsoon forest. The results showed that 10-year soil warming significantly enhanced SOC in the top 0-10 cm soil. The increased SOC induced by warming was mainly derived from plants with lignin markers, accompanied by a decrease in microbial-derived SOC. This highlights an urgent need for a better understanding of how the contrasting effects of plant- and microbial-derived C mediate the response of the SOC pool to warming across different biomes.
Battulga, B.; 安藤 麻里子; 中西 貴宏; 小嵐 淳
Science of the Total Environment, 849, p.157758_1 - 157758_11, 2022/11
被引用回数:7 パーセンタイル:47.21(Environmental Sciences)本研究では、マイクロプラスチックの表面に形成されるバイオフィルム(有機付着物)の特性を明らかにするための第一ステップとして、バイオフィルムを分離回収する手法を開発した。茨城県内の河川において、大きさ,色,組成の異なる様々なマイクロプラスチック試料を採取した。それらの試料に超音波処理を行った後、シリンジを用いた方法により有機付着物を溶液として分離回収した。バイオフィルム由来の有機物から放射性セシウムが検出され、マイクロプラスチックが河川生態系における放射性核種の輸送媒体としての役割を果たすことが示唆された。また、有機物の安定炭素・窒素同位体の分析にも成功した。本手法は、マイクロプラスチックの状態や環境中における物質循環への寄与を解明するために有効である。
阿部 有希子*; Liang, N.*; 寺本 宗正*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 橋本 昌司*; 丹下 健*
Geoderma Regional (Internet), 29, p.e00529_1 - e00529_11, 2022/06
被引用回数:2 パーセンタイル:12.90(Soil Science)本研究では、火山灰土壌における土壌呼吸速度の空間変動の要因を明らかにするために、火山灰母材の35年生のスギ人工林において調査区を設置した。2013年1月から2019年8月の期間に土壌呼吸速度を定期的に測定し、空間変動の経年変化を調べた。さらに、2019年8月に全ての測点内からリターと土壌を採取し、Ao層の炭素量、土壌炭素量(SOC)、比重の軽い画分(1.6g cm
)の炭素量(LF-C),細根量,容積重を測定した。土壌呼吸速度の測点間の空間的なばらつきの傾向は7年間維持されていた。重回帰分析の結果、LF-Cのみを説明変数とするモデルが土壌呼吸速度を最も精度高く予測しており、他の要因を加えても精度は向上しなかった。また、SOCは土壌呼吸速度との関係が認められなかった。火山灰土壌では土壌呼吸速度の説明変数としてSOCよりもLF-Cの方が適していることが示唆された。
太田 雅和; 小嵐 淳
Science of the Total Environment, 816, p.151587_1 - 151587_21, 2022/04
被引用回数:8 パーセンタイル:52.34(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故の影響を受けた森林では、沈着したCsによる樹木汚染が問題となっている。しかしながら、森林内の各
Cs移行過程が樹木(特に、福島の林業で重要な資源である幹木部)の汚染に及ぼす影響については、十分な理解が得られていない。本研究では、森林樹木-リター層-土壌系における
Csの動態を計算するモデルを提案し、これを福島県内のスギ植林地および天然のブナ林に適用した。モデル計算の結果および計算と現地観測の結果の比較から、森林内の各
Cs移行過程が樹木の汚染に及ぼす影響が明示された。森林に沈着した
Csの樹木への移行においては、事故時に葉あるいは樹皮に補足された
Csの表面からの取り込みがそのほとんど(
99%)を占めることが示された。一方で、根による土壌中
Csの取り込みは少なく、事故後の50年間にわたり、表面からの取り込みよりも数桁小さい値を保つことが示された。これらの結果、樹木の内部汚染が、事故直後に樹木表面から取り込まれた
Csの内部再循環(転流)によって引き起こされることが分かった。樹皮を介した表面からの取り込みの重要性も明らかとなり、樹木による
Cs取り込みの100%(事故時に葉が無かったブナ)あるいは30%(事故時に展葉していたスギ、残りの70%は葉の表面からの取り込み)を占めた。試験地の樹木について、2021年現在では、
Csの放射壊変と樹木成長に起因する希釈効果の影響によって樹幹木部の
Cs放射能濃度が年あたり3%で低下していることが示された。
橋本 昌司*; 田中 拓*; 小松 雅史*; Gonze, M.-A.*; 坂下 渉*; 操上 広志; 仁科 一哉*; 太田 雅和; 大橋 伸太*; Calmon, P.*; et al.
Journal of Environmental Radioactivity, 238-239, p.106721_1 - 106721_10, 2021/11
被引用回数:14 パーセンタイル:56.84(Environmental Sciences)本研究は、福島の主に常緑針葉樹林内における放射性セシウムの移行について、複数の研究チームによるモデルを用いた解析を行い、比較を行うことで、モデルのパフォーマンスを分析したものである。また、落葉層の除去と樹木更新の2つの管理シナリオ、および落葉広葉樹林を対象とした補助シナリオについても比較、分析した。いずれのモデルも実測の放射性セシウム濃度の変化傾向などを再現できたが、事故から50年後の予測についてはばらつきが大きく、継続した調査、解析による評価が必要である。