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中沼 貴澄*; 岩片 悠*; 渡部 ありさ*; 細井 卓治*; 小林 拓真*; 染谷 満*; 岡本 光央*; 吉越 章隆; 志村 考功*; 渡部 平司*
Japanese Journal of Applied Physics, 61(SC), p.SC1065_1 - SC1065_8, 2022/05
被引用回数:7 パーセンタイル:77.62(Physics, Applied)本研究ではSiC(110)面のNO窒化過程を詳細に観察し、MOSキャパシタの電気的特性への影響を調べた。具体的には、走査型X線光電子分光法によりサブナノメートルオーダの窒素分布プロファイリングを行った。その結果、窒化は(0001)面よりもはるかに速く進行し、界面の窒素濃度は約2.3倍であった。暗所および紫外線照射下で容量-電圧()測定を行い、伝導帯端/価電子帯端近傍の欠陥や、ヒステリシス・シフトを引き起こす欠陥を評価した。これらの欠陥は、窒化の進行とともに失活化されたが、過度の窒化は逆に電気的特性の劣化を招くことが分かった。以上の実験結果をもとに、NO窒化の最適条件を議論した。
中沼 貴澄*; 小林 拓真*; 細井 卓治*; 染谷 満*; 岡本 光央*; 吉越 章隆; 志村 考功*; 渡部 平司*
Applied Physics Express, 15(4), p.041002_1 - 041002_4, 2022/04
被引用回数:5 パーセンタイル:48.5(Physics, Applied)NO窒化SiC(110)(a面)MOSデバイスのリーク電流およびフラットバンド電圧(VFB)安定性を系統的に調査した。NO窒化は界面特性改善に有効であるが、Fowler-Nordheim(F-N)電流の立ち上がり電界を1MVcm程度低下させ、顕著なリーク電流をもたらした。また、放射光X線光電子分光による測定の結果、窒化処理によってSiO/SiC界面の伝導帯オフセットが低減していることがわかり、リーク電流増大の起源が明らかになった。さらに、正および負バイアスストレス試験により、窒化a面MOSデバイスでは、電子および正孔注入に対してVFBが不安定であることが明確に示された。
奥野 充*; 長岡 信治*; 國分 陽子; 中村 俊夫*; 小林 哲夫*
福岡大学理学集報, 48(1), p.1 - 5, 2018/03
中部九州の九重火山群は、20座以上の溶岩ドームと小型の成層火山からなる複成火山である。黒岳溶岩ドームは、体積約1.6kmと最大であり、黒岳火砕流堆積物(Kj-Kd)と黒岳降下火山灰(Kj-KdA)を伴う。本研究では黒岳溶岩ドームの噴火年代を確認するため、Kj-Kdの炭化樹幹の放射性炭素(C)年代を日本原子力研究開発機構東濃地科学センターの加速器質量分析装置を用いて測定した。得られたC年代は150540 BP (JAT-8677、C=-23.8‰)で、暦年較正すると1310-1423cal BP (74.6%)、1430-1442cal BP (2.4%)、1456-1521cal BP (23.0%)、その中央値は1391cal BPである。この結果はKj-KdAの下位にある阿蘇N2テフラ(約1.5cal ka BP)との層位関係とも整合的であることから、より信頼できるKj-Kdの噴火年代であると考えられる。
奥野 充*; 長岡 信治*; 國分 陽子; 中村 俊夫*; 小林 哲夫*
Radiocarbon, 59(2), p.483 - 488, 2017/00
被引用回数:3 パーセンタイル:14.08(Geochemistry & Geophysics)九州,九重火山群の中央及び西側における噴火史を明らかにするため、火砕流堆積物の加速器質量分析による放射性炭素年代測定を行った。放射性炭素年代測定は、施設供用制度に基づきJAEA-AMS-TONOで行った。飯田火砕流堆積物の放射性炭素年代は、5.35万年BPであり、白丹及び室火砕流のものは4.45万年BP以上及び3.53.9万年BPであった。これらの結果は、溶岩ドームの熱ルミネッセンス年代と一致し、熱ルミネッセンス及び放射性炭素年代法が、溶岩ドームの形成や火砕流の噴火過程を明らかにするために有用な手段となりうることを示した。また、これらの結果により、これらの噴火活動が15万年間で最も大きな噴火である飯田火砕流の後にあまり期間をおかず発生したこともわかった。
上坂 充*; 小林 仁*; 呉田 昌俊; 糠塚 重裕*; 西村 和哉*; 井頭 政之*; 堀 順一*; 鬼柳 善明*; 田儀 和浩*; 關 善親*; et al.
Reviews of Accelerator Science and Technology, 8, p.181 - 207, 2015/00
本報では、小型加速器を用いたエネルギー分野における核データや核物質の測定技術、セキュリティ分野における爆薬や隠匿核物質の探知技術について記す。90keVの静電重水素加速器が非破壊測定のために商業的に利用可能である。核データ測定用途では、静電イオン加速器やLバンドやSバンドの電子線線形加速器が中性子源として使用されている。小型または可搬型のXバンド電子線線形加速器型中性子源は開発中である。小型の陽子線線形加速器中性子源が特に固体中の水分の非破壊測定用途で使用されている。陽子線や重水素加速器を用いて、より中性子源強度を高める努力がいくつかなされている。
Mirabueno, M. H. T.*; 鳥井 真之*; Laguerta, E. P.*; Delos Reyes, P. J.*; 藤木 利之*; Bariso, E. B.*; 奥野 充*; 中村 俊夫*; 檀原 徹*; 國分 陽子; et al.
地学雑誌, 123(5), p.751 - 760, 2014/10
フィリピン、イロシンカルデラ内のIRBH-2で、深度50mのコア試料を0.5mごとに採取して記載した。泥炭質堆積物(深度約710m)から植物片の放射性炭素年代をAMS法により1.11.8kBPを得た。コア試料中では、ラハールと河川堆積物が多く認められた。深度12mまでは、安山岩質の河川堆積物と少量のラハールからなる。深度2050mの間に、8枚の降下テフラが挟まっている。テフラの屈折率測定から、後カルデラ火山の活動は、安山岩質デイサイト質が主で、流紋岩質の噴火が少量起こったことが示された。流紋岩質テフラとイロシン火砕流の岩石記載学的特徴の類似性は、後カルデラ火山の活動期でも、イロシンカルデラ起源のマグマの噴火がおこったことを示す。上位の火山性堆積物は、得られた放射性炭素年代もあわせて考慮すると、ブルサン火山複合体で唯一活動的であるブルサン火山からもたらされたものと考えられる。
島崎 一紀*; 小林 祐希*; 高橋 眞人*; 今泉 充*; 村島 未生*; 高橋 優*; 豊田 裕之*; 久木田 明夫*; 大島 武; 佐藤 真一郎; et al.
Proceedings of 40th IEEE Photovoltaic Specialists Conference (PVSC-40) (CD-ROM), p.2149 - 2154, 2014/06
ガラス型スペースソーラーシート(G-SSS)はインジウムガリウムリン(InGaP)とガリウム砒素(GaAs)によって構成される2接合太陽電池と、さらにゲルマニウム層を含むInGaP/GaAs/Ge 3接合太陽電池のふたつの太陽電池からなり、厚さが0.5mm以下の軽量太陽電池シートである。G-SSSは小型科学人工衛星「ひさき」(SPRINT-A)に搭載され、2013年9月14日に打ち上げられた。運用期間中に得られたデータからG-SSSは正常に動作していることが確認でき、本プロジェクトはIII-V族多接合薄膜太陽電池を用いたG-SSSの世界初実証実験となった。G-SSSの太陽電池は、高崎量子応用研究所での放射線照射試験等、様々な地上試験から予測されていた通りの優れた性能を示しており、新型軽量ソーラーパドルの実用化に貢献する成果を得た。
大澤 崇人; 小林 幹彦*; 今野 武志*; 江頭 満*; 岡崎 隆司*; 三浦 弥生*; 長尾 敬介*
Measurement, 50, p.229 - 235, 2014/04
被引用回数:1 パーセンタイル:0.01(Engineering, Multidisciplinary)微小なイトカワ試料を段階加熱するために、極小のW-Re熱電対を用いたレーザー加熱温度制御システムを開発した。線径25mの3% Re-Wと26% Re-Wを使用した熱電対を製作し、独自の温度検定プログラムを用いて温度校正を行ない起電力を測定した。レーザー温度制御ではLabVIEW 2011にて制御プログラムを開発した。試料が極めて小さく熱電対も極小であることから通常のPID制御は採用しなかった。試料ホルダーは石英で製作して絶縁性を確保した。平均加熱温度は設定温度より少し低く、標準偏差と最大オーバーシュートはそれぞれ2.5%, 6.0%未満であった。本システムは微小地球外物質の加熱実験に十分な性能を達成した。
吉田 麻衣子; 井手 俊介; 竹永 秀信; 本多 充; 浦野 創; 小林 貴之; 仲田 資季; 宮戸 直亮; 鎌田 裕
Nuclear Fusion, 53(8), p.083022_1 - 083022_10, 2013/07
被引用回数:7 パーセンタイル:30.26(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60装置の閉じ込め改善モード(H-mode)のプラズマと内部障壁(ITB)を有するプラズマにおいて、電子サイクロトロン加熱(ECH)時のイオン系と電子系の応答特性と輸送について調べ、以下のことを明らかにした。ECHにより電子温度は上昇し、イオン温度は減少する。イオン温度の減少するタイムスケールは、H-modeにおいてはECH入射位置で短く、ITBプラズマにおいてはITBの形成位置で短い。ECHのパワーが増加すると、イオンの熱輸送係数と電子の熱輸送係数はともに増加する。電子密度がピークしている場合に、ECHによる電子密度の減少が起こる。トロイダル回転速度は、ECHを入射すると零回転からプラズマ電流とは逆方向に変化する特性を持つ(ECHによる自発回転の存在)。この回転の変化は、イオン温度の減少や電子温度の上昇のタイムスケールより2倍以上長い。ECH入射付近では、トロイダル回転速度の変化と電子温度の変化は相関しているのに対して、トロイダル回転が変化する半径位置は電子温度やイオン温度が変化する位置より広い。
奥野 充*; 中村 俊夫*; 下司 信夫*; 木村 勝彦*; 國分 陽子; 小林 哲夫*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 294, p.602 - 605, 2013/01
被引用回数:4 パーセンタイル:33.02(Instruments & Instrumentation)屋久島の北側に位置する永田川,一湊川,宮之浦川に沿う軽石質堆積物から樹幹を採取し、加速器質量分析法(AMS)による放射性炭素年代測定を行った。得られたC年代は、約6500BPであり、また、軽石質堆積物の地質学的特長から、これらは鬼界カルデラのアカホヤ噴火によって埋没したことがわかった。しかし、これらは炭化されていないことから、これらの堆積物が火砕流により堆積したものではなく、津波によるものだと思われる。また、樹幹試料から14の樹種が同定できた。この結果は、破壊的な噴火前の屋久島の森林に生育していた樹木の種構成を示す初のデータである。
上坂 充*; 木下 健一*; 渡部 貴宏*; 菅原 淳*; 上田 徹*; 吉井 康司*; 小林 鉄也*; Halz, N.*; 中島 一久; 酒井 文雄*; et al.
IEEE Transactions on Plasma Science, 28(4), p.1133 - 1142, 2000/08
被引用回数:14 パーセンタイル:41.8(Physics, Fluids & Plasmas)レーザープラズマ加速の入射器として、フォトカソード高周波電子銃の研究を行った。16MeVの電子ビームエネルギー、6mm.mradのエミッタンス、240フェムト秒のパルス幅、1バンチあたり350ピコクーロンの電荷を得ることができた。フェムト秒の電子パルス波形計測手法としては、フェムト秒ストリークカメラ、コヒーレント遷移放射干渉法、マイケルソン干渉計、遠赤外線ポリクロメーターを使用した。それにより、200フェムト秒以上のパルス幅においてはストリークカメラが最も信頼性が高く、短いパルス幅においてはポリクロメーターが一番よかった。フォトカソード高周波電子銃用のYLFレーザーと電子ビームとの同期においては、3.5ピコ秒を成し遂げた。これらに基づき、より同期のよい、カーレンズモードロックのTi:Sapphireレーザーを導入した。これにより、タイミングジッターは320フェムト秒まで下がった。
大平 茂; 林 巧; 中村 博文; 小林 和容; 田所 孝広*; 中村 秀樹*; 伊藤 剛士*; 山西 敏彦; 河村 繕範; 岩井 保則; et al.
Nuclear Fusion, 40(3Y), p.519 - 525, 2000/03
被引用回数:24 パーセンタイル:59.01(Physics, Fluids & Plasmas)ITER(国際熱核融合実験炉)の燃料サイクルにおけるトリチウムの安全取り扱い、制御をより良いものにするため「その場」での効率的なトリチウム計量技術が原研トリチウム工学研究室で開発された。レーザーラマン分光法を用いた燃料プロセスガスの遠隔・多点分析法が開発、試験され、120秒の測定時間に0.3kPaの検出限界で水素同位体を測定できることが実証された。25gのトリチウム貯蔵容量を持った「通気式」熱量ベッドが開発され、100gのトリチウム貯蔵容量を持ったベッドの設計においてもITERで要求される検出限界1%(1g)を満足することを実証した。これらの計量技術の開発はITER工学設計活動の下で行われ、それぞれITERの最終設計において取り入れられている。本論文においては、それぞれのシステムの概要及び実証試験の結果について述べた。
山西 敏彦; 河村 繕範; 岩井 保則; 有田 忠昭*; 丸山 智義*; 角田 俊也*; 小西 哲之; 榎枝 幹男; 大平 茂; 林 巧; et al.
Nuclear Fusion, 40(3Y), p.515 - 518, 2000/03
被引用回数:6 パーセンタイル:21.01(Physics, Fluids & Plasmas)原研トリチウムプロセス研究棟では、1987年より、10gレベルのトリチウムを用いて、核融合炉のトリチウム技術に関する研究開発を進めている。ITERトリチウムプラントは、燃料精製、同位体分離、水処理、空気中トリチウム除去系等からなるが、燃料精製について、パラジウム拡散器と電解反応器からなるシステムを考案・検討した。トリチウムプロセス研究棟において、核融合炉模擬燃料循環ループを構築し、この燃料精製システムの実証試験に、ITERの1/15規模の処理流量で成功した。また、同位体分離システム、ブランケットトリチウム回収システムについても研究開発を進めている。
山西 敏彦; 小西 哲之; 林 巧; 河村 繕範; 岩井 保則; 丸山 智義*; 角田 俊也*; 大平 茂; 中村 博文; 小林 和容; et al.
Fusion Technology, 34(3), p.536 - 540, 1998/11
原研トリチウムプロセス研究棟において核融合炉燃料循環模擬ループを組み上げ、ITER条件での試験を行った。模擬ループは、電解反応器及びパラジウム拡散器を用いた燃料精製システム,深冷蒸留塔を用いた同位体分離システムから成る。模擬プラズマ排ガスとして、水素同位体混合ガス(トリチウム量1g)にメタン等不純物を添加してループに供給し、実証試験を行った。その結果、燃料精製システムから純粋な水素同位体のみを同位体分離システムに送ること,同位体分離システムからトリチウムを含まないHを抜き出すことを実証した。今回新たに得られた実証試験結果としては、電解反応器によりメタンを分解して水素として回収すること,同位体分離システムに設置したレーザーラマンにより、遠隔実時間分析が可能であることを示したことが挙げられる。
大平 茂; 林 巧; 中村 博文; 小林 和容; 田所 孝広*; 中村 秀樹*; 伊藤 剛士*; 山西 敏彦; 河村 繕範; 岩井 保則; et al.
Fusion Energy 1998, 3, p.1069 - 1072, 1998/10
ITERの燃料サイクルにおけるトリチウムの安全取り扱い及び制御技術向上のためにより効率的なトリチウムの「その場」分析・計量技術を開発・実証する必要がある。このため原研トリチウムプロセス研究棟において同位体分離システム(ISS)やトリチウム貯蔵システム(TSS)におけるトリチウム分析・計量技術をITER工学設計活動の一環として実施した。光ファイバーを用いたレーザーラマン分光分析システムにより、4つの測定点での同時ガス分析が、リアルタイムにサンプルガスを取る必要もなく、しかも高精度に行えることを実証した。また、通気式熱量計量ベッドを開発し、ベッド内を流通するヘリウム流の出入口の温度差によりトリチウムをその場で精度良く計量可能であることを実証した。これらのシステムはITERの分析・計量システムあるいは貯蔵・計量システムとして、その設計に採用された。
成田 脩; 石田 順一郎; 片桐 裕実; 林 直美; 宮河 直人; 渡辺 均; 小林 満; 並木 篤; 住谷 秀一; 黒須 五郎; et al.
PNC TN8420 89-009, 238 Pages, 1989/08
動燃再処理排水環境影響詳細調査は、海中放射能監視確認調査(再処理ホット試験期間中実施)の後を受け、また、再処理施設の本格運転に伴う茨城県からの要請に基づき、昭和53年7月から実施している。本資料は、調査を開始して以来10年が経過したことから、今回これまでに得られたデータの整理を行ったものである。10年間の調査実績を基に評価すると、海域全体としての放射能水準の変動は全く見られていない。また、再処理施設排水に起因すると思われる測定値は、Hについてスポット的に検出された以外は見出されなかった。
今泉 充*; 島崎 一紀*; 小林 祐希*; 高橋 眞人*; 岐部 公一*; 佐藤 真一郎; 大島 武
no journal, ,
III-V族化合物系の薄膜太陽電池は、高効率・超軽量・フレキシブルといった利点から次世代宇宙用太陽電池として開発が進められており、そのような薄膜太陽電池を宇宙応用するためには、従来のカバーガラスに取って代わる柔軟な高分子透明フィルムが必要となる。そこで、実宇宙空間での放射線の吸収線量分布を模擬するように、1MeV(8.510cm)の電子線を、そして、表面近傍の損傷は3種類の低エネルギー陽子線(50keV: 1.0cm, 200keV: 8.410cm, 380keV: 4.210cm)を複合照射し、照射後透明フィルムの分光透過率を測定した。その結果、短波長側にわずかな劣化は見られるものの透過率の減少はほとんどなく、太陽電池の出力に与える影響は非常に小さいものと予想されることから、この透明フィルムが低軌道5年間の放射線環境に対して十分な耐性を有することが確認された。
今泉 充*; 小林 裕希*; 島崎 一紀*; 高橋 眞人*; 佐藤 真一郎; 大島 武; 高本 達也*
no journal, ,
人工衛星の太陽電池パドルには軽量化及び低体積化が要求されるが、それには高効率を維持したまま太陽電池を薄膜化する必要がある。そこで今回は、InGaP/GaAs2接合薄膜太陽電池を開発し、その耐放射線性について現行の3接合太陽電池との比較,検討を行った。2接合薄膜太陽電池に対して種々のエネルギーの陽子線をcm照射し、照射前後での電流-電圧特性及び分光感度特性を測定した。それら劣化量を3接合太陽電池の結果と比較したところ、薄膜2接合太陽電池のGaAsサブセルは3接合太陽電池のそれより劣化が小さいことがわかり、薄膜2接合太陽電池の高い耐放射線性が実証された。また、今回開発した薄膜2接合太陽電池をフレキシブル軽量セルアレイシート、さらに新構造軽量パネルに適用した結果、出力/質量比100W/kgという世界最高水準の軽量化が達成された。
奥野 充*; 長岡 信治*; 國分 陽子; 中村 俊夫*; 小林 哲夫*
no journal, ,
中部九州、阿蘇カルデラと由布・鶴見火山の間に位置する九重火山は、20座以上の溶岩ドームや火砕丘からなる。本講演では、九重火山中央部の火砕流堆積物のC年代を報告し、熱ルミネッセンス年代と合わせてこの地域の噴火史を議論する。飯田、白丹、室火砕流堆積物に含まれた炭化木片は、35万年BPの年代値を示した。これは熱ルミネッセンス年代とほぼ対応する。これらの結果から飯田火砕流の噴火後、比較的コンスタントに溶岩ドームが形成され、山麓に火砕流が流下したと考えられる。同一の火山からの噴出物は、岩石記載的特徴が酷似するため、それぞれを識別することが容易ではなく、地質層序についても、直接岩体同士の累重関係が見られる露頭はほとんどない。しかし、本研究のように山頂部の溶岩ドームで得られた熱ルミネッセンス年代に加え、山麓部の火砕流で得られたC年代を合わせることで、両者の対応関係に制約を与えることができ、噴火推移をより明確に復元できる有効な手段であると考えられる。
吉田 麻衣子; 井手 俊介; 竹永 秀信; 本多 充; 浦野 創; 小林 貴之; 仲田 資季; 宮戸 直亮; 鎌田 裕
no journal, ,
JT-60装置の閉じ込め改善モード(H-mode)のプラズマと内部障壁(ITB)を有するプラズマにおいて、電子サイクロトロン加熱(ECH)時のイオン系と電子系の応答特性と輸送について調べ、以下のことを明らかにした。ECHにより電子温度は上昇し、イオン温度は減少する。イオン温度の減少するタイムスケールは、H-modeにおいてはECH入射位置で短く、ITBプラズマにおいてはITBの形成位置で短い。ECHのパワーが増加すると、イオンの熱輸送係数と電子の熱輸送係数はともに増加する。電子密度がピークしている場合に、ECHによる電子密度の減少が起こる。トロイダル回転速度は、ECHを入射すると零回転からプラズマ電流とは逆方向に変化する特性を持つ(ECHによる自発回転の存在)。この回転の変化は、イオン温度の減少や電子温度の上昇のタイムスケールより2倍以上長い。ECH入射付近では、トロイダル回転速度の変化と電子温度の変化は相関しているのに対して、トロイダル回転が変化する半径位置は電子温度やイオン温度が変化する位置より広い。