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末岡 茂; 岩野 英樹*; 檀原 徹*; 丹羽 正和; 菅野 瑞穂; Kohn, B. P.*; 川村 淳; 横山 立憲; 鏡味 沙耶; 小北 康弘; et al.
Earth, Planets and Space (Internet), 75(1), p.177_1 - 177_24, 2023/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Geosciences, Multidisciplinary)紀伊半島本宮地域の熱水変質帯を対象に、熱水活動による母岩への熱影響を評価するため、熱年代解析と流体包有物解析を実施した。流体包有物解析の結果、約150Cと約200Cの熱水活動が認定された。一方、熱年代解析の結果では、いずれの熱年代計でも、熱水脈からの距離に応じた年代の系統的な変化は観察されなかった。すなわち、熱水活動に伴う熱以上は検出できなかった。これらの熱年代は、中期中新世以降の山地隆起に伴う広域的な削剥史を反映していると解釈された。
中嶋 徹; 末岡 茂; 長田 充弘; Kohn, B. P.*; Ramos, N. T.*; 堤 浩之*; 田上 高広*
Earth, Planets and Space (Internet), 75(1), p.176_1 - 176_11, 2023/12
被引用回数:0 パーセンタイル:1.28(Geosciences, Multidisciplinary)本研究では島弧山地における中間質マグマの貫入と隆起・侵食過程を理解する目的で、フィリピン、ルソン島の中央コルディエラ山地に地質・熱年代測定を適用した。ジルコンU-Pb年代は32.540.70から6.110.15(2SE)Maであり、これは第三紀火成活動に伴う中・上部地殻における中間質マグマの断続的な貫入イベントを反映している。ジルコンのフィッション・トラック(ZFT)年代は35.632.17から6.910.36(2SE)Maであり、それぞれの試料採取地点におけるジルコンU-Pb年代と対比される。これは中間質マグマが貫入後、即座に250350Cまで冷却したことを反映している。一方、ジルコンとアパタイトの(U-Th-Sm)/He(ZHe, AHe)年代はそれぞれ11.710.36から8.820.26Maと9.210.52から0.980.088(2SE)Maであり、ジルコンのU-Pb年代やZFT年代よりも若い傾向にある。これは各地点における岩石の冷却速度が低温領域において減少したことを示唆する。そのため、ZFT年代は中間質マグマの初期冷却を、AHe年代は隆起・侵食に伴う冷却をそれぞれ反映していると考えられる。AHe年代の地理的分布は、第四紀に中央コルディエラ山地全体がブロック状に隆起したことを示唆している。
福田 将眞; Kohn, B. P.*; 末岡 茂; 檀原 徹*; 岩野 英樹*; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (35), p.7 - 10, 2022/12
ジルコン(U-Th)/He法の年代標準試料を確立する目的で、4つのジルコン試料について(U-Th)/He年代分析を実施した。令和2年度に報告した仁左平ジルコンに引き続いて、3年度は国内の地質試料として、濃飛流紋岩,鷲走ヶ岳月長石流紋岩およびフィッション・トラック法およびU-Pb法の年代標準試料であるMt. Dromedary, OD-3を採用した。結果として、濃飛流紋岩については二次加熱を示唆する年代の若返りが観察されたが、残り3試料については先行研究の既往年代と整合的なデータが得られた。これまで得られている7つのZHeデータを総評すると、先行研究で測定した歌長流紋岩のジルコンが最も単粒子年代のばらつきが小さく、標準試料として適切であると考えられる。今後は、年代のばらつきの原因の探求のため、ジルコン粒子の化学分析や組織観察を行う予定である。
南 沙樹*; 末岡 茂; 福田 将眞; 長田 充弘; Kohn, B. P.*; 横山 立憲; 鏡味 沙耶; 梶田 侑弥*; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (35), p.22 - 26, 2022/12
一般的に花崗岩は、地下数kmから数十kmの深部で形成される。したがって、最近形成された若い花崗岩が、現在地表に露出する地域では、極めて急速な隆起・削剥が起きている可能性がある。世界的に見ると、約5Maより若い花崗岩の分布は、変動帯に集中している。変動帯にある日本列島でも、飛騨山脈の黒部川花崗岩や、南部フォッサマグナ地域の丹沢トーナル複合岩体などで、ジルコンU-Pb年代測定(閉鎖温度900C以上)により数Ma以内の若い形成年代が報告されている。本研究の対象地域である谷川岳地域は、東北日本弧南部の背弧側に位置し、その地質は主に、後期白亜紀-古第三紀の花崗岩類と、これらに貫入する鮮新世の谷川岳花崗岩類(赤湯岩体・谷川岩体・巻機岩体)から成る。先行研究では、谷川岳花崗岩類について、形成年代を表すジルコンU-Pb年代(約4.0-3.2Ma)と、約280C付近の冷却年代を表す、ジルコンのフィッション・トラック(ZFT)年代(約3.3-2.9Ma)及び、350-400C付近の黒雲母K-Ar年代(約3.9-3.1Ma)などが報告されている。しかし、約280Cより低温域における熱史は不明である。本研究では、後期白亜紀水上石英閃緑岩と谷川岳花崗岩類について、未測定の地点にU-Pb年代測定を実施し、約200C以下の低温側の熱史・削剥史を推定するためにジルコンとアパタイトの(U-Th)/He年代測定(ZHe年代: 閉鎖温度160-200C、AHe年代: 閉鎖温度55-80C)を実施した。その結果、谷川岳花崗岩類は、ジルコンU-Pb年代測定により、約6.0-3.2Maの間に少なくとも3回の異なる時代の貫入によって形成されたことが明らかとなった。また、最近の山地形成に関連した削剥を最も反映していると期待される、AHe年代の閉鎖温度から地表温度(10C)の平均冷却速度は、山頂稜線の東側に位置する巻機岩体と水上石英閃緑岩で13-36C/Ma、稜線西側の谷川岩体の1地点(AHe年代: 約1.2Ma)で36-60C/Maと推定された。稜線東側では、AHe年代が約3.0-2.0Ma頃に集中しており、この時期の急速な削剥が示唆される。AHe年代から得られた削剥速度について、丹沢山地や東北日本弧と比較すると、谷川岳地域の削剥速度は、島弧-島弧衝突帯の丹沢山地や、歪の集中で知られる奥羽脊梁山地のような地殻変動が活発な地域に匹敵することが示唆された。
末岡 茂; 小林 侑生*; 福田 将眞; Kohn, B. P.*; 横山 立憲; 佐野 直美*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 森下 知晃*; 田上 高広*
Tectonophysics, 828, p.229231_1 - 229231_17, 2022/04
被引用回数:1 パーセンタイル:22.72(Geochemistry & Geophysics)島弧衝突帯における山地形成史の解明を目的に、中部日本の南部フォッサマグナ地域に低温領域の熱年代学を適用し、冷却・削剥史を推定した。
福田 将眞; 末岡 茂; 菅野 瑞穂; Kohn, B. P.*; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (34), p.9 - 13, 2021/12
ジルコン(U-Th)/He(以下、ZHe)法における年代標準試料の確立を目指し、岩手県二戸市周辺から採取した地質試料である仁左平デイサイトについてZHe年代測定を実施した。本試料は、年代学的手法に基づく既往研究が豊富な試料であり、既報年代は22Maから21Ma程度に集中する急冷試料であることが明らかとなっているため、ZHe法についても年代標準試料としての潜在性が期待される。結果として、ZHe年代は21.50.2Maが得られたが、単粒子年代は40Maから15Ma程度までランダム誤差に起因するとみられる広いばらつきを示した。その原因として、ジルコン中の親核種濃度の不均質や、岩石試料の薄片観察により明らかとなった異質岩片が考えられる。したがって、ZHe法の年代標準試料の適性は低いと判断されたが、既往研究で示されているようにジルコンフィッション・トラック年代やU-Pb年代は年代のまとまりが良いため、これらの分析の標準試料としては適性があると判断できる可能性がある。今後は、U-Pb法などの他の手法で用いられている年代標準試料などを対象にZHe年代標準試料の候補の探求を継続する。
福田 将眞*; 末岡 茂; Kohn, B. P.*; 田上 高広*
Earth, Planets and Space (Internet), 72(1), p.24_1 - 24_19, 2020/12
被引用回数:6 パーセンタイル:38.31(Geosciences, Multidisciplinary)島弧の山地形成の解明を目的として、東北日本弧北部において(U-Th)/He熱年代を用いて冷却・削剥史を推定した。10地点の試料から88.6-0.9Maのアパタイト年代、83.9-7.4Maのジルコン年代が得られた。アパタイト年代から推定した削剥速度は、前弧側で0.05mm/yrと低い値を示し、古第三紀以降の緩慢な削剥が推測された。一方、奥羽脊梁山地と背弧側では0.1-1.0mm/yr以上の削剥速度が得られ、3-2Ma以降の隆起イベントを反映していると考えられる。このような削剥史の対照性は、東北日本弧南部における先行研究の結果と整合的で、主にプレート沈み込みに起因した東北日本弧全体に共通の性質だと考えられる。一方で、特に背弧側では削剥速度の南北差が大きく、hot fingersのような島弧直交方向の構造の影響が示唆された。
梶田 侑弥*; 福田 将眞; 末岡 茂; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 森下 知晃*; Kohn, B. P.*; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (33), p.28 - 30, 2020/10
東北日本弧前弧域に分布する北上山地を対象に、熱年代学的手法を用いて山地の熱史・削剥史を検討した。北上山地を東西に横断する方向にアパタイトのFT法および(U-Th-Sm)/He法を実施した結果、既報年代と併せると、FT年代では東側から西側にかけて系統的に若い年代の傾向を示すのに対し、(U-Th-Sm)/He法では西縁で最も古い年代が検出され、以東ではほぼ一様な年代を示した。今後はより詳細に北上山地の熱史の傾向を議論するため、火山フロントの位置がほぼ現在の位置にあったとされる、1千万年以降の年代が期待できる熱年代学的手法の適用を予定している。
末岡 茂; 田上 高広*; Kohn, B.*
Earth, Planets and Space (Internet), 69(1), p.79_1 - 79_18, 2017/12
被引用回数:10 パーセンタイル:36.17(Geosciences, Multidisciplinary)東北日本弧の地質時間スケールにおける変形像解明のため、島弧横断方向に(U-Th)/He年代測定を実施した。アパタイト(U-Th)/He年代では52-1.5Ma、ジルコン(U-Th)/He年代では39.6-11.0Maの加重平均年代が得られた。前弧側の阿武隈山地は52-49.6Maの比較的古い年代を示し、新生代ほぼ全体を通じて安定な地質環境(削剥速度:約0.01-0.1mm/yr)だったと推定された。対照的に、奥羽脊梁山地や背弧側の朝日山地は11.2-1.5Maの若い年代を示し、日本海拡大以降の山地形成による急冷(削剥速度:約0.1-1mm/yr)を反映していると解釈できる。奥羽脊梁山地(あるいは朝日山地も)では山頂側でより大きな削剥速度が推定され、西南日本弧の断層地塊山地とは異なる隆起・削剥様式を有している可能性が指摘された。以上の成果は、典型的な島弧である東北日本弧でも、熱年代に基づいた山地の隆起・削剥史解析が有効であることを示している。
末岡 茂; 池田 安隆*; 狩野 謙一*; 堤 浩之*; 田上 高広*; Kohn, B. P.*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 柴田 健二*
Journal of Geophysical Research; Solid Earth, 122(8), p.6787 - 6810, 2017/08
複数の熱年代学的手法とthermo-kinematicモデリングを用いて赤石山脈の削剥史を検討した。熱年代は東に向かって系統的に若返り、赤石山脈北部は東縁に分布する糸魚川-静岡構造線の活動によって隆起した可能性が示唆された。Thermo-kinematicモデリングによって詳細な検討を加えた結果、糸魚川-静岡構造線の変位速度が5-10mm/yr、傾斜が27-45度、デコルマ深度が20-25kmのとき、熱年代測定結果と既存の地形・地球物理データを矛盾なく説明できることが確認できた。隆起速度と削剥速度は約4mm/yrと推定された。一方、赤石山脈南部は、先行研究による少数の熱年代データは北部と異なる値を示しているほか、地形・地質構造等の違いを考慮すると、北部とは別の時期・メカニズムによって隆起している可能性がある。
田上 高広*; 末岡 茂; Kohn, B. P.*; 福田 将眞*
フィッション・トラックニュースレター, (29), p.1 - 2, 2016/12
新学術研究「地殻ダイナミクス」は2014年度から開始された分野横断型の学術研究プロジェクトで、東北地方太平洋沖地震が起こったテクトニックな背景の解明のために、島弧地殻の基本的な特性や状態の理解を目指している。そのうち、「A02異なる時空間スケールにおける日本列島の変形場の解明」班では、様々な時空間スケールにおける歪・歪速度場の推定と統一的な理解を目指している。われわれは、近年進展の著しい低温領域の熱年代学手法を用いて、地質学的時間スケール(1010年)の鉛直歪速度の復元を行っている。日本列島における既存の熱年代データのコンパイル、奥羽脊梁山脈の解析、飛騨山脈の解析の3つについて、概要と最新の成果を報告する。
末岡 茂; Kohn, B.*; 田上 高広*; 堤 浩之*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*
no journal, ,
地殻変動の長期予測を行ううえで、山地の隆起開始時期や高度の変遷といった発達過程の把握が重要となる。本研究では、木曽山脈を事例として、フィッション・トラック(FT)熱年代及び(U-Th-Sm)/He(He)熱年代をもとに、山地の隆起・削剥史の解明を試みた。9点のジルコンFT年代(59.3-42.1Ma)、18点のアパタイトFT年代(81.9-2.3Ma)、13点のアパタイトHe年代(36.7-2.2Ma)が得られ、アパタイトFT年代とアパタイトHe年代について、木曽山脈の隆起・削剥に伴う年代値の若返りが確認できた。これらの年代の空間分布に基づくと、木曽山脈は伊那谷断層帯と清内路峠断層の間で西傾動しつつ隆起していると考えられる。また、アパタイトFT年代及びアパタイトFT長を用いた熱履歴解析の結果をもとにすると、木曽山脈の隆起開始(約0.8Ma)以降の平均削剥速度は1.3-4.0mm/yr、平均隆起速度は最大で3.4-6.1mm/yrと推定された。
末岡 茂; Kohn, B.*; 池田 安隆*; 狩野 謙一*; 堤 浩之*; 田上 高広*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*
no journal, ,
熱年代学的手法により、地質環境の長期予測に必要となる内陸部の隆起・削剥史を推定することができる。本研究では、赤石山脈を事例に、ジルコンHe年代・アパタイトFT年代等の手法を用いて隆起・削剥史を推定した。ジルコンHe年代が、中央構造線(MTL)から糸魚川-静岡構造線(ISTL)へと東に系統的に若返っていることから、赤石山脈が西に傾動隆起していることが推定された。また、FT年代からは、赤石山脈が北部地域を中心とした後期鮮新世(約3.3Ma)以降の隆起と南部地域を中心とした約1Ma以降の隆起の少なくとも2回の隆起ステージを経ており、これらはISTLの逆断層活動と伊豆地域の衝突に関連しているという可能性が示された。
田上 高広*; 末岡 茂; Kohn, B.*; 福田 将眞*
no journal, ,
東北日本弧の地質学的時間スケールにおける冷却史・削剥史の把握を目的として、既存の熱年代データのコンパイルと、東北日本弧横断方向の(U-Th)/He年代(He年代)の測定を実施した。既報のアパタイトフィッション・トラック年代および、新たに得られたアパタイトHe年代に基づくと、前弧側の阿武隈山地では白亜紀後期から古第三紀初頭の古い年代が得られており、白亜紀後期以降、比較的安定した地質環境が継続してきたことが推定される。一方、奥羽脊梁山地から背弧側にかけては、10Ma以下の極めて若い年代を示し、日本海拡大以降の山地の隆起・削剥や火成活動を反映していると考えられる。
田上 高広*; 末岡 茂; Kohn, B.*; 福田 将眞*
no journal, ,
新学術研究「地殻ダイナミクス」は2014年度から開始された分野横断型の学術研究プロジェクトで、東北地方太平洋沖地震が起こったテクトニックな背景の解明のために、島弧地殻の基本的な特性や状態の理解を目指している。そのうち、「A02異なる時空間スケールにおける日本列島の変形場の解明」班では、様々な時空間スケールにおける歪・歪速度場の推定と統一的な理解を目指している。われわれは、近年進展の著しい低温領域の熱年代学手法を用いて、地質学的時間スケール(10-10年)の鉛直歪速度の復元を行っている。日本列島における既存の熱年代データのコンパイル、奥羽脊梁山脈の解析、飛騨山脈の解析の3つについて、概要と最新の成果を報告する。
末岡 茂; 田上 高広*; Kohn, B.*; 福田 将眞*
no journal, ,
東北日本弧の長期スケールにおける隆起・削剥史の解明を目的に、東北日本弧を横断する南北2本の測線において(U-Th)/He熱年代測定を実施した。前弧側の北上山地と阿武隈山地では、約50Maより古い年代が得られ、新生代を通じてテクトニックに安定していたことが推測された。奥羽脊梁山脈および背弧側の各山地では約10Maより若い年代が得られ、日本海拡大以降の山地の隆起・削剥を反映していると解釈できる。東北日本弧の各山地内の年代パターンは西南日本弧の山地とは異なっているように見えるが、これは山地の隆起様式の違いを反映している可能性がある。今後は、測定地点数の増加や、他の熱年代手法の併用により、より詳細な隆起・削剥史の推定を試みる予定である。
末岡 茂; 田上 高広*; Kohn, B.*; 福田 将眞*
no journal, ,
東北日本弧の地質学的時間スケールにおける鉛直方向の変動像の解明のため、東北日本弧を横断する南北2本の測線において(U-Th)/He年代(He年代)測定を行った。前弧側の北上山地と阿武隈山地では、おおむね約50Maより古いアパタイトHe年代が得られ、新生代を通じて地質学的に安定していたと考えられる。奥羽脊梁山脈および背弧側の各山地の試料は約10Maより若いアパタイトHe年代を示したが、これらは日本海拡大以降の山地の隆起・削剥を反映していると解釈できる。東北日本弧の各山地内の年代パターンは西南日本弧の山地とは異なっているように見えるが、これは山地の隆起様式の違いを反映している可能性がある。今後は、測定地点数の増加や、他の熱年代手法の併用により、より詳細な隆起・削剥史の推定を試みる予定である。
末岡 茂; 田上 高広*; Kohn, B.*; 福田 将眞*
no journal, ,
東北日本弧の長期の鉛直方向の歪み速度の解明を目的に、東北日本弧の山地で(U-Th)/He年代(He年代)測定を行った。前弧側の北上山地と阿武隈山地では、白亜紀古第三紀の古いアパタイトHe年代が得られ、新生代を通じて地質学的に安定していたと考えられる。一方、奥羽脊梁山脈および背弧側の各山地では約10Maより若いアパタイトHe年代が得られ、約10Ma, 約5Ma, 約3Ma以降の3つのグループに分けられた。これらは東北日本弧における既知の山地の隆起ステージと対応しており、中期中新世の日本海拡大以降の山地の隆起・削剥を反映していると解釈できる。今後は、測定地点数の増加や、他の熱年代手法の併用により、より詳細な隆起・削剥史の推定を試みる予定である。
末岡 茂; 池田 安隆*; 狩野 謙一*; 堤 浩之*; 田上 高広*; Kohn, B.*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 柴田 健二*
no journal, ,
フィッション・トラック法、(U-Th)/He法、U-Pb法などの熱年代学的手法と、thermo-kinematicモデルを用いて、赤石山脈北部の隆起・削剥史と、糸静線南部の断層活動との関係について検討した。各年代値は、おおむね白州鳳凰山断層に向かって東方に若返る傾向を示し、これらの断層活動が山地の隆起に最も寄与していると考えられる。Thermo-kinematicモデルによるより詳細な検討結果によれば、変位速度が510mm/yr、rampの傾斜が2745、デコルマの深度が2025kmのflat-ramp構造を仮定すると、今回得られた年代値および既報の断層パラメータ等を齟齬なく説明できる。
末岡 茂; 池田 安隆*; 狩野 謙一*; 堤 浩之*; 田上 高広*; Kohn, B. P.*; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 柴田 健二*
no journal, ,
フィッション・トラック法, (U-Th)/He法, U-Pb法などの熱年代学的手法と、thermo-kinematicモデルを用いて、赤石山脈北部の隆起・削剥史と、糸静線南部の断層活動との関係について検討した。各年代値は、おおむね白州-鳳凰山断層に向かって東方に若返る傾向を示し、これらの断層活動が山地の隆起に最も寄与していると考えられる。Thermo-kinematicモデルによるより詳細な検討結果によれば、変位速度が5-10mm/yr、rampの傾斜が27-45、デコルマの深度が20-25kmのflat-ramp構造を仮定すると、今回得られた年代値および既報の断層パラメータ等を齟齬なく説明できる。このとき、赤石山脈北部の基盤隆起速度と削剥速度は、いずれも約4mm/yrと推定できる。一方、赤石山脈南部については、先行研究で報告されている年代値が北部と傾向を異にすることや、山地側に隆起をもたらすような活断層が不明瞭なことから、北部とは異なる隆起史・隆起メカニズムを有している可能性が示唆される。