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佐藤 裕*; 粉川 博之*; 藤井 啓道*; 矢野 康英; 関尾 佳弘
Metallurgical and Materials Transactions A, 46(12), p.5789 - 5800, 2015/12
被引用回数:14 パーセンタイル:58.36(Materials Science, Multidisciplinary)PNC-FMSとSUS316鋼の異材接合に摩擦攪拌接合(Friction stir welding)を適用し、系統的に強度と組織の評価を実施した。その結果、接合欠陥の生じない健全な継手を得ることができた。なお、本研究の一部は、文部科学省原子力基礎基盤戦略研究イニシアチブにより実施された「摩擦攪拌接合によるNa高速炉心材料の新たな接合技術に関する研究」の成果である。
矢野 康英; 佐藤 裕*; 関尾 佳弘; 大塚 智史; 皆藤 威二; 小川 竜一郎; 粉川 博之*
Journal of Nuclear Materials, 442(1-3), p.S524 - S528, 2013/09
被引用回数:14 パーセンタイル:73.51(Materials Science, Multidisciplinary)高速炉用に開発された11Crフェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS)に、先進的固相接合である摩擦攪拌接合(FSW)を実施した。その共材接合体の強度と組織の特性について調査した。その結果、攪拌部の硬さが550Hvと母材の硬さ(330Hv)に比べて非常に高いにもかかわらず、室温での強度及び伸びは、母材に比べて優れていた。このような特性は、FSW中の結晶粒微細化の効果に起因して生じていると思われる。なお、本研究の一部は、文部科学省原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブにより実施された「摩擦攪拌接合によるNa高速炉炉心材料の新たな接合技術に関する研究」の成果である。
佐藤 裕*; 粉川 博之*; 矢野 康英; 関尾 佳弘
Friction Stir Welding and Processing, 7, p.91 - 99, 2013/03
高速増殖炉用に開発された11Crフェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS)に先進的固相接合方法である摩擦攪拌接合(FSW)を適用し、強度と組織に及ぼす接合パラメーターの影響を評価した。なお、本研究の一部は、文部科学省原子力基礎基盤戦略研究イニシアチブにより実施された「摩擦攪拌接合によるNa高速炉炉心材料の新たな接合技術に関する研究」の成果である。
斎藤 滋; 菊地 賢司*; 濱口 大; 手塚 正雄*; 宮城 雅徳*; 粉川 博之*; 渡辺 精一*
Journal of Nuclear Materials, 431(1-3), p.91 - 96, 2012/12
被引用回数:13 パーセンタイル:70.02(Materials Science, Multidisciplinary)鉛ビスマス材料試験ループ1号(JLBL-1)の第5期3600時間試験運転において、配管内部に取り付けられた試験片の腐食評価を行った。ループの運転温度は高温部が450C、低温部が350
Cで温度差は100
Cである。試験片取り付け部の流量は約1L/min.である。試験片取り付け部は内径9mmのSS316L配管に溝を切り、10mm
10mm
1mmtの試験片を4枚取り付けた。試験片の材質はSS316L母材及びSS316L粒界制御(GBE)材である。運転終了後の試験片の光学顕微鏡による断面観察の結果、大きな減肉が観察された。SS316L母材,GBE材の減肉量は、それぞれ片面約390
m及び190-270
mであり、いずれも一様に減肉しつつも、局所的には平坦でなかった。SEM観察,EDX分析の結果、鉛ビスマスによる結晶粒界浸食は、母材,GBE材ともに断面のSEM観察上は数
m程度であったが、鉛ビスマスの拡散領域深さは母材が20
m程度、GBE材が10
m以下で明らかな違いが見られた。これは、粒内への拡散深さは同じでも、GBE材では粒界の連続性を遮断する効果により粒界拡散を抑えた効果によると考えられる。いずれの試料でも酸化物層は観察されなかった。
佐久間 隆*; Mohapatra, S. R.*; 横川 穣*; 清水 識文*; 磯崎 信宏*; 上原 寛之*; Xianglian*; Basar, K.*; 高橋 東之*; 神嶋 修*; et al.
Proceedings of 12th Asian Conference on Solid State Ionics and 15th Chinese Conference on Solid State Ionics, p.439 - 445, 2010/00
イオン結晶,共有結晶及び金属結晶からの中性子散漫散乱に関して、原子の熱変位の相関効果を解析した。室温での最近接に位置する元素間での相関効果の値は結合状態によらず約0.7であり、この値は原子間距離の増加あるいは温度の低下に従って減少することが明らかになった。
粉川 博之*; 嶋田 雅之*; Wang, Z.*; 佐藤 裕*; 佐藤 嘉洋*; 木内 清
JAERI-Tech 2003-014, 22 Pages, 2003/03
原子炉用SUS304ステンレス鋼やインコネル600などの原子炉配管材料の熱鋭敏化を抑制する手段として、結晶粒界構造の制御に着目した解析研究を実施した。鋭敏化と結晶粒界構造との相関性をTEM観察等により解析して、低エネルギー結晶粒界の構造を持つ場合には、鋭敏化が抑制されることを見いだした。さらに低エネルギー結晶粒界を持つような材料に改善するための加工熱処理法を検討して、鋭敏化を生じにくい材料を開発した。
谷川 隆亮*; 坂口 紀史*; 渡辺 精一*; 木下 博嗣*; 粉川 博之*; 川合 將義*; 山下 真一郎
no journal, ,
粒界制御処理(高密度の対応粒界の導入)により耐食性の向上を実現した粒界制御オーステナイト系ステンレス鋼の照射下適応性を検討するために、電子線照射並びにヘリウムイオン照射試験を行い、結晶粒界近傍における照射特性を調査した。照射前における粒界制御オーステナイト系ステンレス鋼の方位像顕微鏡(OIM:Orientation Image Microscopy)観察から、対応粒界密度が8割以上であること、及びランダム粒界ネットワークが対応粒界により効率よく分断化されていること、などを確認した。一方、電子線照射したSUS316L粒界制御材のランダム粒界と{111}3対応粒界,非対称
3対応粒界の粒界近傍の濃度分布測定から、{111}
3対応粒界では照射に伴う組成変動はわずかしか生じなかったのに対し、ランダム粒界,非対称
3対応粒界では程度の違いはあるもののCr濃度の低下とNi偏析の傾向が認められた。ヘリウムイオン照射試験後に行った各種粒界の濃度分布測定からも、他の粒界に比較して{111}
3対応粒界で偏析が十分に抑制されていることが明らかになった。
山下 真一郎; 矢野 康英; 遠藤 正樹*; 坂口 紀史*; 渡辺 精一*; 宮城 雅徳*; 佐藤 信也*; 佐藤 裕*; 粉川 博之*; 川合 將義*
no journal, ,
高速炉用に開発されたオーステナイト系ステンレス鋼(PNC316)は、耐照射性と高温特性を兼備した材料として高速実験炉「常陽」や高速原型炉「もんじゅ」などで使用されている。この材料のさらなる高性能化には、耐照射性に関する本質的挙動解明に加えて、抜本的特性改善を期待し得る革新的技術の導入が必要と考えられている。われわれの研究グループでは、このような背景のもと、商用オーステナイト系ステンレス鋼のバルク特性(例えば、腐食特性など)の改良に実績のある「粒界工学的制御法」に注目し、PNC316への同手法の適用性を検討した。検討手順としては、まず初めに、系統的に熱処理条件(温度及び時間)を変え、結晶方位像顕微鏡法(OIM:Orientation Imaging Microscopy)を用いて溶体化のための最適条件を検討した。次いで、加工度と熱処理の組合せ条件を系統的に変え、溶体化の場合と同様、OIMによる粒界性格分布解析結果をもとに、高対応粒界密度が安定的に得られる加工熱処理条件範囲について検討した。これらの総合的な検討の結果、安定的に高対応粒界密度状態が得られる加工熱処理条件範囲を特定し、同手法の適用性に将来的な見通しを得た。
矢野 康英; 山下 真一郎; 遠藤 正樹*; 坂口 紀史*; 渡辺 精一*; 宮城 雅徳*; 小山田 哲也*; 佐藤 信也*; 佐藤 裕*; 粉川 博之*; et al.
no journal, ,
PNC316等の高速炉用オーステナイト鋼は、耐照射性と高温強度を備えた高速炉炉心材料として高速実験炉「常陽」や高速原型炉「もんじゅ」などで使用されている。このオーステナイト鋼炉心材料のさらなる高性能化のために、基本特性を抜本的に改善し得る革新的技術の導入が必要と考えられている。そこで、われわれの研究グループではこのような背景のもと、商用のオーステナイト系ステンレス鋼のバルク特性(例えば、腐食特性など)の改良に実績のある 「粒界工学的制御法」に注目し、PNC316への同手法の適用性を検討するために、GBEMの引張特性について評価を行った。その結果、以下の評価を得た。GBEMのYS及びUTSは、BMのそれぞれ約70%と約90%であった。この傾向は、室温と500Cの両者の強度で同様であった。伸びは、GBEMとBMでおおむね同程度であった。強度特性は対応粒界割合より結晶粒径に依存していると考えられる。また、BMとGBEMの500
Cの応力歪曲線よりGBEMの方がBMに比べ不連続変形が少なかった。この違いは対応粒界割合等に起因することが示唆される。
斎藤 滋; 菊地 賢司; 濱口 大; 手塚 正雄; 宮城 雅徳*; 粉川 博之*
no journal, ,
鉛ビスマス材料試験ループ1号(JLBL-1)の第5期3600時間試験運転において、配管内部に取り付けられた試験片の腐食評価を行った。ループの運転温度は高温部が450C、低温部が350
Cで温度差は100
Cである。試験片取り付け部の流量は約1 L/min.である。試験片取り付け部は内径9mmのSS316L配管に溝を切り、10mm
10mm
1mmtの試験片を4枚取り付けた。試験片の材質はSS316L母材及びSS316L粒界制御(GBE)材である。運転終了後の試験片の光学顕微鏡による断面観察の結果、大きな減肉が観察された。SS316L母材,GBE材の減肉量は、それぞれ片面約390
m及び190
270
mであり、いずれも一様に減肉しつつも、局所的には平坦でなかった。SEM観察/EDX分析の結果、鉛ビスマスによる結晶粒界浸食は、母材,GBE材ともに断面のSEM観察上は数
m程度であったが、鉛ビスマスの拡散領域深さは母材が20
m程度、GBE材が10
m以下で明らかな違いが見られた。これは、粒内への拡散深さは同じでも、GBE材では粒界の連続性を遮断する効果により粒界拡散を抑えた効果によると考えられる。いずれの試料でも酸化物層は観察されなかった。
塩田 佳徳; 秋田 貢一; 鈴木 博之*; 北澤 英明*; 横川 忠晴*; 小泉 裕*; 原田 広史*
no journal, ,
われわれのグループは中性子回折を利用した飛行機ジェットエンジンのタービンブレードの非破壊検査方法の確立を目指している。タービンブレードの損傷を非破壊評価することはその安全性とコスト性において重要である。タービンブレードの使用状況下を想定して、母材料であるNi基超合金の高温低応力クリープ試験における結晶回転を調査した。Ni基超合金(TMS-75)の高温低応力クリープ試験を行い、クリープ時間2hr, 64hr, 160hr, 200hr, ruptureの試料をそれぞれ用意した。用意した試料について、測定位置を変えながら中性子回折実験を行い、結晶方位の分布を測定した。中性子回折実験は原子力機構JRR-3に設置されたRESAII回折装置を用いた。ラフト組織の崩壊と考えられる結晶回転を観測した。この結晶回転は局所的に発生し、クリープ時間に比例して度合いが大きくなる。Ni基超合金の高温低応力クリープ時、この領域を起点としてruptureに至ると予想される。
遠藤 正樹*; 坂口 紀史*; 木下 博嗣*; 渡辺 精一*; 粉川 博之*; 山下 真一郎; 矢野 康英; 川合 將義*
no journal, ,
オーステナイト系ステンレス鋼を原子炉構成材料として用いる場合の問題点の一つに照射促進応力腐食割れ(IASCC)が挙げられる。この主原因の一つとして、照射誘起偏析(RIS)による粒界でのCr濃度低下に起因した耐食性の劣化が考えられている。近年、オーステナイト系ステンレス鋼の鋭敏化対策の一つとして、高密度の対応粒界を有する粒界制御材(GBEM)が開発された。本研究では、GBEMの原子力プラントへの応用を見据え、耐IASCC特性の基礎的調査としてHeイオン照射後の粒界偏析挙動と腐食挙動の相関を検討した。商用SUS316L鋼に対し粒界制御処理を施し、鋭敏化処理またはHeイオン照射し、内部組織や粒界近傍の濃度分布をTEM-EDSを用いて評価し、10%シュウ酸水溶液中で電解エッチングを行い、粒界部の腐食挙動を調査した。Heイオン照射材に対しシュウ酸水溶液中で電解エッチングを行ったところ、ランダム粒界では粒界腐食により膜厚が減少している様子が観察された。一方、双晶粒界では膜厚の変化は全く見られなかった。さらに、双晶粒界を含む階段状の3対応粒界や粒界三重点近傍においては、粒界腐食のネットワークが双晶粒界により分断化されることが明らかとなった。これら粒界の偏析挙動を調査したところ、粒界腐食が生じたすべての粒界で照射誘起偏析によるCr枯渇が認められた。これより、低
値対応粒界を高密度に含む粒界制御鋼は、照射下においても優れた耐粒界腐食特性を示すことが期待される。
坂口 紀史*; 谷川 隆亮*; 遠藤 正樹*; 渡辺 精一*; 粉川 博之*; 川合 將義*; 山下 真一郎; 矢野 康英
no journal, ,
照射促進応力腐食割れの主原因の一つとして、照射誘起偏析による粒界でのCr濃度低下に起因した耐食性劣化が挙げられる。近年、オーステナイト系ステンレス鋼の鋭敏化対策の一つとして、高密度の対応粒界を有する粒界制御材が開発された。本研究では、粒界制御材の原子力プラントへの応用を見据え、耐IASCC特性の基礎的調査としてHeイオン照射後の粒界偏析挙動と腐食挙動の相関を検討した。供試材としてSUS 316L鋼及び高速炉用PNC316鋼に対して粒界制御処理を施した材料を用いた。これらに対し鋭敏化処理又はHeイオン照射を行い、内部組織と粒界近傍の濃度分布を評価した。さらに、電解エッチングにより粒界部の腐食挙動を調査した。Heイオン照射材に対し電解エッチングを行った結果、ランダム粒界では粒界腐食による膜厚減少が観察された。一方、双晶粒界では膜厚変化は生じなかった。さらに、双晶粒界を含む階段状の3対応粒界や粒界三重点近傍では、粒界腐食のネットワークが双晶粒界により分断化されることが示された。これら粒界偏析挙動の調査により、粒界腐食が生じたすべての粒界で照射誘起偏析によるCr枯渇が認められた。これより、低
値対応粒界を高密度に含む粒界制御鋼は、照射下においても優れた耐粒界腐食特性を示すことが期待される。
坂口 紀史*; 遠藤 正樹*; 木下 博嗣*; 渡辺 精一*; 粉川 博之*; 矢野 康英; 山下 真一郎; 川合 將義*
no journal, ,
粒界制御処理により高密度の対応粒界を導入したオーステナイト系ステンレス鋼の耐照射特性をイオン/電子線照射試験により調査した。粒界制御を施すことにより、ランダム粒界ネットワークが対応粒界により効率的に分断化され、照射に伴うCr欠乏に起因した粒界腐食の進展が対応粒界で停止する可能性が示された。
山下 真一郎; 矢野 康英; 坂口 紀史*; 渡辺 精一*; 粉川 博之*; 川合 將義*
no journal, ,
高速炉(FBR)のオーステナイト系炉心材料の一つであるSUS316相当鋼(PNC316)に対して、粒界性格分布を最適化する条件の絞込みを行い、試作材を作成した。この試作材に対して、強度特性,高温組織安定性,照射特性を評価し、従来材料の改良,高性能化について総合的に検討を進めた。粒界性格分布を制御したPNC316では、ランダム粒界と対応粒界を合わせた全粒界長さにおける対応粒界長さの割合が80%以上となり、追加の冷間圧延を施した場合でも70%以上になっていることが示された。一方、試作材(粒界性格制御したPNC316とその冷間加工材)及び参照材(PNC316)に対して実施した二重イオン照射試験,比較評価から、(1)冷間加工の導入によりボイド核形成・成長が抑制されること、また、参照材に比べて(2)析出物の粒内析出割合が増加する傾向にあること等が示され、粒界性格制御したPNC316ではこれらの効果が重畳してボイドスエリングが抑制されていることが明らかとなった。強度特性や高温組織安定性の評価結果を踏まえた総合的な考察から、粒界性格制御法の適用によりPNC316相当以上に耐照射性を高められる可能性が示された。
佐藤 裕*; 粉川 博之*; 矢野 康英; 関尾 佳弘
no journal, ,
実用化段階の高速炉では、経済性の観点から高燃焼度化が求められており、耐スエリング特性に優れる11Cr-フェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS)がラッパ管用炉心材料の候補材として開発された。ラッパ管として適用するうえでは、ハンドリングヘッド等との溶接が不可欠であり、その溶接施工法の確立が急務となっている。PNC-FMSの溶接施工法としては電子ビーム溶接が検討されているが、予期せぬ溶接欠陥の発生,硬化組織やフェライトの生成などの課題が顕在化している。これらの問題点は溶融・凝固もしくは高入熱に起因しているため、低入熱の固相接合法である摩擦攪拌接合(FSW)の適用により、防止もしくは低減できる可能性がある。そこで本研究では、PNC-FMSに対してFSWを適用し、接合部のミクロ組織,機械的特性に及ぼす接合条件の影響について調べた。
関尾 佳弘; 矢野 康英; 佐藤 裕*; 粉川 博之*
no journal, ,
高速炉炉心材料の溶接施工方法を向上させるため、11Cr-フェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS)ラッパ管材に対して、アルミニウム合金等の非鉄金属材料で既に実用化されている摩擦攪拌接合(FSW)の適用性を検討した。本研究では、FSWを用いた共材接合を実施し、継手部に対して引張試験,微細構造解析などの試験・評価を行った。その結果、FSWでは、接合部の組織が微細化することに起因して、PNC-FMS母材と比較して、引張特性に著しい低下がなかった。このことは、FSWでは通常の溶融溶接で必要であった溶接後の熱処理が不要となる可能性を示唆しており、高速炉炉心材料への新たな接合技術としての適用性が高いことがわかった。本成果の一部は、原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ事業「摩擦攪拌接合によるNa高速炉炉心材料の新たな接合技術に関する研究」(H22-23年度)で得られたものである。
佐藤 裕*; 粉川 博之*; 矢野 康英; 関尾 佳弘
no journal, ,
実用化段階の高速炉では、経済性の観点から高燃焼度化が求められており、耐スエリング特性に優れる11Crフェライト/マルテンサイト鋼(PNC-FMS)がラッパ管用炉心材料の候補材として開発された。PNC-FMSをラッパ管として適用する場合、SUS316鋼で製造されるハンドリングヘッド等との異鋼種溶接が不可欠であり、その溶接施工法の確立が急務となっている。PNC-FMSとSUS316鋼の溶接施工法としては電子ビーム溶接が検討されているが、予期せぬ溶接欠陥の発生、硬化組織やフェライトの生成などの課題が顕在化している。これらの問題点は溶融・凝固もしくは高入熱に起因しているため、低入熱の固相接合法である摩擦攪拌接合(FSW)の適用により、防止もしくは低減できる可能性がある。そこで本研究では、PNC-FMSとSUS316鋼の異鋼種接合に対してFSWを適用し、接合部のミクロ組織及び機械的特性について調べた。
関尾 佳弘; 山下 真一郎; 坂口 紀史*; 柴山 環樹*; 渡辺 精一*; 鴇田 駿*; 藤井 啓道*; 佐藤 裕*; 粉川 博之*
no journal, ,
高温安定性が期待されるニッケル基合金の高性能化を目的に、高温・高照射線量に曝される際に問題となる粒界脆化による延性低下が「粒界制御技術」の適用で抑制可能であることを実証する研究の一環として、粒界制御型PE16を試作し、本技術適用による高温引張強度特性(非照射下)への影響を調査した。その結果、粒界制御型PE16とPE16標準材の降伏応力の温度依存性は同様の傾向を示すものの、粒界制御型PE16の降伏応力はPE16標準材と比べて低下し、一様伸びはわずかに増加した。これは本技術熱処理工程に伴う結晶粒粗大化に起因した強度変化であると推察され、結晶粒径を同程度に調整できた場合、粒界制御型PE16の強度特性はPE16標準材と同程度以上に改善されるものと考えられ、本技術適用により良好な高温強度特性を維持しつつ、耐粒界割れ特性の改善が可能となる見通しが得られた。
山下 真一郎; 関尾 佳弘; 坂口 紀史*; 柴山 環樹*; 渡辺 精一*; 粉川 博之*
no journal, ,
高密度化した対応粒界の最適分布とそれに伴うランダム粒界ネットワークの分断は、耐粒界腐食性を高める非常に有効な手法の一つであることが最近の粒界構造に関する研究で示されている。耐粒界腐食性に優れるという利点は、原子炉構造材料にとって材料選択上の重要な要素の一つであり、微量元素を含め、化学組成を一切変えることなく、単純な加工・熱処理という冶金学の基本処理のみで取得可能である点は魅力的である。本研究では、粒界工学プロセスの適用により高性能化した原子炉材料として、粒界性格分布を最適化したNi基合金(PE16)を開発し、機械的特性に及ぼす粒界工学プロセスの効果を評価するために引張強度試験を実施した。室温での引張試験の結果、粒界性格制御したPE16の引張強度は、PE16受入材のそれよりも幾分低くなったが、伸び特性においては有意な変化は認められなかった。今後は、各種試験により材料特性評価を行い、粒界性格制御による既存材料の高性能化の可能性を見極める予定である。