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田中 真人*; 中川 和道*; 古結 俊行*; 安居院 あかね; 横谷 明徳
Journal of Synchrotron Radiation, 8(Part2), p.1009 - 1011, 2001/03
アミノ酸分子は固相中ではいわゆるツイッターイオン状態として存在するため、その蒸気圧は極めて低いことが知られている。この性質は、X線微細吸収構造(XANES)測定において必要とされる超高真空下での実験を可能とする。最近、炭素のK吸収端近傍でのアミノ酸のXANES研究が、実験と理論の両面から行われた。本研究において、われわれは酸素のK吸収端におけるアミノ酸XANES測定を行った。アミノ酸分子中では、酸素原子は多様な化学的状態をとるため、XANES構造を調べることは興味深い。例えば炭素を含むカルボキシル基が-COO-のようなアニオンとして存在するのに対して、側鎖のカルボキシル基は-COOHである。さらにいくつかのアミノ酸では、OH基としても存在する。このような化学的環境に特有の化学シフトが、XANESスペクトル上に現われることが予想される。われわれはグリシン,アラニン,セリン,アスパラギン酸,チロシンの各アミノ酸のフィルムを試料として用い、XANES測定を行った。得られたスペクトルを、分子軌道計算(DV-X)の結果をもとにその詳細を議論した。