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桜井 勉; 高橋 昭; 石川 二郎; 古牧 睦英; 大貫 守
Nuclear Technology, 116(3), p.319 - 326, 1996/12
被引用回数:4 パーセンタイル:39.05(Nuclear Science & Technology)使用済燃料溶解液中の残留ヨウ素は、溶解速度が大きいと減少する傾向が見られる。この原因として溶解時に生成する亜硝酸(HNO)に着目し、残留ヨウ素量との関係を求めた。UO
溶解時のHNO
生成量測定、模擬溶解液中のHNO
濃度と残留ヨウ素量の関係などから、溶解速度が残留ヨウ素量に影響するとの結論を得た。また、模擬溶解液中に高濃度のヨウ素(I
)とNO
を吹き込むとヨウ化銀のコロイドが生成することを見出した。これより、大型連続溶解槽の液面近くでも二次的にコロイドが生成し、小規模実験の場合より残留ヨウ素量が多くなる可能性のあることを指摘した。
古牧 睦英; 石川 二郎; 森下 憲雄; 高村 三郎*
Radiat. Meas., 26(1), p.123 - 129, 1996/00
被引用回数:22 パーセンタイル:84.55(Nuclear Science & Technology)構成分子に酸素を含まないポリフッ化ビニリデン膜に重イオンを照射して生成したラジカルをESRにて測定した。照射から測定まで低温に保って、in situのラジカルスペクトルを得た。低温・真空から室温・空気中への変化の過程で、ラジカルは酸素と反応し、トラック内にて過酸化ラジカルを経て、やがて安定な酸化物を形成する。酸化物はエッチング中にアルカリと反応し、選択的に大きい溶解度を示すことが確かめられた。スペクトルから、イオン照射による生成ラジカル種は、ガンマ線照射結果と類似し、主としてアルキル型が多く、昇温すると、共役型に変換し、空気中にて過酸化ラジカルに変換した。一方、ラジカルの生成量は、照射イオン量に比例し、かつ、イオン質量の大きい程増大する。従って、Cイオンのトラックはエッチングされず、質量の大きいBrやClでは、エッチングが可能となる実験結果と一致した。
桜井 勉; 高橋 昭; 石川 二郎; 古牧 睦英
Journal of Nuclear Science and Technology, 32(7), p.664 - 670, 1995/07
被引用回数:4 パーセンタイル:42.92(Nuclear Science & Technology)使用済燃料溶解時のヨウ素の挙動は、多くの研究者により解明されつつあるが、それ以降のピュレックスプロセス中の挙動はほとんどわかっていない。本研究ではその点について知見を得ることを試みた。模擬燃料溶解液及びIまたはIO
を含む硝酸ウラニル溶液を、ガンマ線照射した抽出剤(30%TBP/70%n-ドデカン)と接触させることにより、ヨウ素化学種のウラン抽出、逆抽出、及び溶媒洗浄における挙動を調べた。ウラン抽出の際、約70%のコロイドと90%以上のI
及びIO
が有機相に抽出され、ウラン逆抽出の際にも有機相に保持される。溶媒洗浄の際、大部分のコロイドと約50%のI
及びIO
が水相に逆抽出された。使用済燃料溶解液中の残留ヨウ素も、コロイド状ヨウ素と同じ挙動をとることが予想される。
古牧 睦英; 石川 二郎
放射線, 21(2), p.3 - 9, 1995/00
高分子内の重イオン飛跡は、化学的エッチングによって飛跡像を顕微鏡下で観察できる大きさに拡大され、長さや巾が測定できる。エッチングされる飛跡は、雰囲気の影響を受け易い。光照射によって飛跡現出化が早められる現象は有名であるが、ガンマ線照射の影響を検討した例は少ない。大部分の飛跡検出用高分子は、ガンマ線照射により損傷を受け、分解するからである。しかし、ガンマ線照射は耐放射線性ポリイミドとPEEK中の飛跡の現出に対しては、有効な効果を及ぼすことが見いだされた。410
Rad吸収線量にて、飛跡現出時間が1/3以下に短縮されたり、CuイオンとIイオンの場合を比べると、前者の方が後者よりも効果が大であることが分った。この方法を重イオン照射多孔膜作製に利用して検討した一部を述べた。
古牧 睦英; 石川 二郎; 桜井 勉
Radiat. Meas., 24(2), p.193 - 196, 1995/00
被引用回数:5 パーセンタイル:57.30(Nuclear Science & Technology)重イオンを照射された高分子膜では、飛跡沿いの部分のみが局所的に著しく放射線損傷を受け、バルクよりも大きい溶解性を示す。このイオン照射膜をバルクに影響を与えない程度に線量を抑えて、ガンマ線を再照射すると、飛跡部分は更に損傷が進み、選択的溶解性が高まることをポリイミド膜を用いて実証した。酸素共存下のガンマ線照射が効果的であった。約410
Radの線量のとき、エッチング時間は1/3に短縮された。軽イオン飛跡の方が重イオン飛跡よりも効果が顕著であった。前者では飛跡当りの切断分子数が少なく、ガンマ線によってさらに損傷が深まる余地を残すが、重いイオンの場合では充分に切断化が進み、ガンマ線照射による新たな損傷が少ないため、溶解速度に大きな相違が示されないためであろうと推定した。また、飛跡の溶解機構では、損傷ポリイミドの酸素化生成物が大きな役割をはたしていると考えられる。
桜井 勉; 高橋 昭; 石川 二郎; 古牧 睦英; 大貫 守; 加藤 金治
NUREG/CP-0141, CONF-940738, 0, p.321 - 332, 1994/00
使用済燃料溶解液中の残留ヨウ素(I-129、約5%)の処理は環境安全上重要であり、古くから国の内外で研究されている。従来、この残留ヨウ素はヨウ素酸塩と考えられ、NOx吹き込みによる追い出し法が提案されている。しかし、最近の原研及びKfKの研究により、残留ヨウ素はヨウ素酸塩ではなく、それぞれ、コロイド状ヨウ素及び非揮発性有機ヨウ素と考えられるようになってきた。これらに対してNOx吹き込み法には高い除熱係数が期待できない。本報告では、残留ヨウ素がコロイド状ヨウ素であることを再確認するとともに、その生成機構を検討し、それを基に新しいヨウ素追い出し法を提案した。(本報告の一部には、科学技術庁から日本原子力研究所への委託研究として実施した「高燃焼度燃焼再処理試験研究」の成果の一部が含まれている。)
古牧 睦英; 石川 二郎; 桜井 勉; 松本 安世*
Radiat. Meas., 23(4), p.725 - 729, 1994/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)一定図形のマスク越しにポリイミドに重イオンを多重照射しエッチングすると、一定深さの溝を持つ図形が形成される。重イオン照射・エッチング法による微細加工が可能となる時、図形形成後の溝中に残存するイオン量を知ることが重要となる。特に絶縁体のポリイミドが電子部品に応用される時、絶縁性能が影響される。しかし、現在、イオンを一個づつポリイミド中で計測する方法はない。そこで、注入イオンを放射化し、エッチングに伴って溶出して残るポリイミド内放射能を測定し、エッチングと注入イオン、残存イオンとの関係を調べた。~16/cm
のイオン注入に際しては、イオンの飛程の深さの計算値より10%余分に溶解すると、残存放射能は検出感度以下となることが分った。
松本 安世*; 松浦 裕紀*; 日比野 豊*; 川上 幸一*; 古牧 睦英; 石川 二郎; 桜井 勉; 立川 圓造
JAERI-M 93-196, 40 Pages, 1993/10
銅板熔着のポリイミド膜にマスク越しに重イオンを照射した後エッチングし、切断面の顕微鏡写真をとり、溝の形成と重イオン照射条件、エッチング剤、エッチング速度などとの関係を検討した。エッチング剤として次亜塩素酸ナトリウム水溶液、鋭角的な溝の形成には重い質量のイオン照射(10~10
/cm
)が効果的であった。エッチングに先立ち、ガンマ線を1MG
以上照射するとエッチング溝が改良された。ポリイミド内に残るイオンを、エッチング後放射化分析法により調べた。イオンの入射エネルギーに相当する飛程部分の溶出後も、残留イオンが認められた。飛程の計算値より10%程深く溝を溶解すると、残留イオンは検出感度以下となる。ESCA測定によって、イミド基が照射によって分解し、C=0,CO及びCN基が増大してエッチングされ易くなると結論された。
桜井 勉; 高橋 昭; 石川 二郎; 古牧 睦英; 大貫 守; 安達 武雄
Journal of Nuclear Science and Technology, 30(6), p.533 - 541, 1993/06
被引用回数:6 パーセンタイル:55.64(Nuclear Science & Technology)使用済燃料溶解液中の残留ヨウ素の主成分は、従来、ヨウ素酸(IO)と考えられ、NO
吹き込みによるヨウ素追い出しが提案されている。しかし、最近の原研化学部の研究では、主成分はコロイド状ヨウ素である可能性が高くなってきた。しかし、強放射線のため、溶解液中のヨウ素化学種を直接同定することは困難である。このため、PWR使用済燃料溶解液中のヨウ素追い出しの際のヨウ素の挙動と熱化学的考察とから溶解液中のヨウ素化学種を考察し、次の結果を得た。(1)溶解槽(約100
C)中のNO
濃度は、これまで室温の溶解オフガスについて報告されているNO
濃度より高い、(2)このため4モル硝酸中ではIO
は熱化学的に生成し得ない、(3)溶解液中のヨウ素化学種の主成分はコロイド状ヨウ素である、(4)NO
はコロイド状ヨウ素の分解を妨げる方向に作用する。
桜井 勉; 高橋 昭; 石川 二郎; 古牧 睦英; 大貫 守; 安達 武雄
Nuclear Technology, 99, p.70 - 79, 1992/07
被引用回数:21 パーセンタイル:85.33(Nuclear Science & Technology)燃焼度21~39GWD/tのPWR使用済み燃料片(~3g/個)を硝酸溶液に溶解し、ヨウ素の分布及び化学形を調べた。溶解の際、不溶性残渣へ移行するヨウ素は全体の2.5%以下、溶解液中の残存ヨウ素は10%以下であり、残りはオフガス中へ揮発する(そのうち有機ヨウ素は6.5%以下)。溶解液中の残存ヨウ素の主成分はヨウ化銀などのコロイド状ヨウ素であり、ヨウ素酸であるとするフランス及びドイツの報告とは異なった結果を得た。コロイド状ヨウ素の除去にはNOが存在しない状態での溶液の加熱が有効であり、NO
はこのコロイドの分解を妨げる方向に作用する。
南波 秀樹; 青木 康; 古川 勝敏; 大野 新一; 古牧 睦英
第4回タンデム加速器及びその周辺技術の研究会報告集, p.131 - 134, 1991/07
東海研究所のタンデム加速器を用いて、気体アルゴンに高エネルギー重イオンビームを照射し、生成する電荷量(W値)を測定するとともに、小型の可動式電離箱を用い、イオンビームの径方向でのイオン化の空間分布を測定した。
古牧 睦英; 石川 二郎; 高橋 昭; 横山 淳; 桜井 勉; 大貫 守; 小林 義威; 安達 武雄
日本原子力学会誌, 33(5), p.489 - 497, 1991/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)燃焼度の異なる10種類の使用済軽水炉二酸化ウラン燃料小片(2~3g、5~8年冷却)を4M硝酸に溶解し、発生する揮発性核種(ヨウ素、クリプトン、キセノンおよび気体状トリチウム)の量および同位体組成と燃焼度との関係を求めた。分析法はキセノンを除き、それぞれの放射能測定によった。キセノンはクリプトンと共にガスクロマトグラフにて定量した。分析の結果、燃焼中に放出するヨウ素、クリプトン、キセノン及び気体状トリチウムの量は、燃料の燃焼度の増大に伴い、ほぼ比例して増大した。ヨウ素の大部分は溶解中に揮発し、若干量が溶液中に残存する。Krの存在比は全燃焼度にわたって、全クリプトン中約5%を占め、キセノンは、重量比で初期ウラン量の約0.4%を占め、気体状トリチウムは生成全トリチウムの約0.5%を占めた。
桜井 勉; 高橋 昭; 石川 二郎; 古牧 睦英
Nuclear Technology, 94, p.99 - 107, 1991/04
被引用回数:6 パーセンタイル:58.44(Nuclear Science & Technology)再処理施設からのよう素の放出低減化のためには、プロセス内を流れているよう素化学種とそれらの量を把握することが重要である。これまでオフガス及び溶液中のよう素処理については数多くの研究例が報告されているが、不溶性残渣は研究対象にされていなかった。本研究は模擬照射燃料ペレットを硝酸溶液に溶解し、生成する不溶性残渣とよう素の相互作用及びよう素の物質収支を求めたものである。約1gのペレットから約8mgの不溶性残渣が生成し、ペレット中のよう素の2~5%が付着することがわかった。付着するよう素は銀・パラジウム等の難溶性よう化物であり、残渣中に取り込まれている一部のよう素は除去が難しい。残渣中のよう素はガラス固化または残渣からの白金族元素回収の際に遊離する可能性がある。
桜井 勉; 高橋 昭; 石川 二郎; 古牧 睦英; 大貫 守; 安達 武雄
Proc. of the 3rd Int. Conf. on Nuclear Fuel Reprocessing and Waste Management: RECOD91,Vol. 2, p.678 - 681, 1991/00
核燃料再処理における放射性ヨウ素(I)の挙動、特に溶解工程における挙動を把握することは環境安全上重要である。模擬照射燃料ペレットによる予備実験の後、2~3gの使用済燃料ペレット試料片を4モル硝酸に溶解し、
Iの挙動を調べた。その結果、試料片中のヨウ素の0.7~2.3%が不溶性残渣に収着され、1.2~10%が溶解液中に残留し、残りがオフガス中に移行することがわかった。本研究により、不溶性残渣にもヨウ素の一部が移行することが明らかになった。
桜井 勉; 高橋 昭; 石川 二郎; 古牧 睦英
Nuclear Technology, 85, p.206 - 212, 1989/05
被引用回数:23 パーセンタイル:88.83(Nuclear Science & Technology)燃料溶解液中の放射性ヨウ素除去技術の確率は環境安全上重要な問題である。これまで硝酸溶液及び硝酸ウラニル溶液を対象にいくつかの研究成果が報告されているが、燃料中の核分裂生成物(FP)の影響が考慮されていない。本研究では模擬FPを含む模擬燃料溶解液を作製し、その中でのヨウ素の挙動を追跡した。FPのうちパラジウム、銀などはコロイド状ヨウ素を生成し、ヨウ素除去(追い出し)の妨害となる。これらはヨウ素酸により分解されることを見出した。
古牧 睦英; 松本 安世*; 石川 二郎; 桜井 勉
Polym. Commun., 30, p.43 - 44, 1989/02
加速エネルギー180MeVのCuイオン照射後、100Cの飽和液にてエッチングし、ポリイミド多孔膜形成を確認した。エッチング8時間後、0.2
m径の円孔が電顕下で認められた。孔数は2
10
/cm
であり、イオン電流値とほぼ一致し、調節容易であることが分った。本法によれば、任意の孔数と孔径の、耐熱性に優れたポリイミド受孔膜が形成できることになる。
桜井 勉; 高橋 昭; 石川 二郎; 古牧 睦英
Nuclear Technology, 83(1), p.24 - 30, 1988/10
被引用回数:19 パーセンタイル:83.78(Nuclear Science & Technology)二酸化ウラン(UO)を硝酸溶液に溶解した時に発生するNO
の組成は、これまで研究者により異なった反応式で表現されている。NO
の組成は溶液中のヨウ素の挙動にも影響するので、その正確な情報は重要である。NO
組成を支配する機構を探るため、赤外分光法及び化学分析法を中心にUO
溶液反応を調べた。
古牧 睦英; 石川 二郎; 桜井 勉; 森下 憲雄; 岩崎 又衛*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 34, p.332 - 336, 1988/00
Cl、Ni(150MeV)およびCu(180MeV)イオン照射・アルカリエッチングにより、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)多孔性膜を作製し、貫通孔径に及ぼすイオンの入射エネルギーと質量の関係を調べた。
古牧 睦英; 森下 憲雄; 辻村 重男*
第2回放射線プロセスシンポジウム講演要旨集, p.95 - 98, 1987/00
高分子類に対する高エネルギー重イオン照射は、主として電子励起を通じ、主鎖切断や2重結合、ラジカルの生成等をもたらす。一方この化学変化を利用することが可能で、高分子多孔膜作成はこれらの1つである。
古牧 睦英; 瀬口 忠男
Polymer, 23, p.1143 - 1146, 1982/00
被引用回数:9 パーセンタイル:51.02(Polymer Science)ポリエチレンテレフタレート(PET)とエチレン-テトラフルオロエチレン共重合樹脂(ETFE)について、フィッショントラックエッチングにより形成した多孔膜の微細孔の内部構造を電顕観察によって検討した。ともに孔の内壁は決してなめらかではなく、一定の幅の凸凹があることが示され、これらは高分子の結晶部と非結晶部分とに対するアルカリ溶解性の相違に基くと考えられた。孔の断面図の検討から、貫通孔のティパー角は、孔を通るガス流速から算出された値と比較され、また12ETFEにおいて、一定の分布をもつFFの飛程が示され、その時の貫通率は40%であることが認められた。またフィルム内の残存入射核種の放射能の測定から、軽核片が貫通し、重核片が残存していることが確認された。