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松本 裕司; 木村 憲彰*; 小松原 武美*; 青木 晴善*; 栗田 伸之*; 寺嶋 太一*; 宇治 進也*
Journal of Physics; Conference Series, 391, p.012042_1 - 012042_4, 2012/12
被引用回数:1 パーセンタイル:42.83(Physics, Multidisciplinary)CeRuSi
は、
of 350mJ/mol K
を持つ典型的な重い電子系物質である。この物質の[001]方向に磁場を印加したときに、7.7Tでメタ磁性転移を引き起こす。一方、この(001)面内に磁場を印加したときは、メタ磁性を引き起こさない。この大きな磁気異方性は、CeをLaに置換したときにおいても、常に残っている。CeをLaに置換すると、
=0.91で反強磁性秩序を起こし、Ceが希薄濃度になると反強磁性秩序は消失する。そして、Ce濃度が非常に薄い濃度領域で不純物近藤効果を引き起こす。
=0.02の試料では、近藤温度を1.3Kと見積もった。その濃度において、dHvA振動の観測に成功した。そして、温度に対してフェルミ面が連続的に変化していることを明らかにした。このことは、f電子は、不純物近藤効果を起こし近藤シングレットを形成したときは遍歴していて、温度の上昇とともに局在化していくことを示している。
岡根 哲夫; 竹田 幸治; 山上 浩志; 藤森 淳; 松本 裕司; 木村 憲彰*; 小松原 武美*; 青木 晴善*
Physical Review B, 86(12), p.125138_1 - 125138_11, 2012/09
被引用回数:12 パーセンタイル:45.15(Materials Science, Multidisciplinary)X-ray absorption (XAS) and its magnetic circular dichroism (XMCD) were measured at the Ce absorption edges of ferromagnetic CeRu
Ge
and paramagnetic CeRu
Si
: both compounds are considered to be located near the boundary of delocalization of Ce 4
electrons. While the XAS line shape varies clearly reflecting the variation in the 4
delocalization, the line-shape variation in XMCD is hardly discernible under various conditions of temperature and magnetic field. The XAS line-shape variation can be explained as effects of the variations in the 4
occupation number and in the ratio of
= 7/2 states in the ground states, both of which are closely related to the 4
delocalization. The 4
delocalization also causes a decrease in the ratio of the orbital magnetic moment to the spin magnetic moment. The magnetic-field dependence of XAS suggests that the Ce 4
electrons retain a delocalized character across the metamagnetic transition in CeRu
Si
.
岡根 哲夫; 川崎 郁斗; 保井 晃; 大河内 拓雄*; 竹田 幸治; 藤森 伸一; 斎藤 祐児; 山上 浩志; 藤森 淳; 松本 裕司*; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 80(Suppl.A), p.SA060_1 - SA060_3, 2011/07
被引用回数:1 パーセンタイル:11.07(Physics, Multidisciplinary)Angle-resolved photoelectron spectroscopy was measured in the Ce 34
resonance energy region for the paramagnetic state of CeRu
Si
, Ce
La
Ru
Si
and LaRu
Si
to investigate a variation of band structures around the quantum critical point (QCP). While the results clearly demonstrate the difference of the band structures between CeRu
Si
and LaRu
Si
, the observed band structures of CeRu
Si
and Ce
La
Ru
Si
resemble each other. The results indicate that the Ce
electrons in the paramagnetic state have an itinerant character in either side of the critical composition, and Ce
La
Ru
Si
near QCP is similar to CeRu
(Si
Ge
)
.
岡根 哲夫; 大河内 拓雄*; 竹田 幸治; 藤森 伸一; 保井 晃; 斎藤 祐児; 山上 浩志; 藤森 淳; 松本 裕司*; 杉 基紀*; et al.
Physica Status Solidi (B), 247(3), p.397 - 399, 2010/03
Angle-resolved photoelectron spectroscopy measurements were made in the Ce 4
resonance energy region for the paramagnetic state of CeRu
Si
, CeRu
(Si
Ge
)
and LaRu
Si
to investigate a variation of band structures around the quantum critical point. The results indicate that the Ce
electrons in the paramagnetic state have an itinerant character and participate in the formation of energy bands both in CeRu
Si
and CeRu
(Si
Ge
)
, and the change of the band structures in the paramagnetic states should be continuous around the quantum critical point of the CeRu
(Si
Ge
)
system.
岡根 哲夫; 大河内 拓雄*; 竹田 幸治; 藤森 伸一; 保井 晃; 斎藤 祐児; 山上 浩志; 藤森 淳; 松本 裕司*; 杉 基紀*; et al.
Physical Review Letters, 102(21), p.216401_1 - 216401_4, 2009/05
被引用回数:28 パーセンタイル:76.55(Physics, Multidisciplinary)Angle-resolved photoelectron spectroscopy in the Ce 4
excitation region was measured for the paramagnetic state of CeRu
Si
, CeRu
(Si
Ge
)
, and LaRu
Si
to investigate the changes of the 4
electron Fermi surfaces around the quantum critical point. While the difference of the Fermi surfaces between CeRu
Si
and LaRu
Si
was experimentally confirmed, a strong 4
-electron character was observed in the band structures and the Fermi surfaces of CeRu
Si
and CeRu
(Si
Ge
)
, consequently indicating a delocalized nature of the 4
electrons in both compounds. The absence of Fermi surface reconstruction across the critical composition suggests that SDW quantum criticality is more appropriate than local quantum criticality in CeRu
(Si
Ge
)
.
Hiess, A.*; Bernhoeft, N.*; 目時 直人; Lander, G.*; Roessli, B.*; 佐藤 憲昭*; 阿曽 尚文*; 芳賀 芳範; 小池 良浩*; 小松原 武美*; et al.
Journal of Physics; Condensed Matter, 18(27), p.R437 - R451, 2006/07
被引用回数:32 パーセンタイル:32.65(Physics, Condensed Matter)本論文はUPdAl
の単結晶試料を用いて行った中性子非弾性散乱実験から結果を示す。私たちは幅広いエネルギー範囲に及ぶ中性子非弾性散乱実験の結果からわかった動的磁性の波数-エネルギー依存性を分析し、2つのグループにより独立に発表されたデータと比較する。この研究は反強磁性と超伝導性の共存状態に対してユニークな洞察をもたらす。
目時 直人; 小池 良浩; 芳賀 芳範; 金子 耕士; 荒木 新吾; McEwen, K. A.*; 神木 正史*; 阿曽 尚文*; Lander, G. H.; 小松原 武美*; et al.
Journal of Physics; Condensed Matter, 15(28), p.S1957 - S1963, 2003/07
被引用回数:2 パーセンタイル:14.78(Physics, Condensed Matter)ウラン局在系UPd
Si
の磁気構造,スピン波励起と結晶場励起、そして低エネルギーの励起について、報告する。この物質はウラン化合物としてはめずらしく局在的な5f電子状態を持つ。4aサイトと8cサイトのウランの高次の相互作用にともなう、磁気相図,コリニアーな磁気構造について議論する。さらに、磁気励起についても5f電子のへん歴・局在性の観点から議論する。
小池 良浩; 目時 直人; 芳賀 芳範; McEwen, K. A.*; 神木 政史*; 山本 竜之介*; 阿曽 尚文*; 立岩 尚之*; 小松原 武美*; 木村 憲彰*; et al.
Physical Review Letters, 89(7), p.077202_1 - 077202_4, 2002/08
被引用回数:8 パーセンタイル:49.64(Physics, Multidisciplinary)局在5f電子系ウラン金属間化合物UPd
Si
の磁気構造,磁気相図,新しい機構に基づくメタ磁性転移を、原研が開発した液体ヘリウムフリー中性子散乱実験用10Tマグネット及び希釈冷凍機を用いた中性子回折実験によって明らかにした。基底状態では4aサイトの強磁性秩序と8cサイトの反強磁性秩序状態が、ウランスピンが平行になるように結合していることが明らかになった。この物質におけるサイト間ハイゼンベルグ交換相互作用はキャンセルしている。そのため、この磁気構造が安定化するためには、より高次の相互作用が必要であることが明らかになった。その起源として最も可能性が高いのは、結晶構造及び磁気構造から4体の交換相互作用と考えられる。5f電子系においては4体相互作用はいまだかつて観察された報告例がなく、交換相互作用のキャンセルと、サイト間の結合に伴うフラストレーションによって生じた強い磁気揺らぎによって4体相互作用が顕著に現れたと結論できる。
立岩 尚之*; 目時 直人; 小池 良浩; 及川 健一*; 木村 憲彰*; 青木 晴善*; 小松原 武美*
Physica B; Condensed Matter, 312-313, p.891 - 893, 2002/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Condensed Matter)UPd
Si
は、局在的な5f電子状態の存在が、帯磁率のキュリー則,磁気転移点における弾性定数C44のソフト化によってその可能性が示されていた。この物質の中性子散乱実験によって、19Kでは8cサイトのウランが反強磁性転移を示し、2Kで4aサイトのウランが強磁性転移を示すことを明らかにした。また結晶場及びスピン波励起の観察から、局在5f電子状態を実験的に明らかにした。
立岩 尚之*; 目時 直人; 小池 良浩; 及川 健一; 木村 憲彰*; 小松原 武美*; 青木 晴善*
Journal of the Physical Society of Japan, 70(8), p.2425 - 2436, 2001/08
被引用回数:14 パーセンタイル:61.47(Physics, Multidisciplinary)UPd
Si
は、その局在的な5f電子状態の存在が、帯磁率のキュリー則,磁気転移点における弾性定数C44のソフト化によってその可能性が示されていた。今回、中性子散乱実験よる結晶場励起及びスピン波励起の観察から、この物質の局在的な5f電子状態の存在を実験的に明らかにした。また弾性散乱実験によって、19Kでは8cサイトのウランが反強磁性転移を示し、2Kで4aサイトのウランが強磁性転移を示すことを明らかにした。このように、異なる転移温度で局在f電子に伴う強磁性秩序と反強磁性秩序が共存する化合物はこの物質が初めてである。
藤森 伸一; 斎藤 安治*; 関 雅晴*; 田村 好司*; 水田 宗徳*; 山木 健一郎*; 佐藤 健*; 岡根 哲夫; 田中 順章*; 佐藤 憲昭*; et al.
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 101-103, p.439 - 442, 1999/00
被引用回数:5 パーセンタイル:26.75(Spectroscopy)UPdAl
におけるU5f電子状態を調べるために、UPd
Al
に対するX線光電子分光実験及びU
La
Pd
Al
に対する共鳴光電子分光実験を行い、得られたスペクトルとバンド計算結果の比較を行った。X線光電子スペクトルでは、特にフェルミ準位付近の構造がバンド計算によって良く再現されており、スペクトルを理解する上において、バンド計算が良い出発点であることが示された。一方の共鳴光電子スペクトルは、実験と計算でスペクトル構造が全く異なっており、さらにウラン原子をランタン原子によって置換を行ったU
La
Pd
Al
においても、スペクトル構造には変化が見られなかった。これらの実験結果は、共鳴光電子スペクトルがU5f電子の局在的な情報を反映しており、一方のX線光電子スペクトルはU5f電子の遍歴的な性質を反映していることを示している。
佐藤 憲昭*; 阿曽 尚文*; 立岩 尚之*; 古賀 信彦*; 小松原 武美*; 目時 直人
Physica B; Condensed Matter, 230-232, p.367 - 369, 1997/00
被引用回数:15 パーセンタイル:66.23(Physics, Condensed Matter)重い電子系超伝導体UNiAl
及びUPd
Al
の上部臨界磁場の異方性と中性子散乱実験の結果について報告する。この2種の化合物について上部臨界磁場の異方性を測定したところ、UNi
Al
では磁場がa軸に平行な場合の方がc軸に平行な場合よりも大きく、UPd
Al
とはその異方性が逆転していることがわかった。この異方性の違いは、これらの化合物では異なった超伝導状態が安定化しているためと考えられる。UPd
Al
の中性子散乱実験によって超伝導転移温度の上下で変化するスピン揺らぎが見つかり、これは異方的なギャップを反映していると思われる。またUNi
Al
では磁気及び超伝導秩序変数の結合を示す結果が得られた。重い電子系超伝導体のなかでも磁気モーメントが比較的大きく、磁気秩序が安定と考えられる物質では、本研究においてはじめて秩序変数の結合が観察された。
岡根 哲夫; 大河内 拓雄*; 保井 晃; 川崎 郁斗; 藤森 伸一; 竹田 幸治; 斎藤 祐児; 山上 浩志; 藤森 淳; 松本 裕司*; et al.
no journal, ,
本研究では、臨界組成をまたいだフェルミ面の変化を検証することを目的として、CeRu(Si
Ge
)2化合物に対してCe 3d-4f共鳴エネルギー領域での角度分解光電子分光実験を行った。実験の結果、CeRu
Si
とLaRu
Si
の間のフェルミ面形状の違いを明瞭に観測した一方で、(Si,Ge)置換系では臨界組成を越えてもフェルミ面形状に劇的な変化は現れないことを明らかにした。さらに最近、(Ce,La)置換系についても同様に臨界組成をまたいだ形での比較を行うために角度分解光電子分光実験をCe
La
Ru
Si
化合物に対して行い、(Si,Ge)置換系と同様に臨界組成を越えてもフェルミ面形状に劇的な変化は現れないことを明らかにした。
岡根 哲夫; 大河内 拓雄*; 保井 晃; 川崎 郁斗; 藤森 伸一; 竹田 幸治; 斎藤 祐児; 山上 浩志; 藤森 淳; 松本 裕司*; et al.
no journal, ,
CeRuSi
は常磁性基底状態を持つ代表的な重い電子系化合物であり、低温域ではCeの4f電子は遍歴であると考えられている。この化合物のSiサイトをGeで置換する、あるいはCeサイトをLaで置換すると基底状態で反強磁性秩序が発現するようになる。この磁性発現境界は量子臨界点と考えられており、そこではCe 4f電子の性質が遍歴的なものから局在的なものへと変化することが期待され、その場合にはバンド構造やフェルミ面に劇的な変化が生じ得る。そこで本研究では、臨界組成をまたいだ組成を持つCeRu
(Si
Ge
)
2化合物とCe
La
Ru
Si
化合物に対してCe 3d
4f共鳴エネルギー領域での角度分解光電子分光実験を行って、フェルミ面変化の有無を調べた。実験の結果、得られるフェルミ面イメージが共鳴と非共鳴のエネルギーでは劇的に異なることを観測した。組成の異なる化合物に対するデータの比較から、常磁性状態間では臨界組成をまたいでも顕著なフェルミ面変化は観測されず、4f電子が遍歴的と考えられる状態がつながっていることを示唆する結果が得られた。
松本 裕司; 木村 憲彰*; 小松原 武美*; 青木 晴善*; 栗田 伸之*; 寺嶋 太一*; 宇治 進也*
no journal, ,
CeRuSi
は、正方晶ThCr
Si
型結晶構造で、350mJ/mol K
の電子比熱係数を持つ典型的な重い電子系である。この物質の[001]方向に磁場を印加すると、約7.7Tでクロスオーバー的なメタ磁性転移を起こす。dHvA効果測定によると、このメタ磁性とともに、f電子が遍歴から局在に変化するようなフェルミ面の変化を起こす。一方、(001)面内に磁場を印加した時は、メタ磁性も起こさず、f電子は遍歴のままである。この大きな磁気異方性は、CeRu
Si
のCeをLaに希釈しても、常に存在する。われわれは、dHvA効果測定により、(001)面内に磁場を印加したときに、f電子のないLaRu
Si
のLaをわずかにCeに置換したCe濃度において、f電子が遍歴している可能性が高いことを明らかにした。もし、Ce希薄濃度で既にf電子が遍歴しているとすれば、高温で局在していたf電子が、不純物近藤効果により降温で遍歴するはずである。今回は、新たにCe希薄濃度において温度によるフェルミ面の変化を、dHvA効果の測定により観測した。
岡根 哲夫; 竹田 幸治; 山上 浩志; 藤森 淳; 松本 裕司; 木村 憲彰*; 小松原 武美*; 青木 晴善*
no journal, ,
CeRuGe
とCeRu
Si
は磁気量子臨界点の近傍に位置する化合物と考えられ、両者の間でのどのようなCe 4f電子状態の違いが基底状態での磁気秩序の有無につながっているかを理解することは重要な課題である。本研究では、磁性発現境界の近傍に位置するCe化合物の4f電子の磁気的性質の違いを調べることを目的として、CeRu
Ge
とCeRu
Si
に対するCe
吸収端でのXMCD測定実験を行った。実験の結果、X線吸収スペクトル形状に明らかな変化が現れる場合でもXMCD形状にはほとんど変化が現れないことが明らかになった。さらに、XMCDスペクトルの磁場依存性や温度依存性、サム・ルール解析の妥当性などを明らかにした。
岡根 哲夫; 大河内 拓雄; 藤森 伸一; 竹田 幸治; 保井 晃; 斎藤 祐児; 山上 浩志; 藤森 淳; 松本 裕司*; 木村 憲彰*; et al.
no journal, ,
CeRuSi
は代表的な重い電子系化合物であり、非磁性基底状態を持つ。この化合物のSiサイトをGeで置換した化合物やCeサイトをLaで置換した化合物では基底状態で反強磁性秩序が発現する。この時のフェルミ面形状変化を明らかにすることは、量子臨界点近傍での4f電子の性質を理解するうえで重要な課題となっている。本研究では、特に4f電子の寄与の強いバンドが作るフェルミ面形状の変化を明らかにすることを目的として、非磁性基底状態を持つCeRu
Si
と反強磁性基底状態を持つCeRu
(Si
Ge
)
に対してCe
共鳴エネルギー領域での角度分解光電子分光実験を行った。また、LaRu
Si
についても測定を行った。実験の結果、共鳴ARPESによって
電子の寄与の大きいフェルミ面を選択的に観測することに成功した。CeRu
Si
とLaRu
Si
ではフェルミ面形状が異なる一方で、量子臨界点を挟んだ二つのCe化合物の間ではバンド構造,フェルミ面とも類似しており、磁性基底状態を持つ組成においてもフェルミ面がLa的になっているとは言えないことを明らかにした。