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成川 隆文; 近藤 啓悦; 藤村 由希; 垣内 一雄; 宇田川 豊; 根本 義之
Journal of Nuclear Materials, 587, p.154736_1 - 154736_8, 2023/12
被引用回数:2 パーセンタイル:30.19(Materials Science, Multidisciplinary)To evaluate the oxidation and embrittlement behavior of an oxide-dispersion-strengthened FeCrAl (FeCrAl-ODS) cladding tube under loss-of-coolant accident (LOCA) conditions, we conducted isothermal oxidation and ring-compression tests on unirradiated, stress-relieved FeCrAl-ODS cladding tube specimens. Further, we discussed the loss of coolable geometry of the reactor core loaded with the FeCrAl-ODS cladding tubes under LOCA conditions, using data from the ring-compression tests in this study and the integral thermal shock tests from our previous study. The results reveal that oxidation kinetics of the FeCrAl-ODS cladding tube at 1523 K is four orders of magnitude lower than that of a conventional Zircaloy cladding tube, which highlights the exceptional oxidation resistance of the FeCrAl-ODS cladding tube. The breakaway oxidation of the FeCrAl-ODS cladding tube was observed at 1623 K for durations equal to or exceeding 6 h, and melting was observed at 1723 K. The ring-compression and the integral thermal shock tests indicate that, depending on the oxidation time, the ductile to brittle transition threshold - as determined by the ring-compression test - exists between 1623 K and 1723 K. Meanwhile, the fracture threshold - established through the integral thermal shock test - falls between 1573 K and 1673 K. Therefore, taking a conservative approach based on available data, the fracture and non-fracture results from the integral thermal shock tests can define the lower and upper boundaries of the threshold for the loss of coolable geometry of the reactor core during a LOCA.
Skobelev, I. Yu.*; Ryazantsev, S. N.*; Kulikov, R. K.*; Sedov, M. V.*; Filippov, E. D.*; Pikuz, S. A.*; 浅井 孝文*; 金崎 真聡*; 山内 知也*; 神野 智史; et al.
Photonics (Internet), 10(11), p.1250_1 - 1250_11, 2023/11
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Optics)物質が高強度レーザーパルスと相互作用して生成されるプラズマの電荷状態の発展において、光電場と衝突電離の影響を明確に区別することは困難である。この研究では、プラズマキネティクスの時間依存計算を用いて、クラスターが十分に小さい低密度のガス状ターゲットを用いた場合にのみ可能であることを示した。Arプラズマの場合、クラスター半径の上限はmと見積もられた。
成川 隆文; 近藤 啓悦; 藤村 由希; 垣内 一雄; 宇田川 豊; 根本 義之
Journal of Nuclear Materials, 582, p.154467_1 - 154467_12, 2023/08
被引用回数:3 パーセンタイル:67.98(Materials Science, Multidisciplinary)To evaluate the behavior of an oxide-dispersion-strengthened FeCrAl (FeCrAl-ODS) cladding tube under loss-of-coolant accident (LOCA) conditions of light-water reactors (LWRs), the following two laboratory-scale LOCA-simulated tests were performed: the burst and integral thermal shock tests. Four burst and three integral thermal shock tests were performed on unirradiated, stress-relieved FeCrAl-ODS cladding tube specimens, simulating ballooning and rupture, oxidation, and quenching, which were postulated during a LOCA. The burst temperature of the FeCrAl-ODS cladding tube was 200-300 K higher than that of the Zircaloy cladding tube, and the FeCrAl-ODS cladding tube's maximum circumferential strain was smaller than or equal to the Zircaloy-4 cladding tube. These results indicate that the FeCrAl-ODS cladding tube has higher strength at high temperatures than the conventional Zircaloy cladding tube. The FeCrAl-ODS cladding tube did not fracture after being subjected to an axial restraint load of 5000 N, which is more than 10 times higher than the axial restraint load estimated for existing LWRs, during quenching, following isothermal oxidation at 1473 K for 1 h. The FeCrAl-ODS cladding tube was hardly oxidized during this isothermal oxidation condition. However, it melted after a short oxidation at 1673 K and fractured after abnormal oxidation at 1573 K for 1 h. Based on these results, the FeCrAl-ODS cladding tube should not fracture in the time range expected during LOCAs below 1473 K, where no melting or abnormal oxidation occurs.
木村 敦; 田口 光正; 近藤 孝文*; Yang, J.*; 永石 隆二; 吉田 陽一*; 広田 耕一
Radiation Physics and Chemistry, 79(11), p.1159 - 1164, 2010/11
被引用回数:3 パーセンタイル:23.31(Chemistry, Physical)新規機能性溶媒であるイオン液体はイオン対で構成されていることから、クーロン場として電荷を有する活性種と相互作用してイオン反応を促進する。一方で、放射線化学反応において重要な活性種の一つである溶媒和電子は、高い反応性を有することから数多くのイオン反応に関与する。本研究では、溶媒和電子の捕捉剤であるハロフェノールを用いて、イオン液体中の溶媒和電子の反応挙動について調べた。その結果、各イオン液体中のクロロフェノール(CP)の分解G値(0.73)が溶媒和電子の生成G値(0.8)とほぼ一致したこと、さらに溶媒和電子捕捉剤である亜酸化窒素を飽和したイオン液体中でフェノールの生成G値が0.5から0.2程度に大幅に減少したことから、CPの分解には溶媒和電子が大きく寄与している、すなわち解離的電子付着反応が起きていると考えられる。また、イオン液体中のハロフェノール(フルオロ,クロロ,ブロモ、及びヨードフェノール)の線分解におけるフェノールの生成G値(0.5)は、フルオロフェノールを除いてほぼ一定となった。以上より、イオン液体は放射線還元における優れた反応場として利用できると考えられる。
近藤 孝文*; 浅野 晃*; Yang, J.*; 法澤 公寛*; 高橋 憲司*; 田口 光正; 永石 隆二; 加藤 隆二*; 吉田 陽一*
Radiation Physics and Chemistry, 78(12), p.1157 - 1160, 2009/12
被引用回数:28 パーセンタイル:84.91(Chemistry, Physical)ナノ秒及びピコ秒のパルスラジオリシス法を用いて、アンモニア系のイオン液体(DEMMA-TFSI, DEMMA-BF4, TMPA-TFSI, PP13-TFSI, P13-TFSI and P14-TFSI)中の溶媒和電子の吸収スペクトル並びに反応挙動を研究した。吸収スペクトルはすべてのイオン液体で1100nmに吸収ピークをもち、そのモル吸光係数は1.5-2.310
dm
mol
cm
であった。溶媒和電子とピリジンとの反応の速度定数は1.5-3.5
10
dm
mol
s
で、粘性係数から評価した拡散律速に比べ1桁大きな値を示した。また、溶媒和前の電子もピリジンと反応し、溶媒和電子に比べて3桁も大きい速度定数7.9
10
dm
mol
s
を得た。
木村 敦; 田口 光正; 近藤 孝文*; Yang, J.*; 吉田 陽一*; 広田 耕一
Radiation Physics and Chemistry, 77(10-12), p.1253 - 1257, 2008/10
被引用回数:11 パーセンタイル:57.65(Chemistry, Physical)Halogenated organic chemicals such as polychlorodibenzo-p-dioxin, polychlorobiphenyls and hexachlorobenzene are toxic pollutants characterized by persistence and accumulation to the body of aquatic animals. These pollutants are not readily treated by advanced oxidation treatments such as ozone/UV, ozone/hydrogen peroxide and so on. The ionizing radiation, however, is expected as a good technique for treating halogenated organic compounds because it can homogeneously and quantitatively produce reactive species that can oxidize target substances. Room temperature ionic liquids (RTILs) have unique properties such as nonvolatile, nonflammable, high polarity, and wide electrochemical window1). We paid attention to the combination method of ionizing radiation and RTILs as a new environmental conservation technology for the treatment of halogenated chemicals.
Yang, J.*; 近藤 孝文*; 法澤 公寛*; 永石 隆二; 田口 光正; 高橋 憲司*; 加藤 隆二*; Anishchik, S. V.*; 吉田 陽一*; 田川 精一*
Radiation Physics and Chemistry, 77(10-12), p.1233 - 1238, 2008/10
被引用回数:25 パーセンタイル:81.45(Chemistry, Physical)レーザー駆動型加速器を用いたパルスラジオリシス法によりイオン液体並びにアルカン中のピコ秒領域の反応挙動の直接観測に成功した。ここで、四級アンモニウムの疎水性イオン液体中ではそのイオン化によって電子が収量1.210
mol J
で生成し、3.9
10
s
の速度で溶媒和することを明らかにするとともに、溶媒和前のドライ電子がビフェニルやピレンと3.8
7.9
10
L mol
s
で反応することを見いだした。また、n-ドデカンやn-ヘキサン中では電子の対再結合反応を523nmで観測した。
浅野 晃*; Yang, J.*; 近藤 孝文*; 法澤 公寛*; 永石 隆二; 高橋 憲司*; 吉田 陽一*
Radiation Physics and Chemistry, 77(10-12), p.1244 - 1247, 2008/10
被引用回数:25 パーセンタイル:81.45(Chemistry, Physical)ナノ秒・ピコ秒パルスラジオリシス法を用いて四級アンモニウム塩の疎水性イオン液体(DEMMA-TFSI:N,N-Diethyl-N-methyl-N-(2-methoxyethyl)ammonium-bis(trifluoromethanesulfonyl)imide)中の溶媒和電子のスペクトル、生成と減衰挙動を観測し、電子捕捉剤(ピレン)との反応などを研究した。ここで、溶媒和電子のモル吸光係数が2.310
M
cm
(
=1100nm)、その分解収量であるG値が0.8
10
mol J
を明らかにした。
近藤 孝文*; Yang, J.*; 菅 晃一*; 吉田 陽一*; 柴田 裕実*; 田口 光正; 小嶋 拓治
JAEA-Review 2007-060, JAEA Takasaki Annual Report 2006, P. 160, 2008/03
試料溶液の上面にモニター光を発するためのCaF2(Eu)を設置した、発光観測による初期活性種測定法の開発を行った。重イオンが光源であると同時に照射源であることが原因となっている、分析光強度測定の困難を克服するために、測定する波長領域で吸収も発光もほとんどない塩化メチレンを溶媒として用いた。溶質として100mMピレンを用いた。重イオン特有の効果を解明するために、電子線パルスラジオリシスも行いその結果を比較検討した。220MeV Cイオン照射と30MeV電子線照射で得られた、440nmでの過渡光吸収を比較すると減衰特性に顕著な違いが見られた。電子線照射の場合長寿命成分が現れるのに対し、高速重イオンビームでは指数関数に近い、比較的速い減衰が観測された。重イオン照射では、ピレンカチオンラジカルとカウンターとなる電子も同時に高密度に生成するために再結合反応が優位に起こりやすく、電子線照射の場合と比較して短寿命で消滅すると思われる。また、過渡吸収はピレン濃度に依存して増加した。
近藤 孝文*; Yang, J.*; 菅 晃一*; 吉田 陽一*; 柴田 裕実*; 田口 光正; 小嶋 拓治
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 141, 2007/02
発光観測による重イオン照射初期活性種測定法の開発の一環として、重イオンが光源であると同時に励起源であることが原因となっている。分析光強度測定上の困難を克服するために、測定する波長領域で吸収も発光もほとんどないシクロヘキサンを溶媒として用いた。溶質としてピレン及びビフェニルを用いた。本手法では、ビーム強度が一定ならば、試料以外の光源や励起源やバックグランドは同一条件とみなせるので光吸収強度の計算が可能となることが期待された。しかし、今回の実験では分析光量,活性種濃度に直接関係するビームカレントの変動が大きく、光吸収強度を正確に求めることができなかった。
吉田 陽一*; Yang, J.*; 近藤 孝文*; 関 修平*; 古澤 孝弘*; 田川 精一*; 柴田 裕実*; 田口 光正; 小嶋 拓治; 南波 秀樹
JAEA-Review 2005-001, TIARA Annual Report 2004, p.183 - 185, 2006/01
シングルフォトンカウンティングシステムを用いて重イオンパルスラジオリシス技術を開発した。このシステムでは、溶液試料入射前に置かれた薄膜シンチレータにイオンを照射した時にシンチレータから発した光を溶液試料中に生成する初期活性種の検出光源として用いた。このシステムを用いて水中における水和電子の時間過渡吸収の測定が達成でき、これにより本技術の有用性が示された。
永石 隆二; 青柳 登; 榛葉 祐介; 田口 光正; 近藤 孝文*; Yang, J.*; 吉田 陽一*
no journal, ,
加速器量子ビーム実験室の電子線LINACを用いた本研究では、放射線照射によってイオン液体などの新規な溶液中に生じる、選択的なイオン化や局所的な活性種の濃集といった不均一現象を基礎的に解明して、放射線照射下の溶液系をナノ粒子創製や光学材料開発のための機能的な反応場として応用することを目的としている。2008年度は、チオシアン酸を構成イオンとして用いたイオン液体中に発生する電子並びにラジカルの生成と反応の挙動を過渡吸収で追跡した。そこで、電子の対として生成する活性種としてチオシアン酸の二量体ラジカルイオンを見いだした。さらに、液体を構成する陽イオンあるいは陰イオンの種類や濃度を変えて調べ、二量体の生成量が液体中のチオシアン酸濃度とともに増加することを明らかにした。
永石 隆二; 青柳 登; 田口 光正; 近藤 孝文*; Yang, J.*; 吉田 陽一*
no journal, ,
チオシアン酸を陰イオンに持つイオン液体中の放射線分解反応を、電子線ライナックを用いたパルスラジオリシス法によって研究した。イミダゾリウム塩中では、イミダゾリウムの陽イオン由来の過渡吸収とともに、チオシアン酸の二量体ラジカルイオンの吸収を確認した。また、二つの陰イオンを合わせ持つアンモニウム塩中では、生成する二量体の初期吸収がチオシアン酸イオンの濃度とともに増加した。これらのことは、チオシアン酸系イオン液体の主要なイオン化部位がチオシアン酸イオンであること、二量体の迅速な形成は拡散を経由しない、チオシアン酸のラジカルとその周囲のイオンとの直接二量化であることを示唆している。
近藤 孝文*; Yang, J.*; 田口 光正; 倉島 俊; 菅 晃一*; 吉田 陽一*; 柴田 裕実*; 広田 耕一
no journal, ,
高速重イオンは、その飛跡に沿って物質を局所的に高密度に励起する。この重イオン高密度励起効果を利用した物質改変,品種改良,がん治療など応用研究が展開されている。これら応用研究をさらに発展するためには重イオン反応の基礎過程を解明することが重要である。これまでわれわれは、固体シンチレーターを用い、重イオンのパルスがシンチレーターを通過したときの発光を分析光として試料中に生成する活性種の光吸収を測定する方法を提案してきた。シンチレータの発光を観測するために、(1)時間相関フォトンカウンティング法を利用したシステムと(2)直接観測システムを構築した。フォトンカウンティング法により、ピレンジクロロメタン溶液に220MeV Cイオンを照射したときに生成するピレンカチオンラジカルの検出に成功した。この方法は微弱な発光まで検出できるメリットがあるものの、長時間の照射実験中にビーム強度や位置がずれた時の補正ができなかった。そこで、光検出器を2台用いた、(2)直接観測システムにより、一つの検出器で常にビーム強度をモニターしながら発光観測することでビームの変動の補正が可能となった。
永石 隆二; 青柳 登; 榛葉 祐介; 田口 光正; 近藤 孝文*; Yang, J.*; 吉田 陽一*
no journal, ,
パルスラジオリシス法を用いて、これまでにイオン液体中に発生する電子の溶媒和の形成過程や構造変化を明らかにしてきたが、電子の対生成物の存在やそれらの発生部位はわかっていない。本研究では、チオシアン酸を陰イオンに持つイオン液体の放射線分解挙動を研究した。液体の組成や捕捉剤添加の有無を変えながら、チオシアン酸の二量体ラジカルイオンの形成をナノ秒領域の過渡吸収で観測することで、液体のイオン化部位のひとつがチオシアン酸であり、そこから高い収量で電子とチオシアン酸ラジカルが発生することを見いだした。
近藤 孝文*; Yang, J.*; 菅 晃一*; 吉田 陽一*; 柴田 裕実*; 倉島 俊; 田口 光正; 広田 耕一
no journal, ,
シンチレータを用いたシングルイオン誘起時間分解光吸収測定法を考案した。この方法はシンチレータを分析光源として用いることで観測光源と反応場をイオンビーム飛跡上に限定できるため、高い空間分解能と検出感度が期待できる。イオン源で発生した直流重イオンビームをP-チョッパーの高度な制御によりシングルパルスで切り出しに成功した。吸光度測定には、試料を通過したシンチレータの発光を用いる。しかし、測定積算時間中のビーム強度の変動によって定量的な光吸収の評価が困難であった。そこで、等方的に放出されるシンチレータの発光特性を利用して、ビーム変動を観測するためにシンチレータ上部に光検出器を設置した。この結果、光信号を補正することができた。
青山 卓史; 伊藤 主税; 荒木 義雄; 内藤 裕之; 岩田 圭弘; 岡崎 幸基*; 原野 英樹*; 渡辺 賢一*; 井口 哲夫*; 竹川 暢之*; et al.
no journal, ,
高速炉プラントの安全性向上のため、レーザ共鳴イオン化質量分析法を用いたナトリウム漏えい検知技術の開発を進めている。これまでに微量Na分析装置を製作し、それを用いたエアロゾル捕集効率の評価,検出感度の評価を実施してきた。Naを用いた試験では、高感度化が可能な1光子励起+電場イオン化機構を採用するなどイオン信号増加を図り、集積時間180秒で濃度42pptのNaエアロゾルの検出に成功した。
Naの検出下限値を評価した結果、2.7pptとの結果が得られ、目標値1ppbに対して約400倍高感度であることを確認した。一方、集積板に付着したNaの計測に寄与する割合が低いため、集積板からの放出率を向上させる必要があることがわかった。今後は、
Na検出試験によりその検出性能を評価し、本研究を総括する予定である。
木村 敦; 田口 光正; 近藤 孝文*; Yang, J.*; 吉田 陽一*; 広田 耕一
no journal, ,
イオン液体はイオン対で構成されているクーロン場であり、電荷を有する活性種を安定化してイオン反応を促進することから、放射線化学分野において核燃料サイクルや放射線重合反応の溶媒への利用が検討されている。本研究では、放射線誘起活性種の一つである溶媒和電子のイオン液体中の反応挙動を明らかにすることを目的とした。実験には、3種のアルキルアンモニウム系イオン液体と、比較対照として同程度の極性を有するアルコール類を溶媒として用いた。ortho, meta, para-クロロフェノール(CP)、及び2,3, 2,4, 3,4-ジクロロフェノール(DCP)を各種溶媒にそれぞれ溶解し、窒素を飽和して線及びパルス電子線照射試料とした。その結果、アルコール中のCPの
線分解収率G(-CP)及びフェノールの生成収率G(Phenol)はpara
meta
orthoの順に増加した。一方、イオン液体中のCPの
線分解では、各種異性体のG(-CP)及びG(Phenol)は互いに等しく、アルコール中よりも高い値となった。この原因として、イオン液体のカチオンによる溶媒和によりCPのOH基とCl基の相互作用が緩和されたことが考えられる。DCPでも同様の実験を行い、高いG(-DCP)及びG(CP)が得られた。
木村 敦; 田口 光正; 近藤 孝文*; Yang, J.*; 永石 隆二; 吉田 陽一*
no journal, ,
イオン対で構成されているイオン液体は特異的なイオン反応や電子移動反応を生じることから、放射線重合などの反応場として用いる研究も行われている。本研究では、イオン液体を放射線還元反応場として利用することを目的として、溶媒和電子のイオン液体中の反応挙動を調べた。反応挙動の追跡には、溶媒和電子捕捉剤である有機ハロゲン化合物を用いた。その結果、イオン液体のカチオンにより捕捉剤の分解G値が変化し、その値は溶媒和電子の生成のG値と一致した。さらに、亜酸化窒素を飽和したイオン液体中で捕捉剤の分解G値が大幅に減少したこと、及び溶媒和電子と捕捉剤の反応速度定数が拡散律速反応速度定数より大きいことから、捕捉剤の還元分解に溶媒和電子が大きく寄与していると考えられる。一方で、イオン液体のアニオンの種類により粘性が変化し、イオン液体の粘性の増加に伴い捕捉剤の分解G値が増加することも明らかにした。
永石 隆二; 青柳 登; 田口 光正; 近藤 孝文*; Yang, J.*; 吉田 陽一*
no journal, ,
チオシアン酸を陰イオンに含む、異なる二種類のイオン液体を混合した液体中の放射線分解生成物の生成と反応挙動をパルスラジオリシス法で研究した。ここで、チオシアン酸の二量体ラジカルイオンを可視領域で、溶媒和電子を近赤外領域で観測して、それらの収量と反応を測定した。それらの生成量は液体の陽イオンの種類によらず、液体中のチオシアン酸濃度とともに増加した。これらのことから、二量体がチオシアン酸イオンのイオン化(直接作用)、及びそれ以外のイオン由来の生成物によるチオシアン酸イオンの酸化(間接作用)から生成することが示唆された。