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若杉 圭一郎; 山口 正秋; 小尾 繁*; 長尾 郁弥; 加藤 智子; 鈴木 祐二*; 江橋 健; 梅木 博之*; 新堀 雄一*
日本原子力学会和文論文誌, 16(1), p.15 - 33, 2017/03
本研究では、我が国の幅広い地域で確認されており、かつサイト選定で影響を回避することが困難な隆起・侵食に着目し、これが高レベル放射性廃棄物地層処分に与える影響を定量的に把握するための安全評価手法を開発した。従来は、隆起速度と侵食速度が等しいとの仮定の下、処分場が一定の速度で地表に接近するという簡易な評価が行われていたが、本研究では、我が国で多く確認されている隆起速度と侵食速度が異なるケースを取り扱うことが可能なモデルを開発し、隆起・侵食に伴う起伏や処分場深度の時間変化、廃棄体ごとの風化帯/地表に到達する時間などを、地形発達モデルに基づき評価した。さらに、このモデルを用いて隆起・侵食を考慮した安全評価を試行した結果、我が国の最頻値の隆起速度(0.3mm/y)を想定したケースの総線量の最大値は、国際機関で示されている放射線防護基準のめやす値(300Sv/y)を下回った。さらに、既往のモデルによる評価との比較により、地表の起伏に起因して廃棄体が風化帯へ分散して侵入する効果を定量的に把握した。以上のことから、本評価手法を用いることにより、隆起・侵食を現象に即して取り扱うことが可能になったとともに、既往の評価の安全裕度を定量的に把握することが可能となった。
江橋 健; 川村 淳*; 稲垣 学*; 小尾 繁*; 柴田 雅博; 板津 透; 仲島 邦彦*; 宮原 要; Apted, M. J.*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1665, p.39 - 45, 2014/07
隆起・侵食が地層処分の安全機能に与える影響については、サイト選定によって回避することが基本であるものの、評価が超長期に渡ることに起因してその不確実性を完全に排除することができず、その影響を仮想的に評価する可能性がある。本研究においては、仮想的な堆積岩分布域を対象として、隆起・侵食に起因する地質環境条件の変化が地層処分の核種移行に与える影響について、より現実に即して評価するためのアプローチを例示した。このアプローチは、既存の概念モデル(モダンアナログ的な観点と地史に基づく外挿の考え方)を応用したものであり、隆起・侵食による地質環境条件の変化に関する組合せを効果的に抽出可能であることに加え、処分事業の初期段階のように情報が限られた段階における地質環境調査や隆起・侵食に関する将来予測に対して、有効なフィードバック情報となりうるものである。
若杉 圭一郎; 小尾 繁*; 柴田 雅博
JAEA-Research 2011-006, 31 Pages, 2011/06
地層処分の安全評価では、国際的に合意された方法論に則りシナリオやモデルを構築し、これを用いて安全性が確保されていることを影響解析により確認してきたが、システム全体で安全確保を達成することが地層処分の基本概念であるため、個別の安全機能の性能やその多重性について研究された例は少なかった。このため、本研究では、地層処分の安全機能の多重性について理解するため、安全機能の個別の性能や相互補完の関係を明らかにするための手法を構築するとともに、これに基づき、人工バリアの安全機能に着目し検討を行った。その結果、安全機能を一つだけ考慮する場合、ガラスの溶解速度は線量を大きく低減させた。さらに、安全機能間の相対的重要度の関係や安全機能の相互補完の組合せを明らかにした。さらに、安全機能が発揮される条件を定量的に把握するために、上述の離散的な解析を補完したBounding Analysisを実施した。その結果、ガラスの閉じ込め性能と緩衝材の閉じ込め性能のそれぞれが発揮される条件を明らかにした。このような知見は、地層処分システムを構成するシステム要素の安全機能に対する性能要求を検討するうえで、重要な知見になると考えられる。
川村 淳; 牧野 仁史; 笹尾 英嗣; 新里 忠史; 安江 健一; 浅森 浩一; 梅田 浩司; 石丸 恒存; 大澤 英昭; 江橋 健; et al.
JAEA-Research 2010-027, 85 Pages, 2010/09
日本原子力研究開発機構は、天然現象についてより現実的な影響評価を実施するための技術を整備しておくことという目的のために、高レベル放射性廃棄物地層処分への天然現象(地震・断層活動,火山・地熱活動,隆起・侵食/沈降・堆積及び気候・海水準変動)の影響を評価するための作業フレームを整備・高度化した。本報告では、作業フレームに則り、上記に挙げた天然現象に対して地質環境条件と天然現象の特性との関係の定量化及び処分環境における性能評価パラメータと地質環境条件との関係の定量化に関する情報整理を実施した。また、天然現象影響に関する研究を対象として、知識マネージメントの検討手法の一つである討論ダイヤグラムを用いた検討を試行し、今後の課題の抽出も試みた。その結果、天然現象とそれに起因する地質環境条件の変化については、既存の現象や現在の地質環境条件をモダンアナログとして用いるとともに地史の情報を組合せることにより、作業フレームに基づく統一的な情報整理の手法が適用可能であり、より適切なシナリオの選択が可能となる見通しを得た。また、討論ダイヤグラムの試行により、安全評価において重要な天然現象研究や地質環境に関するデータや知見などについて、その過不足も含めて効率的に課題点が抽出できる見通しを得た。
小尾 繁*; 稲垣 学
JAEA-Data/Code 2010-006, 41 Pages, 2010/06
高レベル放射性廃棄物の地層処分の性能評価で想定される多様なシナリオを定量的に評価にするためには、パラメータの時間変化を考慮した核種移行解析を行う必要がある。例えば、地層処分研究開発第2次取りまとめにおける天然現象による仮想的シナリオの評価事例では、亀裂性岩盤を対象として、処分環境の変化をおもにパラメータの時間変化として表現し、解析コードMESHNOTE及びTIGERを用いて核種移行解析を実施した。今後このような時間的変遷を取り扱う解析・評価が増加することが予想され、解析の効率化と入出力値の品質管理の向上が求められている。このような状況に対応するため、汎用シミュレーションソフトウェアGoldSimを用いて、核種移行パラメータの時間的変化を考慮した解析作業を効率的に実施することが可能な核種移行解析モデルを新たに構築した。本報告書では、構築した核種移行解析モデルの概念モデル,数学モデル,検証計算結果について取りまとめた。本検討で構築した核種移行解析モデルのリソース(解析モデルのパーツ)は、今後、天然現象影響評価解析や、他の概念モデルとの組合せ等の高度化に資することが可能である。
仲島 邦彦*; 小尾 繁*; 蛯名 貴憲*; 江橋 健; 稲垣 学
JAEA-Data/Code 2009-009, 62 Pages, 2009/07
第2次取りまとめで実施されたレファレンスケースの安全評価解析は、おもにMESHNOTEとMATRICSによって実施された。一方、近年オブジェクト指向的な特徴を有する汎用的なシミュレーションソフトウェアが広く利用されてきており「GoldSim」はその代表的なものである。JAEAでは第2次取りまとめ以降、第2次取りまとめの安全評価解析のフォローアップとして、GoldSimを用いて確率論的解析やパラメータの感度解析等を統計的手法により実施してきている。本報告書ではGoldSimによるモデルの構築手法の詳細についてまとめ、第2次とりまとめでの解析結果との比較を実施し、解析結果の再現性を確認した。また、GoldSimを用いて、第2次取りまとめにおけるレファレンスケースの核種移行解析作業が容易に行えるような、解析手順のガイドブックを整備した。本検討で作成されたアプリケーションのリソース(解析モデルのパーツ)は、今後、確率論的解析や、他の概念モデルとの組合せ等の高度化に資することが可能である。
江橋 健; 川村 淳; 稲垣 学; 小尾 繁*; 柴田 雅博; 板津 透; 仲島 邦彦*; 宮原 要
JAEA-Research 2008-117, 36 Pages, 2009/03
高レベル放射性廃棄物の地層処分において、隆起・侵食は、適切なサイト選定や処分場の設計によって処分システムに及ぼす著しい影響を回避することが可能と考えられているものの、この現象が緩慢ながらも極めて長期間に渡って継続することから、現象の過去の履歴と処分システムへ与える潜在的な影響の理解に基づいて、隆起・侵食のシナリオを考慮した性能評価手法の信頼性を向上させることが重要である。本研究では、具体的な地質環境を対象とした影響評価に反映できるよう、仮想的な堆積岩分布域における地下水シナリオを対象として、概念モデルに基づく処分環境条件の時間変遷パターン、及びその影響解析について例示した。本検討を通じて、概念モデルが、隆起・侵食にかかわる場の特徴を取り込んだ処分環境条件の時間変遷の組合せを効果的に抽出可能であることに加え、核種移行モデル・パラメータの設定及びそれに基づく影響解析に対して有効な出発点となりうることについて見通しを得た。また、概念モデルに基づいた影響解析を通じて得られる知見は、処分事業の初期段階のように情報が限られた段階における地質環境調査や隆起・侵食に関する将来予測に対して、有効なフィードバック情報となりうるものである。
江橋 健; 小尾 繁*; 大井 貴夫
原子力バックエンド研究, 15(2), p.99 - 115, 2009/03
高レベル放射性廃棄物の地層処分システムの頑健性を提示するための重要な対策の一つとしては、設計においてあらかじめ適切に安全裕度を見込んだパラメータの設定を行うことが考えられる。このため、このような安全裕度の評価においては、「それぞれのシナリオに対する適切な条件設定に基づいて、保守的な値を考慮した解析結果や感度解析結果から、線量目安値を満足するパラメータの値あるいは範囲、すなわち、裕度を見積もること」が求められる。本論文においては、包括的感度解析手法を高レベル放射性廃棄物の性能評価に適用し、性能評価パラメータの安全裕度を評価するための考え方について提案する。提案に際しては、工学的な対策により性能の高度化を見込める可能性があるパラメータ(ガラス固化体溶出率,オーバーパックの破損時期,緩衝材の厚さ)に着目し、天然バリアをきわめて保守的に設定した条件下における性能評価パラメータの安全裕度の評価を例示した。このような考え方に基づいて抽出される情報は、頑健なバリアの構築やシナリオ解析に資するものと考える。
江橋 健; Hwang, Y.-S.*; Lee, Y.-M.*; 大井 貴夫; 小尾 繁*
Journal of Nuclear Science and Technology, 45(11), p.1138 - 1149, 2008/11
被引用回数:12 パーセンタイル:60.93(Nuclear Science & Technology)本検討においては、日本原子力研究開発機構と韓国原子力研究所間の研究協力の一環として、原子力機構が開発した包括的感度解析手法を韓国地層処分概念に適用し、感度解析を実施した。この適用の目的は、直接処分の概念に対して、線量の目標値を満足するニアフィールドパラメータの閾値を抽出できるかどうかについて確認することである。その結果、天然バリアが保守的な条件下において、線量の目標値を満足するニアフィールドパラメータの閾値が例示された。このことから、直接処分の概念に対する包括的感度解析手法の適用性を確認した。さらには、韓国の地層処分において、Iに対するニアフィールド領域の重要な特性としては人工バリア周辺の地下水流量及び廃棄体からの溶解であることが示唆された。このようなアプローチは、直接処分の概念におけるシナリオ解析や頑健なバリアの構築に資するものである。
江橋 健; 小尾 繁*; 大井 貴夫
JAEA-Research 2008-019, 142 Pages, 2008/03
本検討においては、高レベル放射性廃棄物の性能評価に包括的感度解析手法を適用し、一方のバリアのパラメータを保守的に設定した条件下において、一方のバリアの分析対象パラメータに関する重要度や成立条件を抽出することができるかどうかについて検討した。検討の結果、人工バリア及び天然バリアのパラメータに関する重要度や成立条件をそれぞれ例示した(例えば、降水系間隙水及び天然バリアが保守的な条件の場合に、ガラス溶解速度が2.5g/m/y以下であれば、Cs-135の最大線量は10Sv/yを下回る)。本検討を通じて、包括的感度解析手法が、保守的な条件下において、それぞれのバリアのパラメータに関する重要度や成立条件の抽出に適用可能であることを示した。本検討における手法の有用性の検討や抽出された感度特性は、地層処分計画の初期段階におけるシナリオ解析や頑健なバリアの構築に資するものと考える。
牧野 仁史; 澤田 淳; 前川 恵輔; 柴田 雅博; 笹本 広; 吉川 英樹; 若杉 圭一郎; 小尾 繁*; 濱 克宏; 操上 広志; et al.
JNC TN1400 2005-021, 148 Pages, 2005/09
実際の地質環境を対象とした物質移行解析に係わる技術基盤の検討として,2つの深地 層の研究施設計画から得られた地質環境情報を活用して一連の作業の枠組みを検討した。この検討を通じて、枠組みとなる作業のフローを作成しその有効性を確認した。さら に、そのフローに従った作業を実際の地質環境の情報を用いて行うことにより、作業 内容の具体化とともに、個々の作業および作業全体の向上に必要となる課題を明らか にすることができた。
若杉 圭一郎; 牧野 仁史; 小尾 繁*
原子力バックエンド研究, 10(1), p.21 - 30, 2004/00
第2次取りまとめの安全評価では、掘削影響領域(EDZ)内の地下水流れがシステムの性能に重要な影響を及ぼすプロセスの1つとして挙げられた。このため本研究では、EDZ内の核種移行に着目し、EDZのモデル化の違いが評価結果に与える影響を定量的に把握することを目的として、EDZのモデルバリエーション(0濃度境界モデル、ミキシングモデル、多孔質モデル、亀裂モデル)の概念モデルおよび数学モデルを設定するとともに、各モデルを用いて核種移行解析を実施した。この結果、0濃度境界モデルは最も保守的な結果を与えること、亀裂モデルは用いる境界条件により評価の保守性に幅を持つことなどが分かった。さらに、EDZのモデルバリエーションを「複雑さ/簡単さ」と「保守性/現実性」の程度を軸として整理し、今後のEDZモデル開発の方向性について検討した。
若杉 圭一郎; 牧野 仁史; 小尾 繁*
GoldSim International User Conference 2004, 0 Pages, 2004/00
第2次取りまとめでの人工バリア中核種移行解析では、緩衝材外側に達した核種は掘削影響領域(以下「EDZ」)を通過する地下水と瞬時に混合し、その全量が周辺の母岩中の亀裂に移行するモデルを設定した。このため、EDZ内での核種の移行遅延効果については保守的に考慮しなかった。しかしながら、EDZは処分坑道掘削の影響を受けた岩盤として想定された領域であり、緩衝材外側に達した核種は、そこに接するEDZ内の亀裂部のみならずEDZ内の健岩部にも移行し、収着により遅延されることが期待される。本研究では、これらの移行プロセスを考慮し、より現実に即した評価を行うことを目的として、人工バリアおよびEDZを対象に2次元核種移行解析モデルを構築し、EDZの移行遅延効果について検討した。この結果,第2次取りまとめの結果と比較した場合、安全評価上最も重要な核種の一つであるCs-135の最大移行率で約1桁低減、その他の多くの核種も数分の1から短半減期核種では数桁程度低減した。このことから、人工バリア近傍の比較的狭い領域として考えられているEDZも天然バリアの一部として重要な役割を有している可能性が示された。
西谷 健夫; 四竈 樹男*; 杉江 達夫; 河西 敏; 石塚 悦男; 河村 弘; 角田 恒巳; 八木 敏明; 田中 茂; 鳴井 實*; et al.
JAERI-Research 2002-007, 149 Pages, 2002/03
ITER工学R&Dの一環として計測機器要素の照射試験を核分裂中性子,線,14-MeV中性子を用いて実施した。14-MeV中性子及びCo-60線照射下におけるKU-1溶融石英の紫外域透過率を測定したところ、200-300nmの波長域に著しい透過損失が生じることがわかった。5種類のITER共通資料の光ファイバーをJMTR及びCo-60線で照射試験を行った。KS-4V,KU-H2G及びフッ素添加ファイバーは極めて高い耐放射線性を示し、ITERの真空容器外側付近まで導入できる見通しを得た。マイカ薄膜ボロメータを0.1dpaまでJMTRで照射した。第1照射サイクルの停止時にボロメータの断線が発生し、金を蒸着した抵抗体は、ITERにおいて問題であることを示した。磁気プローブもJMTRで照射試験を行った。磁気プローブに長時間デジタル積分器を接続したところ、1000sに対し、10-40 mVsのドリフトが観測されたが、照射誘起起電力ばかりでなく、積分器自体のドリフトによる発生したと考えられる。1000sの積分時間に対し、ドリフトを0.5 mVs以下に抑えうる、ITER仕様の磁気プロープをMIケーブルを用いて製作できる見通しが得られた。
黒木 繁盛; 谷口 航; 小尾 繁*; 長谷川 宏; 杉野 弘幸; 窪田 茂*; 出羽 克之*
JNC TN8400 99-037, 281 Pages, 1999/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分場において、人間の安全な生活環境を維持するという基本的な考え方のもと、地下数百m1,000m程度の地下深部に坑道を掘削し、廃棄体を埋設することが計画されている。その際、建設・操業・閉鎖の作業安全性を確保するため、各段階を通して坑道が力学的に安定していることが求められる。ここでは、第2次取りまとめで求められる処分技術の技術的信頼性を示すため、その要件となる坑道の力学的安定性を解析により評価した。具体的には、各坑道で必要となる断面を設定し、理論解析、有限要素法解析を用いて坑道掘削時の安定性、坑道交差部および地震時の安定性について検討を行った。本検討により得られた結果を以下に示す。・現状の技術で坑道の掘削が可能であると考えられ、適切な支保工を設置し、十分な坑道離間距離および処分孔間隔をとれば坑道の力学的安定性は確保できる。・坑道交差部においては、適切な補強工を施すことにより坑道の力学的安定性は確保される。なお、補強が必要となる範囲は、今回検討を行った交差角度30では鋭角側に4D、鋭角側に1Dの範囲である。・過去に起こった巨大著名地震を想定して検討を行ったところ、坑道の力学的安定性に及ぼす地震の影響は小さく、坑道の掘削時の安定性が確保されれば地震に対しては安定であることが分かった。
山口 正秋; 若杉 圭一郎; 小尾 繁; 注連本 英典; 柴田 雅博
no journal, ,
隆起・侵食は日本のほぼ全域で確認される長期的変動事象であることから、今後のシナリオ解析において不回避な事象と位置づけられる可能性が高い。本検討では、地形変化に関わる既往のモデルを用いて、隆起・侵食とそれに伴う標高と起伏の時間変化を考慮することにより、地形変化をふまえたシナリオの構築や影響評価に必要なパラメータ設定のための方法論を検討した。
江橋 健; 川村 淳; 稲垣 学; 小尾 繁*; 柴田 雅博; 板津 透; 仲島 邦彦*
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分において、隆起・侵食は、適切なサイト選定や処分場の設計によって処分システムに及ぼす著しい影響を回避することが可能と考えられているものの、この現象が緩慢ながらも極めて長期間に渡って継続することから、処分システムへの影響の不確実性を完全に排除することは難しいと考えられる。このため、具体的な地質環境の情報を活用しつつ、「隆起・侵食/沈降・堆積が処分環境に影響を及ぼす道筋を明らかにすること、その影響を評価するための核種移行モデル・パラメータを整備すること、それらに基づいて核種移行評価を行うこと」が重要となる。本報においては、具体的な地質環境を対象とした隆起・侵食の影響評価に反映させるため、仮想的な堆積岩分布域における地下水シナリオを対象としたうえで、概念モデルに基づく一連の隆起・侵食の影響評価手法について例示した内容について報告する。
西原 健司; 牧野 仁史; 小尾 繁*
no journal, ,
ImPACTプロジェクトでは、他プログラムで行われているマイナーアクチノイド(MA)の核変換に加えて、長寿命核分裂生成物(LLFP)の核変換が開発されている。MA, LLFP, 発熱性核分裂生成物(Sr-90, Cs-137)が高レベル廃棄物(HLW)から除去された場合、HLWの処分に対する劇的な効果が期待できる。本研究では放射性核種の輸送解析により、(1)核変換後の廃棄物を従来HLW用に設計された地層処分場に処分、及び、(2)核変換後の廃棄物を使用済燃料集合体のハル・エンドピース等の低レベル放射性廃棄物用に設計された余裕深度処分場に処分した場合の効果を評価した。結果として、(1)の解析では公衆被ばく線量の低減が見られ、(2)の解析では被ばく線量は十分に小さかった。
小尾 繁*; 山口 正秋; 牧野 仁史; 土家 輝光*; 神崎 至時*
no journal, ,
特定放射性廃棄物の処分方法について、将来に向けて幅広い選択肢を確保する観点から、使用済燃料の直接処分などの代替処分オプションに関する調査研究を推進することがエネルギー基本計画等に示されている。ここで代替処分オプションのひとつである深孔処分については、近年諸外国でさまざまな技術的検討が行われている。本報告では、深孔処分の特徴およびその実現のポイントや課題について、まず、諸外国の複数の事例の比較などを通じて主な論点を整理する。さらに、深孔処分成立の重要な前提のひとつとなる深孔の掘削や孔壁の維持についてのケーススタディの試行などを通じて、実現のポイントや課題をより具体的に考察することを試みる。
小尾 繁; 牧野 仁史; 梅木 博之; 日置 一雅; 川崎 大介*; 橘 翔子*
no journal, ,
地層処分システムの性能評価においては、さまざまな条件変化に柔軟に対応させて核種移行解析及びその評価とレポート化などを繰り返し実施する必要がある。本報では、このような作業の一元的かつ効率的な実施を支援するために開発した電子性能評価レポート(e-PAR)について、その作成・利用支援環境の高度化と事例の拡充について報告する。