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Hieu, N. M.*; 熊沢 蕃
JAERI-Research 2000-065, 28 Pages, 2001/02
本報告書は医療分野における放射線防護体系と線量分布の関係を調べるため、ベトナム原子力委員会(VAEC)第103病院32名の線量データを対数正規及び混成対数正規モデルを適用して解析したものである。解析した1994年の月線量データはVAEC制定基準4.2mSv/月に比べ十分低く、全線量範囲で対数正規性を示す反面、大多数のデータが存在する0.3mSv/月以下の線量域に着目すると、被ばく低減効果を反映する混成対数正規性が確認された。月線量データを職種,線源,作業者または月別に層別化しても分布則性の傾向は同じであった。年線量データも全線量域で対数正規性の反面、1mSv以下では同様に被ばく低減を反映する混成対数正規性を示した。これより、病院における線量分布にも注意深く分析すれば、実際の被ばく低減努力の効果が確認でき、防護の有効性評価が可能になることが知られた。
熊沢 蕃
Proceedings of 10th International Congress of the International Radiation Protection Association (IRPA-10) (CD-ROM), 12 Pages, 2000/05
放射線健康リスクは今日、一般の健康リスクと比較して適正に管理することが求められているため、そのための共通した数学的基礎を示した。リスク増加は比例効果則に従い(比率的に)起こる一方、リスクの管理はフィードバック的に働くと仮定すると、管理されたリスク量は対数から線形に連続的に変化する混成目盛を導入すると体系的に表させることを理論及び実測データを用いて示した。まず、半世紀間に及ぶ職業線量データが線量基準変遷に対応して混成目盛上で管理効果により線形目盛側シフトの傾向を示していること、このような規則性は他分野におけるリスク管理にも見られ、この量の変化の特徴は混成目盛の構造を持つことを示した。次に、混成目盛による方眼紙はICRP放射線防護システムがもたらす量の入出変換過程及び放射線に伴う生物の線量-反応関係の量の変換過程が統一的に示す数学構造を与えることを実測データ例も含め示した。
Indrawati, I.*; 熊沢 蕃
JAERI-Research 2000-005, p.28 - 0, 2000/02
線量-反応関係の特性理解及び生物学的線量評価用の校正曲線作成法に役立てるため、染色体異常データの新たな解析法を示す。線形スケールと対数スケールを1つにしたハイブリッドスケールを用いると、通常方眼紙、2種類の片対数方眼紙及び両対数方眼紙を連続的に接続した1つの両混成方眼紙が得られる。この方眼紙を用いると、直線上に並ぶデータ点の傾向から、9種類の線量-反応関係のいずれで適合されるかが知られる。これらの適合モデルを総称してハイブリッドスケールモデルと呼ぶが、本報ではヒトリンパ球の染色体異常データにこれらを適用し、従来モデルの直線-2次式モデルよりもデータへの適合性が勝れていることがわかった。また、直線状校正曲線は推定精度上の利点があるため、これに適したモデルを調べたところ、ハイブリッドハイブリッドモデルがよいことがわかった。
熊沢 蕃
日本原子力学会誌, 29(11), p.970 - 975, 1987/11
被引用回数:2 パーセンタイル:29.78(Nuclear Science & Technology)国際放射線防護委員会(ICRP)の1977年勧告以来、作業者の線量分布が広く話題にされるようになった。本稿では、今まで提案された線量分布モデルを紹介し、どんなモデルが作業者の線量分布として適しているかを解説する。
熊沢 蕃; 大橋 靖雄*
応用統計学, 15(1), p.1 - 14, 1986/00
混成対数正規分布とは、正値確率変数Xに対して、パラメータを含む変換lnX+Xが正規分布N(,)に従う分布のことである。本分布は放射線に被曝する作業に従事する作業者の線量分布が、被曝低減管理の影響を受けて管理の弱い場合は対数正規分布側へ、また管理の強い場合は正規分布へ近づくことをモデル化したものである。本論文では混成対数正規分布の性質と発生機構を述べ、線量分布および他の種類(使用水量、雨量、砂粒径など)の分布へのあてはめ例を示した後、それらの分布の背後にある現象を分布形の違いから解釈できることを示す。このように本分布は線量分布以外にも広く適用できるばかりでなく、本分布の極限分布として一方に対数正規分布を持ち、他方に正規分布を持つ新しい形式の分布システムを構成する。
熊沢 蕃
保健物理, 20, p.320 - 323, 1985/00
NCRP(米国放射線防護及び測定審議会)の第21回年次総会が1985年4月3~4日の間米国科学アカデミー会館講堂で開かれた。今年は時代の流れを反映し「放射性廃棄物」がテーマとして取り上げられた。筆者はUSEPA(米国環境保護庁)と今後の国際協力に関する打ち合わせを行うため原研から米国出張を命ぜられ、さらに併せてNCRP年次総会に出席するように命ぜられた。本報はこのときの年次総会の一端を紹介したものである。内容として米国における放射性廃棄物の簡単な概要、NCRPが考えている公衆個人に対する線量限度および合理的に無視できる線量レベルなどが含まれている。また、筆者のEPA留学中の仕事のその後の米国における評価にも少し触れている。
熊沢 蕃
保健物理, 19(2), p.193 - 194, 1984/00
米国環境保護庁(EPA)放射線計画局に、1981年10月1日から2年半滞在し、連邦放射線防護指針の改訂計画の一環である、全米職業被曝の1980年度版報告書を作ったときの悪戦苦闘を紹介したものである。最初の1年は原子力留学生、残りの期間は原研から承諾を得て、EPAの外来専門家として仕事に従事した。本報では、EPAの職場の様子、連邦指針とNCRPやICRP勧告の性格の違いを簡単に述べた後、筆者の業務遂行上の苦労談を記したものである。全米職業被曝の四半世紀にわたる動向解析という前例のない仕事を、米国事情に疎い筆者がどう切り抜けて行ったかを若い保健物理学会員に伝えたいというのが趣旨である。
熊沢 蕃
日本原子力学会誌, 26(11), p.942 - 948, 1984/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Nuclear Science & Technology)米国環境保護庁の新連邦放射線防護指針の策定計画の一環として全米職業被曝の解析を担当する機会を得た。本稿はこのときの解析結果を紹介したものである。職業被曝の有する典型的な性質と、それをモデル化した混成対数正規分布による全米職業被曝の四半世紀にわたる被曝低減化の歴史的動向や産業分野による特色を示した。また全米職業被曝に占める原子力産業の位置付けと、被曝低減化の持つ役割も示した。なお、本解析の中心課題は1980年度の要約にあり、これには性別や年令別の解析も含む。また生涯線量の推定も新しい方法で行い、現実的な値を求めた。
熊沢 蕃; 島崎 潤也; 沼宮内 弼雄
JAERI-M 82-035, 63 Pages, 1982/04
職業被曝の解析法を確立する一環として、混成対数正規分布に関連した数値計算法と計算プログラムを開発した。これらは、混成対数正規分布のパラメータの推定、分布関数、パーセント点、中央値、最頻値の計算、積率、平均値、分散、幾何平均値、幾何標準偏差の計算、さらに積率分布の分布関数、パーセント点、中央値、最頻値の計算である。計算プログラムはすべてサブルーチンまたは関数サブプログラム形式であり、必要な補助プログラムも含めることにより、混成対数正規分布に関し完備したプログラムパッケージとした。この結果、実測データから混成対数正規分布の3つのパラメータを推定し、個人被曝線量分布や個人被曝線量による集団線量分布を求めるための各種の統計量の計算が簡単化された。
熊沢 蕃
電子通信学会論文誌,A, J65-A(2), p.201 - 202, 1982/00
混成対数正規分布は線量限度効果の働いた被曝線量分布を記述するため、著者らによって導入された確率分布モデルである。このモデルは、正値の確率変数Xが混成対数正規分布に従うとき、を正の定数として、enX+Xが正規分布に従うというのと同じである。本報では生体器官の成長過程を例に取り、混成対数正規分布の発生機構を示した。これは1903年にJ.C.Kapteynによって示された対数正規分布の発生機構に成長抑制のためのフィードバック機構を追加することによって得たものである。この分布は値の大きな変量の現れるのをそれだけ厳しく管理する状態で発生することを示し、さらに工学的適用例として、フィードバック機能を各段に持つ多段信号増幅系の出力監視や計算機の巨大利用の抑制、または休止時間の長い機器の監視などに適用し得ることを示した。
伊藤 精; 熊沢 蕃; 西 健雄; 沼宮内 弼雄
保健物理, 17, p.443 - 449, 1982/00
速中性子フィルム中の反跳陽子飛跡測定による速中性子線量当量を評価する場合の、検出限界線量当量の評価法を検討した。飛跡の検出限界数の推定にはポアソン分布を適用するとともに、評価にさいしては速中性子に対するフィルムの感度、エネルギー依存性、潜像退行等の要因を考慮した。検討の結果、検出限界線量当量はバックグラウンド放射線の変動に影響され、その程度は計測面積に依存することが明らかになった。また、中性子を照射したフィルムの計測面積が少ない場合であっても、バックグラウンド放射線測定用の計測面積を多くすることによって、検出限界線量当量はさらに低くすることができることがわかった。これらの結果をもとにして、検出限界線量当量と中性子照射フィルムの計測面積との関係をエネルギー依存性と潜像退行の効果を考慮して求めた。
熊沢 蕃; 沼宮内 弼雄
Health Physics, 41(3), p.465 - 475, 1981/00
被引用回数:26 パーセンタイル:92.17(Environmental Sciences)原子力の普及にともない、職業被曝の統計分布が問題にされるようになって来た。ICRP26でもこれに対数正規分布を適用する立場をとっている。しかし、高い被曝者は線量限度を設定して管理されるので、その出現頻度は対数正規分布に従わなくなる。本論文はこのような線量限度効果を示す被曝線量分布を解析するため混成対数正規分布と名付ける理論分布を提案するとともに、この分布の適用例について報告したものである。混成対数正規分布は被曝メカニズムに関する現実的な仮定から導き、ここではこの分布の性質や分布の3つの助変数の推定法などを示した。この方法を米国原子力規制委員会の公表した職業被曝データの解析に適用した結果、このデータは対数正規分布よりも混成対数正規分布の方にはるかによく適合することが知られた。
熊沢 蕃; 伊藤 精; 西 健雄; 沼宮内 弼雄
保健物理, 16(2), p.141 - 144, 1981/00
原研における年間全身被曝線量の分布則性をK.Pearsonの検定および尤度比検定により検討したものである。危険率5%として次のことが知られた。 1.年間全身被曝線量分布の対数正規分布への適合度は、フィルムバッジ全使用者に対して否定される傾向が見られるのに対して、検出限界線量以上の被曝者に対しては否定されない傾向が見られた。 2.年間最大全身被曝線量分布の二重指数分布への適合度は否定されなかった。 3.年度別の年間全身被爆線量の最大値対平均値の比の分布の対数正規分布への適合度はフィルムバッジ全使用者にたいしては否定されなかったのに対して、検出限界線量以上の被曝者に対しては否定された。
熊沢 蕃
JAERI-M 8783, 38 Pages, 1980/03
NTAフイルムの自動測定法として、多値レベルのデジタル画像から抽出した飛跡線分要素の合成処理法を示した。この方法の特徴は、飛跡の向きや断点に依存せず、飛跡を飛跡線分要素の集まりとして検出するように、飛跡方向との類似性や線分要素間の連結性を調べ、飛跡に沿った抽出線分要素を次々と連結していくことにある。大きなデジタル画像では、小画像ごとの合成処理と小画像間の結合処理を行って、各飛跡の全長にわたる線分要素の集まりを求める。NTAフイルムの顕微鏡写真から得た、濃度値127の364323画素のデジタル画像を、8個の小画像に分割して本方法を通用した結果、どの方向の飛跡も抽出線分要素から正しく合成できることが知られた。
熊沢 蕃; 松井 浩
保健物理, 15(2), p.101 - 109, 1980/00
保健物理分野の統計解析で、高い値の管理データが得られる割合や傾向を把握することは、測定データの妥当性を評価し、かつ管理方式を検討する上で重要である。本論では上記の割合や傾向を解析する上で問題となる点を考察した。先ず、正規,対数正規,二重指数,対数二重指数の4つの確率分布の特徴や相互関係を示し、これらのいくつかの適用例を示した。その後、上記の問題点を検討して次の結論を得た。(1)累積百分率の計算法や対数目盛の確率変数軸の取り方で確率紙から求めた上側確率はかなり影響を受ける。(2)年間被曝の最大値は二重指数分布に従うのに対し、一定期間や区域の汚染データの最大値は対数二重指数分布に従う。(3)管理データを大きさ順に並べて、順位による減少傾向を見ると、被曝データでは順位の指数関数,汚染データでは順位のベキ関数で表わされる。
西 健雄; 熊沢 蕃; 伊藤 精; 沼宮内 弼雄
保健物理, 15(2), p.111 - 118, 1980/00
原研における被曝の特徴を明らかにするとともに将来の被曝を予測するため、年間全身被曝線量分布について各種被曝統計解析をおこない、下記の結論をえた。(1)年間全身被曝線量分布は、対数正規分布則にしたがう。(2)年度別の年間最大全身被曝線量分布は、二重指数分布則にしたがう。この結果より、年間3remおよび4remを超える年間最大被曝者の出現年度割合は、それぞれ20年間に1回程度および100年間に1回程度と推定される。(3)年度別に年間全身被曝線量の最大値を平均値で割った値の分布は、対数正規分布則にしたがう。(4)年度毎の年間最大全身被曝線量を大きさの順にならべると、線量の大きさは順位の指数関数として表わすことができ、11番目ごとにその線量は1/eに減少する。
西 健雄; 伊藤 精; 熊沢 蕃; 沼宮内 弼雄
保健物理, 15(2), p.129 - 133, 1980/00
フィルムバッジの線に対するエネルギー依存性を改善する目的で、錫(1mmt)と鉛(0.5mmt)の金属板を重ね合わせたフィルタに直径1mmの貫通小穴を2mm等間隔にあけたエネルギー補償型フィルタを作成した。このフィルタの内側にアクリル板(3mmt)を接着した試作バッジケースの線に対するエネルギー依存性は、30keVから1.25MeVのエネルギー範囲まで、Coの線のフィルム感度を基準として、0.9から1.4の間に平坦化することができた。この実験で得られたエネルギー依存性は、ポケット線量計(国産)の特性より優れ、熱ルミネッセンス線量計(LiF)とほぼ同様な結果である。
熊沢 蕃
JAERI-M 8085, 24 Pages, 1979/02
NTAフイルムの測定を自動化する一環として、濃淡レベルのあるデジタル画像から飛跡の線分要素を抽出する方法を示した。この方法の特徴は背景部分の画素の濃淡レベルが移動しても、飛跡の細線要素を抽出できるように、各画素でその周辺の画素と比較しながら細い線分要素があるか否かを判定していくことにある。飛跡のある顕微鏡写真を7ビット/画素で364323画素のデジタル画像にした後、ここで述べる方法でこの画像データを処理した結果、この方法は飛跡画素のみを主として抽出することが知られた。また、この方法は暗い背景にある飛跡でも明るい背景にある飛跡でも、いずれの飛跡画素をも抽出することが知られた。
熊沢 蕃; 吉田 芳和; 山口 彦之*
Environ.Exp.Bot., 19(3), p.231 - 232, 1979/00
被引用回数:1市川・高橋の論文「Somatic mutations in Tradescantiaetamen hairs exposed to ethyl methanesulfonate」,Environ.Exp.Bot.18,19-25(1978)の中でムラサキツユクサの突然変異率に対する標準誤差の計算に誤りのあることを指摘した Short communication である。彼らの計算法では2つの統計量の差に対する標準誤差がもとのいずれの標準誤差より小さくなっている例がいくつか見られる。この計算を一般の統計手法に従って行って見ると、線量の低い領域での突然変異の発生はどちらかというと彼らの結果ほどはっきりしたものではないことが知られた。
熊沢 蕃
電子通信学会論文誌,A, 61(8), p.774 - 781, 1978/08
本論は、方向依存性のある器官線量を精度よく評価する上で必要とされる、少数のデータに基づく有限球面調和展開法に関する。従来、この種の展開は地球物理学上のデータ解析に用いられているが、従来の展開法による各項は必ずしも一次独立ではない。従って、少数のデータを用いて一次連立方程式により展開係数を一義的に求めることができない。本論では、実験データの取り易い「球面格子点」を天頂角、方位角をそれぞれ等分した交点のセットと定義し、このセットに関して一次独立な球面調和関数を誘導することにより、その展開形を明らかにした。この他のセットについても検討を行っている。あらゆる内挿点で同じ値をもたらす球面格子点に関する球面調和展開と2次元フーリェ展開の関係も検討されている。本展開法は従来のものより高い次数の項を含む特徴がある。本展開法により器官線量データの球面調和展開が可能となり、又他への適用も化膿。