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論文

Mutator alleles of yeast DNA polymerase $$zeta$$

坂本 綾子; Stone, J. E.*; Kissling, G. E.*; McCulloch, S. D.*; Pavlof, Y. I.*; Kunkel, T. A.*

DNA Repair, 6(12), p.1829 - 1838, 2007/12

酵母REV3遺伝子は、Bファミリーポリメラーゼのメンバーであり誤りがちなDNA合成を行うことが知られている、DNAポリメラーゼ$$zeta$$ (pol $$zeta$$)の触媒サブユニットをコードしている。われわれは、pol$$zeta$$の機能解析を行うため、pol$$zeta$$の活性中心付近で高度に保存されているロイシン(L979)を置換した6種の突然変異体を作成した。L979をグリシン,バリン,アスパラギン,リシン,メチオニン、又はフェニルアラニンに置換した場合、いずれも突然変異頻度が上昇することがわかった。なかでも、ロイシンをフェニルアラニンに置換した変異体(rev3-L979F)及びメチオニンに置換した変異体(rev3-L979M)は、正常な生存率を示し、pol$$zeta$$の活性が失われていないことが予想された。これらの変異体における紫外線誘発突然変異の頻度は、紫外線損傷をバイパスするpol$$eta$$を欠失させると、さらに上昇した。また、can1遺伝子座における突然変異スペクトルを見ると、rev3-L979Fとrad30$$Delta$$rev3-L979Fでは、塩基置換変異や複合的な変異が最も多かった。rev3-L979Fとrev3-L979Mは野生型酵母に比べて自発的な突然変異率が2倍ほど高く、CからGへのトランスバージョンと複合的な変異が2から8倍ほど上昇していた。このことから、rev3-L979F変異はpol$$zeta$$のDNA合成時の忠実度を低下させることが明らかになり、ファミリーBポリメラーゼの活性中心に位置するロイシン残基がポリメラーゼ$$zeta$$の複製忠実度の決定に不可欠であることが証明された。

口頭

Analysis of the DNA polymerase $$zeta$$ active site mutants in yeast

坂本 綾子; Pavlov, Y. I.*; Kunkel, T. A.*

no journal, , 

DNAポリメラーゼ・ゼータ(ポル・ゼータ)は、ほとんどすべての真核生物に存在し、誤りがちな損傷乗り越え複製にかかわっていると考えられている。ポル・ゼータを欠失した酵母は、自然突然変異率及び紫外線誘発突然変異率がともに低下する。しかし、ポル・ゼータによる損傷バイバス機構や突然変異誘発機構については不明な点が多い。そこで、ポル・ゼータの突然変異誘発における機能を解明するために、今回われわれはポル・ゼータの活性中心部にアミノ酸置換の導入を試みた。DNAポリメラーゼ・アルファを用いた研究により、真核生物のB型ポリメラーゼのpalmサブドメインにあるロイシン残基が、ポリメラーゼの複製忠実度を維持するうえで非常に重要であることが報告されている。そこで、われわれは、ポル・ゼータの活性中心部で同じ位置に保存されているロイシンを他のアミノ酸残基に置き換え、突然変異率に及ぼす影響を酵母細胞を用いて調べた。作成したアミノ酸置換変異体のうち、rev3-L979M及び rev3-L979Fと名付けた2系統は、野生型系統と同程度の紫外線感受性を示したが、紫外線によって、より多くの突然変異を誘導することが明らかになった。このことから、ロイシンからメチオニン又はフェニルアラニンへの置換が、ポル・ゼータの酵素活性に影響を与えることなく、複製忠実度のみを特異的に低下させることが明らかになった。rev3-L979M及びrev3-L979F系統の高い変異誘発性は、真核生物のゲノム安定化機構におけるポル・ゼータの役割を解析するうえで、非常に有用なツールとなりうるだろう。

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