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白石 裕太*; 松谷 悠佑; 楠本 多聞*; 福永 久典*
Physics in Medicine & Biology, 69(1), p.015017_1 - 015017_14, 2024/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.05(Engineering, Biomedical)超高線量率照射( 40Gy/sec)を使用するFLASH放射線療法(FLASH-RT)は、従来の高線量率( 6Gy/min)を用いた治療(CONV-RT)と比較し、正常組織の機能を温存することが期待できる新たな治療法として知られる。FLASH-RTによる照射中では、放射線飛跡間の相互作用により生じる化学過程の変調が正常組織の機能保存の主要因であることが提案されているが、化学過程の変化と細胞応答の関係性は未だ解明されていない。そこで本研究では、超高線量率照射下における化学過程と初期応答であるDNA損傷発生数の関係を考慮した予測モデル(integrated microdosimetric-kinetic (IMK) model for FLASH-RT)を開発し、細胞応答メカニズムの研究を行った。その結果、化学過程依存的に変化するDNA損傷収率を考慮した本モデルにより、さまざまな細胞株タイプに対するCONV-RTとFLASH-RTの細胞殺傷効果の実測値の再現に成功した。本成果は、FLASH-RT照射後の細胞応答メカニズムの理解と治療効果の高精度な予測に貢献することが期待される。
松谷 悠佑; 吉井 勇治*; 楠本 多聞*; 赤松 憲*; 平田 悠歩; 佐藤 達彦; 甲斐 健師
Physics in Medicine & Biology, 19 Pages, 2023/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.05(Engineering, Biomedical)水の放射線分解における化学生成物の時間依存性は、電離放射線へ被ばくした後のDNA損傷応答を評価する際に重要な役割を果たす。粒子および重イオン輸送コードシステム(PHITS)は、放射線輸送のための汎用モンテカルロシミュレーションコードであり、物理過程であるイオン化や電子励起などの原子相互作用を計算することができる。しかし、水の放射線分解生成物をシミュレートするための化学コードはPHITSパッケージには存在しない。本研究では、電子線による水の放射線分解生成物(OHラジカル、e、H、HOなど)のG値を計算できるPHITS専用の化学シミュレーションコード(PHITS-Chemコード)を開発した。その結果、開発したPHITS-Chemコードは1 sまでのG値の測定値や他のシミュレーション値と一致することが確認できた。また、このコードは、OHラジカルスカベンジャー存在下での様々な化学生成物のシミュレーションや、DNA損傷誘発に対する直接的および間接的な影響の寄与を分析にも役立つ。このコードは原子力機構が主となり開発を進めるPHITSパッケージに内包され、8000名以上のユーザーに提供される予定である。
松谷 悠佑; 楠本 多聞*; 谷内 淑恵*; 平田 悠歩; 三輪 美沙子*; 石川 正純*; 伊達 広行*; 岩元 洋介; 松山 成男*; 福永 久典*
AIP Advances (Internet), 12(2), p.025013_1 - 025013_9, 2022/02
被引用回数:4 パーセンタイル:59.24(Nanoscience & Nanotechnology)ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy: BNCT)は、腫瘍細胞選択的にホウ素薬剤を集積させ、Bと熱中性子の核反応から発生する線やLiイオンを利用して、腫瘍細胞に効率的に治療する放射線療法である。近年開発の進む加速器型(病院設置型)中性子源により、将来的に数多くの医療施設でBNCTが普及すると期待されている。加速器型中性子源で、BNCTに用いる熱外中性子はLi(p,n)Be反応により生成する。様々な種類の放射線や粒子の挙動を模擬できる放射線輸送計算コードPHITSでは、近年の改良により、日本国内の評価済み核データライブラリー(JENDL-4.0/HE)を使用してLi(p,n)Be反応からの中性子生成の推定が可能となった。本研究では、病院設置型BNCTの治療効果の評価へ向けて、PHITSで考慮されている中性子発生断面積や中性子エネルギー分布の基礎的検証を行った。さらに、熱中性子や反跳陽子の発生数 を試算し、BFガス計数管や固体飛跡検出器CR-39の測定値と比較した。その結果、これらの検証により、PHITSコードがLiターゲットを使用して加速器から生成された中性子を正確に予測できることを確認した。この成果は、PHITSコードが加速器型中性子場の正確な評価と加速器型BNCTの治療効果の予測に有用であることを示すものである。
楠本 多聞*; 松谷 悠佑; 馬場 健太郎*; 小川原 亮*; Akselrod, M. S.*; Harrison, J.*; Fomenko, V.*; 甲斐 健師; 石川 正純*; 長谷川 純崇*; et al.
Radiation Measurements, 132, p.106256_1 - 106256_4, 2020/03
被引用回数:6 パーセンタイル:60.71(Nuclear Science & Technology)Cu-64を使用した放射線内用療法は、放出される低エネルギーオージェ電子によって腫瘍細胞にエネルギー付与を集中させる。先行研究では、Cu-64水溶液を蛍光固体飛跡検出器(FNTD)の表面に付着させることで、FNTD表面におけるオージェ電子のエネルギー付与の検出に成功した。一方、核種より放出される放射線にはベータ線や陽電子も含まれるため、オージェ電子の寄与率については不明瞭ある。本研究では、放射線粒子輸送計算コードPHITSならびにGEANT4を用いてFNTD内の深部線量分布を定量的に解析し、オージェ電子がもたらす空間線量分布について評価した。PHITSとGEANT4により計算された深部線量分布はほぼ等価であり、FNTDを用いた実測値と良い一致を示した。一方で、Cu-64線源から放出されるオージェ電子を無視したPHITSの計算結果では、FNTD表面近くで実測により確認されたエネルギー付与を適切に再現することができなかった。この結果より、オージェ電子がCu-64線源近傍の腫瘍細胞に高い殺傷効果を誘導し、線源から離れた正常細胞へのダメージを最小限に抑えることが証明された。
西内 満美子; 榊 泰直; 匂坂 明人; 前田 祥太; Pirozhkov, A. S.; Pikuz, T.; Faenov, A. Ya.*; 小倉 浩一; 福田 祐仁; 松川 兼也*; et al.
no journal, ,
レーザー駆動型のイオン線は、その類稀な特徴より医療応用をはじめとして多くの応用の分野から着目を浴びている。その中の一つとして、既存の加速器へのインジェクターがある。重イオンを高エネルギーまで加速する加速器の小型化には、できるだけ電荷質量比(Q/M)が高く、高電流密度を持つイオン源が必要不可欠となる。一方、原子力機構関西研においては、高コントラスト超高強度短パルスレーザーJ-KARENを用いてレーザー駆動イオン加速研究を行っている。レーザー自身の高い電場強度によってプラズマ中のイオンは高いQ/Mを実現し、かつ同時に高エネルギーにまで加速することが可能である。最適化を行えば、既存の加速器のイオン源のみならず初段の線形加速器までの置き換えが可能となる。本講演では、薄膜と超高強度短パルス高コントラストレーザーとの相互作用によって、高エネルギーイオンの加速に成功したことについて報告する。
前田 祥太; 西内 満美子; 榊 泰直; 匂坂 明人; Pirozhkov, A. S.; Pikuz, T.; Faenov, A. Ya.*; 小倉 浩一; 福田 祐仁; 松川 兼也*; et al.
no journal, ,
原子力機構では、超高強度超短パルスレーザーと薄膜を相互作用させて高エネルギーイオン発生の研究を行っている。装置の巨大化を抑えつつ発生イオンを高エネルギー化するためには、照射条件を最適化しなければならない。最適化するパラメータの決定には、イオンと同時に発生する電子や中性子、X線の情報から、プラズマ中の物理現象を知る必要がある。そこで本研究では、レーザープラズマ相互作用で発生した電子の温度を精度よく測るために、1-200MeVのブロードバンドなスペクトル検出器を開発した。検出器は、永久磁石と蛍光板およびCCDカメラで構成される。本発表では、まず、兵庫県立粒子線医療センターにて行った4・9・12・15MeVの準単色電子を用いての蛍光板発光特性の調査結果を報告する。次に、粒子輸送モンテカルロ計算コード「PHITS」を用いた計算機上での模擬実験により、データ解析手法を検証したので報告する。
榊 泰直; 西内 満美子; 前田 祥太; 匂坂 明人; Pirozhkov, A. S.; Pikuz, T.; Faenov, A. Y.*; 小倉 浩一; 福田 祐仁; 松川 兼也*; et al.
no journal, ,
原子力機構が研究を進めているレーザー駆動イオン加速においては、高強度フェムト秒レーザーによって数十MeVのイオン加速という世界でトップクラスのイオン加速が可能な状況になっている。このエネルギー領域は、原子核反応が可能な領域であり、加速イオンを用いた小型原子核実験用レーザー加速器施設などの展開が大いに期待される。これまでに、アルミニウム薄膜(1m厚)によるレーザー駆動イオン加速実験において、レーザー照射角度(45度, 6.5度入射)をパラメータとして実験しその時発生するイオンをCR39固体飛跡検出器、電子温度計測用電子スペクトロメータなどと共に、中性子をNE213液体シンチレータ, He中性子検出器,積算線量計等を用いて計測してきたが、その結果をシミュレーション解析し、物理的な現象解明を進めた上でその進捗を報告する。
松谷 悠佑; 甲斐 健師; 吉井 勇治*; 楠本 多聞*; 赤松 憲*; 平田 悠歩; 佐藤 達彦
no journal, ,
細胞死や突然変異などの放射線影響の発生メカニズムの解明には、それら初期過程である原子間相互作用(物理過程)やラジカル反応(化学過程)の評価が重要である。近年、粒子・重イオン輸送汎用モンテカルロコードであるPHITSコードでは、それら過程を詳細に模擬するシミュレーションコードを開発した。そこで本発表では、人体における放射線の物理過程が計算可能な飛跡構造解析モード(PHITS-ETS・PHITS-KURBUCモード)、ならびにラジカルの生成・拡散・反応が指定可能なケミカルコード(PHITS-Chemコード)の特徴や開発状況について紹介する。本発表により、生命科学や医療分野における放射線影響の正確な理解のみならず、原子力工学への一層の応用も期待できる。