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堀川 大樹*; 山口 理美*; 坂下 哲哉; 田中 大介*; 浜田 信行*; 行弘 文子*; 桑原 宏和*; 國枝 武和*; 渡邊 匡彦*; 中原 雄一*; et al.
Astrobiology, 12(4), p.283 - 289, 2012/04
被引用回数:23 パーセンタイル:68.76(Astronomy & Astrophysics)クマムシの乾燥休眠状態である卵の孵化率について、宇宙空間の特徴的な極限環境要因である放射線(Heイオン線),極低温,高真空に対する耐性を調べた。その結果、50%が孵化できない線量が約500Gy, -196度に曝されても70%以上が孵化し、610Paの高真空においた後でも孵化することができることがわかった。以上の結果から、宇宙空間であってもクマムシの耐性能力により、乾眠状態であるならば、存在できる可能性が示唆された。
桑原 宏和*; 阿部 渉*; 鳴海 一成; 國枝 武和*
no journal, ,
クマムシは乾燥すると脱水し乾眠状態へと移行し、その状態ではさまざまな極限環境耐性を示す。しかし、このようなクマムシの耐性機構のほとんどはわかっていない。ヨコヅナクマムシの成体は茶色を呈するが、飼育を継続する過程でアルビノ変異体を単離した。耐性実験によりアルビノ変異体は野生型と同様に乾燥耐性を有し、電離放射線や紫外線に対する耐性は野生型より弱いことが明らかとなった。以上の結果から、ヨコヅナクマムシの放射線,紫外線耐性に、細胞内に存在する色素が関与する可能性が示唆された。
桑原 宏和*; 阿部 渉*; 鳴海 一成; 國枝 武和*
no journal, ,
極限環境耐性を持つクマムシの1種であるヨコヅナクマムシは、飼育が比較的容易であり、ゲノム解析が進んでいることから、耐性機構の分子生物学的解析に適している。ヨコヅナクマムシの成体は茶色を呈するが、大量の飼育を継続する過程で、これまでに茶色の色素を欠失したアルビノ変異体を単離した。今回はアルビノ変異体の極限環境耐性を野生型と比較した結果について報告する。乾燥耐性を調べるため、アルビノと野生型15匹ずつ相対湿度33.8%で2日間乾眠誘導し、給水後の復帰率を測定した。その結果アルビノは野生型と同様にほぼすべての個体が乾眠から復帰した。よって乾燥耐性は両者で同程度であると考えられる。次に放射線,紫外線耐性を調べるため、活動状態のアルビノと野生型15匹ずつに2, 4, 6kGyの線、10, 30, 60分間の紫外線を照射した後の生存率を測定した。その結果、野生型がすべての条件でほぼ100%生存したのに対し、アルビノ変異体は6kGyの線照射で約60%、紫外線30, 60分間の照射で約60%, 40%と生存率が顕著に低下した。以上の結果はアルビノ変異体の放射線,紫外線耐性が野生型よりも弱いことを示している。ヨコヅナクマムシの色素は放射線,紫外線耐性に寄与していると考えられ、紫外線の吸収や、放射線照射により発生するラジカルの除去などに関与している可能性がある。
桑原 宏和*; 豊田 敦*; 阿部 渉*; 鳴海 一成; 國枝 武和*
no journal, ,
極度の乾燥や放射線などは多くの生物にとって致死的である。一方、ある種のクマムシは周囲が乾燥すると脱水し乾眠状態へと移行し、給水後速やかに活動を再開する。また活動状態でもヒトの致死量の千倍程度の放射線に耐性を示す。しかしながら、このようなクマムシの極限環境耐性機構の多くは明らかとなっていない。in vivoの機能解析では遺伝学は強力なツールであるが、クマムシでは遺伝マーカーの不足に加え、単為生殖を行う種も多く、遺伝学の適用は困難であった。近年のシーケンス能力の向上により、野生型のゲノムと比較し変異体の変異遺伝子の同定が可能となっている。われわれは極限環境耐性動物ヨコヅナクマムシのゲノムを解析中であり、耐性能が変化した変異体を作出し次世代シーケンサーにより変異遺伝子を同定することで極限環境耐性機構を解明できると考えられる。ヨコヅナクマムシ成体は茶色を呈するが、われわれは飼育過程で色素を欠失したアルビノ変異体を発見した。アルビノ変異体は先に述べた変異体解析のモデルケースとして利用可能と考えられた。そこで、今回ヨコヅナクマムシにおけるアルビノ変異体の解析について報告する。