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岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太*; 西尾 勝久; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; et al.
EPJ Web of Conferences, 284, p.01023_1 - 01023_4, 2023/05
加速器駆動システム(ADS)の核特性予測精度の向上と京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)におけるADS炉物理実験で用いる中性子源情報の取得を目的として、京都大学の固定磁場強集束(FFAG)加速器を用いた核データ測定実験プログラムを開始した。このプログラムの一環として、鉄,鉛及びビスマスに対する陽子入射二重微分中性子収量(TTNY)及び断面積(DDX)を測定した。測定では、真空チェンバ内に設置された標的試料に107MeVの陽子ビームを照射し、核反応によって標的から発生した粒子の信号を、小型の中性子検出器を用いて検出した。検出信号とFFAGキッカー電磁石の信号の時間差から飛行時間(TOF)を求め、ガンマ線の事象を波形弁別法によって除去して中性子事象をカウントすることで中性子のTOFスペクトルを求めた。得られた中性子のTOFスペクトルから、相対論的運動学によりTTNY及びDDXを求めた。実験で得られたTTNY及びDDXを、モンテカルロ輸送計算コードPHITSによる計算と比較し、PHITSに組み込まれた核反応モデル及び評価済み核データライブラリJENDL-4.0/HEの妥当性を検証するとともに、PHITSによる計算の予測精度を評価した。
岩元 大樹; 中野 敬太*; 明午 伸一郎; 竹下 隼人; 前川 藤夫
EPJ Web of Conferences, 284, p.01033_1 - 01033_4, 2023/05
加速器駆動核変換システムの研究開発で重要となるビスマス標的に対する核種生成断面積の測定実験を行った。実験は、J-PARCの陽子ビームを用いて、0.4, 1.5及び3.0GeVの陽子ビームをビスマス標的試料に照射し、核種生成断面積を放射化法により導出した。本実験で新たに取得した計50核種127個の核種生成断面積データを最新の核反応モデル(INCL++/ABLA07及びINCL4.6/GEM)による計算結果及び評価済み核データライブラリJENDL/HE-2007の評価値と比較した。比較の結果、INCL++/ABLA07は総じて実験値を再現する一方で、INCL4.6/GEMは核分裂片に対する実験値を過小評価する等の知見が得られた。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太; 西尾 勝久; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(4), p.435 - 449, 2023/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発及び京都大学臨界実験装置(KUCA)におけるADS未臨界炉物理の基礎研究を目的として、固定磁場強収束(FFAG)加速器を用いて107MeV陽子による鉄、鉛及びビスマス標的に対する二重微分中性子収量(TTNY)を測定した。TTNYは8個の中性子検出器(各検出器は小型のNE213液体有機シンチレータと光電子増倍管より構成される)からなる中性子検出器システムを用いて飛行時間法により得られたものである。測定で得られたTTNYを、粒子・重イオン輸送コードシステム(PHITS)に組み込まれたモンテカルロ法に基づく核破砕反応モデル(INCL4.6/GEM, Bertini/GEM, JQMD/GEM, JQMD/SMM/GEM)及び評価済み高エネルギー核データライブラリ(JENDL-4.0/HE)による計算結果と比較した。JENDL-4.0/HEを含む比較対象のモデルは、検出器角度5度における高エネルギーピークを再現しないなどの特徴的な不一致が見られた。測定で得られたTTNYとPHITSによって評価した20MeV以下のエネルギー及び角度積分中性子収率を比較した結果、INCL4.6/GEMがKUCAにおけるADS炉物理実験のモンテカルロ輸送シミュレーションに適していることが示された。
宮原 信哉*; 有田 裕二*; 中野 敬太; 前川 藤夫; 佐々 敏信; 大林 寛生; 武井 早憲
Nuclear Engineering and Design, 403, p.112147_1 - 112147_17, 2023/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Nuclear Science & Technology)通常運転時と事故時の両方の場合における放射線障害の安全性研究のために、加速器駆動システム(ADS)の鉛ビスマス共晶(LBE)冷却システムにおけるポロニウム210を含む核破砕生成物(SP)のインベントリと放出および輸送挙動を評価することが重要である。福井大学と日本原子力研究開発機構(JAEA)は、多様な運転状況におけるADSのLBE冷却システム内のSPの時間依存挙動を予測するコンピューター解析コードTRAIL(Transport of Radionuclides In Liquid metal systems)を開発している。LBE冷却材中の放射性SPと安定SPの両方のソースタームが入力として与えられ、放射性SPの放射性崩壊連鎖モデルがコードに実装され、SPの移動性が評価される。本論文では、最近のコード開発の進捗状況と検証結果を、MEGAPIE破砕ターゲットにおける揮発性SPの分布データと比較して示す。
前川 藤夫
量子ビーム科学の基礎と応用; NSAコメンタリーシリーズ, No.27, p.15 - 25, 2023/03
量子ビームの産業応用の中でも特に我々人類にとって有益と考えられる核変換技術について解説する。
Yee-Rendon, B.; 近藤 恭弘; 田村 潤; 中野 敬太; 前川 藤夫; 明午 伸一郎; Jameson, R. A.*
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.499 - 502, 2023/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)は、放射性廃棄物の有害度低減のため、30MWの陽子線形加速器(linac)を用いた加速器駆動未臨界システム(ADS)を検討している。ADSの大強度陽子加速器の開発おいて、極めて高い信頼性を有する高周波四重極加速器(RFQ)の開発が重要となる。本RFQは、20mAの陽子ビームを取り込み、空間電荷効果の厳しい35keVから2.5MeVのエネルギーまで加速させる。RFQの設計では、エミッタンスの増大とコンパクト化するために、等分割(EP)ビームスキームを採用した。その結果、ビームハローの発生を最小限に抑え、超伝導リニアック下流部の最適化を可能にした。低いKilpatrickファクター(1.2)の採用により、本RFQはベーン上における表面放電の可能性を抑え、高い安定性を達成した。本発表では、RFQの設計とその結果に関して議論する。
Yee-Rendon, B.; 近藤 恭弘; 田村 潤; 中野 敬太; 前川 藤夫; 明午 伸一郎
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.179 - 183, 2023/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)では、マイナーアクチニドなど有害度低減のため、加速器駆動未臨界システム(ADS)の開発を進めている。JAEA提案型のADS(JAEA-ADS)では、30MWの陽子ビームを鉛ビスマス共晶(LBE)核破砕ターゲットに導入し、未臨界炉体系の炉心において中性子を生成する。未臨界体系に陽子を導入するビーム輸送系(BT)は、ビーム窓などの機器に高い熱応力がかからないよう、適切なビーム形状と安定なビームパワーを供給する必要がある。ビーム輸送系は、ビーム損失を軽減し、誤差があっても高い安定性を保ち、かつ輸送系の長さの要求を満たすために、多数のマクロ粒子を追跡して最適化した。本研究では、JAEA-ADSのビーム輸送系の設計とそのビームダイナミクス研究に関して紹介する。
Yee-Rendon, B.; 近藤 恭弘; 田村 潤; 中野 敬太; 前川 藤夫; 明午 伸一郎
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.286 - 290, 2023/01
日本原子力研究開発機構(JAEA)は、加速器駆動未臨界システム(ADS)を提案している。この基本コンポーネントの1つとして、30MWの陽子線形加速器(リニアック)を設計している。ADSの加速器には、未臨界原子炉構造の停止に伴う熱応力回避のために、非常に高い信頼性と可用性が要求される。加速器の信頼性および駆動率評価では、設計におけるラティスの脆弱性を見出し、要求される運転を満足できる冗長構成を持つことと、これらの評価が必須となる。本研究では、信頼性ブロック図(RBD)法を適用し、候補となる様々なリニアック構成における平均故障間隔(MTBF)を計算で評価した。対象とする構成は、全リニアック直列構成、低エネルギー部のホットスタンバイ構成、及び高エネルギー部のk-out-nの冗長性を持つ構成とした。本検討では、リニアックのラティスを構成する空洞と磁石の詳細な配置を考慮した。本報告では、高い信頼性を得るリニアックの構成モデルおよびそのMTBFの結果に関し報告するとともに、必要な稼働率に向けた運転方法に関して議論する。
前川 藤夫
JAEA-Conf 2022-001, p.7 - 13, 2022/11
分離変換技術は、高レベル放射性廃棄物の減容、有害低減のための有望な技術である。原子力機構では、加速器駆動システム(ADS)と組み合わせで文永変換技術を開発している。ADSの実現可能性に影響を与える重要課題の1つに、加速器と未臨界炉心の境界をなす陽子ビーム窓がある。陽子ビーム窓は、高強度の陽子ビームと標的で生成した核破砕中性子、および鋼材に対し腐食性を有する高温の液体鉛ビスマス共晶合金の流動によって損傷を受ける。J-PARCでは、ADS環境下での材料損傷研究のため、400MeV、250kWの陽子ビームを入射する液体鉛ビスマス核破砕ターゲットを備えた陽子ビーム照射施設を計画している。本施設は、半導体デバイスのソフトエラー試験,RI製造,核分裂および核融合炉のための材料照射など、多様な目的にも利用できる。陽子ビームや核破砕中性子を使った核データ研究への応用も多様な用途の一つであり、核データコミュニティからの優れたアイデアを歓迎する。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; 八島 浩*; 西尾 勝久; et al.
JAEA-Conf 2022-001, p.129 - 133, 2022/11
加速器駆動システム(ADS)の核特性予測精度の向上と京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)におけるADS炉物理実験で用いる中性子源情報の取得を目的として、京都大学の固定磁場強集束(FFAG)加速器を用いた核データ測定実験プログラムを開始した。このプログラムの一環として、鉄に対する陽子入射二重微分中性子収量(TTNY)及び断面積(DDX)を測定した。測定では、真空チェンバ内に設置された鉄標的に107MeVの陽子ビームを照射し、核反応によって標的から発生した粒子の信号を、小型の中性子検出器を用いて検出した。検出信号とFFAGキッカー電磁石の信号の時間差から飛行時間(TOF)を求め、ガンマ線の事象を波形弁別法によって除去して中性子事象をカウントすることで中性子のTOFスペクトルを求めた。得られた中性子のTOFスペクトルから、相対論的運動学により鉄標的に対するTTNY及びDDXを求めた。
Yee-Rendon, B.; 明午 伸一郎; 近藤 恭弘; 田村 潤; 中野 敬太; 前川 藤夫; 岩元 大樹; 菅原 隆徳; 西原 健司
Journal of Instrumentation (Internet), 17(10), p.P10005_1 - P10005_21, 2022/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Instruments & Instrumentation)日本原子力研究開発機構では、放射性廃棄物の有害度低減のため、超電導線形加速器(リニアック)による陽子ビーム(出力30MW)を未臨界炉中の標的に入射する加速器駆動核変換システムを開発している。本システムでは熱出力800MWとなる未臨界炉を陽子リニアックで駆動するため、炉内の核破砕中性子ターゲットにビームを供給する。ターゲットへのビーム輸送系には、ビーム窓の健全性を確保するために、高出力ビームにおける安定性と電流密度の低減化が要求される。さらに、燃料やビーム窓の保守・交換のために、原子炉の設計と互換性のある設計が必要である。非常に多くの粒子シミュレーションにより、堅牢でコンパクトなターゲットへのビーム輸送系を開発した。ビーム光学系を最適化により、必要となる0.3A/mm
以下のビーム窓における電流密度を実現し、ビーム窓の実現可能性を保証した。リニアックに入力するビームの誤差と加速器要素の誤差に起因する、炉内に入射するビームの誤差評価を行うとともに、改善策を考案した。さらに、加速器の信頼性向上のため、リニアックの故障時における高速補償を適用し、この補償による炉内入射ビームの誤差の影響も評価した。この結果、本研究によるターゲットへのビーム輸送系は、JAEA-ADSの要求を満足することが示された。
竹下 隼人*; 明午 伸一郎; 松田 洋樹*; 岩元 大樹; 中野 敬太; 渡辺 幸信*; 前川 藤夫
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 527, p.17 - 27, 2022/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Instruments & Instrumentation)加速器駆動核変換システム(ADS)等における核設計の高度化のため、NiとZrについて数GeVエネルギー領域における陽子入射の核種生成断面積測定を行い、核設計に用いる計算コードPHITSによる計算値やJENDL/HE-2007等との比較検討を行った。
Yee-Rendon, B.; 近藤 恭弘; 田村 潤; 中野 敬太; 前川 藤夫; 明午 伸一郎
Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 25(8), p.080101_1 - 080101_17, 2022/08
被引用回数:1 パーセンタイル:47.37(Physics, Nuclear)加速器駆動未臨界システム(ADS)の運転では、加速器の高い信頼性と可用性を確保すること重要となり、原子力研究開発機構(JAEA)では、熱出力800MW級の未臨界炉に核破砕反応によって中性子を供給する30MW級の超伝導陽子線加速器(リニアック)を設計している。ADSリニアックの大きな課題は、未臨界炉の構造物に熱応力による疲労の抑制のために、ビーム停止時間の最小化とその頻度の抑制のための制御となる。本研究では、ホットスタンバイと局所補償を組み合わせて、高速なビームリカバリーを実現した。超伝導空洞や電磁石の故障に対する局所補償について、リニアックにおけるラティスの耐性を総合的に検討した。独立したクライオモジュール内の複数の空洞を同時の補償により、リニアックの信頼性を大幅に向上できることを示した。さらにビームダイナミクスの検討を行い、リニアックの健全性を確保できることを示し、ターゲットへのビーム輸送輸送部およびビーム窓において必要なビーム安定性などを補償できることを示した。
前川 藤夫
プラズマ・核融合学会誌, 98(5), p.201 - 205, 2022/05
核変換技術は、原子力発電に伴い発生する「核のゴミ」問題の有力な解決手段である。大強度加速器と未臨界炉心を組み合わせた加速器駆動システム(ADS)は、核変換を行うための有望なツールである。本稿では、ADSによる核変換の意義と原理、ADSの設計例、核変換を含む分離変換技術とその効果、必要とされる大強度加速器の性能、海外の動向等について解説する。
前川 藤夫; 武井 早憲
プラズマ・核融合学会誌, 98(5), p.206 - 210, 2022/05
加速器駆動核変換システム(ADS)の開発にあたっては、大強度陽子ビームに耐える材料の開発や陽子ビームで駆動される未臨界炉心の特性評価等、陽子ビームに関わる技術課題を解決する必要がある。そこで大強度陽子加速器施設J-PARCでは、実際に大強度の陽子ビームを利用した各種試験を行う核変換実験施設が検討されている。本稿では核変換実験施設の概要と今後の方向性について紹介する。
Yee-Rendon, B.; 近藤 恭弘; 田村 潤; 明午 伸一郎; 前川 藤夫
Proceedings of 64th ICFA Advanced Beam Dynamics Workshop on High Intensity and High Brightness Hadron Beams (ICFA-HB2021) (Internet), p.30 - 34, 2022/04
原子力機構(JAEA)では、核廃棄物の有害度低減のための加速器駆動未臨界システム(ADS)の研究開発に取り組んでおり、ビーム電流20mAの30MWのCW陽子線形加速器(LINAC)を設計を進めている。本LINACは、2.5MeVのエネルギーまでの常伝導(NC)加速器で構成され、引き続き5つの超伝導(SC)セクションにより最大1.5GeVまで加速する。未臨界原子炉の熱応力を回避のため、ADSの加速器は現存の加速器より極めて高い信頼性が必要となり、LINACの設計における最大の課題となる。このため、故障時にもビーム損失の少ない運転を継続できるフォールトトレランス機能を備えた強安定設計を進めている。本発表では、LINACの高信頼性達成に向けたビームダイナミクスの結果を紹介する。
中野 敬太; 岩元 大樹; 西原 健司; 明午 伸一郎; 菅原 隆徳; 岩元 洋介; 竹下 隼人*; 前川 藤夫
JAEA-Research 2021-018, 41 Pages, 2022/03
加速器駆動核変換システム(ADS: Accelerator-Driven System)の構成要素の一つであるビーム窓の核特性を粒子・重イオン輸送計算コードPHITS及び誘導放射能解析コードDCHAIN-PHITSを用いて評価した。本研究では日本原子力研究開発機構が提案するADSの運転時にビーム窓内部に生成される水素やヘリウム等の量、高エネルギー粒子により引き起こされるビーム窓材の原子弾き出し数、ビーム窓内部の発熱量及び分布を導出した。また、中性子源標的及び冷却材として用いられる鉛ビスマス共晶合金(LBE)中の生成核種、発熱密度及び放射能分布を求めた。ビーム窓解析の結果、300日間のADSの運転によりビーム窓中に最大で約12500appmのH及び1800appmのHeの生成と62.1DPAの損傷が発生することが判明した。一方で、ビーム窓内の最大発熱量は374W/cmであった。LBEの解析では、
Biや
Poが崩壊熱及び放射能の支配的な核種であることが判明した。さらに、陽子ビームによるLBE中の発熱はビーム窓下流5cm付近が最大であり、945W/cm
であることがわかった。
中野 敬太; 松田 洋樹*; 明午 伸一郎; 岩元 大樹; 竹下 隼人*; 前川 藤夫
JAEA-Research 2021-014, 25 Pages, 2022/03
加速器駆動核変換システム(ADS: Accelerator-Driven transmutation System)の開発に資するデータとして、Be, C,
Al,
Sc, V標的に対する高エネルギー陽子入射反応による核種生成断面積の測定を行った。得られた実験値は最新の核反応モデルによる計算値や評価済み核データライブラリの値と比較を行い、その再現性について議論を行った。
竹下 隼人; 明午 伸一郎; 松田 洋樹; 岩元 大樹; 中野 敬太; 渡辺 幸信*; 前川 藤夫
JAEA-Conf 2021-001, p.207 - 212, 2022/03
加速器駆動核変換システム(ADS)などの大強度陽子加速器施設の遮蔽設計において、高エネルギー陽子入射による核破砕生成物の核種生成量予測は基礎的かつ重要な役割を担っている。しかしながら、生成量予測シミュレーションで用いられる核反応モデルの予測精度は不十分であり、核反応モデルの改良が必要である。J-PARCセンターでは実験データの拡充と核反応モデル改良を目的に、様々な標的に対して核種生成断面積の測定を行っている。本研究では、Lu標的に対して0.4, 1.3, 2.2および3.0GeV陽子ビームを照射し、放射化法により核種生成断面積データを取得した。取得したデータとモンテカルロ粒子輸送計算コードで用いられる核反応モデルと比較することで、現状の予測精度を把握するとともに核反応モデルの改良点を考察した。
岩元 大樹; 明午 伸一郎; 中野 敬太; Yee-Rendon, B.; 方野 量太; 菅原 隆徳; 西原 健司; 佐々 敏信; 前川 藤夫
JAEA-Research 2021-012, 58 Pages, 2022/01
加速器駆動システム(ADS)の核破砕標的より上部に位置する構造物の放射線遮蔽解析を実施した。解析では、モンテカルロ粒子輸送計算コードPHITS及び誘導放射能解析コードDCHAINPHITSを用い、1サイクルを300日として、熱出力800MW及びビーム出力30MWの1サイクルフル出力運転を仮定した。解析対象の構造物は、標的の真上に設置されたビームダクト、原子炉容器上部に位置するビーム輸送室及びその室内に設置するビーム輸送機器及び遮蔽体並びに天井遮蔽体とした。それぞれの構造物に対する運転中及び運転後の放射線量及び放射能量を評価し、天井遮蔽体の遮蔽構造を求めた。その結果、本検討で求めた遮蔽構造を用いることで、法令で定められる敷地境界における線量限度を十分に下回る等の知見が得られた。さらに本検討の条件では、運転後における標的真上に位置するビーム輸送室内機器付近の実効線量率は10mSv/hを超え、室内機器の保守及び交換では遠隔での作業が必須となることを示した。