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Zhao, Y.; 吉村 公男; 猪谷 秀幸*; 山口 進*; 田中 裕久*; 小泉 智*; Szekely, N.*; Radulescu, A.*; Richter, D.*; 前川 康成
Soft Matter, 12(5), p.1567 - 1578, 2016/02
被引用回数:25 パーセンタイル:81.11(Chemistry, Physical)We investigated the interplay between morphology and properties of a new graft-type of anion exchange membranes (AEMs) containing 2-methylimidazolium groups by using contrast variation small angle neutron scattering (SANS) technique. These AEMs prepared by radiation-induced grafting of 2-methyl-1-vinylimidazole and styrene into poly(ethylene-co-tetrafluoroethylene) (ETFE) films, possessed both high alkaline durability and high conductivity. The SANS measurement reveals that these membranes are consisted of three phases: crystalline lamellar and crystallite domains originating from the pristine ETFE, which offer good mechanical properties, hydrophobic amorphous domains, which offer a matrix to create conducting regions, and interconnected hydrated domains, which are composed of the entire graft chains and water and play a key role to promote the conductivity.
Nuryanthi, N.*; 八巻 徹也; 喜多村 茜; 越川 博; 吉村 公男; 澤田 真一; 長谷川 伸; 浅野 雅春; 前川 康成; 鈴木 晶大*; et al.
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 40(4), p.359 - 362, 2015/12
ナノ構造制御したアニオン交換膜を作製するため、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)膜に塩化ビニルベンジルモノマーのイオン飛跡グラフト重合を行った。低フルエンスの照射の下でグラフト率をできる限り高めるため、グラフト重合における反応媒質の影響を検討した。反応媒質として純水(HO)とイソプロピルアルコール(
PrOH)の混合液を用いた場合、560MeV
Xeビームによるグラフト率は、H
O/
PrOH比の増大とともに高くなり、H
Oのみのとき最大となった。この結果は、いわゆるゲル効果に類似した現象を考えれば理解できる。すなわち、グラフト鎖は貧溶媒の存在下で反応媒質に不溶となって凝集し、他の鎖との再結合(言い換えれば停止反応)が抑制されることに起因すると考えられる。
濱田 崇; 長谷川 伸; 深沢 秀行*; 澤田 真一; 越川 博; 宮下 敦巳; 前川 康成
Journal of Materials Chemistry A, 3(42), p.20983 - 20991, 2015/11
被引用回数:31 パーセンタイル:71.09(Chemistry, Physical)燃料電池の本格普及のため、低加湿下でのプロトン導電率と高加湿下での機械強度を併せ持つ電解質膜が不可欠である。本研究は、膜強度の高いポリ(エーテルエーテルケトン) (PEEK)に着目し、放射線グラフト重合により高いイオン交換容量(IEC)を有するPEEK-グラフト型電解質膜(PEEK-PEM)を合成することで、導電率と機械的強度の両立を目指した。IEC=3.08mmol/gのPEEK-PEMは、80Cにおいて、低加湿下(相対湿度30%)でナフィオンと同等の導電率、高加湿下(相対湿度100%)で1.4倍の引張強度(14MPa)を示した。さらに、PEEK-PEM (IEC=2.45mmol/g)を用いて作製した燃料電池は、高加湿下(相対湿度100%)でナフィオンと同等、低加湿下(相対湿度30%)でナフィオンの2.5倍の最大出力密度を示した。X線回析からPEEK-PEMは、グラフト重合中、結晶性が増加するため、高いIECを持つPEEK-PEMにおいても、高い機械的強度を示すことが明らかとなった。
雨宮 邦招*; 越川 博; 八巻 徹也; 前川 康成; 蔀 洋司*; 沼田 孝之*; 木下 健一*; 田辺 稔*; 福田 大治*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 356-357, p.154 - 159, 2015/08
被引用回数:9 パーセンタイル:64.36(Instruments & Instrumentation)広帯域波長の極低反射率材料は光エネルギー管理の分野で様々な応用が期待できるが、極低反射率を持つ素材は、機械的に壊れやすいことが問題であった。そこで本研究では、CR-39基板上へのイオントラックエッチング、その後のダイヤモンドライクカーボンコートによる微細加工技術により、新しい硬質表面光吸収体を開発した。この新規光吸収層についてスペクトルの反射率を評価したところ、400-1400nmの波長域で2%と低い反射率を示した。機械特性の評価では、エアブローやテープ剥離試験による影響がなく、機械的に硬いことが確認された。
大岡 誠; 前川 康成; 富塚 千昭; 村上 知行*; 片桐 源一*; 尾崎 博*; 河村 弘
JAEA-Technology 2015-003, 31 Pages, 2015/03
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組みが現在すすめられている。燃料デブリ取り出しのために、格納容器内を水で満たす必要があるが、いくつかの号機では冷却水の漏えいが存在し、漏えいを止めることが最重要課題になっている。福島廃炉技術安全研究所では光硬化樹脂を用いた止水方法を検討している。紫外線照射によって硬化する材料(光硬化型樹脂)を冷却水に混ぜ格納容器の損傷部に到達させ、漏えい箇所出口にて紫外線を照射して光硬化型樹脂を硬化させ損傷部を閉塞するものである。しかしながら光硬化型樹脂は元々コーティング、または塗装剤として使用されるものであり、漏えい止水への適用性は未知である。本稿は、光硬化型樹脂の水中での基本的な硬化性能を把握し、漏えい止水への適用性を検討した結果を報告するものである。
吉村 公男; 越川 博; 八巻 徹也; 猪谷 秀幸*; 山本 和矢*; 山口 進*; 田中 裕久*; 前川 康成
Journal of the Electrochemical Society, 161(9), p.F889 - F893, 2014/06
被引用回数:20 パーセンタイル:63.13(Electrochemistry)イミダゾリウムカチオンを有するグラフト型アニオン伝導電解質膜を、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)膜に-ビニルイミダゾールとスチレンを放射線グラフト重合により共重合する過程と、それに続く
-プロピル化およびイオン交換反応により作製した。得られたアニオン膜は、イオン交換容量は1.20mmol/g、導電率は28mS/cmであった。80
Cの1M KOH中での耐アルカリ性を評価した結果、浸漬250時間後でも10mS/cm以上の導電率が維持され、高い耐アルカリ性を有することがわかった。本研究のアニオン膜を用いて作製した水加ヒドラジン燃料電池において最高出力75mW/cm
を確認した。
Tran Duy, T.*; 澤田 真一; 長谷川 伸; 吉村 公男; 大場 洋次郎*; 大沼 正人*; 勝村 庸介*; 前川 康成
Macromolecules, 47(7), p.2373 - 2383, 2014/04
被引用回数:26 パーセンタイル:70.63(Polymer Science)X線小角及び超小角散乱解析を用いて、ポリエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)基材を用いたグラフト型電解質膜(ETFE-PEM)の階層構造を検討した。イオン交換容量(IEC)2.4mmol/g以下のETFE-PEMは、ラメラ結晶の周りに相間距離21.8-29.1nmの導電性のグラフト領域、相間距離218-320nmと903-1124nmの結晶配向領域を有していた。IECが2.7mmol/g以上では、相間距離225-256nmの結晶ネットワーク領域からなる新しい相が形成され、IEC2.4-2.7mmol/gの間で、相転移現象が起こることを見出した。以上の結果により、高IECのETFE-PEMの高いプロトン伝導度は、結晶領域の周り存在する連結したイオンチャンネルに由来し、高い機械強度は残存するラメラ結晶と結晶粒に由来するとの結論を得た。
Chen, J.; 浅野 雅春; 前川 康成
Advanced Materials Research, 881-883, p.1157 - 1160, 2014/01
被引用回数:1 パーセンタイル:56.24電気透析では、イオン交換膜と電力を利用してイオン性物質を分離できるため、陽極及び陰極の間に、陰イオンのみを透過させる陰イオン交換膜と陽イオンのみを透過させる陽イオン交換膜を交互に配置し、原水を流すことで、イオン性物質が除去できる。電気透析の最も重要な構成部材であるイオン交換膜は、主として化学的な方法で作製されているが、特性などはほとんど明らかにされておらず、十分に実用的なものが得られているとは言い難い。そこで、我々は、高分子フィルムを基材として、放射線グラフト重合を利用することで、様々な陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜を作製し、電気透析用イオン交換膜としての必要性能を評価した。更に、セシウムイオン水溶液を模擬溶液及び電極液とする、模擬溶液を用いてセシウムイオン分離効果を評価した。その結果、作製したグラフト型イオン交換膜のイオン性物質の除去速度はイオン交換容量の増加とともに速くなる一方、イオン性物質の最大除去率はイオン交換容量の減少とともに増加することが分かった。
Tran, D. T.; 澤田 真一; 長谷川 伸; 勝村 庸介*; 前川 康成
Journal of Membrane Science, 447, p.19 - 25, 2013/11
被引用回数:29 パーセンタイル:71.88(Engineering, Chemical)燃料電池に用いられる電解質膜は、異なる加湿条件下で良好な膜特性を発現する必要がある。そこで本研究では、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を基材とするグラフト型電解質膜(ETFE電解質膜)のプロトン伝導性及び機械的特性の相対湿度(RH)依存性を調べた。温度80Cにおいて、イオン交換容量1.3-2.9mmol/gをもつ電解質膜のプロトン伝導度は、RH30%において0.001-0.013S/cm、RH98%において0.16-0.52S/cmであった。芳香族炭化水素高分子を基材とする電解質膜と比較して、ETFE電解質膜のプロトン伝導性の相対湿度に対する依存性は小さかった。これは、低湿度下においても親水性領域(ポリスチレンスルホン酸グラフト鎖と水)と疎水性領域(ETFE主鎖)が明確に相分離し、プロトン伝導経路が維持されるからであると考えられる。機械的特性に関しては、温度80
C、RH100%において、ETFE電解質膜は全てのIECにおいてNafionと同等もしくはそれ以上の破断強度を有することがわかった。
八巻 徹也; Nuryanthi, N.*; 越川 博; 浅野 雅春; 澤田 真一; 箱田 照幸; 前川 康成; Voss, K.-O.*; Severin, D.*; Seidl, T.*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 314, p.77 - 81, 2013/11
被引用回数:3 パーセンタイル:27.9(Instruments & Instrumentation)本研究では、より速く効率的にポリフッ化ビニリデン(PVDF)イオン穿孔膜を作製することを目指し、ドイツ重イオン研究所(GSI)における"その場"かつ"オンライン"分析によって、潜在飛跡内に存在する化学種の構造や反応性を調べた。その結果、照射と同時に生成したラジカルを介して、PVDF鎖中及び切断末端の不飽和結合が主に生成することがわかった。このような飛跡内の生成物にのみ作用しエッチングを加速するための改質過程、いわゆる前処理の方法を検討した。
Nuryanthi, N.*; 八巻 徹也; 越川 博; 浅野 雅春; 澤田 真一; 長谷川 伸; 前川 康成; 勝村 庸介*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 314, p.95 - 98, 2013/11
被引用回数:3 パーセンタイル:27.9(Instruments & Instrumentation)フッ素系高分子の一種であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)からなるイオン穿孔膜の形成挙動に関する研究において、コンダクトメトリー時の測定セルへの印加電圧が及ぼす影響を検討した。孔貫通に至るまでの化学エッチングは、セル電圧を高く維持することによって大きく加速されるという興味深い現象を見いだした。この現象については、穿孔内におけるエッチング溶出物の電気泳動効果に起因していると考えられる。
佐野 健二*; 山田 有紗*; 松井 明洋*; 辻 秀之*; 長谷川 伸; 澤田 真一; 前川 康成
Desalination, 324, p.34 - 36, 2013/09
被引用回数:3 パーセンタイル:15.32(Engineering, Chemical)逆浸透(RO)膜を用いた海水淡水化(脱塩)プロセスのエネルギーコスト削減には、脱塩プロセスにおけるRO膜への加圧エネルギー量の低減が必須である。そこで、電解質である高分子塩をグラフト鎖として導入した膜をRO膜と組合せた複合膜を用いることで、高分子塩の浸透圧による脱塩プロセスの加圧エネルギーの低減を試みた。脱塩処理速度の観点から、水透過速度の高いろ紙を基材に用いた。放射線グラフト重合法を用いてアクリル酸を導入したグラフト化ろ紙をRO膜と組合せた複合膜の水透過量のグラフト率依存性を調べたところ、グラフト率2.4%の複合膜で透過量が11%増加すること、及び、グラフト率を10%まで増加させるとろ紙の目詰まりにより透過量が減少することを見いだした。本実験では、高分子塩を含むグラフト鎖を複合膜中に導入することで、高分子塩の浸透圧により複合膜を介した水の透過量が増大していることから、本複合膜を用いたシステムにより従来のRO膜単体を用いた脱塩プロセスよりも加圧エネルギーが低減できることが示された。
越川 博; 吉村 公男; Sinnananchi, W.; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 山本 和矢*; 山口 進*; 田中 裕久*; 前川 康成
Macromolecular Chemistry and Physics, 214(15), p.1756 - 1762, 2013/08
被引用回数:13 パーセンタイル:43.36(Polymer Science)貴金属フリー液体燃料電池用自動車に適用できるアニオン伝導電解質膜(AEM)の開発において、電解質膜の耐熱性や高い含水率に起因する燃料透過が問題になっている。そこで、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合膜(ETFE)にクロロメチルスチレン(CMS)を放射線グラフト重合後、グラフト鎖をトリメチルアミンにより4級化することでAEMを作製し、含水性,安定性に及ぼす電解質膜の対アニオンの効果を調べた。4級化によって得られた塩化物塩の膜(塩化物膜)は、炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬することで重炭酸膜に変換した。また、1M KOH水溶液でアニオン交換後、窒素ガスで飽和させた水で洗浄することで、重炭酸化物塩の生成なしに水酸化物膜に変換できた。塩化物膜及び重炭酸膜に対して、水酸化物膜は4倍の伝導率及び2倍の含水率を示した。また、熱分析測定より、水酸化物膜が他の二つの膜よりも安定であることがわかった。以上の結果から、水酸化物膜の水酸化アルキルアンモニウムが化学的に不安定であること、安定化するために高い含水率を示すことを明らかにした。
Park, J.*; 高山 俊雄*; 浅野 雅春; 前川 康成; 工藤 一秋*; 高山 俊雄*
Polymer, 54(17), p.4570 - 4577, 2013/08
被引用回数:6 パーセンタイル:21.31(Polymer Science)芳香族ポリベンズイミダゾール(PBI)膜に匹敵する耐熱性と機械特性を示す脂環式PBI(ChPBI)への放射線グラフト重合及びその後のスルホン化処理によりグラフト型ポリベンズイミダゾール電解質膜(sPBI)を作製した。ChPBIは、-1,4-cyclohexanedicarboxylic acidと3,3'-diaminobenzidineの縮合反応より合成した。合成したChPBIは塩化リチウム含有のジメチル酢酸溶液から製膜することで結晶性を示し、
線の照射によりグラフト重合の開始種となる長寿命ラジカルが生成することがわかった。得られた結晶性ChPBI膜を220kGy照射後スチレン/1-プロピルアルコール(50/50)中でのグラフト重合とスルホン化処理により、イオン交換容量が2.1
2.9mmol/gのsPBI膜が調製できた。sPBI膜は10
10
S/cmと従来のPBI膜よりも高いプロトン伝導度を示した。走査電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分析(SEM-EDX分析)より、sPBI膜中の1
m径のグラフトドメインの形成が高イオン導電性に重要であることがわかった。このsPBI膜は、120
C熱水中で600時間後においてもプロトン伝導度の減少を起こさないことから、これまで作製したグラフト型電解質膜よりも耐熱性に優れていることを明らかにした。
澤田 真一; 山口 大輔; Putra, A.; 小泉 智*; 前川 康成
Polymer Journal, 45(8), p.797 - 801, 2013/08
被引用回数:9 パーセンタイル:31.48(Polymer Science)高プロトン伝導性を有する放射線グラフト電解質膜を開発するには、膜内構造に関する基礎的知見が非常に重要である。そこで本研究では、中性子小角散乱(SANS)測定により、直接メタノール型燃料電池用として開発を進めたエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を基材とするグラフト電解質膜のナノスケール構造を調べた。グラフト率31%の電解質膜のSANSプロファイルでは、相関長d=34nmの位置にショルダーピークとして、ETFEのラメラ結晶の間に導入されたポリスチレンスルホン酸(PSSA)グラフト領域に起因する構造を確認できた。乾燥及び含水状態においてピーク位置は変化しないことから、ラメラ結晶間という制限された空間内のPSSAグラフト領域は含水していないことがわかった。このことは、ラメラ結晶間のグラフト領域はプロトン伝導に寄与しないことを示唆することから、基材に用いる高分子の結晶構造が電解質膜のプロトン伝導度に影響を及ぼすことが明らかになった。
Park, J.; 榎本 一之; 山下 俊*; 高木 康行*; 戸高 勝則*; 前川 康成
Journal of Membrane Science, 438, p.1 - 7, 2013/07
被引用回数:13 パーセンタイル:43.48(Engineering, Chemical)芳香族ポリイミド膜と同等の耐熱性,機械特性を示す脂環式ポリイミド膜(A-PI膜)への放射線グラフト重合による燃料電池用電解質膜の作製とそのグラフト重合機構の解析を試みた。芳香族ポリイミドが放射線グラフト重合性を示さないのに対し、その一部を脂環式構造に置換したA-PI膜は放射線グラフト重合性を示した。得られたグラフト膜をスルホン化することで、ナフィオンより高いイオン伝導度と機械・熱的安定性を示す電解質膜が作製できた。照射A-PI膜の紫外・可視光分光(UV-VIS)スペクトルより、420, 600nmに吸収極大を持つ長寿命中間体の存在が確認できた。UV-VISスペクトルの減衰と電子スピン共鳴によるラジカルの減衰の比較から、この中間体が脂環式部位に生じたアルキルラジカルであり、A-PI膜の放射線グラフト重合における開始部位であることが確定できた。
澤田 真一; 薮内 敦*; 前川 雅樹; 河裾 厚男; 前川 康成
Radiation Physics and Chemistry, 87, p.46 - 52, 2013/06
被引用回数:7 パーセンタイル:51.39(Chemistry, Physical)固体高分子型燃料電池用の電解質膜はナノメートルスケールの自由空孔を有しており、この空孔構造が膜の燃料ガス透過性に影響を及ぼすと考えられる。そこで本研究では、陽電子消滅寿命(PAL)測定法により、架橋ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を基材とするグラフト電解質膜の自由空孔構造を調べた。その結果、電解質膜内には0.11と0.38nmという異なる体積の自由空孔が存在することがわかった。架橋PTFE膜及びスチレングラフト膜のPAL測定結果と比較することで、小さな空孔はPTFE結晶及びグラフト鎖領域に位置し、大きな空孔はPTFEの非晶領域に位置することから、ガス透過性の抑制には非晶領域の空隙率低下が重要であるとの知見を得た。
長谷川 伸; 高橋 周一*; 岩瀬 裕希*; 小泉 智; 大沼 正人*; 前川 康成
Polymer, 54(12), p.2895 - 2900, 2013/05
被引用回数:9 パーセンタイル:31.48(Polymer Science)耐熱性及び機械特性に優れた芳香族炭化水素であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)基材の放射線グラフト重合性を支配する要因について検討した。PEEK膜へのスルホン酸含有スチレン誘導体であるスチレンスルホン酸エチルエステルへのグラフト重合は、PEEKの結晶化度が1126%で進行(72時間でグラフト率50%以上)するのに対し、結晶化度26%以上ではほとんど進行しない。そこで、X線小角散乱を用いて結晶化度の異なるPEEK膜の結晶モルフォロジー変化を調べたところ、結晶化度26%以上で、PEEK膜内に相関長(d)が14nmのラメラ構造が形成されていることを見いだした。グラフト重合性とラメラ構造形成の有無の関係から、結晶化度26%以上でPEEK膜へのグラフト重合性が消失する理由として、ラメラ構造の形成によるモノマー拡散の阻害によることが明らかとなった。
Nuryanthi, N.*; 八巻 徹也; 越川 博; 浅野 雅春; 澤田 真一; 長谷川 伸; 前川 康成; 勝村 庸介*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 38(1), p.105 - 108, 2013/03
450MeV Xeイオンを照射したポリフッ化ビニリデン膜(25
m厚)に対し、エッチング剤に80
Cの9mol dm
水酸化カリウム水溶液を用いて、コンダクトメトリー分析を行った。分析時に1.0Vの交流電圧を印加したとき、孔径168
20nmのイオン穿孔膜が得られた。それに対し、電圧を全く印加しない通常の化学エッチングではその3分の2程度の孔径であった。コンダクトメトリー分析における電圧印加によって、孔径制御の自由度が高くなることが期待される。
岩瀬 裕希*; 澤田 真一; 八巻 徹也; 小泉 智; 大沼 正人*; 前川 康成
Macromolecules, 45(22), p.9121 - 9127, 2012/11
被引用回数:17 パーセンタイル:52.75(Polymer Science)燃料電池用高分子電解質膜の発電性能,耐熱性,機械特性の向上には、電解質特性を支配するナノ-マイクロメートルに及ぶ階層構造を明確にすることが重要である。そこで、放射線グラフト重合法を利用して作製したグラフト型電解質膜の中で、導電率,機械特性や発電性能が詳細に調べられている架橋テフロンからなる電解質膜について、中性子及びX線小角散乱(SANS, SAXS)を測定した結果、グラフト鎖からなるイオンチャンネルは、48-57nmのラメラ周期、直径480nmのラメラ結晶、及び1.7nmのイオンチャンネル内のスルホン酸の会合に対応する階層構造を有することがわかった。さらに、散乱プロファイルのグラフト率依存性より、ラメラ内部の非晶相に局所的にグラフト相(イオンチャンネル)が形成するため、低いグラフト率で高い伝導性を示すことが判明した。