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斎藤 滋; 明午 伸一郎; 牧村 俊助*; 平野 幸則*; 堤 和昌*; 前川 藤夫
JAEA-Technology 2023-025, 48 Pages, 2024/03
日本原子力研究開発機構(JAEA)は、原子力発電に伴い発生する高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減のため、加速器を使った核変換の研究開発として加速器駆動システム(ADS; Accelerator-Driven Systems)の開発を進めている。ADSの設計に必要な材料照射データベースを作成し、鉛ビスマス共晶合金(LBE; Lead-Bismuth Eutectic)中での照射効果について研究するため、J-PARCに陽子照射施設の検討を進めている。この陽子照射施設では、LBEの核破砕ターゲットに250kWの陽子ビームを入射し、ADSの構造材候補材についてLBE流動下での照射試験を実施する他、半導体ソフトエラー試験、医療用RI製造、陽子ビーム利用などを行う計画である。これらのうち照射済み試料の照射後試験(PIE; Post Irradiation Examination)とRIの分離精製は、陽子照射施設に付属して建設されるPIE施設において実施される。本PIE施設では、J-PARCの他の施設において照射された機器や試料のPIEも実施される予定である。本報告書は、この照射後試験施設の概念構築に必要な照射後試験項目、試験フロー、設備、試験装置等の検討を行い、施設内の配置案をまとめたものである。
明午 伸一郎; 松田 洋樹; 岩元 洋介; 吉田 誠*; 長谷川 勝一; 前川 藤夫; 岩元 大樹; 中本 建志*; 石田 卓*; 牧村 俊助*
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011050_1 - 011050_6, 2021/03
加速器駆動型核変換システム(ADS)では、加速器の真空領域と標的領域の隔壁となるビーム入射窓の開発が重要となる。ビーム窓の損傷評価には、原子当たりの弾き出し数(DPA)が用いられるが、DPAの導出に用いられる弾き出し断面積の実験データは20MeV以上のエネルギー領域の陽子に対しほとんどないため、ADSにおいて重要な0.43GeV陽子における弾き出し断面積の測定を開始した。弾き出し断面積は、損傷を維持するため極低温に冷却された試料の陽子入射に伴う抵抗率変化を陽子フルエンスとフランケル対当たりの抵抗率変化で除することにより導出できる。実験はJ-PARCセンターの3GeV陽子シンクロトロン施設で行い、アルミ及び銅を試料として用いた。実験で得られた断面積と一般的に弾き出し断面積の計算に使用されるNRTモデルの計算との比較の結果、NRTモデルの計算は実験を約3倍過大評価することが判明した。
松田 洋樹; 明午 伸一郎; 岩元 洋介; 吉田 誠*; 長谷川 勝一; 前川 藤夫; 岩元 大樹; 中本 建志*; 石田 卓*; 牧村 俊助*
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(10), p.1141 - 1151, 2020/10
被引用回数:14 パーセンタイル:81.27(Nuclear Science & Technology)加速器駆動型核変換システム(ADS)等の陽子ビーム加速器施設におけるビーム窓などの構造材の損傷評価には、原子当たりの弾き出し数(dpa)が損傷指標として広く用いられる。dpaの評価は弾き出し断面積に基づいて行われるものの、20MeV以上のエネルギー領域の陽子に対する弾き出し断面積の実験データは乏しく、計算モデルの間でも約8倍の差が存在している。このため、弾き出し断面積を実験的に取得するのは計算に用いるモデルの評価のために重要となる。弾き出し断面積の取得のため、J-PARCの加速器施設において、0.4-3GeVにわたる陽子エネルギー領域における銅と鉄の断面積を測定した。弾き出し断面積は、損傷を保持するために極低温に冷却された試料における、陽子ビームに金する抵抗率変化により得ることができる。本測定で得られた実験結果を元に、計算モデルの比較検討を行った。広く用いられているNorgertt-Robinson-Torrens (NRT)モデルは、実験値を3.5倍過大評価することが判明した。一方、近年の分子動力学に基づく非熱的再結合補正(arc)モデルは実験値をよく再現したため、銅と鉄の損傷評価にはarcモデルを使うべきであると結論づけられた。
明午 伸一郎; 松田 洋樹; 岩元 洋介; 吉田 誠*; 長谷川 勝一; 前川 藤夫; 岩元 大樹; 中本 建志*; 石田 卓*; 牧村 俊助*
EPJ Web of Conferences, 239, p.06006_1 - 06006_4, 2020/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)加速器駆動型核変換システム(ADS)では、加速器の真空領域と標的領域の隔壁となるビーム入射窓の開発が重要となる。ビーム窓の損傷評価には、原子当たりの弾き出し数(DPA)が用いられるが、DPAの導出に用いられる弾き出し断面積の実験データは20MeV以上のエネルギー領域の陽子に対しほとんどないため、ADSにおいて重要な0.43GeV陽子における弾き出し断面積の測定を開始した。弾き出し断面積は、損傷を維持するため極低温に冷却された試料の陽子入射に伴う抵抗率変化を陽子フルエンスとフランケル対当たりの抵抗率変化で除することにより導出できる。実験はJ-PARCセンターの3GeV陽子シンクロトロン施設で行い、試料には銅を用いた。実験で得られた断面積と一般的に弾き出し断面積の計算に使用されるNRTモデルの計算との比較の結果、NRTモデルの計算は実験を約3倍過大評価することが判明した。
明午 伸一郎; 松田 洋樹; 岩元 洋介; 吉田 誠*; 長谷川 勝一; 前川 藤夫; 岩元 大樹; 中本 建志*; 石田 卓*; 牧村 俊助*
JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.061004_1 - 061004_6, 2020/02
核変換システム等の陽子加速器施設では、標的や窓等の構造材に関する損傷の評価が重要となる。構造材の損傷評価には、原子あたりの弾き出し数(DPA)が広く用いられており、カスケードモデルに基づく計算で得られた弾き出し断面積に粒子束を乗ずることで得られる。DPAによる損傷評価は広く一般的に用いられているものの、20MeV以上のエネルギー範囲における陽子に対する弾き出し断面積の実験データは十分でなく、計算モデル間で約8倍異なることが報告されており構造材の弾き出し断面積の実験データ取得が重要となる。そこで、我々はJ-PARCセンターの3GeV陽子加速器施設を用い、400MeV以上のエネルギー範囲の陽子の弾き出し断面積の測定を開始した。弾き出し損傷断面積は、冷凍機で極低温(4K)に冷却された試料に陽子ビームを照射し、照射に伴う抵抗率の変化により得ることができる。実験で得られた断面積とPHITSコードに一般的に用いられるNRTモデルを用いて計算した結果、計算は実験を3倍程度過大評価を示した。一方、Nordlund等による最新モデルの結果は実験をよく再現し、これまでのNRTモデルに基づく標的等の弾き出し損傷は過大評価していることが明らかになった。
明午 伸一郎; 松田 洋樹; 岩元 洋介; 岩元 大樹; 長谷川 勝一; 前川 藤夫; 吉田 誠*; 石田 卓*; 牧村 俊助*; 中本 建志*
Proceedings of 9th International Particle Accelerator Conference (IPAC '18) (Internet), p.499 - 501, 2018/06
核変換システム等のハドロン加速器施設では、ビーム出力の上昇に伴いターゲット材料に対する損傷の評価が重要となる。加速器施設で用いられているターゲット材料等の損傷は、原子あたりの弾き出し損傷(DPA)が広く用いられており、カスケードモデルに基づく計算で得られた弾き出し損傷断面積に粒子束を乗ずることで評価されている。DPAによる損傷評価は広く一般的に用いられているものの、20MeV以上のエネルギー範囲における陽子に対する損傷断面積の実験データは数点しかなく十分でない。最近の研究において、タングステンの弾き出し損傷断面積が計算モデル間で約8倍異なることが報告されており、ターゲット材料の損傷評価のためには弾き出し損傷断面積の実験データ取得が重要となる。そこで、我々はJ-PARC加速器施設の3GeVシンクロトロン加速器施設を用い、弾き出し損傷断面積の測定実験を開始した。弾き出し損傷断面積は、冷凍機(GM冷凍機)で極低温(4K)に冷却された試料に陽子ビームを照射し、照射に伴う抵抗率の変化により得ることができる。本発表では、銅に3GeV陽子を入射する場合の弾き出し損傷断面積の測定結果を速報として報告する。
髭本 亘; 門野 良典*; 河村 成肇*; 幸田 章宏*; 小嶋 健児*; 牧村 俊助*; 的場 史朗*; 三宅 康博*; 下村 浩一郎*; Strasser, P.*
Quantum Beam Science (Internet), 1(1), p.11_1 - 11_24, 2017/06
ミュオン科学実験施設はJ-PARCにおいて中性子, ハドロン, ニュートリノ各施設と並ぶ利用施設である。ミュオン施設では、物質生命科学実験棟において中性子実験施設と共有している高エネルギーの陽子により発生させたミュオンを用いて様々な科学研究に用いている。本レビューではミュオン科学実験施設の現状について報告する。
足立 泰平*; 池戸 豊*; 西山 樟生*; 薮内 敦*; 長友 傑*; Strasser, P.*; 伊藤 孝; 髭本 亘; 小嶋 健児*; 牧村 俊助*; et al.
JPS Conference Proceedings (Internet), 8, p.036017_1 - 036017_4, 2015/09
We report on the tuning of the ultra-slow muon beam line at J-PARC MUSE using Li impurities in a tungsten muonium production target in place of positive muons. Li ions were evaporated from the tungsten target by heating it up to 2000K and were transported in the ultra-slow muon beam line. The Li ion beam was monitored by micro channel plates installed at several points in the beam line. The Li beam was successfully transported to the end of the beam line after optimization of beam line parameters.
Strasser, P.*; 下村 浩一郎*; 幸田 章宏*; 河村 成肇*; 藤森 寛*; 牧村 俊助*; 小林 庸男*; 中原 一隆*; 加藤 峯夫*; 竹下 聡史*; et al.
Journal of Physics; Conference Series, 225, p.012050_1 - 012050_8, 2010/06
被引用回数:13 パーセンタイル:95.47(Physics, Applied)The new Muon Science Facility (MUSE) that is now under construction at J-PARC in the Materials and Life Sciences Facility (MLF) building will comprise four types of muon channels. In the first stage, a conventional superconducting decay muon channel (D-Line) was constructed, which can extract surface (positive) muons with an expected muon yield of /s and decay positive/negative muon up to 120 MeV/c, with an expected muon yield of a few
/s at 60 MeV/c for both positive and negative muons. This channel will be used for various kinds of muon experiments like
SR, muon catalyzed fusion and nondestruction elements analysis.
三宅 康博*; 下村 浩一郎*; 河村 成肇*; Strasser, P.*; 牧村 俊助*; 幸田 章宏*; 藤森 寛*; 中原 一隆*; 竹下 聡史*; 小林 庸男*; et al.
Journal of Physics; Conference Series, 225, p.012036_1 - 012036_7, 2010/06
被引用回数:10 パーセンタイル:92.25(Physics, Applied)The science facility (MUSE) along with the neutron, hadron and neutrino facilities is one of the experimental areas PF the J-PARC project, which was approved for construction in a period from 2001 to 2008. Construction of the MLF building was started in the beginning of 2004, and was completed at the end of the 2006 fiscal year. On September 19th, 2008, the graphite target for muon production was placed into the 3 GeV proton beam line. On September 26th, 2008, we finally succeeded to extract surface muon beams. We also succeeded in the extraction of the decay muons on December 25th, 2008.
三宅 康博*; 下村 浩一郎*; 河村 成肇*; Strasser, P.*; 牧村 俊助*; 幸田 章宏*; 藤森 寛*; 中原 一隆*; 門野 良典*; 加藤 峯夫*; et al.
Physica B; Condensed Matter, 404(5-7), p.957 - 961, 2009/04
被引用回数:12 パーセンタイル:46.60(Physics, Condensed Matter)ミュオン科学実験施設(MUSE)はJ-PARCの実験施設の一つである、MUSEは中性子とミュオン利用の実験施設である物質生命科学実験施設(MLF)の中にある。MLFの建屋建設は2004年にはじまり、2006年度末に完了した。われわれはそこにビームライン機器の設置を行っており、最初のミュオンビームが2008年の秋に発生する予定である。
髭本 亘; 下村 浩一郎*; 小林 庸男*; 牧村 俊助*; 三宅 康博*; 甲斐 哲也; 酒井 健二
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 600(1), p.179 - 181, 2009/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Instruments & Instrumentation)J-PARCミュオン施設(MUSE)において、ミュオン実験機器はミュオンコントロール系により操作される。ミュオンコントロール系は、(1)ミュオン標的系,(2)M1/M2ライン空調機系,(3)超伝導ソレノイド磁石冷凍機系,(4)ミュオン2次ライン真空系,(5)ミュオン2次ライン電磁石,(6)ミュオンビーム部ロッカーと安全機器、から構成される。この詳細を紹介する。
三宅 康博*; 西山 樟生*; 河村 成肇*; 牧村 俊助*; Strasser, P.*; 下村 浩一郎*; Beveridge, J. L.*; 門野 良典*; 福地 光一*; 佐藤 伸彦*; et al.
Physica B; Condensed Matter, 374-375, p.484 - 487, 2006/03
被引用回数:6 パーセンタイル:31.27(Physics, Condensed Matter)物質生命科学実験施設の建屋の建設は2004年度の初めに開始された。2008年に加速器とビーム輸送系のコミッショニングが行われた後、2009年にはミュオンのユーザー利用が開始される。この論文ではJ-PARCミュオン科学実験施設建設の現状について述べる。
三宅 康博*; 河村 成肇*; 牧村 俊助*; Strasser, P.*; 下村 浩一郎*; 西山 樟生*; Beveridge, J. L.*; 門野 良典*; 佐藤 伸彦*; 福地 光一*; et al.
Nuclear Physics B; Proceedings Supplements, 149, p.393 - 395, 2005/12
J-PARCミュオン施設は物質生命科学実験施設の中に位置する。中性子標的の手前に置かれたミュオン標的から得られるミュオンを用いた研究が行われる。このJ-PARCミュオン科学施設の概要を報告する。
若井 栄一; 能登 裕之*; 柴山 環樹*; 岩元 洋介; 石田 卓*; 佐藤 紘一*; 薮内 敦*; 義家 敏正*; 高橋 俊晴*; 小林 康浩*; et al.
no journal, ,
ハイエントロピー合金(HEA)は、強度が高くても、良好な延性を持つ材料系があることが近年、報告されており、様々な応用を目指し、世界の最先端の研究機関によって、その研究開発が進められている。本研究では、高放射線場での使用を目指すため、低放射化性を考慮して、CoとNi元素を除いたHEAについて、Fe系、W系およびTi系のHEAを複数、検討した。これらの材料は、bcc結晶構造を主体とした材料系であり、溶解法で作製してそれらの材料特性を評価した。その結果、Fe系HEAでは、純Wの硬さを超える特性を持ち、かつ耐照射特性が優れていることが分かった。また、Ti系HEAでは、高温鍛造や高温圧延を施すことができる系が見つかり、最適な熱処理温度の評価を進め、W系HEAでは、熱間等方圧加圧法(HIP)処理により硬さが上昇し、HEAの中で世界最高の硬さを有することが分かった。
若井 栄一; 能登 裕之*; 柴山 環樹*; 中川 祐貴*; 石田 卓*; 牧村 俊助*; 涌井 隆; 古谷 一幸*; 安堂 正己*
no journal, ,
エネルギー,原子力,高エネルギー加速器標的システム,核融合,生体等の分野では、放射線によって材料や機器に劣化が生じるため、高い耐久性や優れた機能を持つ新物質の創出が期待される。本研究では、低放射化性の元素(NiとCoを含まない)からなるFe系, Ti系, W系のハイエントロピー合金(HEA)に対し、Fe系は、高周波溶解法で、Ti系は、コールドクルーシブル浮揚溶解法で、W系は、金属粉末を用いたアーク溶解法で作製した。これらの材料については、X線回折法,組織観察,硬さ測定,磁気測定,電気抵抗測定,操作型透過形電子顕微鏡STEM(または、TEM, SEM)とエネルギー分散型X線分光法,超音波測定,熱間等方圧加圧(HIP)法の試験を実施した。これらのHEAは、通常の合金に比べて非常に硬く、また、Fe系HEAにおいては、磁気特性とそれに関する微細組織の解析では、微小な磁区構造等の興味深い特性を有すことが分かった。特に、鉄系とW系のHEAでは、HIP処理によって生じる結晶構造や方位及び内部組織の変化並びに付随する高温と圧力の効果によって磁気特性や材料強度特性に大きな影響を及ぼすことが分かってきた。
若井 栄一; 石田 卓*; 叶野 翔*; 柴山 環樹*; 佐藤 紘一*; 能登 裕之*; 牧村 俊助*; 古谷 一幸*; 薮内 敦*; 義家 敏正*; et al.
no journal, ,
チタン系材料は、比重が低く、耐食性が高く、強度特性、等に優れているため、大型加速器システムにおけるビーム窓材料やビームダンプ等への適用がなされている。ビームの高出力化に伴い、更なる耐照射性能等が求められている。このため、我々は、相をベースにしたチタン合金のさらなる特性を進め、Ti-15-3-3-3系合金について、イオン照射を行った所、優れた耐照射特性を持つことが分かった。この原因を調査するため、本素材や関連材料の微細組織や点欠陥等をTEM、陽電子寿命計測法、電気抵抗法、応力による変化等の評価を併せて進めた。さらに、最近、世界的に注目を浴びて、開発が進められているハイエントロピー合金に対して、我々は
-チタンベースのチタン系ハイエントロピー合金の試作を行い、緒特性の評価を併せて始めたところである。この材料の諸特性を調べた所、従来の鉄系やチタン系の材料に比べて、かなり高い強度を持つことが分かった。
若井 栄一; 柴山 環樹*; 能登 裕之*; 古谷 一幸*; 岩元 洋介; 涌井 隆; 牧村 俊助*; 石田 卓*; 安堂 正己*; 佐藤 紘一*; et al.
no journal, ,
原子力や高エネルギー加速器標的システム等の分野では、放射線によって材料や機器に劣化が生じるため、高い耐久性や優れた機能を持つ物質の創出が期待される。ハイエントロピー合金(HEA)は、高い耐照射性を期待され、かつ、高強度で良好な延性を持つことが多い。近年、様々な応用を目指し、世界的に研究開発が進行中である。本研究では、低放射化性の元素(NiとCoを含まない)からなるFe系とTi系とW系のHEAを作製した。これらの材料は、X線回折法、組織観察、硬さ、磁気、電気抵抗、STEM(または、TEM、SEM)とEDS、超音波測定、熱間等方圧加圧(HIP)等を実施した。また、一部の試料に対しては、イオン照射、パルスレーザー照射、及びパルス電子線照射を行い、その応答特性を調べた。これらのHEAは、通常の合金に比べて非常に硬かった。Fe系HEAにおいては、磁気特性とそれに関する微細組織の解析から、微小な磁区構造等の興味深い特性を有すことが分かった。特に、鉄系とW系のHEAでは、HIP処理によって生じる結晶構造や方位及び内部組織の変化、並びに付随する高温と圧力の効果によって磁気特性や材料強度特性に大きな影響を及ぼした。さらに、Fe基HEAの照射応答特性の特徴が分かってきた。
斎藤 滋; 明午 伸一郎; 牧村 俊助*; 平野 幸則*; 堤 和昌*; 前川 藤夫
no journal, ,
原子力機構では、高レベル放射性廃棄物の核変換を目指し加速器駆動システム(ADS)の開発を進めている。ADSの設計に必要な材料照射データベースを整備し、液体鉛ビスマス共晶(LBE)合金中での材料の照射効果を研究するため、J-PARCでは陽子ビーム照射施設の建設を検討中である。照射試料の照射後試験(PIE)は、陽子ビーム照射施設に隣接して建設されるPIE施設で実施される。このPIE施設では、J-PARCの他の施設で照射された試料のPIEも行われる。本発表では、まず、試験項目と試験フローを含むPIE施設の概念検討を行い、これらの試験項目を実施するために必要な設備と試験機器の仕様と数量を示す。最後に、PIE施設の配置案を提案する。
松田 洋樹; 明午 伸一郎; 前川 藤夫; 岩元 洋介; 吉田 誠*; 長谷川 勝一; 牧村 俊助*; 中本 建志*; 石田 卓*
no journal, ,
大強度陽子加速器施設に用いられるターゲット及び窓の損傷評価は、計算モデルによる弾き出し損傷(DPA)の断面積に基づくDPAが広く用いられるが、20MeV以上の陽子の実験値がほとんどないため、DPA断面積の計算モデル検証は十分にされていない。このため我々は、J-PARCにおいて0.4GeVから3GeV陽子入射による様々な弾き出し断面積の測定を行う。DPA断面積は、陽子を試料に照射する際の抵抗率変化を1フランケル対欠損当たりの抵抗率変化で除することで得ることができる。照射による試料の損傷を保つため、試料はGM冷凍機の先端に照射試料を取り付けて極低温状態とした。試料には銅線(直径0.25mm)を用い、照射前の欠損の減少のため800Cで焼鈍した。実験は3GeVシンクロトロン(RCS)から物質・生命実験施設(MLF)にビームを輸送する3NBT施設で行い、微弱ビームを用いて行う。既に実験装置はビームラインに設置してあり、J-PARCのビーム運転が可能な圧力に達した。低温試験による到達温度は試料を取り付けるロッドにおいて4Kであったが、試料周辺では熱流入等により20Kとなり予想よりも少し高い温度になったものの実験が行える条件を準備することができた。本講演では、実験装置の準備状況について報告し、ビーム形状の断面積への影響について議論を行う。