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松枝 直人*; Abidin, Z.*; 藤井 直樹*; 小田 治恵; 本田 明
粘土科学, 52(2), p.62 - 70, 2014/00
超ウラン核種を含む放射性廃棄物の地層処分場では、長期間経過後、人工バリアの一部であるベントナイトが、セメント系材料と地下水との反応に由来する強アルカリ性かつ高Ca濃度の水にさらされて、溶解変質する懸念がある。ベントナイトの主成分であるモンモリロナイトのクラスターモデルを用いた第一原理量子化学計算によって、強アルカリ性環境下では、八面体シート中のAlはMgよりも溶解性が高いことが示された。特に、(010)面や(110)面の端面に存在する、四面体シートと八面体シートを連結する不飽和なSi-O-Al結合が開裂しやすいことが示唆された。各種端面に存在するSi-OH基やAl-OH基の解離に伴う溶解は生じにくいと推測した。一方、OHがSiを攻撃し吸着することで、当該Si及び近傍のSiやAlが溶解するパターンが示された。また、少なくとも溶解の初期段階では、交換性陽イオン種(Na又はCaOH)の違いによる影響は認められなかった。以上より、TRU地層処分場におけるベントナイトの長期安定性を評価する際には、モンモリロナイトの構造化学的因子、特にモンモリロナイトの八面体シートの組成を考慮に入れる必要がある。