Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
堅田 元喜*; Grote, R.*; Mauder, M.*; Zeeman, M. J.*; 太田 雅和
Biogeosciences, 17(4), p.1071 - 1085, 2020/02
被引用回数:9 パーセンタイル:41.55(Ecology)山間部の管理された草原では、冬季の寒冷な気候によって生産性が低下する。そのため、将来予想される気温上昇および雪面の変化は、草原の生産性に大きく影響する可能性がある。これを調べるため、陸面モデルSOLVEGに積雪,凍結・解氷および草の成長過程を導入し、このモデルを記録的な暖冬下における草原での熱輸送・炭素交換に適用した。モデル計算は、3年間のシミュレーション期間中に観測された熱フラックス,地温,積雪深度を再現した。計算結果から、暖冬下では高められた植物生理活動によって100g-C mのCO
固定が起きたこと、更に、この固定された炭素の多くが春先の植物成長に利用されることなく地下部の根バイオマスへと供給されたことが示された。この暖冬の影響下で起きた地下部への炭素供給は、将来の温暖化環境においては土壌への炭素蓄積量および土壌からのCO
放出量が増加するという可能性を示唆しており、既存の全球陸域生態系モデルが本過程を厳密に考慮する必要があることを示すものである。
Quansah, E.*; 堅田 元喜; Mauder, M.*; Annor, T.*; Amekudzi, L. K.*; Bliefernicht, J.*; Heinzeller, D.*; Balogun, A.*; Kunstmann, H.*
Advances in Meteorology, 2017, p.6258180_1 - 6258180_11, 2017/00
被引用回数:4 パーセンタイル:11.64(Meteorology & Atmospheric Sciences)乾燥・半乾燥地域における大気からの入力放射エネルギーの地表面での潜熱・顕熱への分配を精緻に予測することは、気象モデルに考慮されている陸面交換過程の研究を進める上で重要な課題である。本研究では、鉛直1次元多層大気-土壌-植生モデルSOLVEGを用いて、西アフリカのサバンナ生態系の乾季および雨季の地表面エネルギー・水収支の数値シミュレーションを行った。数値計算の結果、それぞれの季節について、モデルは観測された地表面熱フラックス(正味放射量、顕熱、潜熱、および地中伝導熱)の日変化の傾向を再現した。また、計算値と観測値の間の相関係数、平均二乗誤差、および標準正規偏差の統計量の比較によりモデルの性能を評価し、モデルのパラメータを適切に与えることによって、サバンナ生態系で観測された地表面熱収支、土壌からの蒸発、植生からの蒸散などのダイナミクスを定量的に再現できる可能性を明らかにした。
Desai, A. R.*; Wohlfahrt, G.*; Zeeman, M. J.*; 堅田 元喜; Eugster, W.*; Montagnani, L.*; Gianelle, D.*; Mauder, M.*; Schmid, H. P.*
Environmental Research Letters, 11(2), p.024013_1 - 024013_9, 2016/02
被引用回数:23 パーセンタイル:58.25(Environmental Sciences)植物生産力とそれに付随する生物地球化学循環は、局地的な気象現象の主要な駆動力として働く大気大循環における季節から10年スケールの変動パターンに強く依存する。将来の気候変動に対して、地域スケールの生態系生産力と植物季節がどのように応答するかを理解するには、大気循環と上層大気圧パターンの予測の不確実性が、平均気温または降水量の予測の不確実性を上回ることから、上記の短期・中期的な駆動力を統合した解釈が必要である。本研究では、地上気象・植物季節・フラックスタワー・衛星データ等と数値シミュレーションを用いて、大西洋上の2種類の対流圏気圧場のパターンがヨーロッパのフェーン(南風)の流れとどのように相互作用し、冬季の天候に影響するかを明らかにする。これらの効果は、北部・中央アルプスでの初期植物生育期間の応答に対する冬季の降雪と土壌温度の強い影響によって、春季の生態系生産力と植物季節に重要な影響をおよぼす。大気循環の将来変化予測の改善は、気候変動に対する生態系の影響のより良い評価と気候的避難所の描写のために重要である。
堅田 元喜; Mauder, M.*
no journal, ,
雪解けのタイミングには、生育期間のCO交換の変動を決定づける重要な役割がある。雪の物理過程は極めて複雑であり、その正確な予測には精緻なプロセスベースの雪モデルが必要である。本研究では、著者らが開発した多層大気-土壌-植生モデル(SOLVEG)に、新たに融雪および土壌凍結過程を考慮した。雪の厚みを持った層の重なりとして表現し、その中での熱・液体水移動や、土壌水の凍結・融解などのプロセスをモデル化した。このモデルをドイツのアルプス地域の草地サイトに適用し、そこでの観測データと比較することによって検証した。改良したモデルは、観測された運動量・熱・CO
フラックス,アルベド,積雪深,積雪表面温度、および土壌温度・水分量の時間変化を再現した。シミュレーションでは、アルプス地域で見られる乾燥した熱風(フェーン)が雪面に与える顕熱と雪面での昇華熱によって、融雪が大きく促進することが示された。フェーンによって雪が融解した後には、冬季の最中であっても植物の光合成活動が活発に起こることが明らかになった。
堅田 元喜; Grote, R.*; Zeeman, M. J.*; Mauder, M.*; 太田 雅和; Lu, H.*; Kiese, R.*
no journal, ,
アルプスの生態系は、土壌呼吸が純光合成量を上回る寒冷期には炭素の発生源となることがわかっているが、積雪の役割と気候温暖化に伴う積雪期間の短縮化へのこれらの生態系の応答は明らかではない。本研究では、無積雪期間の草地動態を調べるために、多層大気-土壌-植生モデル(SOLVEG)に詳細な雪物理スキーム、植物生長スキーム、および土壌微生物スキームを結合した。このモデルを、降雪量が極めて少なかった年のドイツの準アルプス草地の観測サイトに適用した。改良したモデルは、地表面熱収支やCOフラックス、土壌温度・含水量、および地上部バイオマスの時間変化を再現した。シミュレーションおよび観測結果では、低標高では草本が冬眠することなく光合成活動を続けていることが示された。同時に、霜害による枯死が進むために、結果的には無積雪期間の光合成による積算炭素同化量は土壌呼吸とほぼ同等であった。しかしながら、温暖化環境では霜害を避けられるために、冬から春にかけて草地がCO
の強い吸収源となることがわかった。将来の気候変動によって、世界に分布する山岳草地での冬季の炭素吸収量の重要性が増す可能性がある。
堅田 元喜; Mauder, M.*
no journal, ,
われわれが開発した多層大気-土壌-植生モデル(SOLVEG)を積雪および土壌凍結条件に適用可能にするための改良を施した。積雪を厚みを持った層の重なりとして表現するとともに、土壌水の凍結・融解プロセスをモデル化した。湿り雪(不飽和状態)の水移動を詳細に再現するために、毛管上昇および重力排水の両方による水移動を考慮した。モデルの再現性をドイツのアルプス地域の草地フラックスサイトで検証した。改良したモデルは、観測された地表面熱フラックス,アルベド,積雪深,積雪表面温度、および土壌温度・水分量の時間変化を再現した。特に、観測に見られた融雪後の土壌水分量の急激な増加が計算結果にも見られた。また、アルプス地域で見られる典型的な乾燥した熱風(フェーン)が通過した際に雪面上で観測された大きな下向き顕熱および上向き潜熱フラックスも、シミュレーションによって再現された。
Desai, A. R.*; Wohlfahrt, G.*; Zeeman, M.*; 堅田 元喜; Mauder, M.*; Schmid, H. P.*
no journal, ,
気候変動が及ぼす領域規模の生物地球化学循環への影響の予測精度を高めるためには、生態系が気候に直接応答するのではなく気象現象の発生を通じて間接的に応答することと、気象現象に対する生態系応答の多くは時間的遅れを伴うことの2点を考慮する必要がある。本研究では、北アルプス草原地帯でこれらの問題にアプローチした。オーストリアとドイツでのフラックスおよび植物季節学的特徴についての長期観測と生物物理モデルによって、冬季の気温、降雪、融雪頻度の違いが草本の枯死率と炭素吸収に大きく影響することが明らかになった。さらに、冬の気温や積雪深を支配している気象現象は、主にフェーン(温かく乾燥した南風)であることが示された。最終的に、フェーン出現率の経年変化の多くは、北極振動の影響を受けるグリーンランド上の500hPa気圧面のパターンによって説明できることがわかった。
堅田 元喜; Held, A.*; Mauder, M.*
no journal, ,
植物葉に直接接触させて葉の電気伝導度を測定するセンサーを用いて、2013年9月から11月においてドイツのアルプス地域の草地サイトで葉の濡れ度を測定した。得られたデータを解析するために、著者らが開発した多層大気-土壌-植生モデル(SOLVEG)を用いた数値シミュレーションを実施した。モデルは観測された葉の濡れ度、正味放射量、運動量・熱・水蒸気・COフラックス、葉表面温度、および土壌温度・水分量の経時変化を良好に再現した。晴天時には、葉の濡れの観測値が日中蒸発によって減少し、夜間は凝結によって増加するという典型的な日変化パターンを示した。一方、降雨・霧・積雪の条件下では、常に葉が濡れている状態が保たれていた。また、気温が低い夜間には、葉表面での凝結とともに凍結が生じ、凍結した水が翌日の早朝に日射によって加熱されて融解・蒸発する現象が観測された。夕方から夜間に凝結が進む際には、葉の濡れ度は相対湿度と相関が高く、蒸発が起こる午前中には風速への依存性が高かった。