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橋本 昌司*; 田中 拓*; 小松 雅史*; Gonze, M.-A.*; 坂下 渉*; 操上 広志; 仁科 一哉*; 太田 雅和; 大橋 伸太*; Calmon, P.*; et al.
Journal of Environmental Radioactivity, 238-239, p.106721_1 - 106721_10, 2021/11
被引用回数:11 パーセンタイル:56.59(Environmental Sciences)本研究は、福島の主に常緑針葉樹林内における放射性セシウムの移行について、複数の研究チームによるモデルを用いた解析を行い、比較を行うことで、モデルのパフォーマンスを分析したものである。また、落葉層の除去と樹木更新の2つの管理シナリオ、および落葉広葉樹林を対象とした補助シナリオについても比較、分析した。いずれのモデルも実測の放射性セシウム濃度の変化傾向などを再現できたが、事故から50年後の予測についてはばらつきが大きく、継続した調査、解析による評価が必要である。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.
Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03
被引用回数:43 パーセンタイル:96.93(Astronomy & Astrophysics)2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。
Malins, A.; 今村 直広*; 新里 忠史; 高橋 純子*; Kim, M.; 佐久間 一幸; 篠宮 佳樹*; 三浦 覚*; 町田 昌彦
Journal of Environmental Radioactivity, 226, p.106456_1 - 106456_12, 2021/01
被引用回数:6 パーセンタイル:35.21(Environmental Sciences)Understanding the relationship between the distribution of radioactive Cs and Cs in forests and ambient dose equivalent rates (*(10)) in the air is important for researching forests in eastern Japan affected by the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant (FDNPP) accident. This study used a large number of measurements from forest samples, including Cs and Cs radioactivity concentrations, densities and moisture contents, to perform Monte Carlo radiation transport simulations for *(10) between 2011 and 2017. Calculated *(10) at 0.1 and 1 m above the ground had mean residual errors of 19% and 16%, respectively, from measurements taken with handheld NaI(Tl) scintillator survey meters. Setting aside the contributions from natural background radiation, Cs and Cs in the organic layer and the top 5 cm of forest soil generally made the largest contributions to calculated *(10). The contributions from Cs and Cs in the forest canopy were calculated to be largest in the first two years following the accident. Uncertainties were evaluated in the simulation results due to the measurement uncertainties in the model inputs by assuming Gaussian measurement errors. The mean uncertainty (relative standard deviation) of the simulated *(10) at 1 m height was 11%. The main contributors to the total uncertainty in the simulation results were the accuracies to which the Cs and Cs radioactivities of the organic layer and top 5 cm of soil, and the vertical distribution of Cs and Cs within the 5 cm soil layers, were known. Radioactive cesium located in the top 5 cm of soil was the main contributor to *(10) at 1 m by 2016 or 2017 in the calculation results for all sites.
白井 更知; 三浦 靖; 立花 郁也; 大森 悟; 和家 純一; 福田 一仁; 中野 貴文; 永里 良彦
JAEA-Technology 2016-007, 951 Pages, 2016/07
再処理施設の定期的な評価とは、保安活動の妥当性を確認し施設の安全性及び信頼性向上のための有効な追加措置を摘出・実施することにより、当該施設が安全な状態で運転を継続できる見通しを得る取り組みである。本報告書は、東海再処理施設における第2回の定期的な評価として、以下の4項目に係る評価を行った結果を取りまとめたものである。(1)保安活動の実施の状況の評価では、必要な文書、体制が整備され、保安活動が適切に展開されていることを確認した。(2)保安活動への最新の技術的知見の反映状況の評価では、最新の技術的知見が安全性を確保する上で適切に反映され、安全性・信頼性の向上が図られていることを確認した。(3)経年変化に関する技術的な評価では、安全上重要な施設及び海中放出管を対象に評価を行った結果、「着目すべき経年変化事象」に該当するものはなく、現状の保全を継続することにより、次回の高経年化対策までの供用を仮定した場合においても機器の安全機能が確保されることを確認した。(4)保全のために実施すべき措置に関する十年間の計画の策定では、経年変化に関する技術的な評価の結果から新たに取り込むべき追加保全策はないとの結論に至った。
石山 道; 川崎 一男; 三浦 博人*
日本保全学会第11回学術講演会要旨集, p.33 - 36, 2014/07
核燃料サイクル工学研究所にはボイラが4基設置されており、設置後20年経過している。平成23年12月には、ボイラ水の漏えいが発生し、水管を調査したところ、対流蒸発缶の1本に腐食による貫通孔が発見された。その際、隣接する対流蒸発管2本に貫通までは至らないものの、同様なピットがあることを確認した。そこで、水管の減肉状況を確認するため、水浸式超音波探傷検査(UT)を実施した。その結果、減肉箇所は水ドラム管端部からベンド部手前までの範囲に集中しており、燃焼灰などが堆積している箇所であった。よって、水管の減肉は、堆積物に水分が含まれることで発生する腐食性の水溶液による硫酸腐食(局部腐食)が原因と推定する。
三村 達矢*; 西方 篤*; 水流 徹*; 山本 正弘; 内山 軍蔵; 野島 康夫*; 藤根 幸雄*
腐食防食協会第58回材料と環境討論会講演集, p.15 - 16, 2011/09
使用済核燃料の再処理施設においては腐食環境を考慮し純Ti及びTi-5Taを使用した機器が存在する。これらの機器が水の放射線分解で生成した水素を吸収してぜい化する可能性を検討している。そこで、再処理溶液中での水素の安定性を評価することを目的とし、溶液中の水素溶解度について、水素ガスを飽和させた硝酸塩溶液中でチャンネルフロー電極法によりアノード分極曲線をとり、水素溶解度を決定する方法を検討した。
長尾 敬介*; 岡崎 隆司*; 中村 智樹*; 三浦 弥生*; 大澤 崇人; 馬上 謙一*; 松田 伸太郎*; 海老原 充*; Ireland, T.*; 北島 富美雄*; et al.
Science, 333(6046), p.1128 - 1131, 2011/08
被引用回数:130 パーセンタイル:95.22(Multidisciplinary Sciences)はやぶさが回収した小惑星イトカワの岩石粒子中の希ガス同位体組成を測定した結果、月試料に匹敵する高い濃度の太陽風起源He, Ne, Arを確認した。これらの希ガス組成は繰り返されたインプランテーションと、イトカワ上のレゴリス粒子同士の摩擦によってHeに富んだリムの除去による選択的Heの損失によって説明可能である。イトカワ上のレゴリスの照射時間はわずか1000万年未満であり、小さな小惑星上の物質が容易に宇宙空間に散逸してしまうことを反映している。
坂中 章悟*; 明本 光生*; 青戸 智浩*; 荒川 大*; 浅岡 聖二*; 榎本 収志*; 福田 茂樹*; 古川 和朗*; 古屋 貴章*; 芳賀 開一*; et al.
Proceedings of 1st International Particle Accelerator Conference (IPAC '10) (Internet), p.2338 - 2340, 2010/05
日本においてERL型放射光源を共同研究チームで提案している。電子銃,超伝導加速空洞などの要素技術開発を進めている。また、ERL技術の実証のためのコンパクトERLの建設も進めている。これら日本におけるERL技術開発の現状について報告する。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 石塚 成宏*; 三浦 覚*; 齋藤 武史*; 平井 敬三*
Global Change Biology, 15(3), p.631 - 642, 2009/03
被引用回数:44 パーセンタイル:74.23(Biodiversity Conservation)土壌には大気中に存在している炭素の約2倍に相当する炭素が有機物として貯留していると推定されている。そのため、土壌有機炭素貯留量がわずかに変化するだけで、大気中のCO濃度や地球規模での炭素循環に重大な影響を及ぼす可能性がある。将来の気候変化に対する土壌有機炭素の応答の規模やタイミングを正確に予測するためには、土壌有機炭素の微生物分解に対する不均質性の定量的理解が不可欠である。本研究では、化学的に分画した土壌有機物に対して加速器質量分析装置を用いて放射性炭素同位体比を測定することによって、化学的に安定性の異なる土壌有機炭素画分ごとにその滞留時間を推定した。その結果、土壌を数年から1000年以上に渡る6つの異なる分解性を持つ炭素プールの複合体として特徴づけることができ、今後100年間に温暖化によって数十年から200年程度の比較的長い滞留時間を持つ炭素プールからの炭素消失が加速する可能性を示した。
坂中 章悟*; 吾郷 智紀*; 榎本 収志*; 福田 茂樹*; 古川 和朗*; 古屋 貴章*; 芳賀 開一*; 原田 健太郎*; 平松 成範*; 本田 融*; et al.
Proceedings of 11th European Particle Accelerator Conference (EPAC '08) (CD-ROM), p.205 - 207, 2008/06
コヒーレントX線,フェムト秒X線の発生が可能な次世代放射光源としてエネルギー回収型リニアック(ERL)が提案されており、その実現に向けた要素技術の研究開発が日本国内の複数研究機関の協力のもと進められている。本稿では、ERL放射光源の研究開発の現状を報告する。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 石塚 成宏*; 齋藤 武史*; 平井 敬三*; 三浦 覚*
Proceedings of International Symposium on Application of a Closed Experimental System to Modeling of C Transfer in the Environment, p.72 - 76, 2008/00
土壌には大気中に存在している炭素の約2倍に相当する炭素が有機物として貯留していると推定されている。そのため、土壌有機炭素貯留量の微小な変化でさえ、大気中CO濃度に重大な影響を及ぼす可能性がある。近年の議論では、土壌有機炭素の分解に対する不均質性のより詳細な理解が、気候変化に対する土壌有機炭素の分解応答の程度やタイミングの将来予測の鍵を握っているとされている。本研究では、安比ブナ林において土壌を採取し、土壌有機物の化学的分画を行い、加速器質量分析計を用いて各有機物画分の放射性炭素同位体比の測定を行った。得られた同位体比に基づいて土壌炭素の滞留時間及び土壌有機物の分解速度の推定を行った。その結果、安比ブナ林の土壌は、数年から1000年以上に渡る6つの異なる滞留時間を持つ炭素プールの複合体として特徴づけることができ、従属栄養生物による全炭素放出のうち約半分が、炭素貯留量がわずか6.1%であるが最も滞留時間の短い表層リター層から生じていることが示された。さらに、約3分の2の土壌有機炭素が数百年の滞留時間を有していることや、約5%の炭素は炭素循環から隔離された状態で保持されていることが明らかになった。
二宮 博正; 秋場 真人; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 藤原 正巳*; 濱松 清隆; 林 伸彦; 細金 延幸; 池田 佳隆; 井上 信幸; et al.
Journal of the Korean Physical Society, 49, p.S428 - S432, 2006/12
現在検討が進められているJT-60のコイルを超伝導コイルに置き換える計画(トカマク国内重点化装置計画)の概要について述べる。本計画はITER及び原型炉への貢献を目指しているが、その位置づけ,目的,物理設計及び装置設計の概要,今後の計画等について示す。物理設計については、特に高い規格化ベータ値を実現するためのアスペクト比,形状因子及び臨界条件クラスのプラズマや完全非誘導電流駆動のパラメータ領域等について、装置については物理設計と整合した設計の概要について示す。
仲野 友英; 朝倉 伸幸; 竹永 秀信; 久保 博孝; 三浦 幸俊; 清水 勝宏; 木島 滋; 正木 圭; 東島 智; JT-60チーム
Nuclear Fusion, 46(5), p.626 - 634, 2006/05
被引用回数:21 パーセンタイル:57.27(Physics, Fluids & Plasmas)長い時間スケールにおけるプラズマ・壁相互作用を理解するため、放電時間を15秒から65秒に、中性粒子ビーム加熱時間を10秒から30秒に伸張した。長時間Hモード放電の後半ではダイバータ板が粒子飽和することが確認された。放電中にダイバータ板での粒子吸収が徐々に減少し、その後、粒子を吸収しない状態に達した。この壁飽和現象によって、ダイバータ排気を有効にしているにもかかわらず中性粒子ビーム以外の粒子供給がなくても主プラズマの密度が上昇した。また、総入力エネルギーが350MJに達したが、カーボンブルームと呼ばれる急激な炭素不純物の発生や、主プラズマの不純物による希釈は観測されなかった。
菊池 満; 玉井 広史; 松川 誠; 藤田 隆明; 高瀬 雄一*; 櫻井 真治; 木津 要; 土屋 勝彦; 栗田 源一; 森岡 篤彦; et al.
Nuclear Fusion, 46(3), p.S29 - S38, 2006/03
被引用回数:13 パーセンタイル:41.76(Physics, Fluids & Plasmas)トカマク国内重点化装置(NCT)計画は、大学における成果を取り込みつつJT-60Uに引き続き先進トカマクを進めるための国内計画である。NCTのミッションは発電実証プラントに向けて高ベータ定常運転を実現するとともに、ITERへの貢献を図ることである。高ベータ定常運転を実現するために、装置のアスペクト比,形状制御性,抵抗性壁モードの帰還制御性,電流分布と圧力分布の制御性の機動性と自由度を追求した。
土屋 勝彦; 秋場 真人; 疇地 宏*; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 藤原 正巳*; 濱松 清隆; 橋爪 秀利*; 林 伸彦; 堀池 寛*; et al.
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1599 - 1605, 2006/02
被引用回数:1 パーセンタイル:9.98(Nuclear Science & Technology)JT-60定常高ベータ装置(トカマク国内重点化装置)は、経済的な核融合炉の実現を目指した定常高ベータプラズマ運転の実証が重要なミッションの一つである。現在、プラズマ形状及びアスペクト比について広いパラメータ領域で研究を行えるように、装置の物理的・技術的設計検討を進めている。本装置の目標とする高ベータプラズマは、自由境界MHD安定性限界を超えた領域にあるため、電子サイクロトロン加熱による新古典テアリングモードの抑制に加えて、安定化板及び容器内コイルを用いた壁不安定性モードの抑制など、さまざまなMHD不安定性の制御手法を駆使する必要がある。それらを踏まえて、今回は、高ベータと臨界条件クラスのプラズマを同時に達成できるプラズマパラメータの解析評価、及び自由境界MHD安定性限界を超えた高ベータプラズマの非誘導電流駆動制御シナリオの検討結果について報告する。また、広いパラメータ領域で定常高ベータプラズマ運転を実現させるための装置設計の現状に関して、超伝導コイル及び放射線遮へい材を中心に報告する。
安居院 あかね; 水牧 仁一朗*; 朝日 透*; 佐山 淳一*; 松本 幸治*; 森川 剛*; 松下 智裕*; 逢坂 哲彌*; 三浦 義正*
Journal of Alloys and Compounds, 408-412, p.741 - 745, 2006/02
被引用回数:7 パーセンタイル:46.38(Chemistry, Physical)次世代高密度記録媒体材料の候補として期待される希土類-遷移金属アモルファス薄膜の垂直磁気異方性の濃度依存性を元素別に調べるために、DyCo膜の軟X線吸収測定及び磁気円二色性測定を行った。MCD測定は磁化の入射角に対する軸方向への射影としてあらわれ、濃度によってDyのモーメントの広がりが変化することがわかった。
竹永 秀信; 朝倉 伸幸; 久保 博孝; 東島 智; 木島 滋; 仲野 友英; 大山 直幸; Porter, G. D.*; Rognlien, T. D.*; Rensink, M. E.*; et al.
Nuclear Fusion, 45(12), p.1618 - 1627, 2005/12
被引用回数:18 パーセンタイル:51.39(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uの内部輸送障壁を有する先進トカマクプラズマの運転領域を、高閉じ込め及び高放射損失割合を達成しつつグリーンワルド密度(n)を超える領域まで拡大した。負磁気シアプラズマでは、/n=1.1においてHモードからの閉じ込め改善度HH=1.3を得た。この時、周辺ペデスタル密度はグリーンワルド密度の半分程度と低いにもかかわらず、強い密度内部輸送障壁を形成することにより高い平均密度を得ている。同放電では、金属不純物の蓄積が観測されており、主プラズマからの放射損失が加熱パワーの65%に達しているが、閉じ込めの劣化は観測されない。また、ダイバータでの放射損失を増大するために、ネオンを入射した放電では、/n=1.1にて、HH=1.1,総放射損失割合90%以上を達成した。高ELMy Hモードプラズマ(弱正磁気シア)では、アルゴン入射と高磁場側ペレット入射により、/n=0.92,HH=0.96,放射損失割合100%を達成した。同放電でも、強い内部輸送障壁の形成により高平均密度が得られている。アルゴン輸送解析から、主プラズマ中心での放射損失はおもにアルゴンによること、ダイバータでのアルゴンの放射損失は20-40%程度であることが明らかになった。
玉井 広史; 秋場 真人; 疇地 宏*; 藤田 隆明; 濱松 清隆; 橋爪 秀利*; 林 伸彦; 堀池 寛*; 細金 延幸; 市村 真*; et al.
Nuclear Fusion, 45(12), p.1676 - 1683, 2005/12
被引用回数:15 パーセンタイル:45.53(Physics, Fluids & Plasmas)トカマク国内重点化装置の設計研究をまとめた。装置の設計は、プラズマのアスペクト比と形状制御性に関して自由度を広く確保できることが求められている。これは、ITERと平行して研究を進めるとともに、定常高ベータプラズマ運転についての科学的なデータベースをDEMOへ提供する観点から重要である。この目標に合致するように、プラズマのアスペクト比と形状の自由度の確保について、これまで比較的困難であったダイバータ排気性能との両立が図られるように装置設計を行った。この装置設計に基づいて、閉じ込め,安定性,電流駆動,ダイバータプラズマ等の物理性能を評価し、主目的である定常高ベータプラズマを実現するための制御方法を検討した。
竹永 秀信; 朝倉 伸幸; 東島 智; 仲野 友英; 久保 博孝; 木島 滋; 大山 直幸; 諫山 明彦; 井手 俊介; 藤田 隆明; et al.
Journal of Nuclear Materials, 337-339, p.802 - 807, 2005/03
被引用回数:14 パーセンタイル:67.84(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60Uでは、高性能プラズマの電流拡散時間以上の定常維持及びプラズマ壁相互作用の長時間スケールでの変化の解明を目的に、放電時間を従来の15秒から65秒へ、NB加熱時間を10秒から30秒に伸長した。本論文では、長時間放電を用いてダイバータ板・第一壁での粒子吸収率や不純物発生率等の長時間スケールでの変化、及びその粒子バランス,プラズマ性能,粒子挙動への影響について明らかにした。長時間放電実験の開始時には、ほぼ一定のガスパフ量で30秒間密度が一定に保たれており、粒子バランス解析からこの時のダイバータ板・第一壁での粒子吸収量はダイバータ排気量より大きいと評価される。数ショット長時間放電を繰り返した後の放電では、密度を一定に維持するためのガスパフ量が減少し始め、最終的にはガスパフなしでも密度が上昇した。この時の粒子バランス解析は、壁での粒子吸蔵量が飽和状態にあることを示唆している。このように放電途中に粒子吸収率が大きく変化する現象が、放電・加熱時間を伸長することではじめて観測された。粒子吸蔵量が飽和状態にある場合には、主プラズマ周辺での圧力の低下,タイプIII ELMの出現が観測された。また、X点近傍のCII発光強度や内側ダイバータでのCDバンド光の強度が、粒子吸蔵量が飽和状態になる前から増加し始めることが観測された。
竹永 秀信; 朝倉 伸幸; 久保 博孝; 東島 智; 木島 滋; 仲野 友英; 大山 直幸; Porter, G. D.*; Rognlien, T. D.*; Rensink, M. E.*; et al.
Proceedings of 20th IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2004) (CD-ROM), 8 Pages, 2004/11
JT-60Uの内部輸送障壁を有する先進トカマクプラズマの運転領域を、高閉じ込め及び高放射損失割合を達成しつつグリーンワルド密度(n)を超える領域まで拡大した。負磁気シアプラズマでは、/n=1.1においてHモードからの閉じ込め改善度HH=1.3を得た。この時、周辺ペデスタル密度はグリーンワルド密度の半分程度と低いにもかかわらず、強い密度内部輸送障壁を形成することにより高い平均密度を得ている。同放電では、金属不純物の蓄積が観測されており、主プラズマからの放射損失が加熱パワーの65%に達しているが、閉じ込めの劣化は観測されない。また、ダイバータでの放射損失を増大するために、ネオンを入射した放電では、/n=1.1にて、HH=1.1,総放射損失割合90%以上を達成した。高 ELMy Hモードプラズマ(弱正磁気シア)では、アルゴン入射と高磁場側ペレット入射により、/n=0.92,HH=0.96,放射損失割合90%を達成した。同放電でも、強い内部輸送障壁の形成により高平均密度が得られている。アルゴン輸送解析から、主プラズマ中心での放射損失はおもにアルゴンによること,ダイバータでのアルゴンの放射損失は20-40%程度であることが明らかになった。