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水野 峰雄; 芳賀 哲也; 須藤 勝夫; 武内 健太郎; 沖田 高敏; 木原 義之
JAEA-Technology 2011-009, 100 Pages, 2011/06
高速増殖原型炉もんじゅ用燃料ペレットは85%TDと低焼結体密度仕様であるため、製造には密度を降下させるためのポアフォーマ(以下、PFと略す)として、アビセルが使用されてきた。しかし、近年、アビセルの製造が中止されたため、代替材としてのPF候補材の特性を比較評価するための試験を実施した。下記に示した本試験の結果に基づき、セルフィアをアビセルの代替材に推奨した。(1)セルフィアを添加したペレットの焼結体密度のPF添加による密度降下率は、アビセルを添加したペレットとほぼ同一で、密度のばらつきはPF候補材の中で最も小さい。(2)ペレット外観観察における欠陥発生率は、PF候補材の中で最も低い。(3)セルフィアを添加したペレットのO/Mは、アビセル添加ペレットのO/Mと同等である。(4)ペレット縦断面金相観察におけるマイクロクラック発生の程度は、セルフィアがPF候補材の中で最も小さく、アビセル添加ペレットと同等である。(5)セルフィアを添加したペレットの焼しまり量はアビセル添加ペレットと同等である。上記のとおり、アビセルの代替材として推奨したセルフィアは、アビセル使用終了後のもんじゅ燃料製造に使用される予定である。
柏木 美恵子; 谷口 正樹; 小島 有志; 大楽 正幸; 花田 磨砂也; Hemsworth, R. S.*; 水野 貴敏*; 武本 純平; 田中 政信*; 田中 豊*; et al.
Proceedings of 23rd IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2010) (CD-ROM), 8 Pages, 2011/03
原子力機構の多孔多段加速器では、ITERの中性粒子入射装置に必要な1MeV, 200A/mの負イオンビーム加速を目指している。耐電圧試験では、加速器の耐電圧は理想的な電極の耐電圧の半分程度であることがわかった。複雑な構造を有する電極や電極支持部の局所的な電界集中が問題であると考え、電極間ギャップを延長し、電極支持部の端部の曲率を大きくして電界集中を抑えた。その結果、真空耐電圧が改善し、1MVで4000秒の電圧保持を達成した。ビーム加速でも、従来の796keV, 0.32A (140A/m)から879keV, 0.36A (157A/m)に大きく進展した。一方、ビーム加速試験では、磁場とビーム間の空間電荷反発によりビームが曲げられて電極に衝突し、ビームエネルギー・電流減少の原因となっていた。3次元ビーム解析において、このビームの偏向量を明らかにして孔ずれと電界補正板を用いたビーム偏向補正方法を設計し、加速器試験でこの補正法が有効に機能することを確認した。
柏木 美恵子; 谷口 正樹; 梅田 尚孝; 水野 貴敏; 戸張 博之; 大楽 正幸; 渡邊 和弘; 井上 多加志
Plasma and Fusion Research (Internet), 5, p.S2097_1 - S2097_4, 2010/12
ITER用中性粒子入射装置(NBI)では、1MeV, 40A, 3600秒の重水素負イオンを生成・加速する高パワー負イオン加速器が必要とされている。その実現に向けて原子力機構では、MeV級負イオン加速試験と並行して、3次元マルチビームレット解析によるビーム光学研究を進めている。最大30秒の長パルス負イオン加速試験後、電極の孔周辺にはビーム衝突によると思われる溶融が観測された。この原因を解明するために、3次元ビーム解析コード(OPERA-3d)に、原子力機構で開発した2次元ビームコード(BEAMORBT),ガス解析コードを組合せ、負イオンの中性化損失も考慮した詳細な負イオン軌道解析を実施した。その結果、磁場とビームレットの空間電荷反発により偏向したビームレットが、電極へ直接衝突して20kW/cm以上の高い熱負荷を生じ、電極が溶融したことを明らかにした。この対策として、電子抑制電極の孔ずれによるビームレット偏向補正と、周辺部に電界補正板を取り付け、端部のビームレットを内側に押し戻す方法を検討し、次回試験に適用することとした。
戸張 博之; 井上 多加志; 大楽 正幸; 梅田 尚孝; 柏木 美恵子; 谷口 正樹; 水野 貴敏; 渡邊 和弘; 坂本 慶司
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.9, p.152 - 156, 2010/08
ITER NBI用高電圧(HV)ブッシングは、ガス絶縁方式である-1MV高圧電源伝送系と真空中に設置する負イオン源及び静電加速器の間の圧力隔壁であり、かつ電力を絶縁導入する重要な機器である。HVブッシングの構造は負イオン加速器に対応し5段構造であり、各段の絶縁材には外径1.56mの大口径セラミックを用いる。これを金属接合(ロウ付け)することで真空境界を形成するが、過去にこれほど大型のセラミックのロウ付けは行われていない。種々のサンプル試験や強度解析を経て、今回、原子力機構は世界最大となる大口径セラミックと厚肉コバール材のロウ付けに初めて成功した。この結果を受けて、5段構造の高電圧ブッシングのうち1段分を模擬したモックアップを試作し、真空耐電圧性能の実証を目指した試験を遂行している。また、実機高電圧ブッシングの-1MV絶縁のための内部電界設計を行っている。本会議ではこれらの進捗状況について報告する。
梅田 尚孝; 水野 貴敏; 谷口 正樹; 柏木 美恵子; 江里 幸一郎; 戸張 博之; 大楽 正幸; 渡邊 和弘; 坂本 慶司; 井上 多加志
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.9, p.259 - 263, 2010/08
原子力機構では、MeV級加速器においてITER級水素負イオンビームの長パルス加速試験を行っている。試験後の電極孔周囲には偏向した負イオンビーム及び負イオンから剥離した電子や電極から発生した2次電子等の衝突による溶融が見られ、高パワー・長パルスビーム加速のためには、ビーム偏向を補正するとともに電極の冷却性能向上が必要である。本研究では、3次元非定常熱解析により新電極の設計を行った。熱解析の結果、高パワービーム加速時には電極表面温度は数秒で融点(1084C)を越え得ることが判明した。この対策として、従来、電極裏面にロー付けされていた冷却配管に代え、ガンドリルで直接電極孔間に冷却流路を設けることとした。その結果、電極表面温度上昇を低減するとともに、スペースの制約により14mmに制限されていた電極孔径を16mmに増加することができ、負イオン衝突による熱負荷の低減も可能となった。熱解析の結果、新電極では前回の電極に比べて大幅に温度上昇が抑制され、次回の試験ではさらなる高パワー・長パルス加速実現の見通しが得られた。
柏木 美恵子; 谷口 正樹; 大楽 正幸; Grisham, L.*; 花田 磨砂也; 水野 貴敏; 戸張 博之; 梅田 尚孝; 渡邊 和弘; 坂本 慶司; et al.
Review of Scientific Instruments, 81(2), p.02B113_1 - 02B113_5, 2010/02
被引用回数:8 パーセンタイル:37.90(Instruments & Instrumentation)ITER NBIに向けた原子力機構のMeV多孔5段負イオン加速器の最近の試験において、全体で1MV、各段200kVを安定に保持するために、加速ギャップ長(1st/2nd/3rd/4th/5thギャップ)を従来の104/94/87/78/72mmから全ギャップ100mmまで拡張する必要があることがわかった。しかし、ギャップ長の拡張は、ビーム光学の劣化,負イオン中性化損失の増加,ビームレット反発による偏向角の増大を引き起こす可能性がある。そこで2次元ビーム解析でギャップ長とビーム光学,3次元ガス解析で負イオンの中性化損失,3次元ビーム解析によりビームレットの偏向角を検討した。その結果、ギャップ長を120mm程度まで拡張することが可能であることがわかり、この結果を約120mmの長ギャップを持つ加速器設計に反映した。
谷口 正樹; 水野 貴敏; 梅田 尚孝; 柏木 美恵子; 渡邊 和弘; 戸張 博之; 小島 有志; 田中 豊; 大楽 正幸; 花田 磨砂也; et al.
Review of Scientific Instruments, 81(2), p.02B101_1 - 02B101_3, 2010/02
被引用回数:7 パーセンタイル:34.58(Instruments & Instrumentation)原子力機構では、ITER NBI用負イオン加速器として、5段の静電加速器であるMeV級加速器の開発を行っている。MeV級加速器では、2007年までに796keV, 320mAの負イオン加速に成功したが、積極的な冷却機構を持たない慣性冷却電極のため、パルス幅が0.2sに制限されていた。本研究では、MeV級加速器に水冷加速電極を組み込んで長パルス・大電流負イオン加速試験を行った。その結果、最適パービアンス条件下で750keV, 221mA, 5sの負イオン加速に成功した。また、負イオン加速の最大積算エネルギーは、1.01MJ(651keV, 155mA, 10s)であった。上記以上の大パワー加速では、第3加速電極、及び接地電極への熱負荷が過大となり、絶縁破壊が頻発した。試験後の加速器を分解・観察した結果、ビーム偏向によりこれらの電極が溶融し、絶縁破壊が生じたことが明らかとなった。
水野 貴敏; 谷口 正樹; 柏木 美恵子; 梅田 尚孝; 戸張 博之; 渡邊 和弘; 大楽 正幸; 坂本 慶司; 井上 多加志
Review of Scientific Instruments, 81(2), p.02B103_1 - 02B103_3, 2010/02
被引用回数:4 パーセンタイル:22.75(Instruments & Instrumentation)ITER NBIでは1MeV, 40Aの負イオンビームを最大3,600sに渡り加速することが求められる。その実現には負イオンの加速途中で発生する電子,原子及び正イオンといった二次粒子の挙動を解明し、電極熱負荷を低減する必要がある。そこで、カダラッシュ研究所の開発した解析コード(EAMCC)を用いて原子力機構のMeV級加速器での長パルス加速実験を対象とした加速器内の二次粒子挙動の解析を行った。600keVビーム加速を対象とした解析から、第3加速電極(A3G)に多くのストリッピング電子が衝突することにより、A3Gの熱負荷がA3Gより下流の電極と比べて高くなることがわかった。これは、長パルス加速実験で用いられた加速器では加速段数合理化のためにA3Gの上流の第2加速電極(A2G)を省いたことが原因であることがわかった。
寺崎 良*; 藤野 郁朗*; 畑山 明聖*; 水野 貴敏; 井上 多加志
Review of Scientific Instruments, 81(2), p.02A703_1 - 02A703_3, 2010/02
被引用回数:23 パーセンタイル:67.84(Instruments & Instrumentation)将来の核融合炉に向けた大型水素負イオン源の開発において、空間的に一様な負イオン生成を実現することは重要な課題の一つである。近年、原子力機構の10A負イオン源における実験で、イオン源内の電子エネルギー分布が空間的に非一様となること、及びその電子エネルギー分布により負イオン生成分布が空間的に非一様となることが明らかにされた。そこで、本研究の目的は、電子エネルギー分布の解析を行い、空間的に非一様な電子エネルギー分布形成の物理的機構を明らかにし、空間的に一様な負イオン生成の実現に資することである。この目的のため、われわれはモンテカルロ法を用いた空間三次元・速度空間三次元(3D3V)の電子エネルギー分布解析コードを開発した。このコードを用いて、JAEAの10A負イオン源を対象とした解析を行ったところ、実験で観測されたイオン源内の電子エネルギー分布の空間的非一様性を再現した。われわれの開発したコードは次世代負イオン源の設計に有力なツールとなりうる。
水野 貴敏; 井上 多加志; 谷口 正樹; 柏木 美恵子; 梅田 尚孝; 戸張 博之; 大楽 正幸; 渡邊 和弘
JAEA-Research 2008-120, 19 Pages, 2009/03
中性粒子ビーム入射装置の負イオン加速器内には、負イオンと残留水素ガスとの衝突による電子や原子及び正イオンの発生、ビームプラズマからの正イオンの引き込み、それら2次粒子の電極への衝突による2次電子放出など複雑な2次粒子の挙動があり、それら2次粒子は加速器や負イオン源への熱負荷の原因となっている。この熱負荷の低減がITERに向けた負イオンビームの長パルス加速器開発の重要な課題の一つである。そこで、負イオン加速器内での粒子挙動解析コード(EAMCCコード)を用いて2次粒子挙動を明らかにする研究を開始した。本報告は原子力機構のMeV級イオン源試験装置(MTF)での加速を対象とした解析に関するものである。本解析の結果、約40%の負イオンがストリッピングで損失すること、負イオンのストリッピングで発生する電子の約2.5倍の2次電子放出が起こること、中間電極への熱負荷の90%が電子によることなどが明らかになった。また、中間電極に流れる電流の解析結果と実験結果の比較では、第2及び第3加速電極に流れる電流に相違が見られた。これはビームプラズマからの正イオンの引き込みなどが原因だと考えられる。
高戸 直之; 花谷 純次*; 水野 貴敏*; 畑山 明聖*; 戸張 博之; 花田 磨砂也; 井上 多加志; 谷口 正樹; 大楽 正幸; 柏木 美恵子; et al.
AIP Conference Proceedings 925, p.38 - 45, 2007/09
水素負イオン源内における原子密度を得るため、水素原子生成・輸送過程の数値解析を行った。モンテカルロ法を用いた3次元輸送コードを、セシウム添加状態のJAEA10アンペア負イオン源に適用した。本研究においては、水素原子生成レートをラングミュアプローブのプローブ特性から推定した。加えて、水素原子のエネルギー緩和過程も考慮した原子の輸送計算を行った。その結果、高速電子及びエネルギー緩和過程は水素原子密度に強い影響を与えることが明らかとなった。
花田 磨砂也; 関 孝義*; 高戸 直之; 井上 多加志; 水野 貴敏*; 畑山 明聖*; 柏木 美恵子; 坂本 慶司; 谷口 正樹; 渡邊 和弘
Nuclear Fusion, 46(6), p.S318 - S323, 2006/06
被引用回数:30 パーセンタイル:69.22(Physics, Fluids & Plasmas)セシウム添加方式体積生成型負イオン源のビーム非一様性の原因について実験的に調べた。ビーム強度分布とプラズマ密度分布の相関を調べた結果、負イオン強度はプラズマが集中している領域において高かった。プラズマが集中している領域においては、負イオンの素となるプロトンばかりでなく、水素原子の密度も局所的に高かったと考えられる。さらに、フィラメントから放出する1次電子の軌道を計算した結果、プラズマの集中は、フィラメントから放出した1次電子が、フィラメント近傍の磁場によって、BxBドリフトするためであることがわかった。ビーム非一様性の原因である高速1次電子のBxBドリフトを抑制するために、フィラメントの形状を変更した。その結果、ビーム強度の平均値からの偏差は、変更前の半分に減少しており、ビーム一様性を大幅に改善した。
高戸 直之*; 花谷 純次*; 水野 貴敏*; 加藤 恭平*; 畑山 明聖*; 花田 磨砂也; 関 孝義; 井上 多加志
Review of Scientific Instruments, 77(3), p.03A533_1 - 03A533_3, 2006/03
被引用回数:14 パーセンタイル:56.55(Instruments & Instrumentation)負イオンビームの空間的非一様性発生の原因を明らかにするため、負イオン生成及び輸送過程の数値解析を行った。モンテカルロ法を用いた原子及び負イオンの3次元輸送コードを、セシウム添加型負イオン源に適用した。その結果、電子温度の高い領域で局所的に原子が生成され、プラズマ電極表面への原子フラックスが非一様となることが明らかとなり、負イオン生成分布に影響を与えることが明らかとなった。加えて、生成された負イオンの引出し確率は電子温度依存性が弱いことが明らかとなった。
花田 磨砂也; 関 孝義*; 高戸 直之*; 井上 多加志; 戸張 博之; 水野 貴敏*; 畑山 明聖*; 大楽 正幸; 柏木 美恵子; 坂本 慶司; et al.
Review of Scientific Instruments, 77(3), p.03A515_1 - 03A515_3, 2006/03
被引用回数:24 パーセンタイル:71.52(Instruments & Instrumentation)セシウム添加方式体積生成型負イオン源のビーム非一様性の原因究明を行うために、フィルター磁場と負イオンビームの長手方向の強度分布との相関関係について実験的に調べた。実験では、3種類のフィルター強度(49, 370, 800Gausscm)について調べた。それぞれのフィルター強度に対して、イオン源に少量のセシウム(約0.3g)を添加して、負イオン電流値を添加前よりも34倍に増加させた後、ビーム強度分布を測定した。いずれのフィルター強度に対しても、ビーム強度を長手方向に積分したビーム電流値はほぼ一定であった。しかしながら、ビーム強度分布の偏差は、フィルター強度が800Gausscmの時、平均値に対して30%であったが、フィルター強度を49Gausscmに下げることにより、17%まで低減した。この結果、フィルター強度を低減することによって、ビーム電流値を下げることなく、大幅にビーム強度分布を改善できることが明らかになった。また、プローブ測定の結果、フィルター強度を下げると、プラズマ電極近傍のプラズマ密度及び電子温度は一様になっていることがわかった。これらの結果から、ビーム強度分布の非一様性の原因は、フィルター磁場によってプラズマ電極近傍のプラズマが偏在するためであることが明らかとなった。
花田 磨砂也; 関 孝義*; 高戸 直之*; 井上 多加志; 森下 卓俊; 水野 貴敏*; 畑山 明聖*; 今井 剛*; 柏木 美恵子; 坂本 慶司; et al.
Fusion Engineering and Design, 74(1-4), p.311 - 317, 2005/11
被引用回数:7 パーセンタイル:44.75(Nuclear Science & Technology)原研10A負イオン源を用いて、JT-60U負イオン源の問題点の1つである負イオン源内の負イオン密度の空間的不均一の原因について、実験的に調べた。測定の結果、ビームの空間分布はJT-60U負イオン源同様フィルター磁場に対して垂直な高さ方向(長手方向)に非対称であり、上半分領域の強度は下半分の約60%80%程度であった。また、この時のプラズマ電極近傍の電子温度は高さ方向に対して均一なフィルター磁場を形成しているにもかかわらず不均一であり、上半分領域では13.5eVで、下半分領域ではほぼ1eV一定であった。高速電子の軌道を計算した結果、この高い電子温度の原因はカソードから放出した高速電子がイオン源の上部壁近傍に存在する10Gauss以下の領域を通って、フィルター磁場を飛び越えて、プラズマ電極に漏れ出すためであることが明らかになった。そこで、プラズマ電極への高速電子の漏れ出しを抑制するために、計算で予測された位置に、5cm5cmの閉止板を取り付けた。その結果、イオン源上部の電子温度は1eV程度まで減少し、上半分領域における負イオンビームの一様性も大きく改善され、20%程度ビーム電流値が増加した。本研究により、負イオン密度の不均一性の原因の一つは高速電子のプラズマ電極への漏洩であることが明らかになった。
水野 貴敏*; 北出 祐基*; 畑山 明聖*; 櫻林 徹*; 今井 尚樹*; 森下 卓俊; 井上 多加志
Review of Scientific Instruments, 75(5), p.1760 - 1763, 2004/05
被引用回数:7 パーセンタイル:39.49(Instruments & Instrumentation)核融合加熱に用いられる大面積負イオン源において、負イオンビームの空間的な非一様性が中性粒子入射加熱の高パワー化の大きな妨げとなっている。このビーム非一様性を改善するためにはイオン源内部のプラズマ分布の形成メカニズムを解明することが必要である。イオン源内のプラズマ分布に影響する要素として、負イオン生成を促進するための横磁場(磁気フィルター)によるローレンツ力が重要である。磁気フィルターの磁束密度はおよそ~100G程度であり、電子は磁化されているがイオンは磁化されていない。そこで、2次元流体モデル方程式を電子とイオンの2流体について連立し、イオン源引き出し領域におけるプラズマパラメータ分布を求めた。その結果、電子のExBドリフトよりも、正イオンに働くローレンツ力と慣性力の相乗作用による指向性運動がプラズマ分布の形成に大きく影響していることがわかった。この結果を定量的に実験結果と比較するため、フィルター磁場に沿った電子の損失を考慮した3次元モデルを現在構築中である
水野 貴敏; 井上 多加志; 谷口 正樹; 柏木 美恵子; 梅田 尚孝; 戸張 博之; 渡邊 和弘; 大楽 正幸; 坂本 慶司
no journal, ,
NBIの加速器では、負イオンと残留ガスとの衝突により電子や原子及び正イオンが発生し、またビームプラズマから正イオンが引出され、さらにこれら二次粒子が電極等に衝突して反射、二次電子が放出される等、複雑な二次粒子挙動があり、これら二次粒子がイオン源や電極及びビームラインに熱負荷を与える。したがって、この二次粒子挙動の解明は負イオンビームの長パルス加速に向けた重要な課題の一つである。そこで原子力機構では、EAMCCコードを用いてMeV級加速器内の二次粒子挙動解析を開始した。解析結果から、負イオンと残留ガスとの衝突による二次粒子の発生機構では負イオンのシングル・ストリッピングが支配的であり、負イオンがまだ低エネルギーでガス圧の高い引き出し部から第1加速ギャップで起こりやすい、との事前予測を裏付ける結果が得られた。解析ではさらに、この領域で発生した電子及び原子は電極に衝突する傾向にあること、発生した電子及び原子の約4050%が電極に衝突することなどが判明した。このようなEAMCCコードによる二次粒子挙動解析から得た知見をITER NBIに向けた長パルス加速へと反映していく。
高戸 直之; 花谷 純次*; 加藤 恭平*; 水野 貴敏*; 畑山 明聖*; 戸張 博之; 花田 磨砂也; 井上 多加志; 谷口 正樹; 長谷部 美恵子; et al.
no journal, ,
プラズマ電極に入射する原子のフラックスを決める主要な要因を数値計算により明らかにするため、水素原子生成・輸送過程の数値解析を行った。モンテカルロ法を用いた3次元水素原子輸送計算を、セシウム添加型JAEA10アンペア負イオン源に適用した。水素原子生成過程として、分子の電子衝突による解離反応のみを考慮し、反応レートに影響を与える電子温度・密度はラングミュアプローブを用いた測定結果を適用した。また反応レートが大きい高速電子成分は、プローブ特性から2温度フィッティングで求めた値を用いた。その結果、高速電子(数十eV程度)は熱緩和した電子(数eV程度)に対して密度が10%程度と低いにもかかわらず、原子生成に対する寄与は40%程度と高いことが明らかとなった。加えて原子のエネルギー緩和過程を含めた解析を行った結果、原子密度が80%程度上昇することが明らかとなった。この高速電子による解離及び原子のエネルギー緩和過程を含めることにより、原子密度は従来の解析結果の約2.5倍まで上昇し、原子による負イオンの表面生成とその空間分布形成過程の理解が深まった。
関 孝義; 花田 磨砂也; 戸張 博之; 井上 多加志; 柏木 美恵子; 谷口 正樹; 渡邊 和弘; 坂本 慶司; 高戸 直之*; 水野 貴敏*; et al.
no journal, ,
JT-60Uや大型ヘルカル装置(LHD)用の大型負イオン源では、イオン引出し面(JT-60U:0.45m1.1m)長手方向の負イオンビーム分布が非一様となっており、加速電極やビームライン機器の熱負荷が過大となって、ビーム出力やパルス幅が制限されている。これまでにセシウムを添加しない体積生成型負イオン源について、負イオンビームの一様性改善研究を行い、高速電子のB∇Bドリフトと弱磁場領域への漏洩による負イオンの消滅が原因であることを明らかにした。本発表ではセシウムを添加した負イオン表面生成時における不均一性改善を目的に、フィルタ強度依存性を測定した。その結果、表面生成型では体積生成型負イオン源とは逆に、引き出し面近傍で高電子温度でも高い負イオン電流密度を生成できることを明らかにした。また、フィルタ強度を弱くし、合成磁場による高速電子のドリフトを抑えるとともに、引き出し面近傍に一様な高電子温度・高密度プラズマを生成して負イオンの表面生成を促進することで、一様で高密度の負イオンが得られる可能性を見いだした。
谷口 正樹; 柏木 美恵子; 水野 貴敏; 梅田 尚孝; 戸張 博之; 小島 有志; 田中 豊; 大楽 正幸; 渡邊 和弘; 花田 磨砂也; et al.
no journal, ,
原子力機構では、ITER中性粒子入射加熱装置(NBI)用として大電流の多孔多段型負イオン加速器(MeV級加速器)の開発を行っている。現在までに、MeV級加速器では800keV, 320mA(140A/m), 0.2s, 750keV, 221mA(100A/m), 5sの負イオン加速に成功したが、ITER要求値を満たす1MeV, 200A/mビーム加速実証のためには、耐電圧性能の向上が不可欠である。本研究では、MeV級加速器体系において、電極間ギャップを変えて保持可能電圧を調べた。その結果、(1)保持可能電圧はクランプ説によく従い、ギャップ間距離の0.5乗に比例すること、(2)実機加速器における保持可能電圧は小型電極に比べ約50%程度に低下することが明らかとなった。本試験で得られた知見より1MV安定保持に必要なギャップ長を1段あたり100mmと設定し、加速器構造の再検討を行った。