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論文

Introducing GPU backend of BLonD to longitudinal beam simulations for J-PARC synchrotrons

足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 宮越 亮輔*; 沖田 英史; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; et al.

JPS Conference Proceedings (Internet), 45, p.011121_1 - 011121_8, 2026/06

欧州原子核研究機構(CERN)により開発が進められているシミュレーションコードBLonDは、ビーム進行方向(縦方向)の運動を正確に計算する能力と優れた拡張性を有している。J-PARCにおいても、3GeVシンクロトロン(RCS)や主リングシンクロトロン(MR)の安定したビーム運転やビームのさらなる大強度化に向けた計算に活用されている。大強度ビームにおいて、空間電荷効果といったビーム粒子間の相互作用を考慮したビーム挙動の評価が重要となるが、BLonDでは特に空間電荷効果を含めたシミュレーションに計算時間が長くかかることが課題となっていた。最新のBLonDではGPUバックエンドによるシミュレーションの高速化が可能となった。本発表では、J-PARCのシンクロトロンの縦方向シミュレーションを主な題材として、BLonD GPUバックエンドの評価を行った結果について報告する。

論文

Negligible hydrogen solubility in FeS under high-pressure and high-temperature conditions; Implications for hydrogen storage in planetary cores

高野 将大*; 鍵 裕之*; 森 悠一郎*; 小林 大輝*; 青木 勝敏*; 高橋 嘉夫*; 伊地知 雄太*; 柿澤 翔*; 辻野 典秀*; 肥後 祐司*; et al.

ACS Earth and Space Chemistry (Internet), 10(4), p.1047 - 1061, 2026/04

 被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)

鉄一硫化物(FeS)は惑星物質中の主要な硫化物相であり、惑星内部における水素の潜在的な貯蔵相と考えられてきた。しかし、高圧高温条件下でのFeSへの水素溶解度については議論が続いている。本研究では、NiAs型構造のFeS相(FeS V)における水素の取り込み量を、放射光X線吸収分光、X線・中性子その場回折実験、および第一原理計算により再検討した。その結果、水素飽和条件で観測される体積膨張は、Fe$$^{3+}$$からFe$$^{2+}$$への還元およびFe欠損Fe$$_{1-delta}$$Sの$$delta$$値の減少によって説明でき、水素が格子に取り込まれている証拠は見られなかった。中性子回折解析でも、水素を含まない構造モデルが最も良い適合を示し、さらに第一原理計算でもFeS水素化物構造はエネルギー的に不安定であることが示された。これらの結果から、FeS格子中に取り込まれる水素量の上限は30GPaまでで約200ppm程度と推定される。したがって、コア形成初期には水素はFeSではなく金属鉄へ優先的に分配されると考えられる。

論文

J-PARC RCSの縦方向ビーム操作の現状

沖田 英史; 田村 文彦; 足立 恭介; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.795 - 800, 2026/03

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、設計強度1MWの大強度陽子加速器である。近年、RCSでは、消費電力のより少ない新しいビーム加速装置(RF空胴)の実装や、加速中のビーム損失のさらなる低減を目的としたビーム進行方向(縦方向)のビーム操作パラメータの調整を実施している。RCSにおける1MW加速時のビーム挙動を正しく理解することを目的に、新型RF空胴に発生する加速電圧や、最新の縦方向ビーム操作パラメータを精度良く反映した縦方向ビームシミュレーションを実施した。その結果、1MW運転中に新型RF空胴に発生する加速周波数よりも高い周波数の高調波電圧は、ビームの運動量広がりに対する加速電圧の裕度を示す指標であるモーメンタムフィリングファクタ(MF)に数%程度の変化を与えるものの、その影響は小さいことが確認された。また、RCSで加速中の縦方向の振動を抑制する位相フィードバックのパターンを調整することでMFを最大で10%程度低減でき、ビーム損失に対する裕度をより高められることを確認した。本発表では、近年のRCSにおける1MW運転時の新型RF空胴の運用状況と縦方向ビーム操作の現状、ならびに縦方向ビームシミュレーションによるビーム挙動評価の結果について報告する。

論文

J-PARC RCSにおけるシングルエンド金属磁性体空胴の運転経験

田村 文彦; 沖田 英史; 山本 昌亘; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 杉山 泰之*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.269 - 273, 2026/03

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)の金属磁性体(MA)加速空胴の交換計画が数年にわたり進行中である。従来の空胴は加速ギャップの上流側と下流側の電極に一対の四極空管から交互に高周波(RF)電流を供給するプッシュプル(PP)型であり、これを新たに開発されたシングルエンド(SE)型空胴に全て置き換える予定である。広帯域のMA空胴では、大強度ビーム加速時のビーム負荷補償のために大振幅のマルチハーモニックRF信号が必要となるが、PP空胴では上流側、下流側の四極管動作に大きなアンバランスが生じ、このアンバランスがビーム強度を制限する要因のひとつとなっていた。このアンバランスはSE空胴では原理的に生じないものである。現在までに6台の置き換えが完了している。SE空胴は偶数次の高次高調波をキャンセルする構成を持たないため、高調波成分が従来のPP空胴とは異なる。本発表では、J-PARC RCSでの大強度ビームを用いたシングルエンド空胴の運転経験について報告する。

論文

J-PARC RCSにおける2倍高調波を用いたバンチ平坦化操作の最適化

足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 沖田 英史; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.280 - 284, 2026/03

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、後段施設であるメインリング(MR)や物質・生命科学実験施設(MLF)での中性子利用運転のために大強度陽子ビームを供給する。現在の運転条件において、RCSが供給するビームの進行方向(縦方向)分布は後段施設の要求する縦方向ビーム分布に対して短い。その改善のため、RCSでの加速終盤に加速周波数の2倍の周波数である高周波電圧(2倍高調波)を導入し、ビーム分布を縦方向に引き延ばす手法を検討した。実験の結果、縦方向ビーム分布が引き延ばされることを実証した。さらに、2倍高調波の導入方法を工夫することによるビーム縦方向分布の微細な調整の可能性も確認した。この手法により、MRやMLFが要求するビームの縦方向分布に適合する細かなビーム縦方向分布の調整が可能となる。本発表では、RCSにおける実証試験の結果を報告するとともに、最適な2倍高調波の導入方法の考察について報告する。

論文

Subcritical water treatment of spent tannin-based uranium recovery adsorbent

岩本 敏広; 大森 康平; 荒井 陽一; 船越 智雅; 渡部 創; 中村 雅弘; 渡邉 賢*

Proceedings of 32nd International Conference on Nuclear Engineering, Vol.13 (Internet), p.525 - 533, 2026/01

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Energy & Fuels)

In our laboratory in JAEA, Tannics has been used for uranium recovery from nitric acid medium which has been generated from reprocessing technology developments, and the adsorbents loading uranium and nitric acid ions has been accumulating inside the laboratory. Our previous study has shown subcritical water treatment is effective to decompose organic compounds. The technology utilizes dissolution of organic compounds into subcritical water and chemical reactions with chemically activated species, and the technology is promising also for treatment of the spent Tannics. In this study, applicability of the subcritical water treatment for the spent Tannics decomposition was experimentally examined.

論文

Consideration for improving the longitudinal beam matching between RCS and MR at the J-PARC

沖田 英史; 足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; et al.

Journal of Physics; Conference Series, 3094(1), p.012027_1 - 012027_7, 2025/09

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、物質・生命科学実験施設(MLF)での中性子ユーザへの利用運転と同時にメインリング(MR)に大強度の陽子ビームを供給している。RCSとMRはMW級の大強度陽子加速器で安定したビーム運転には陽子の電荷同士の反発(空間電荷効果)を緩和させることが重要である。空間電荷効果の強さはビーム進行方向(縦方向)のビーム電流分布と関係しており、バンチングファクタ(平均電流値を縦方向ビーム電流分布のピーク値で除した値)が高いほど軽減できる。現在、RCSがMRに供給するビームのバンチングファクタは0.2と低く、これが原因でMR入射直後でビームロスが発生している。そこで、RCSの加速後半で基本周波数の二倍の周波数の加速電圧を重畳して不安定動作点を生成し、これを用いてバンチングファクタを増加させる手法を考案した。考案した手法で、RCSの出射ビームのバンチングファクタを0.4まで引き上げられることをビームシミュレーションで確認した。また、MRの加速電圧をRCSの出射ビーム形状に適合するように調整し、MR入射後のバンチングファクタを0.4で一定に保つことを可能とする条件を取得した。本成果は、RCSのビーム供給先であるMRのビームロス低減につながるものだけでなく、MLFに供給するビームに関しても縦方向ビーム電流分布の細かな調整を可能とするもので、RCSのビーム利用の成果創出に資する。

論文

緊急時モニタリング検討委員会の活動報告の概要

細田 正洋*; 大森 康孝*; 折田 真紀子*; 斎藤 公明; 真田 哲也*; 武田 晃*; 谷 幸太郎*; 辻口 貴清*; 平尾 茂一*; 外間 智規; et al.

保健物理(インターネット), 59(4), p.206 - 207, 2024/12

東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を反映した我が国の緊急時モニタリング体制の整備は、原子力発電所の再開が行われる現状にあって最重要事項である。多くの研究開発が国内外で実施されているが、新しい緊急時モニタリングをどのように誰が運用していくのかは十分に整備されていない。特に、これまでに十分に検討されてこなかった放射性ヨウ素の小児および妊婦の甲状腺モニタリングのスクリーニング体制整備、緊急時モニタリング情報の迅速でわかり易い情報伝達の仕組みが福島の教訓から求められている。そこで、日本保健物理学会では緊急時モニタリング検討委員会を設置した。その活動結果報告を4回に分けて、今後の「保健物理」の学会誌での紹介を予定している。本稿ではその導入として、本検討委員会の概要と個別グループの検討結果の概要を紹介する。

論文

J-PARC RCSでの大強度ビーム取り出し時の空胴電圧跳ね上がりの抑制

田村 文彦; 杉山 泰之*; 沖田 英史; 山本 昌亘; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.774 - 776, 2024/10

大強度陽子加速器J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は金属磁性体(MA)空胴の特長を生かしビーム出力1MWでの陽子ビーム加速を行っている。ビームはキッカー電磁石により1周で取り出されるが、ビームの取り出し直後、空胴に短時間電圧の跳ね上がりが発生する。これは電圧制御フィードバックに遅延があり、1ターン取り出し時のステップ状のビーム電流の減少に対する応答には一定の時間がかかることが理由であり、広帯域(Q=2)MA空胴ではこの応答の遅れは電圧の跳ね上がりとして観測される。跳ね上がりは取り出し時の電圧が高い場合には空胴機器の損傷の原因となりうるものである。電圧制御フィードバックのゲインパターンを用いて取り出しと同時に出力を抑止すればこの跳ね上がりを抑制できるが、RCSのようなマルチハーモニック運転の場合、パターン設定が煩雑である。このため、低電力高周波(LLRF)制御システムの機能としてビーム取り出しに同期し出力を抑止する仕組みを用意した。機能の詳細、試験結果、活用方法について報告する。

論文

縦方向計算コードBLonDのGPUバックエンドのベンチマーク

足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 宮越 亮輔*; 沖田 英史; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; et al.

Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.543 - 546, 2024/10

欧州原子核研究機構(CERN)により開発が進められているシミュレーションコードBLonDは、ビーム進行方向(縦方向)の運動を正確に計算する能力と優れた拡張性を有している。先行研究により、J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)における縦方向のビーム挙動をよく再現するモデルを構築することができることが確かめられ、現在は安定したビーム運転のために活用されている。近年、J-PARCではビームのさらなる大強度化に向けた検討を進めている。大強度ビームにおいては、空間電荷効果といったビーム粒子間の相互作用を考慮したビーム挙動の評価が重要となるが、BLonDでは特に空間電荷効果を含めたシミュレーションに計算時間が長くかかることが課題となっていた。最新のBLonDではGPUバックエンドによるシミュレーションの高速化が可能となった。本発表では、RCSの縦方向シミュレーションを主な題材として、BLonD GPUバックエンドの評価を行った結果について報告する。

論文

J-PARC RCSの高周波加速システムの回路シミュレーションモデルの構築

沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 宮越 亮輔*; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; et al.

Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.765 - 769, 2024/10

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)の高周波加速システムは、金属磁性体コアを装填した加速空胴と真空管増幅器を含む高周波電源で構成される。1MW級の大強度陽子ビームを加速するRCSでは、ビームが高周波加速システムに与える負荷(ビームローディング)により高周波電源に大きな負荷がかかる。安定した大強度ビーム運転や、更なるビーム強度増強に向けた検討には、ビームローディングを考慮した高周波電源の挙動評価が重要である。本研究では、回路シミュレータLTSPICEを用いて実際に使用している金属磁性体コアや真空管の特性を考慮可能な独自の回路シミュレーションモデルを構築した。構築した回路シミュレーションモデルはRCSの大強度運転時の高周波電源の挙動を評価するのに十分な性能を有していることを確認した。本発表では、構築した回路シミュレーションモデルの詳細と大強度運転時の高周波電源の挙動を計算し実測と比較した結果等について報告する。

論文

Applying a deep generative model to mountain plot images

野村 昌弘; 島田 太平; 田村 文彦; 沖田 英史; 宮越 亮輔*; 清矢 紀世美*; 吉井 正人*; 大森 千広*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.85 - 88, 2024/10

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、Linacからの入射ビームに関する情報をビームモニタで得た強度分布の情報をマウンテンプロットと呼ばれる画像にすることにより、入射ビームの運動量や入射タイミングのオフセットが視覚的に分かる様にしている。最近話題となっている深層生成モデルの一つにCVAE(Conditional Variational Auto Encoder)がある。CVAEでは、なんらかの条件を与える事により、元の画像から与えられた条件に沿った画像が生成されることが示されている。今回このCVAEの特性を活かして、測定したマウンテンプロットの画像に新たなRCSへの入射の条件を与える事により、入射ビームの運動量分布や時間幅の情報も視覚的に分かる様にすることができた。このことは、今後の加速器の調整に有効であると考えられる。

論文

Hydrogenation of silicon-bearing hexagonal close-packed iron and its implications for density deficits in the inner core

森 悠一郎*; 鍵 裕之*; 青木 勝敏*; 高野 将大*; 柿澤 翔*; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*

Earth and Planetary Science Letters, 634, p.118673_1 - 118673_8, 2024/05

 被引用回数:3 パーセンタイル:27.10(Geochemistry & Geophysics)

水素による鉄の体積膨張に対するケイ素の効果を調べるため、高圧高温下でのhcp-Fe$$_{0.95}$$Si$$_{0.05}$$の中性子回折実験とX線回折実験を行った。中性子回折実験は重水素化hcp-Fe$$_{0.95}$$Si$$_{0.05}$$に対して13.5GPa, 900K及び12.1GPa, 300Kで行い、得られたプロファイルからリートベルト解析を用いて水素占有率を決定した。hcp-Fe-SiのP-V-T状態方程式を組み合わせることにより、hcp-Fe$$_{0.95}$$Si$$_{0.05}$$の水素による体積膨張が純粋なhcp鉄の体積膨張よりも10%大きいことを示した。得られた値を用いて、内核の密度欠損を再現できる水素量を見積もったところ、シリコンの影響がない場合に比べて50%減少した。hcp-Fe$$_{0.95}$$Si$$_{0.05}$$で内核の密度欠損を再現した場合、内核と外核で可能な水素量xはそれぞれ0.07と0.12-0.15と計算された。

論文

Improvement of the longitudinal phase space tomography at the J-PARC synchrotrons

沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; Saha, P. K.; 吉井 正人*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; et al.

Journal of Physics; Conference Series, 2687(7), p.072005_1 - 072005_7, 2024/01

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)

縦方向位相空間トモグラフィは、ビーム進行方向(縦方向)の位相空間分布を得るための有効な測定ツールである。J-PARCシンクロトロン(3GeVシンクロトロン及びメインリング)の大強度運転時の位相空間分布の測定には、空間電荷効果や集束力の非線形性等のビーム物理を考慮したトモグラフィが必要であった。本研究では、ビーム物理を考慮可能なハイブリッドアルゴリズムを採用したCERN's TomographyのJ-PARCシンクロトロンへの導入とベンチマークを実施した。ベンチマークの結果、J-PARCシンクロトロンの大強度運転条件における位相空間分布を高精度に測定可能であることを確認した。

論文

Low reactivity of stoichiometric FeS with hydrogen at high-pressure and high-temperature conditions

高野 将大*; 鍵 裕之*; 森 悠一郎*; 青木 勝敏*; 柿澤 翔*; 佐野 亜沙美; 飯塚 理子*; 土屋 卓*

Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (Internet), 119(1), p.240122_1 - 240122_9, 2024/00

 被引用回数:4 パーセンタイル:43.51(Mineralogy)

硫化鉄(FeS)の高圧高温下での水素化は、水素と硫黄が地球や他の地球型惑星のコアの軽元素として有望な候補であることから注目されている。これまでのFeSの水素化反応に関する報告では、出発物質の化学組成は十分に明らかにされていなかった。本研究では、Fe1.000S(トロイライト)を出発物質としたFe-S-H系の高温高圧条件下での中性子回折とX線回折のその場測定を報告する。決定された占有率は、以前の研究で報告されたものより著しく低く、FeSの水素化は硫化鉄の化学組成に強く影響されることを示している。

論文

J-PARC RCSにおける大強度1バンチ加速の検討

田村 文彦; 沖田 英史; 發知 英明*; Saha, P. K.; 明午 伸一郎; 吉井 正人*; 大森 千広*; 山本 昌亘; 清矢 紀世美*; 杉山 泰之*; et al.

Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.64 - 68, 2023/11

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は物質・生命科学実験施設(MLF)およびメインリング(MR)に大強度陽子ビーム供給を行っている。RCSのハーモニック数hは2で、通常は2つのバンチを加速している。MLFのいくつかの実験では1バンチでのビーム供給が好ましいが、この場合1つのRFバケツを空きバケツとして加速を行うため、ビーム強度は半分となってしまう。RCSのハーモニック数を1として加速できれば、1バンチあたりの強度は2倍となり、最大強度での1バンチビーム供が可能となる。一方MRは、バンチあたりの粒子数を設計より上げることができるならば、1バンチずつ8回の入射を行うことで現在の設計ビームパワー1.3MWを超える運転ができる可能性がある。本発表では、主にRCSでの縦方向シミュレーションによるh=1加速の検討について報告する。

論文

RF systems of J-PARC proton synchrotrons for high-intensity longitudinal beam optimization and handling

田村 文彦; 山本 昌亘; 吉井 正人*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 沖田 英史; 清矢 紀世美*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 68th ICFA Advanced Beam Dynamics Workshop on High Intensity and High Brightness Hadron Beams (HB2023) (Internet), p.305 - 311, 2023/10

大強度陽子シンクロトロンの加速空胴に金属磁性体(MA)コアを適用することは、J-PARCの2つのシンクロトロン(RCS、MR)で先駆的に行われた。MA空胴は高い加速電圧を発生させることができ、MA空胴の広帯域周波数特性は、加速中における空胴の共振周波数調整なしで陽子の速度変化に追従した周波数掃引を可能にする。加速に使用する基本波とその二倍高調波の高周波電圧の重畳によって1つの空胴を駆動するデュアルハーモニック運転は、RCSにおける空間電荷果を緩和するためのビーム進行方向のビーム形状制御に不可欠である。MA空胴のこれらの利点は、見方を変えれば欠点でもある。ビームに起因する空胴誘起電圧は複数の高調波(マルチハーモニック)から構成され、高周波バケツ歪みや結合バンチ不安定性を引き起こしビームの運動を不安定にする可能性があるため、それら複数の高調波を同時に補償しなければならない。空胴を駆動するアンプも出力電流が大きく、陽極電圧もマルチハーモニックである。10年以上にわたるRCSとMRの運転におけるこれらの問題に対する我々の取り組みをまとめる。

論文

First observation of $$^{28}$$O

近藤 洋介*; Achouri, N. L.*; Al Falou, H.*; Atar, L.*; Aumann, T.*; 馬場 秀忠*; Boretzky, K.*; Caesar, C.*; Calvet, D.*; Chae, H.*; et al.

Nature, 620(7976), p.965 - 970, 2023/08

 被引用回数:53 パーセンタイル:95.82(Multidisciplinary Sciences)

非常に中性子が過剰な原子核$$^{28}$$Oは、陽子、中性子ともに魔法数であることから古くからその性質に興味が持たれていたが、酸素の最後の束縛核$$^{24}$$Oよりも中性子が4個も多いため、これまで観測されてこなかった。この論文では、理化学研究所RIBFにて$$^{29}$$Fからの1陽子ノックアウト反応によって$$^{28}$$Oを生成し、そこから放出される中性子を測定することによって初めてその観測に成功した。核構造の観点からは、$$^{28}$$Oでは二重閉殻が保たれているか興味が持たれていたが、実験で得られた分光学的因子が殻模型計算で予言されて程度の大きいことから、閉殻構造をもたない可能性が高いことがわかった。

論文

Intruder configurations in $$^{29}$$Ne at the transition into the island of inversion; Detailed structure study of $$^{28}$$Ne

Wang, H.*; 安田 昌弘*; 近藤 洋介*; 中村 隆司*; Tostevin, J. A.*; 緒方 一介*; 大塚 孝治*; Poves, A.*; 清水 則孝*; 吉田 数貴; et al.

Physics Letters B, 843, p.138038_1 - 138038_9, 2023/08

 被引用回数:8 パーセンタイル:74.52(Astronomy & Astrophysics)

$$^{29}$$Neからの1中性子除去反応を用いて、$$^{28}$$Neの詳細な$$gamma$$線分光を行った。平行運動量分布の解析に基づき、$$^{28}$$Neの準位構造とスピンパリティを決定し、初めて負のパリティ状態を同定した。測定された断面積と運動量分布から、N=20とN=28のシェルギャップの消失の証拠となる有意なintruder p-wave強度が明らかになった。束縛状態については、弱いf-waveの可能性のある強度が観測された。いくつかの有効相互作用を用いた大規模殻模型計算では、実験的に観測された大きなp-wave強度と小さなf-wave強度は再現されず、Ne同位体に沿った反転の島への遷移の完全な理論的記述への挑戦が続いていることを示している。

論文

Development of a single-ended magnetic alloy loaded cavity in the Japan Proton Accelerator Research Complex rapid cycling synchrotron

山本 昌亘; 野村 昌弘; 沖田 英史; 島田 太平; 田村 文彦; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 吉井 正人*

Progress of Theoretical and Experimental Physics (Internet), 2023(7), p.073G01_1 - 073G01_16, 2023/07

 被引用回数:2 パーセンタイル:26.91(Physics, Multidisciplinary)

J-PARC 3GeVシンクロトロンでは、ビームの加速に金属磁性体を装荷した加速空胴を使用している。金属磁性体の広帯域特性を利用して、ビームを加速する周波数だけでなく、その高調波も増幅する多重高調波励振によってビームの安定加速を実現している。既設の空胴は真空管増幅器において、加速電場を発生させる絶縁ギャップの前後に個別に電圧を印加するプッシュプル励振となるよう設計されている。プッシュプル励振は、ビームを加速しない状態では高調波歪みを抑制でき、さらに空胴の長さを短くできる利点がある。しかし、大強度ビーム加速時にはビームが誘起する電圧によって多重高調波励振が歪められ、それを補正するために絶縁ギャップの前後にかかる陽極電圧振幅が深刻な不平衡を引き起こし、真空管の動作を制限してしまう。現状では、設計値である1MWビーム加速は達成できているが、より安定な運転を行う上では真空管の不平衡が問題となる。この問題を避けるため、シングルエンド励振の空胴を開発した。シングルエンド励振は本質的に不平衡が起こらず、さらに既設の空胴に対して遥かに少ない電力消費を達成できることが分かった。

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