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論文

J-PARC RCSの空胴ギャップ電圧モニタの周波数応答評価

沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 杉山 泰之*; et al.

Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.840 - 844, 2021/10

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、ビームの加速で使用する高周波として、周回周波数の2倍の周波数である基本波と、さらにその2倍の周波数の高調波(2倍高調波)の電圧を用いたデュアルハーモニック運転を行っている。加速ギャップに発生させる各高周波の電圧と位相の安定化にはマルチハーモニックベクトルフィードバック制御が採用されている。この制御のフィードバックに用いられる測定値には、各加速空胴の加速ギャップの1つに備え付けられたギャップ電圧モニタからの出力が使用されている。ビーム進行方向のビーム分布(バンチ形状)は各高調波の相対的な位相で変化するため、ギャップ電圧モニタの位相測定値の周波数応答を正確に把握することが重要となる。そこで、ギャップ電圧モニタの位相の周波数応答測定とこれを反映したビームシミュレーションを実施した結果、実際のビーム加速試験で測定されたバンチ形状をよく再現することを確認した。本発表では、周波数応答測定とビームシミュレーションについての詳細とギャップ電圧モニタ回路についての考察について報告する。

論文

J-PARC RCS次世代LLRF制御システムの性能

田村 文彦; 杉山 泰之*; 吉井 正人*; 山本 昌亘; 沖田 英史; 大森 千広*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; et al.

Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.170 - 174, 2021/10

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)における大強度陽子ビームの安定な加速のためには高精度で安定な低電力高周波(LLRF)制御システムが不可欠である。RCSのLLRF制御システムは運転開始から10年以上大きな問題なく運転されてきたが、構成要素であるデジタル部品の陳腐化により維持することが困難となっていた。このため、2016年より次世代LLRF制御システムの開発を行い、2019年に次世代システムへの置き換えを完了した。RCSの広帯域金属磁性体空胴のビームローディングを補償するにはマルチハーモニックの補償システムが必要である。次世代システムではマルチハーモニックベクトルrf電圧制御フィードバックを採用することで、旧システムにおけるフィードフォワード法を用いた補償よりも安定な大強度ビーム加速を実現した。本発表では、次世代システムの概要、ビーム試験結果を示すとともに、更なる性能向上に向けた取り組みについて報告する。

論文

画像認識で使用する画像は適切か、オートエンコーダーによる評価

野村 昌弘; 沖田 英史; 島田 太平; 田村 文彦; 山本 昌亘; 古澤 将司*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; 大森 千広*; et al.

Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.80 - 82, 2021/10

J-PARC 3GeVシンクロトロンでは画像認識技術を用いることにより、ビームモニタで得たビーム進行方向の強度分布の画像から中心運動量からのずれ量が得られるようになった。今後、この得られた値を加速器の制御に使用することを考えた場合には、得られた値が信頼できるかが重要となってくる。なぜなら、画像認識技術では、データ取得に失敗した画像からも何らかの間違った値が得られてしまうからである。得られた値が信頼できるかどうかは当然その画像で決まる。そこで、今回機械学習の一種であるオートエンコーダーによる異常診断の手法を画像の診断に適用することにより、画像から得られた値が信頼できるかを示す指標を得ることができた。

論文

Consideration of triple-harmonic operation for the J-PARC RCS

沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; et al.

Proceedings of 12th International Particle Accelerator Conference (IPAC 21) (Internet), p.3020 - 3022, 2021/08

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、ビームの加速に基本周波数(基本波)とその二倍の周波数(二倍高調波)を重畳した電圧を用いたデュアルハーモニック運転を行っている。デュアルハーモニック運転では、基本波のみの場合と比較し、加速中のビーム進行方向のビームの線密度分布の平坦度(バンチングファクタ)を大幅に改善することが可能で、大強度ビームの安定した加速に欠かせないものとなっている。従来の低電力高周波(LLRF)制御システムが2019年に更新されたことで、現在では基本波と二倍高調波に加えて高次の高調波の制御が可能となった。そこで、バンチングファクタの更なる改善を目的とし、従来のデュアルハーモニック運転に三倍高調波を加えたトリプルハーモニック運転について検討を行った。三倍高調波を用いることで、扁平なRFバケットを実現することができ、ビームシミュレーションの結果、バンチングファクタを最大で現状の約30%改善可能であることが示された。本発表では、トリプルハーモニック運転に関するビームシミュレーションの結果と関連する試験の結果について報告する。

論文

Vacuum tube operation tuning for a high intensity beam acceleration in J-PARC RCS

山本 昌亘; 沖田 英史; 野村 昌弘; 島田 太平; 田村 文彦; 古澤 将司*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; et al.

Proceedings of 12th International Particle Accelerator Conference (IPAC 21) (Internet), p.1884 - 1886, 2021/08

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、ビームを加速する高周波電圧の発生に四極真空管を用いている。これまでのところ真空管の寿命を延ばすために、真空管に印加するフィラメント電圧を定格値よりも下げて使用している。2020年に初めて、60000時間運転したところで1本の真空管が寿命を迎えた。これは真空管メーカーが推奨(もしくは保障)する運転時間よりも長いことを意味しており、フィラメント電圧を下げることが有効であることを示唆している。しかし、フィラメント電圧を下げて使用すると、電子放出が減ることになる。大強度ビームを加速するときにはビームによって誘起される電圧(ウエイク電圧)を補償するため大振幅の陽極電流が必要となるが、フィラメントからの電子放出が少ないため、それを補おうとしてコントロールグリッド回路を駆動する半導体増幅器が出力不足になる現象が発生した。そこで、実際に印加しているフィラメント電圧の定格に対する割合を85%から95%にしたところ、同じビームパワーを加速するのに必要な半導体増幅器の出力を大幅に減少させることができた。本発表では、フィラメント電圧調整の観点から、真空管のパラメーター測定の結果について述べる。

論文

Commissioning of the next-generation LLRF control system for the Rapid Cycling Synchrotron of the Japan Proton Accelerator Research Complex

田村 文彦; 杉山 泰之*; 吉井 正人*; 山本 昌亘; 沖田 英史; 大森 千広*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; et al.

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 999, p.165211_1 - 165211_11, 2021/05

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.03(Instruments & Instrumentation)

低電力高周波(LLRF)制御システムは大強度陽子ビームの加速のために重要である。J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)のLLRF制御システムは、運転開始から10年以上大きな問題なく運転されてきたが、モジュールを構成するデジタル部品の陳腐化によって今後の維持は困難となった。このため、次世代LLRF制御システムを開発した。新システムの全てのLLRF機能について動作試験を行った。この論文では、特に重要な機能であるビーム進行方向の振動を抑制するRFの位相フィードバック、複数の周波数のRF電圧を同時に制御するベクトルRF電圧フィードバックの調整について、詳細な調整手法、調整結果について報告を行う。次世代LLRF制御システムにより、設計ビーム出力である1MW相当の強度のビームを従来機より安定に加速できるようになった。

論文

Commissioning of Versatile Compact Neutron Diffractometer (VCND) at the B-3 beam port of Kyoto University Research Reactor (KUR)

森 一広*; 奥村 良*; 吉野 泰史*; 金山 雅哉*; 佐藤 節夫*; 大場 洋次郎; 岩瀬 謙二*; 平賀 晴弘*; 日野 正裕*; 佐野 忠史*; et al.

JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011093_1 - 011093_6, 2021/03

京都大学研究炉(KUR)のB-3ビームポートは、過去には単結晶回折計が設置されていたが、近年はユーザーが減少し、アクティビティが低下している状況にあった。そこで本研究グループでは、近年の中性子利用に関するニーズを再調査し、B-3ビームポートに新たに多目的小型中性子回折計(VCND)を構築した。VCNDは、1.0オングストロームの入射中性子波長を利用して6度から130度までの散乱角を測定でき、既に水素吸蔵合金の研究等への利用が開始されている。講演では、今後の改修計画等についても説明する。

論文

Operation experience of Tetrode vacuum tubes in J-PARC Ring RF system

山本 昌亘; 古澤 将司*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 野村 昌弘; 大森 千広*; 島田 太平; 杉山 泰之*; 田村 文彦; 吉井 正人*

JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011022_1 - 011022_6, 2021/03

J-PARCリング高周波システムではThales社製四極真空管TH589を使用し、2007年の運転開始以来長いものでは5万時間を超える運用を実現している。特に3GeVシンクロトロンにおいては、初期不良を除いてこれまで寿命を迎えた真空管は無い。TH589はトリウムタングステンを使用したフィラメントを用いており、トリウムの蒸発を抑えるために製作時に炭化を実施している。真空管の運用とともに脱炭化が進むため、フィラメントの抵抗値を測定すると徐々に下がっていくのが観測される。真空管メーカーからは、脱炭化を抑えるために定格電圧よりも低い値($$sim$$10%)で運用することが推奨されている。しかし12年に及ぶ運用の経験で、電圧を低い値に固定していても抵抗値が下がるに従って電流値が増え、フィラメントの発熱が増えて脱炭化が促進されている様子が観測された。これはフィラメントの電圧だけに着目するのではなく、発熱を一定にする運用をすることが寿命を伸ばすためには必要であることを示唆しており、3GeVシンクロトロンにおいては定期的に電流値を下げる運用手法を確立した。

論文

Japanese population dose from natural radiation

大森 康孝*; 細田 正洋*; 高橋 史明; 真田 哲也*; 平尾 茂一*; 小野 孝二*; 古川 雅英*

Journal of Radiological Protection, 40(3), p.R99 - R140, 2020/09

 被引用回数:6 パーセンタイル:77(Environmental Sciences)

国連原子放射線の影響に関する科学委員会(UNSCEAR)及び原子力安全研究協会では、宇宙線,地殻放射線,ラドン吸入,食物摂取等の自然放射線源による年間線量を報告している。本研究では、主要な自然放射線源からの国内の放射線量を最新の知見に基づいてレビューした。宇宙線による年間線量は、0.29mSvと評価され、地殻放射線に起因する外部被ばくによる年間線量平均値は、放射線医学総合研究所が進めた全国調査のデータより0.33mSvと評価された。また、日本分析センターでは、屋内,屋外及び職場でのラドン濃度を統一された測定方法により調査した。この調査に基づいて、現在の線量換算係数を使用した場合、ラドンの吸入による年間線量は0.50mSvと推定された。トロンからの年間実効線量は、UNSCEARによって0.09mSvと報告されており、ラドンとトロンの吸入による年間線量は0.59mSvとなった。また、日本分析センターによる食品の大規模調査により、食事摂取による主要放射性核種からの年間線量は0.99mSvと評価されている。以上より、日本人の自然放射線による全年間線量は2.2mSvと評価され、世界平均値2.4mSvに近い値となった。

論文

畳み込みニューラルネットワークによる画像認識技術のマウンテンプロット画像への適用

野村 昌弘; 田村 文彦; 島田 太平; 山本 昌亘; 古澤 将司*; 杉山 泰之*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 大森 千広*; 吉井 正人*

Proceedings of 17th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.64 - 67, 2020/09

畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)よる画像認識は、幅広い分野で用いられ、優れた結果を残している。この画像認識の技術を上手く利用すれば、人が画像から得る情報と同等かそれ以上の情報を画像から得ることができるはずである。J-PARCではマウンテンプロットと呼ばれる画像から、専門知識を持った研究者が機器の調整に必要な情報を得ている。本研究では、CNNによる画像認識の技術をこのマウンテンプロットに適用し、調整等に必要なビームに関する情報を求めてみた。その結果、画像認識技術を活用することにより、より多くの情報が得られることが分かった。今後は、実際に画像認識により求めた情報を元に機器の調整を行い、その有効性を確かめていく予定である。

論文

縦方向計算コードBLonDのJ-PARC RCSへの適用に向けたベンチマーク

沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; et al.

Proceedings of 17th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.674 - 678, 2020/09

近年、CERNが開発を進めている縦方向シミュレーションコードBLonD (Beam Longitudinal Dynamics)は世界の加速器で利用が進んできている。BLonDは主な部分がPythonで書かれているため可読性,汎用性が高いコードで、空胴に発生するウェーク電圧や縦方向の空間電荷力を考慮したシミュレーションが可能である。現在、J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)の更なる加速技術、運転安定性の向上について検討するツールとして、BLonDの導入とベンチマークを進めている。BLonDを用いて現行の1MW運転パラメータを反映した縦方向シミュレーションを行い、縦方向のビームの電荷分布を表すバンチングファクターを計算した結果は測定値をよく再現しており、RCSの縦方向ビームシミュレーションにBLonDが有効であることを確認した。本発表ではその詳細について報告する。

論文

Visualizing cation vacancies in Ce:Gd$$_{3}$$Al$$_{2}$$Ga$$_{3}$$O$$_{12}$$ scintillators by gamma-ray-induced positron annihilation lifetime spectroscopy

藤森 公佑*; 北浦 守*; 平 義隆*; 藤本 將輝*; Zen, H.*; 渡邊 真太*; 鎌田 圭*; 岡野 泰彬*; 加藤 政博*; 保坂 将人*; et al.

Applied Physics Express, 13(8), p.085505_1 - 085505_4, 2020/08

 被引用回数:1 パーセンタイル:24.67(Physics, Applied)

CeドープGd$$_{3}$$Al$$_{2}$$Ga$$_{3}$$O$$_{12}$$(Ce:GAGG)シンチレーターにおける陽イオン空孔の存在を明らかにするために、ガンマ線誘起陽電子消滅寿命測定(GiPALS)法による測定を行った。GAGGおよびCe:GAGGのGiPALSスペクトルに現れる成分は、バルク中と欠陥に捕獲された状態の陽電子消滅であり、その結果2つの指数減衰成分で構成されている。Ce:Y$$_{3}$$Al$$_{5}$$O$$_{12}$$に関する研究から、欠陥に関連する構造はAl/Ga-Oの複空孔に起因するものであることが示唆された。この成分は、Ce, Mg:GAGGの方が小さくなり、その傾向はリン光の原因である浅い電子トラップの抑制と相関していた。酸素空孔は、Al/Ga空孔の電荷を補う役割をしている。欠陥に関連した構造における寿命は、Mg共ドーピングによって大幅に変化し、これは、酸素空孔とともに、Al/GaサイトでのMg$$^{2+}$$イオンとの集合体を考慮することで理解され、その結果、空孔クラスターが形成された。

論文

Development of an external radiation dose estimation model for children returning to their homes in areas affected by the Fukushima Nuclear Accident

森 愛理; 高原 省五; 吉田 浩子*; 眞田 幸尚; 宗像 雅広

Health Physics, 117(6), p.606 - 617, 2019/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Environmental Sciences)

On 1 April 2017, evacuation orders in large areas were lifted. To estimate external radiation doses to children after returning to these areas, a dose estimation model based on a probabilistic approach has been developed. Validation of the model in an area for which individual personal dosimetry measurements were available show that it is valid for infants, kindergarteners, 3rd to 6th grade elementary school students, and junior high school students. As a result of our estimations, 95th percentile doses to all age groups were less than 20 mSv y$$^{-1}$$ in period from 2017 to 2020 and in all areas. Doses in some areas were less than 1 mSv y$$^{-1}$$, which is the long-term dosimetric target set by Japanese government. It is noted that our results are preliminary. To estimate doses to the children precisely, further considerations for assumptions and limitations on the environmental contamination conditions and behavioral patterns of children will be needed.

論文

Development of a laser chipping technique combined with water jet for retrieval of fuel debris at Fukushima Daiichi Nuclear Power Station

山田 知典; 武部 俊彦*; 石塚 一平*; 大道 博行*; 羽成 敏秀; 柴田 卓弥; 大森 信哉*; 黒澤 孝一*; 佐々木 豪*; 中田 正宏*; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 56(12), p.1171 - 1179, 2019/12

 被引用回数:1 パーセンタイル:23.13(Nuclear Science & Technology)

福島第一原子力発電所の炉内構造物及び燃料デブリ取り出しに向けて、レーザーとウォータージェットを組み合わせたはつり除去技術の開発を行った。金属を対象とした除去能力を評価するため、5.5kWの連続発振のファイバーレーザーとパルス噴射のウォータージェットを組み合わせて加工中の様子を観察した。

論文

Simulations of beam loading compensation in a wideband accelerating cavity using a circuit simulator including a LLRF feedback control

田村 文彦; 山本 昌亘; 杉山 泰之*; 吉井 正人*; 大森 千広*; 島田 太平; 野村 昌弘; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; 古澤 将司*

Journal of Physics; Conference Series, 1350(1), p.012189_1 - 012189_7, 2019/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.07

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では高加速電圧の発生のために金属磁性体空胴が採用されている。真空管アンプで駆動される空胴は広帯域であるため、周回周波数の整数倍の周波数成分の電圧がビームによって誘起される。その影響を相殺(ビームローディング補償)するために、真空管は複数の周波数成分を持つ電圧を発生させ、誘起電圧を打ち消す必要がある。真空管の動作およびビームローディング補償を解析するために、回路の解析に広く使われているLTspiceを用いた回路モデルを構築した。モデルは空胴, アンプ, ビーム電流, 低電力高周波(LLRF)電圧制御を含む。電圧制御はさまざまなデジタル回路を含んでおり、この発表ではLTspiceでのデジタルLLRF電圧制御の回路モデル実装の詳細について述べるとともに、ビーム試験での電圧波形との比較を行っている。シミュレーション結果は比較的よく実際の電圧波形を再現した。

論文

Multiharmonic vector rf voltage control for wideband cavities driven by vacuum tube amplifiers in a rapid cycling synchrotron

田村 文彦; 杉山 泰之*; 吉井 正人*; 山本 昌亘; 大森 千広*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; 古澤 将司*

Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 22(9), p.092001_1 - 092001_22, 2019/09

 被引用回数:2 パーセンタイル:39.22(Physics, Nuclear)

ビーム誘起電流による影響の低減(ビームローディング補償)はJ-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)における大強度ビーム加速に最も重要な課題の一つである。RCSでは広帯域金属磁性体空胴が用いられており、ビームの誘起する電圧は周回周波数の整数倍の成分を含むことから、それら複数の周波数成分(マルチハーモニック)の誘起電圧を抑制するビームローディング補償が必要である。これまではビーム電流の測定から補償信号を生成するRFフィードフォワード法による補償が行われており、マルチハーモニックフィードフォワードシステムは1MWまでのビーム試験においてその役割を果たしてきた。しかしながら、大強度になるにつれて補償性能の低下が確認されていた。そこで、低電力高周波(LLRF)制御システムの更新にあたり、マルチハーモニックベクトル電圧制御によるフィードバック制御を採用することとした。フィードバック制御はゲインの変動についても安定性の範囲内で性能を発揮することが期待される。本論文では、システムの構成、調整方法、大強度ビーム試験の結果について報告する。設計パワーである1MW相当のビーム加速において、ビームローディングはよく補償されている。

論文

ニューラルネットワークを用いたJ-PARC使用電力量に気象が与える影響の調査

野村 昌弘; 田村 文彦; 島田 太平; 山本 昌亘; 古澤 将司*; 杉山 泰之*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 大森 千広*; 吉井 正人*

Proceedings of 16th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.258 - 261, 2019/07

加速器の運転における使用電力量は、気温の上昇等により夏場は常に増加傾向にある。近年、夏場の気温はより高まる傾向を示していることから、気象情報から夏場の使用電力量を把握することは、契約電力の観点や節電対策を行う上でも重要になってきている。使用電力量と気象との関係は、加速器施設では多くの冷却設備を有していることから、気温や湿度が高くなれば各機器を冷却するために使用電力量が増加することは想像できるが、具体的にどのような依存性があるかは調べられていないと思われる。そこで、ニューラルネットワークをある種のフィッティング関数あるいは計算のモデルと考えて、夏場の気象が使用電力量に与える影響についての調査を行なった。具体的には、気温と湿度の情報を入力データ、加速器の使用電力量を教師データとしてニューラルネットワークに学習させ、その学習済みニューラルネットワークを用いて気象が使用電力量に与える影響について調べた。その結果、加速器の使用電力量は湿度にはほとんど影響を受けず、気温に大きく依存し、水戸の気温が10$$^{circ}$$C上昇するとLinacとRCSの使用電力は約1MW増えることが判明した。

論文

Vacuum tube operation analysis for 1.2 MW beam acceleration in J-PARC RCS

山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; 田村 文彦; 古澤 将司*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 吉井 正人*

Proceedings of 10th International Particle Accelerator Conference (IPAC '19) (Internet), p.2017 - 2019, 2019/06

J-PARC RCSは1MWビーム加速を達成し、さらなる高度化を目指して次の設定値としては1.2MW加速を検討している。1.2MW加速を実現するにあたっての課題の一つは、RFシステムである。現状の陽極電源は既に出力電流の限界に達しており、真空管はマルチハーモニック励振とプッシュプル動作から生じるアンバランスに対処しなければならない。これらの課題を解決するためには、加速空胴と真空管増幅器の系からなる回路網について、適切な値を選ばなければならない。本報告では、1.2MWビーム加速における真空管動作解析の結果を示し、現状の回路網の値を最適化することで1.2MW加速を達成可能であることを示す。

論文

原子力事故後の家屋内におけるさまざまな部材の拭き取り効率調査

森 愛理; 石崎 梓; 普天間 章; 田辺 務; 和田 孝雄; 加藤 貢; 宗像 雅広

保健物理(インターネット), 54(1), p.45 - 54, 2019/04

Large quantities of radionuclides were released as a result of Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident. It is known that these radionuclides contaminated inside houses as well as outdoor environment. Considering the radiation protection of residents after a nuclear power station accident, it is important to know the influence of radionuclides inside houses to radiation dose to residents. In this study, we investigated removal factors and fractions of fixed contamination of various materials inside houses in Okuma Town, Futaba Town, and Namie Town to assess the contamination level inside house appropriately. Nine kinds of materials, fibers, woods (smooth), woods rough), glasses, concretes (smooth), concretes (rough), plastics, PVCs and metals, were used in examinations. The lowest and the highest removal factors were 23% - 16% of woods (rough) and 79% - 7.7% of glasses, respectively. Removal factors of all materials were higher than 10% which is recommended by Japanese Industrial Standard. The negative correlation was found between removal factors and fractions of fixed contamination. Using this correlation, the decontamination factor, which means the ratio of the activity removed from the surface by one smear sample to the activity of the total surface activity, was proposed. The air dose rate from the contamination inside house was calculated using obtained decontamination factors and removal factor of 10%. In the case using the removal factor of 10%, the air dose rate derived by indoor contamination was approximately 2 times higher than the case using obtained decontamination factors. We found that the air dose rate derived by indoor contamination was much lower than the air dose rate outside house, and the influence of indoor contamination on the external exposure was small.

論文

Baseband simulation model of the vector rf voltage control system for the J-PARC RCS

田村 文彦; 杉山 泰之*; 吉井 正人*; 大森 千広*; 山本 昌亘; 島田 太平; 野村 昌弘; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; 古澤 将司*

Journal of Physics; Conference Series, 1067, p.072030_1 - 072030_6, 2018/10

BB2018-0112.pdf:0.58MB

 被引用回数:2 パーセンタイル:77.73

J-PARC RCSの広帯域金属磁性体空胴における大強度ビームによる重いビームローディングの補償のため、ベクトルRFフィードバック制御の採用が検討されている。マルチハーモニックベクトル制御プロトタイプシステムを製作しテスト中である。システム性能を検証するために、Matlab SimulinkによるRFシミュレーションが行われることが多いが、商用かつ高額なソフトウェアである。また、計算機資源を要し計算時間がかかることも問題である。このため、フリーソフトウェア(Scilab, Python control library)を用いて簡単化したベースバンドシミュレーションを行った。ベースバンドシミュレーションは高速に実行できることはパラメータサーチの際に有利である。この発表では、シミュレーションモデルのセットアップについて述べる。シミュレーション結果は開ループ閉ループともにシステムの応答をよく再現している。

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