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森口 祐一*; 佐藤 陽祐*; 森野 悠*; 五藤 大輔*; 関山 剛*; 寺田 宏明; 滝川 雅之*; 鶴田 治雄*; 山澤 弘実*
KEK Proceedings 2021-2, p.21 - 27, 2021/12
福島第一原子力発電所事故時の呼吸由来の内部被ばく線量評価において、I-131等の短寿命核種は重要であるが、被ばく線量や大気中濃度の実測値が少ない。そのため、他の核種の環境中濃度の実測値、大気移流拡散沈着モデル(ATDM)による推計値、空間線量率の測定値等に基づく総合解析が必要である。本研究では、Cs-137を対象として、これまでに構築してきた大気中濃度と地表沈着量に基づく空間線量率推計手法をATDM相互比較に供された国内外の多数のモデルに適用し、これまで検証が困難であった福島県内外の地域を中心に選定した計64地点を対象にATDMの再現性の検証を行った。その結果、初期被ばくの評価上特に重要な3月12日の原発から北方向へ輸送されたプルームについて、これまで対象としていた原発から25km地点より近傍の約10km地点における線量率のピーク値やそのタイミングを比較的良好に再現するATDMが複数存在することが分かった。また、実測値がなくこれまで検証が困難であった北関東地域でのプルームの輸送状況の再現性の検証に見通しが得られた。
佐藤 陽祐*; 関山 剛*; Fang, S.*; 梶野 瑞王*; Qurel, A.*; Qulo, D.*; 近藤 裕昭*; 寺田 宏明; 門脇 正尚; 滝川 雅之*; et al.
Atmospheric Environment; X (Internet), 7, p.100086_1 - 100086_12, 2020/10
福島第一原子力発電所(FDNPP)事故により放出されたCsの大気中の挙動を調べるため、第3回大気拡散モデル相互比較が実施された。前回のモデル比較より高い水平格子解像度(1km)が使われた。前回のモデル比較に参加したモデル中9モデルが参加し、全モデルで同一の放出源情報と気象場が使用された。解析の結果、観測された高いCs大気中濃度のほとんどが良好に再現され、いくつかのモデルの性能向上によりマルチモデルアンサンブルの性能が向上した。高解像度化によりFDNPP近傍の気象場の再現性が向上したことで、拡散モデルの性能も向上した。風速場の良好な表現によりFDNPP北西の高い沈着量の細い分布が合理的に計算され、FDNPPの南側の沈着量の過大評価が改善された。一方で、中通り地方、群馬県北部、及び首都圏のプルームの再現性能はやや低下した。
岩崎 俊樹*; 関山 剛*; 中島 映至*; 渡邊 明*; 鈴木 靖*; 近藤 裕昭*; 森野 悠*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 滝川 雅之*; et al.
Atmospheric Environment, 214, p.116830_1 - 116830_11, 2019/10
被引用回数:6 パーセンタイル:22.99(Environmental Sciences)放射性物質の事故放出のための大気拡散予測モデルの利用が日本気象学会の作業部会により勧告された。本論文の目的は、2011年の福島第一原子力発電所からの事故放出に関する予測モデル相互比較によるこの勧告の検証である。放出強度は、放出の時間変化が得られない場合の最悪ケースを想定するため予測期間内で一定と仮定された。放射性物質の吸入を防ぐには地上大気の汚染度、湿性沈着に伴う放射線被ばく軽減には鉛直積算量の利用が想定される。予測結果はアンサンブル幅を有しているが、共通して時間空間的な相対的危険度を示しており、公衆に効果的な警告を不足なく出すのに非常に有用である。信頼性向上にはマルチモデルアンサンブル手法が効果的であろう。
佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; Qulo, D.*; et al.
Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 123(20), p.11748 - 11765, 2018/10
被引用回数:45 パーセンタイル:85.33(Meteorology & Atmospheric Sciences)福島第一原子力発電所事故により放出されたCsの大気中の挙動を理解するため、大気拡散モデル相互比較が実施され、12モデルが参加した。モデルで考慮される過程に起因するモデル間の差異に焦点を当てた解析を行うため、全モデルで同じ気象場、水平分解能、及び放出源情報が使用された。モデルアンサンブルによる観測された大気中Cs濃度上昇イベントの捕捉率は40%であり、FMSは80を超えた。解析の結果、大気中Cs濃度上昇イベントの再現には気象場が最も重要な要素であり、気象場の再現性が高い場合のモデル間の差異は、沈着及び拡散過程に起因していることが分かった。また、沈着フラックスが小さいモデル及び拡散が強いモデルは高い性能を示したが、拡散が強いモデルは大気中Cs濃度を過大評価する傾向を示した。
北山 響*; 森野 悠*; 滝川 雅之*; 中島 映至*; 速水 洋*; 永井 晴康; 寺田 宏明; 斉藤 和雄*; 新堀 敏基*; 梶野 瑞王*; et al.
Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 123(14), p.7754 - 7770, 2018/07
被引用回数:26 パーセンタイル:68.70(Meteorology & Atmospheric Sciences)日本学術会議のモデル相互比較プロジェクト(2014)で提供された、福島第一原子力発電所事故時に大気中に放出されたCsの計算に用いられた7つの大気輸送モデルの結果を比較した。本研究では、東北及び関東地方に輸送された9つのプルームに着目し、モデル結果を1時間間隔の大気中Cs濃度観測値と比較することにより、モデルの性能を評価した。相互比較の結果は、Cs濃度の再現に関するモデル性能はモデル及びプルーム間で大きく異なることを示した。概してモデルは多数の観測地点を通過したプルームを良く再現した。モデル間の性能は、計算された風速場と使用された放出源情報と一貫性があった。また、積算Cs沈着量に関するモデル性能についても評価した。計算されたCs沈着量の高い場所はCsプルームの経路と一致していたが、大気中Cs濃度を最も良く再現したモデルは、沈着量を最も良く再現したモデルとは異なっていた。全モデルのアンサンブル平均は、Csの大気中濃度と沈着量をともに良く再現した。これは、多数モデルのアンサンブルは、より有効で一貫したモデル性能を有することを示唆している。
森野 雄平*; Hwang, S.; 今井 憲一; 谷田 聖; LEPS Collaboration*; 他46名*
Progress of Theoretical and Experimental Physics (Internet), 2015(1), p.013D01_1 - 013D01_11, 2015/01
被引用回数:9 パーセンタイル:54.82(Physics, Multidisciplinary)We report the measurement of differential cross sections for and photoproduction from protons at backward angles () using linearly polarized photons at - GeV. The differential cross sections for mesons are larger than the predicted -channel contribution based on amplitude analysis in the energy range GeV. The differential cross sections for and mesons become closer to the predicted -channel contribution at GeV. A bump structure in the dependence of the differential cross sections for mesons was observed at GeV.
Attie, O.*; Jayaprakash, A.*; Shah, H.*; Paulsen, I. T.*; 守野 正人*; 高橋 優嘉*; 鳴海 一成*; Sachidanandam, R.*; 佐藤 勝也; 伊藤 政博*; et al.
Genome Announcements (Internet), 2(6), p.e01175-14_1 - e01175-14_2, 2014/11
The alkaliphilic bacterium AV1934, isolated from human feces, recent has indicated novel potassium ion coupling to motility in this extremophile. We report draft sequences that will facilitate an examination of whether that coupling is part of a larger cycle of potassium ion-coupled transporters. This draft genome has 4,095 predicted genes and 4,063 predicted proteins. The whole-genome shotgun project has been deposited in Genbank under the accession no. ALPT02000000. In addition to the genes encoding the MotPS channel that uses either potassium or sodium coupling, two loci encoding multisubunit Mrp-type antiporters, were found. The AV1934 genome reveals no tripartite ATP-independent (TRAP-T family) uptake systems, a major sodium-coupled complement in the other two alkaliphiles. The AV1934 genomic data will enable us to test the hypothesis of a major role of potassium in ion coupling in this extremophile.
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; 秋葉 康之*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; 青木 和也*; Aphecetche, L.*; Armendariz, R.*; et al.
Physical Review C, 83(6), p.064903_1 - 064903_29, 2011/06
被引用回数:189 パーセンタイル:99.42(Physics, Nuclear)200GeVと62.4GeVでの陽子陽子の中心衝突からのの横運動量分布及び収量をRHICのPHENIX実験によって測定した。それぞれエネルギーでの逆スロープパラメーター、平均横運動量及び単位rapidityあたりの収量を求め、異なるエネルギーでの他の測定結果と比較する。またやスケーリングのようなスケーリングについて示して陽子陽子衝突における粒子生成メカニズムについて議論する。さらに測定したスペクトルを二次の摂動QCDの計算と比較する。
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; 秋葉 康之*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; 青木 和也*; Aphecetche, L.*; Aramaki, Y.*; et al.
Physical Review C, 83(4), p.044912_1 - 044912_16, 2011/04
被引用回数:9 パーセンタイル:52.33(Physics, Nuclear)重いフレーバーのメソンの崩壊からの電子の測定は、このメソンの収量が金金衝突では陽子陽子に比べて抑制されていることを示している。われわれはこの研究をさらに進めて二つの粒子の相関、つまり重いフレーバーメソンの崩壊からの電子と、もう一つの重いフレーバーメソンあるいはジェットの破片からの荷電ハドロン、の相関を調べた。この測定は重いクォークとクォークグルオン物質の相互作用についてのより詳しい情報を与えるものである。われわれは特に金金衝突では陽子陽子に比べて反対側のジェットの形と収量が変化していることを見いだした。
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; Akiba, Y.*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; Aoki, K.*; Aphecetche, L.*; Armendariz, R.*; et al.
Physical Review D, 83(5), p.052004_1 - 052004_26, 2011/03
被引用回数:180 パーセンタイル:98.41(Astronomy & Astrophysics)RHIC-PHENIX実験で重心エネルギー200GeVの陽子陽子衝突からの, , と中間子生成の微分断面積を測定した。これらハドロンの横運動量分布のスペクトルの形はたった二つのパラメーター、、のTsallis分布関数でよく記述できる。これらのパラメーターはそれぞれ高い横運動量と低い横運動量の領域のスペクトルを決めている。これらの分布をフィットして得られた積分された不変断面積はこれまで測定されたデータ及び統計モデルの予言と一致している。
宇田川 昂; 弓立 浩三*; 工藤 久明; 貴家 恒男; 森野 美樹*; 瀬口 忠男
JAERI-Tech 95-007, 25 Pages, 1995/02
人工衛星構造材料としてのエポキシ樹脂複合材、および長期間の運用を行う宇宙用材料として有望とされるポリイミド(PMR-15)複合材である2種類の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)に対する宇宙環境の影響を調べた。これらの材料に対する耐宇宙環境性は電子、陽子、原子状酸素、および熱サイクルに曝したあとの機械特性の変化から評価した。その結果、PMR-15をマトリックスとするCFRPは、宇宙環境において優れた性能を持つことが明らかとなった。また、電子と陽子の照射を比べても、CFRPの機械特性に違いがないことを明らかにした。
山澤 弘実*; 佐藤 陽祐*; 足立 振一郎*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; et al.
no journal, ,
福島第一原子力発電所(FDNPP)事故により放出されたCs-137の物理過程に着目した大気輸送モデル相互比較が実施され、12モデルが参加した。本研究では、茨城県内のモニタリングステーションで測定されたガンマ線スペクトルデータおよび浮遊粒子状物質ろ紙から分析された濃度データを用いて、2011年3月15日朝に南方へ輸送されたプルームに関してFDNPPから100-200km風下域のCs-137大気中濃度に関する各モデル結果の差異を解析した。比較では、(1)プルーム到達時刻、(2)濃度値、(3)地上濃度の風向直交方向の分布、(4)濃度の鉛直分布、(5)沈着過程を含むCs-137放射能の収支の各項目について解析した。また、降水が発生した3月16日に同エリアに輸送されたプルームについても解析を行った。
山澤 弘実*; 佐藤 陽祐*; 大浦 泰嗣*; 森口 祐一*; 寺田 宏明; 古野 朗子; 都築 克紀; 門脇 正尚; 関山 剛*; 足立 光司*; et al.
no journal, ,
環境研究総合推進費: 課題番号1-1802「原子力事故データの総合解析による事故時の有害物質大気中動態評価法の高度化」(20182020年)では、東京電力福島第一原子力発電所(1F)事故を題材として、有害物質放出事故時の数百km範囲での大気中動態を評価するために必要な要素技術の高度化に取り組んでいる。本研究は、(1)1F事故大気中濃度データの整備と解析、(2)放出源情報推定法の改良、(3)気象場再現法及び大気拡散数値モデルの高度化、(4)大気中濃度解析結果を参照データとするモデル比較試験及び防災利用での計算結果提示法のプロトタイプ構築、の研究テーマにより構成されている。本発表では、各研究テーマによるこれまでに得られた主要な成果の概要を紹介する。
佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; Qulo, D.*; et al.
no journal, ,
2011年3月の福島第一原子力発電所事故により放出されたCsを対象とした大気拡散モデル相互比較が実施され、国内外12機関13モデルが参加した。モデル計算結果の放出源情報及び気象場に起因する不確かさを除外するため、全モデルで放出源情報及び気象場を統一した。浮遊粒子状物質モニタリングネットワークによるCsの大気中濃度と、航空機観測による地表沈着量を、モデル計算結果と観測値の比較に使用した。解析結果から、モデルアンサンブル平均は大気中濃度の上昇イベントの43%を捉えることに成功した。また、モデル間のばらつきの主要な要因は、モデルの沈着速度と拡散の強さの相違と考えられた。
岩崎 俊樹*; 中島 映至*; 渡邊 明*; 鈴木 靖*; 近藤 裕昭*; 森野 悠*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 滝川 雅之*; 関山 剛*
no journal, ,
原子力災害等の緊急時における数値モデルの活用策を検討するため、福島第一原子力発電所事故を対象とした移流拡散予測の相互比較実験を行った。実験には、国立環境研究所によるWRF-CMAQ、原子力機構によるWSPEEDI-II、気象研究所によるNHM-Chemの3モデルが参加した。放射性物質の地上付近の濃度および気柱全体の鉛直積算値を比較対象とし、検証には、下層でプルームが通過したとみられるいわき市、および降水による湿性沈着が発生した福島市と柏市における空間線量率測定値を利用した。検証期間は3月15日00時JSTからの39時間と3月20日06時JSTからの39時間を選んだ。実験では、単位時間当たり放出量は一定値、湿性沈着は起こらないと仮定、初期値を与えた後の気象場は予測データを用いる、という共通条件を与えた。実験の結果、予測にはばらつきがあり、正確な放出情報が得られたとしても絶対値の利用は避けるべきであるが、時空間分布の予測情報は誤差を考慮すれば整合的であり、被ばく軽減に活用できること、また、マルチモデルの情報は予測の不確実性を知る上で有益であることが分かった。
滝川 雅之*; 永井 晴康; 森野 悠*; 関山 剛*; 速水 洋*; 田中 泰宙*; 中島 映至*; 柴田 徳思*
no journal, ,
日本学術会議総合工学委員会原子力事故対応分科会「原発事故による環境汚染調査に関する検討小委員会」では、福島原子力発電所事故に関する大気および海洋における拡散シミュレーション結果の取りまとめを行うためのワーキンググループ(座長:中島映至東京大学教授)を設置し、国内外の諸研究機関に対してモデル結果の提供を呼びかけた。本研究においては、これまでに各研究機関のモデルを用いて得られている知見の取りまとめ、およびモデル間の差異を生じる要因に関する解析を進めつつある。比較対象とするモデル群としては、東日本を計算対象領域とした領域大気物質輸送モデル、地球規模の大気経由輸送・降下を取り扱う全球大気物質輸送モデル、直接漏洩および大気から降下した放射性物質の海洋内での輸送・沈着を取り扱う海洋物質輸送モデルなどがあるが、今回の発表ではそのうち領域大気物質輸送モデルにおける初期的な成果について報告する。
森野 悠*; 北山 響*; 滝川 雅之*; 中島 映至*; 速水 洋*; 永井 晴康; 寺田 宏明; 斉藤 和雄*; 新堀 敏基*; 梶野 瑞王*; et al.
no journal, ,
大気拡散予測モデルの点源放出プルームに対する再現性や不確実性を明らかとするとともに、アンサンブル平均の有用性や今後のモデル改良に資する知見を得ることを目的として、福島第一原子力発電所事故を対象として大気モデル相互比較を実施した。相互比較では、日本学術会議による領域大気モデル相互比較実験で提出された7機関のモデル計算結果について、浮遊粒子状物質測定用ろ紙テープ分析による広域における1時間ごとのCs大気濃度データ、および航空機モニタリングによる積算沈着量データを対象に比較した。対象事例は、2011年3月12日から21日における9つのプルームとした。モデルによる実測再現性は3月15日に関東に拡散した事例で最も高かった。内陸部の広範囲に拡散した事例に対しては、いずれのモデルも比較的再現性が良かったのに対して、沿岸部を局所的に通過する事例では全体的にモデルの再現性は悪かった。また、7モデルのアンサンブル平均は概ねいずれのプルームにおいても平均以上の実測再現性を示しており、点源放出プルームのシミュレーションにおいてもアンサンブル平均の有用性が示された。
北山 響*; 森野 悠*; 滝川 雅之*; 中島 映至*; 速水 洋*; 永井 晴康; 寺田 宏明; 斉藤 和雄*; 新堀 敏基*; 梶野 瑞王*; et al.
no journal, ,
大気拡散予測モデルの点源放出プルームに対する再現性や不確実性を明らかとするとともに、アンサンブル平均の有用性や今後のモデル改良に資する知見を得ることを目的として、福島第一原発事故を対象として大気モデル相互比較を実施した。相互比較では、日本学術会議による領域大気モデル相互比較実験で提出された7機関のモデル計算結果について、浮遊粒子状物質測定用ろ紙テープ分析による広域における1時間ごとのCs大気濃度データ、および航空機モニタリングによる積算沈着量データを対象に比較した。対象事例は、2011年3月12日から21日における9つのプルームとした。モデルによる実測再現性は3月15日に関東に拡散した事例で最も高かった。内陸部の広範囲に拡散した事例に対しては、いずれのモデルも比較的再現性が良かったのに対して、沿岸部を局所的に通過する事例では全体的にモデルの再現性は悪かった。また、7モデルのアンサンブル平均は概ねいずれのプルームにおいても平均以上の実測再現性を示しており、点源放出プルームのシミュレーションにおいてもアンサンブル平均の有用性が示された。
佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; Qulo, D.*; et al.
no journal, ,
2011年3月の福島第一原子力発電所事故により放出されたCsの物理過程に着目した大気拡散モデル相互比較が実施され、12モデルが参加した。モデル計算結果の放出源情報及び気象場に起因する不確かさを除外するため、全モデルは同じ放出源情報及び気象場を使用した。浮遊粒子状物質モニタリングネットワークによるCsの大気中濃度と、航空機観測による地表沈着量を、モデル計算結果と観測値の比較に使用した。解析結果から、モデルアンサンブル平均のFMSは、積算沈着量について前回のモデル相互比較より向上したことが明らかとなった。また、モデルアンサンブル平均は観測値の高濃度をおよそ36%再現していた。捕捉率のモデル間の差異は8%から38%であった。これは、沈着及び拡散プロセスのモデル間の相違に起因していた。
佐藤 陽祐*; 関山 剛*; Sheng, F.*; 梶野 瑞王*; Qulo, D.*; Qurel, A.*; 近藤 裕昭*; 寺田 宏明; 門脇 正尚; 滝川 雅之*; et al.
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所事故によって大気中に放出された放射性物質を対象として、世界の複数機関の数値モデルが参加したモデル間比較が過去2回行われた。本研究では、これまで3-10kmであった空間解像度を1kmに上げて第3回のモデル間比較を行い、発電所近傍で観測された高濃度イベントに対するモデルの再現性を評価した。本モデル間比較には国内外の9モデルが参加し、Csを対象とした計算を行った。実験に用いる気象場には1km解像度のNHM-LETKFによって計算された1時間間隔の出力を、放出源情報にはKatata et al.(2015)による推定結果を全モデルが用い、水平解像度は全モデルで1km相当とした。実験は2011年3月11日00UTCから3月24日00UTC間で行い、航空機観測によるCsの沈着量とSuspended Particle Matter (SPM)測定器によって捕集されたCsの大気濃度との比較を行いモデルの評価を行った。発表では2011年3月に観測された高濃度イベントや第2回MIPとの比較結果について示す。