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藤原 理賀; 萩原 雅人; 森田 克洋*; 村井 直樹; 幸田 章宏*; 岡部 博孝*; 満田 節生*
Physical Review B, 107(5), p.054435_1 - 054435_8, 2023/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)= 1/2ハイゼンベルグ直線鎖反強磁性体は、最も単純なスピンモデルであるが、様々な量子多体現象のプラットフォームを提供する。この論文では、準一次元反強磁性体KCuPOHOの磁性を報告した。 = 11.7(1) Kにおいて、格子整合な長距離反強磁性秩序が形成され、その磁気モーメントの大きさは0.31(1) である事がわかった。また鎖内相互作用と鎖間相互作用の大きさはそれぞれ172Kと4.25(4) Kと見積もられ、/の比は0.0247(3)である。中性子非弾性散乱実験により、より高温では、一次元ハイゼンベルグ量子スピン鎖の特徴である連続体励起スペクトルが観測され、より低温では、分散励起にスピンギャップが観測された。これらの結果は、弱く結合した = 1/2ハイゼンベルグスピン鎖系で観測される性質と一致する。
藤原 理賀; Jeschke, H. O.*; 森田 克洋*; 桑井 智彦*; 幸田 章宏*; 岡部 博孝*; 松尾 晶*; 金道 浩一*; 満田 節生*
Physical Review Materials (Internet), 6(11), p.114408_1 - 114408_8, 2022/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)= 1/2ハイゼンベルグ-反強磁性鎖は、エキゾチックなスピン状態の発現が予想されており、広く研究されている。この論文では、birchiteと呼ばれる銅鉱物、化学式CdCu(PO)SO5HOの磁気挙動とその有効スピンモデルについて報告する。帯磁率,磁化,比熱,SR測定による実験的研究から、0.4Kまで長距離秩序を示さないことがわかった。理論研究から、birchiteは-反強磁性鎖のモデル化合物であり、鎖内相互作用、は反強磁性的で、その大きさは鎖間相互作用の約100倍であることがわかった。の大きさはの大きさの23倍であるため、スピンギャップはの数%に過ぎないと予想される。比熱の温度依存性は約1Kでブロードなピーク( 0.036)を示し、スピンギャップの存在が示唆された。
大島 宏之; 森下 正樹*; 相澤 康介; 安藤 勝訓; 芦田 貴志; 近澤 佳隆; 堂田 哲広; 江沼 康弘; 江連 俊樹; 深野 義隆; et al.
Sodium-cooled Fast Reactors; JSME Series in Thermal and Nuclear Power Generation, Vol.3, 631 Pages, 2022/07
ナトリウム冷却高速炉(SFR: Sodium-cooled Fast Reactor)の歴史や、利点、課題を踏まえた安全性、設計、運用、メンテナンスなどについて解説する。AIを利用した設計手法など、SFRの実用化に向けた設計や研究開発についても述べる。
藤原 理賀*; 森田 克洋*; Mole, R.*; 満田 節生*; 遠山 貴巳*; 矢野 真一郎*; Yu, D.*; 曽田 繁利*; 桑井 智彦*; 幸田 章宏*; et al.
Nature Communications (Internet), 11, p.3429_1 - 3429_7, 2020/07
被引用回数:37 パーセンタイル:90.63(Multidisciplinary Sciences)Observation of a quantum spin liquid (QSL) state is one of the most important goals in condensed-matter physics, as well as the development of new spintronic devices that support next-generation industries. The QSL in two-dimensional quantum spin systems is expected to be due to geometrical magnetic frustration, and thus a kagome-based lattice is the most probable playground for QSL. Here, we report the first experimental results of the QSL state on a square-kagome quantum antiferromagnet, KCuAlBiO(SO)Cl. Comprehensive experimental studies via magnetic susceptibility, magnetisation, heat capacity, muon spin relaxation, and inelastic neutron scattering measurements reveal the formation of a gapless QSL at very low temperatures close to the ground state. The QSL behavior cannot be explained fully by a frustrated Heisenberg model with nearest-neighbor exchange interactions, providing a theoretical challenge to unveil the nature of the QSL state.
藤井 俊行*; 江草 聡一朗*; 上原 章寛*; 山名 元*; 森田 泰治
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 295(3), p.2059 - 2062, 2013/03
被引用回数:3 パーセンタイル:18.63(Chemistry, Analytical)紫外-可視-赤外領域の反射吸光分光法による3M硝酸中のNd, U及びPdの定量分析を実施した。分析は、反射光測定が可能な試料チャンバーに光ファイバーを取り付け、紫外-可視-赤外分光光度計を用いて行った。反射吸光度は、その値が0.1以下のとき、Nd, U及びPdの濃度に比例し、3M硝酸中で、Nd, U及びPdの濃度が、それぞれ0.2M, 0.04M, 0.01M程度以下であれば定量分析が可能であることがわかった。
森田 浩介*; 森本 幸司*; 加治 大哉*; 羽場 宏光*; 大関 和貴*; 工藤 祐生*; 住田 貴之*; 若林 泰生*; 米田 晃*; 田中 謙伍*; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 81(10), p.103201_1 - 103201_4, 2012/10
被引用回数:167 パーセンタイル:97.27(Physics, Multidisciplinary)113番元素である113をBi標的にZnビームを照射する実験により合成した。観測したのは6連鎖の崩壊で、そのうち連鎖の5番目と6番目は既知であるDb及びLrの崩壊エネルギーと崩壊時間と非常によく一致した。この意味するところは、その連鎖を構成する核種が113, Rg (Z=111), Mt (Z=109), Bh (Z=107), Db (Z=105)及びLr (Z=103)であることを示している。本結果と2004年, 2007年に報告した結果と併せて、113番元素である113を曖昧さなく生成・同定したことを強く結論付ける結果となった。
藤井 俊行*; 江草 聡一朗*; 上原 章寛*; 桐島 陽*; 山岸 功; 森田 泰治; 山名 元*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 290(2), p.475 - 478, 2011/11
被引用回数:19 パーセンタイル:80.18(Chemistry, Analytical)Pd溶存状態評価のため、濃硝酸溶液におけるPd錯体の紫外可視吸収スペクトルを研究した。硝酸と過塩素酸を混合してイオン強度を1, 2, 5Mに保ちながら硝酸濃度を変化させて得た吸収スペクトルを解析することにより、Pdの主たる化学種はPd, PdNO及びPd(NO)であることがわかり、錯形成定数, をそれぞれのイオン強度ごとに算出した。
江草 聡一朗*; 藤井 俊行*; 上原 章寛*; 山名 元*; 山岸 功; 森田 泰治
京都大学原子炉実験所第45回学術講演会報文集, p.123 - 125, 2011/01
パラジウム(Pd)分離技術開発の基盤データ取得として、硝酸溶液中におけるPdの溶存状態を分光学的手法を用いて分析し、硝酸錯体の錯生成定数に関する考察を行った。イオン強度を一定に保ち、硝酸濃度を変化させた溶液の吸収スペクトル分析結果の解析により、Pd-硝酸錯体の1配位種及び2配位種の錯形成定数を求めた。
森田 憲二*; 石野 栞*; 飛田 徹; 知見 康弘; 石川 法人; 岩瀬 彰宏
Journal of Nuclear Materials, 304(2-3), p.153 - 160, 2002/08
被引用回数:13 パーセンタイル:63.36(Materials Science, Multidisciplinary)軽水炉圧力容器の照射脆性機構を調べるために、FeCuモデル合金に高エネルギーイオンビームを照射して、照射によるヴィッカース硬さ変化を測定した。硬さ変化の、イオン照射量,照射温度,銅濃度依存性について調べ、以下のような結果を得た。硬さ変化の照射温度依存性は、中性子照射時の延性・脆性転移と対応している。また、硬さ変化は、銅濃度の平方根に比例する。これは、照射による銅析出物の大きさは一定であるということを仮定すれば説明できる。
大島 明博; 宇田川 昂; 森田 洋右
Radiation Physics and Chemistry, 60(4-5), p.467 - 471, 2001/03
被引用回数:12 パーセンタイル:64.73(Chemistry, Physical)連続した炭素繊維の織布を強化繊維として複合化したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を高温(335)酸素不在下(アルゴンガス中)で電子線照射を行い、架橋させた。得られた繊維強化架橋PTFE複合材料の積層体は、従来の短繊維充填PTFE材(充填材5~20wt%)に比べ、曲げ強度などの機械特性は大幅に改善され、しかも摩擦摩耗特性については、PTFE樹脂単体の場合に比べ数千倍、架橋PTFE樹脂及び未架橋の短繊維充填材に比べ5倍改善された材料特性を示した。
大島 明博; 宇田川 昂; 森田 洋右
Radiation Physics and Chemistry, 60(1-2), p.95 - 100, 2001/01
被引用回数:8 パーセンタイル:52.36(Chemistry, Physical)本報告は、放射線プロセスによる炭素繊維強化ポリテトラフルオロエチレンの開発について述べたものである。連続した炭素繊維を強化繊維とし、ポリテトラフルオロエチレンが均一に分散した系で含浸させた後、350で焼成した一方向のプリフォームを準備した。用意したプリフォームをArガス中で高温電子線照射を行うことで、マトリクスを架橋させて、複合材料を得た。得られた材料の諸特性を評価した結果、曲げ強度370MPa、曲げ弾性率64GPa、耐放射線性12MGyの良好な値を示した。したがって、放射線環境下で使用可能な、フッ素系複合材料を開発できた。
大島 明博; 宇田川 昂; 森田 洋右
Proceedings of International Symposium on Prospect for Application of Radiation towards the 21st Century, p.83 - 84, 2000/00
放射線架橋ポリテトラフルオロエチレン(RX-PTFE)を繊維強化複合材料の母材とする材料を試作し、その特性を評価した。基材繊維には、東レのT-300炭素繊維の平織りの織物を用いた。得られた炭素繊維強化RX-PTFEの三点曲げ強度ならびに弾性率は、それぞれ138MPa,28.4GPaであった。
江草 聡一朗*; 藤井 俊行*; 上原 章寛*; 山名 元*; 森田 泰治
no journal, ,
硝酸溶液中におけるパラジウムの溶存化学種を、吸収分光分析法を用いて調べた。溶液条件の違い,試料調製方法、及び時間経過による溶存化学種の変化について考察した。硝酸濃度を0.1Mから10Mの間で変化させて硝酸パラジウムの吸収スペクトルを調べた結果、硝酸濃度の増加に伴って430nmのピークが増大しており、硝酸イオンの配位数の増加が示唆された。一方380nmにおけるピークは、硝酸パラジウム標準溶液から調製した試料では硝酸濃度1M以上で単調減少した。また吸収スペクトルの時間変化が観察され、硝酸濃度が5M以上の場合、380nmのピークが30日以上に渡って減少した。これらの結果から、硝酸溶液下のパラジウムには非常に反応速度の遅い化学反応を伴う化学種が存在している可能性がある。
江草 聡一朗*; 上原 章寛*; 藤井 俊行*; 山名 元*; 山岸 功; 森田 泰治
no journal, ,
パラジウム(Pd)分離技術開発の基盤データ取得として、硝酸溶液中におけるPdの溶存状態を分光学的手法,電気化学的手法、及び計算化学的手法を用いて分析し、硝酸錯体の錯生成定数に関する考察を行った。硝酸濃度を変化させた溶液の吸収スペクトル分析結果の解析により、Pd-硝酸錯体の錯形成定数を求めた。
江草 聡一朗*; 藤井 俊行*; 上原 章寛*; 山名 元*; 山岸 功; 森田 泰治
no journal, ,
ガラス固化体製造時の負担軽減のため高レベル廃液からの分離を検討しているパラジウム(Pd),モリブデン(Mo)及びルテニウム(Ru)について、硝酸溶液中における溶存状態を、分光学的手法を用いて調査した。Pd, Moについては各種錯体種の錯形成定数及びモル吸光係数のデータを得た。Ruについては経時変化が顕著であり、この速度は硝酸濃度に依存した。
上原 章寛*; 宇多 健詞*; 藤井 俊行*; 山名 元*; 山岸 功; 森田 泰治
no journal, ,
次世代核燃料サイクルの再処理におけるガラス固化の負担を軽減するための高レベル廃液調整技術開発として、Mo, Pd, Ruの分離技術開発と不溶解残渣個別処理技術開発を行っている。分離対象であるMo, Pd, Ruの3元素は複雑な化学挙動を示すことから溶存状態把握の研究を進めており、その一環として各元素の硝酸溶液の吸光分光分析を行った。Pdに対しては、吸収スペクトルの硝酸濃度依存性のデータよりPdNO及びPd(NO)の錯生成定数を求めた。Moでは硝酸イオンが存在しない系での錯形成を評価した。Ruの吸収スペクトルは数日のオーダーで変化し、錯形成速度が遅いことが観察された。
森田 泰治; 山岸 功; 佐藤 宗一; 桐島 陽*; 藤井 俊行*; 上原 章寛*; 塚田 毅志*; 宇佐見 剛*; 黒崎 健*
no journal, ,
次世代核燃料サイクルの再処理におけるガラス固化の負担を軽減する高レベル廃液調整技術を開発することを目的として、高レベル廃液ガラス固化の妨害となるモリブデン(Mo),ラジウム(Pd),ルテニウム(Ru)の高レベル廃液からの分離除去及び不溶解残渣を個別処理する技術について、3年間に渡り実施してきた研究開発の成果のまとめとその評価について報告する。Mo分離ではHDEHP(ジ-2-エチルヘキシルリン酸)抽出法を検討し、連続抽出試験で元素の挙動データを取得するとともに、プロセスシミュレーション技術を開発した。本プロセスの成立性は高い。Pd抽出分離では、構成元素がC, H, O, Nである抽出剤DEHDO(5,8-ジエチル-7-ヒドロキシ-6-ドデカノンオキシム)を検討し、Pdを選択的に抽出できるものの逆抽出に課題があり、技術的成熟度はまだ低いと評価した。Ru分離では、酸化揮発法を研究した。Ru分離の前に濃縮工程を付加する必要がある。不溶解残渣固化技術開発では、不溶解残渣合金成分と、分離したPd金属あるいはPdO及びRuOは、混合して加圧焼結することにより安定な固化体にできることを明らかにした。
時岡 大海*; 森田 亮大*; 中村 吏一郎*; 守田 幸路*; 神山 健司; 鈴木 徹
no journal, ,
EAGLE ID1試験における燃料ピン束の崩壊から溶融混合プール形成までの一連の挙動について粒子法を用いた数値シミュレーションを実施し、構造壁の破損要因と推定される高い熱流束を伴う溶融混合プールから構造壁への熱伝達挙動について明らかにした。
守田 美咲*; 荒木 優太*; 上原 章寛*; 福谷 哲*; 津幡 靖宏; 松村 達郎; 藤井 俊行*
no journal, ,
核分裂生成物元素のロジウムの放射性核種は半減期が短いため、冷却後の使用済核燃料に含まれているロジウムは、非放射であるRhが主な同位体となる。このため、使用済核燃料から回収したロジウムは放射能が低く、その価値は高い。またロジウムなどの白金族元素はガラスへの溶融性が悪く、ガラス固化の際に問題となるため、高レベル放射性廃液からの分離が検討されている。しかし、これまでの研究において溶媒抽出特性の報告例は少なく、詳細な抽出挙動は不明である。そこで本研究では、リン酸トリブチル(TBP)、CMPO(n-Octyl(phenyl)-diisobutylcarbamoylmethylphosphine Oxide)及びジグリコールアミドを用いてロジウムの抽出実験を実施した。その結果、ロジウムの分配比は総じて低く、アクチノイド及びランタノイドに対して高い分離係数を示すことが明らかとなった。
藤原 理賀; 森田 克洋*; 満田 節生*; 岡部 博孝*; 幸田 章宏*; 村井 直樹; 萩原 雅人
no journal, ,
チェッカーボード格子反強磁性体の初のモデル物質の候補としてKCuPOHOを見出し、その磁性を調査している。帯磁率温度依存性は100K付近で低次元系特有のブロードピークを示し、=10.5Kでは長距離磁気秩序の形成示唆する鋭いピークを示す。磁気励起スペクトルを見ると、以上ではギャップレスなスピノン励起が、以下では、1meV程度の大きなギャップが観測されている。これらの実験結果を再現可能な有効スピン模型に関しても調査している。