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武野 宏之*; 上原 宏樹*; 村上 昌三*; 竹中 幹人*; Kim, M.*; 長澤 尚胤; 佐々木 園*
Journal of Applied Crystallography, 40(s1), p.s656 - s661, 2007/04
被引用回数:1 パーセンタイル:14.32(Chemistry, Multidisciplinary)吸収線量の空間分布を制御することによる新しい反応場を設計する目的で、成分高分子のガラス転移温度に大きな差を有する高分子ブレンドであるポリ2-クロロスチレン/ポリビニルメチルエーテルブレンドに対して、時分割小角X線散乱法を用いて伸張下における構造発展を調べた。また、この伸張下での構造発展における電子線照射によって生じる高分子架橋の効果を調べた。成分高分子の動的非対称性が顕著になる条件下で伸張を行うと、散乱像は異方的になり、高分子溶液のシェア下での構造で見られる「バタフライ散乱像」に似た散乱像が観測された。電子線架橋の照射量が多い試料ほど、この散乱像の異方性は大きい。この結果は、電子線架橋が濃度揺らぎの緩和を遅くすることが大きな要因であると考えられる。このように伸張下での構造は伸張による構造の異方性と熱運動によって元の等方的な形に戻ろうとする力のバランスによって決まると考えられる。
武野 宏之*; 上原 宏樹*; 村上 昌三*; 竹中 幹人*; 長澤 尚胤
no journal, ,
ガラス転移温度に大きな差のある相溶性高分子ブレンドとしてポリ2-クロロスチレン/ポリビニルメチルエーテルブレンドを用いて、一定速度で伸張したときの構造変化を時分割小角X線散乱法によって調べた。また、上記のブレンドに電子線を照射した試料を用いて、伸張下の構造変化による電子線照射効果を調べた。100kGy照射したブレンドを40Cで伸張したときの2次元X線散乱像では、伸張とともに伸張方向の散乱強度が上昇し、伸張と垂直方向の散乱に比べて平行方向の散乱強度が強くなるというバタフライパターン(異方的な散乱パターン)が観測された。特に、伸張による散乱強度増加の初期過程における濃度揺らぎの成長速度を解析すると、散乱角とX線波長から求められるに特定の領域で極大を持たせ、高分子混合溶液のスピノーダル分解の初期過程に類似していることがわかった。電子線照射による橋かけ構造導入は、濃度揺らぎの成長速度に対して、小さい領域に現れ、ブレンド材料の弾性効果に起因することがわかった。