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田中 桐葉*; 武藤 潤*; 長濱 裕幸*; 岡 壽崇
放射線化学(インターネット), (110), p.21 - 30, 2020/10
電子スピン共鳴(ESR)法を用いた断層年代推定法は、断層内物質に含まれる鉱物中の欠陥に捕獲された不対電子数をESR信号強度として検出し、地震前後でのESR信号強度の量的変化に基づいて断層活動年代を推定する手法である。しかし、この手法には、地震時の断層運動によりESR信号強度が0になるゼロセットと呼ばれる現象が前提としてある。これまでに、ESR信号強度のゼロセットを理解・実証するために、天然の断層破砕物の解析や断層運動を模擬した室内実験等が行われている。本稿では、断層運動によるESR信号のゼロセットに関する過去の研究をまとめ、現状と今後の課題について述べる。
田中 桐葉*; 長濱 裕幸*; 武藤 潤*; 岡 壽崇; 矢部 康男*
no journal, ,
地震に先行する電磁気現象の観測は地震予測に利用できると考えられているが、電磁気現象の発現メカニズムの詳細は不明である。本研究では、電子スピン共鳴法を用いて電子・正孔捕獲中心の濃度を調べたところ、石英砂中の破砕が電磁気現象における表面帯電を引き起こす可能性があることがわかった。
田中 桐葉*; 武藤 潤*; 高橋 美紀*; 岡 壽崇; 長濱 裕幸*
no journal, ,
電子スピン共鳴法(ESR)による断層年代測定は、最後に地震が発生した断層活動の年代を推定する方法である。この方法では、自然放射線によって生成した欠陥にトラップされた電子に由来するESRシグナルが、断層すべりによって消滅(ゼロ化)することを利用しており、高速摩擦試験によってこの現象を模擬可能である。しかし、今までの模擬実験で使用していたチタン合金が実験中に破損して混入すると、チタン合金が高誘電率のためにESR感度を低下させ、見かけ上のゼロ化が起きる可能性があることがわかった。そこで、低誘電率なアルミナ-シリカ化合物を利用することでこの問題を解決し、模擬実験により地表付近の地震性断層すべりによるゼロ化を検討した。石英のラジカルは断層すべり量が増加すると熱摩擦によって減少すると予想していたが、地表付近の地震性断層すべりによる結晶粒破壊によってラジカル量が増える可能性があることが初めてわかった。
田中 桐葉*; 武藤 潤*; 高橋 美紀*; Jayawickrama, E.*; 佐々木 理*; 岡 壽崇; 長濱 裕幸*
no journal, ,
断層が最後に動いた年代を直接推定する方法として、電子スピン共鳴(ESR)法による断層年代測定法を開発している。この方法では、地震間期に自然放射線によって生成した欠陥にトラップされた電子に由来するESRシグナルが、断層すべりによって消滅(ゼロ化)されることを利用しているが、不完全なゼロ化は年代の過大評価の原因となるため、詳細な条件やメカニズムの解明が必要である。我々は高速摩擦実験を行い、さまざまな深さでの地震性断層スリップによる信号ゼロ化の可能性を検討した。その結果、断層の不均質性に由来する地震性断層すべりにともなう結晶粒破壊と摩擦加熱が複雑なゼロ化機構をもたらすと推察された。
田中 桐葉*; 武藤 潤*; 高橋 美紀*; Jayawickrama, E. G.*; 佐々木 理*; 岡 壽崇; 長濱 裕幸*
no journal, ,
電子スピン共鳴(ESR)法を用いて、断層が最後に動いた年代を直接推定する手法(断層年代測定法)を開発している。本手法では、地震が起きていない期間に自然放射線によって生成した欠陥に捕捉された電子のESR信号が、断層のスリップによって消滅することを利用している。断層スリップによる消滅の詳細な条件やメカニズムの解明のため、高速摩擦実験を行ったところ、断層の不均質性に由来する地震性断層スリップによる結晶粒破壊やスリップ時の摩擦加熱が、複雑なESR信号の消滅の原因であると推察された。