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中嶋 徹; 長田 充弘; 福田 将眞; 末岡 茂
地質学雑誌(インターネット), 129(1), p.503 - 507, 2023/11
本研究では秋田県太平山複合プルトンの花崗岩類についてジルコンのU-Pb年代測定を行った。主併入岩類より採取された2つの花崗閃緑岩のU-Pb年代(206Pb/238U加重平均年代)はそれぞれ103.41.0Maと115.6
1.1Ma(1SE)であった。新期併入岩類より採取された斑状花崗岩のU-Pb年代はそれぞれ11.4
0.1Ma、4.7
0.1Ma、4.8
0.1Ma(1SE)であった。これらのU-Pb年代はそれぞれの試料が採取された地点における花崗岩質マグマの貫入年代と解釈される。本研究で得られた鮮新世のU-Pb年代から、新期併入岩類の仁別岩体が現在地表に露出する深成岩体としては世界的に見ても最も若い岩体の一つであることが示唆された。
丹羽 正和; 島田 耕史; 末岡 茂; 藤田 奈津子; 横山 立憲; 小北 康弘; 福田 将眞; 中嶋 徹; 鏡味 沙耶; 小形 学; et al.
JAEA-Review 2023-017, 27 Pages, 2023/10
本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度令和10年度)における令和5年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発成果や大学等で行われている最新の研究成果に加え、地層処分事業実施主体や規制機関等の動向を考慮した。研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。
丹羽 正和; 島田 耕史; 末岡 茂; 石原 隆仙; 小川 大輝; 箱岩 寛晶; 渡部 豪; 西山 成哲; 横山 立憲; 小形 学; et al.
JAEA-Research 2023-005, 78 Pages, 2023/10
本報告書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度令和10年度)における令和4年度に実施した研究開発に係る成果を取りまとめたものである。第4期中長期目標期間における研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を進めている。本報告書では、それぞれの研究分野に係る科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果等について取りまとめた。
久保見 幸*; 長田 充弘; 大田 敬豊*; 宮田 和周*; 大藤 茂*
地質学雑誌(インターネット), 129(1), p.453 - 460, 2023/09
東北日本北海道の函淵層は、蝦夷層群の最上部の海成から河川成の地層であり、K/Pg境界付近は確認されないものの、その堆積年代は後期白亜紀前期カンパニアンから後期暁新世とされてきた。これまでのところ、前期暁新世(ダニアン)を示す堆積年代の決定的な証拠は報告されていなかったが、夕張地域の函淵層の凝灰岩中からジルコンU-Pb年代測定を試みたところ、64.11.1Maの最若クラスター年代を得た。この結果はこの地層の堆積年代がダニアンであることを示唆しており、函淵層には少なくとも部分的にダニアン階の地層が存在することを示唆する最初の放射年代学的証拠である。
坂東 晃紀*; 長田 充弘; 淺原 良浩*; 石崎 泰男*; 大藤 茂*
下仁田町自然史館研究報告, (8), p.33 - 53, 2023/03
群馬県下仁田町に分布する跡倉ナップと呼ばれる白亜紀堆積岩とそれを貫く貫入岩の年代論や地球化学的検討を行った。跡倉層の堆積年代は前期白亜紀Barrenianと後期白亜紀CenomanianからCampanianとする説があり、近年は前者が優勢だった。跡倉層の砂岩の4試料から得られた最若クラスター年代は182.8Ma, 129.8Ma, 123.7Ma、および115.1Maを示す。また、跡倉層を貫く火成岩のジルコンは123.2MaのU-Pb年代を示し、Hf(t)=3.0から3.8を得た。跡倉層の堆積年代については前期白亜紀を支持するものの、今後検討を要する。今回得た火成岩は東北地方の北上・阿武隈山地の花崗岩類から得られているジルコンのU-Pb年代やHf同位体に類似することが判明した。
原田 拓也*; 長田 充弘; 小北 康弘; 鏡味 沙耶; 横山 立憲
地学雑誌, 132(1), p.57 - 65, 2023/02
北部北上山地に分布する白亜紀火山岩類の原地山層の形成年代の制約と起源マグマについて検討するため、全岩化学組成、ジルコンのU-Pb年代、およびHf同位体比を測定した。分析に用いた2試料は、非アダカイト(島弧起源)の流紋岩質岩を示し、小本地区の流紋岩からは127.83.4Ma、机地区の流紋岩質凝灰岩からは129.2
2.6MaのU-Pb年代を得た。また、両試料のジルコンの
Hf(t)値は、5.0から8.7の範囲である。これらの結果は、先行研究の北上花崗岩類のデータと類似しており、両者が同質同時代のマグマを起源としたことが示唆される。
長田 充弘; 中嶋 徹; 福田 将眞; 末岡 茂; 八木 公史*; 横山 立憲
フィッション・トラックニュースレター, (36), p.9 - 13, 2023/00
ジルコンを用いた年代測定における標準試料の探求の一環として、石川県白山市南部の下部中新統鷲走ヶ岳月長石流紋岩質溶結凝灰岩に注目し、ジルコンのU-Pb年代・FT年代と月長石(サニディン)のK-Ar年代の観点から検討した。本論では、鷲走ヶ岳月長石流紋岩質溶結凝灰岩を鷲走ヶ岳層と呼ぶ。3試料より得られたU-Pb年代の加重平均値は約21.9-21.7 Maを示し、誤差範囲で重なる。ジルコンFT年代やK-Ar年代は一部試料が誤差範囲で重なるものの、若い傾向にある。また、ジルコンのトラック長は3試料とも初期長より有意に短いトラック長が確認された。これらの結果から鷲走ヶ岳層のジルコンはU-Pb年代のような閉鎖温度の高い手法に関しては標準試料として有効であるが、FT年代などの閉鎖温度の低い手法には不向きである蓋然性が高い。
中嶋 徹; 福田 将眞; 長田 充弘; 檀原 徹*; 岩野 英樹*; 末岡 茂
フィッション・トラックニュースレター, (35), p.34 - 36, 2022/12
本発表ではバデリアイトのフィッション・トラック(FT)年代測定の実用化に向け行ったFTエッチング実験の結果と、その簡単な考察を行う。本研究では檀原ほか(1999)で用いられたものと同一試料のバデリアイト(第一稀元素化学工業提供試料)を使用し、NaOH-KOH共融混合液を用いて228度の温度条件で50時間まで段階的なエッチングを行った。その結果、檀原ほか(1999)の報告と同様に研磨痕の拡大、表面の粗面化などバデリアイトがエッチングされる様子が観察された一方で、FTと思しき組織は観察されなかった。研磨痕は拡大する一方でFTがエッチングされなかったことから、バデリアイトのFTは何らかの要因によりエッチングされにくいことが予想される。バデリアイトのFTを観察した研究としてO'Connell et al. (2020)がある。この研究ではTEM観察により、Xeイオントラックが単斜晶系から正方晶系への線状相転移領域(約2.5nm幅)として認定されることを報告している。本研究でFTがエッチングされなかったことは、バデリアイトのFTがアモルファス化しておらず、エッチングされにくいことが原因として考えられる。以上を踏まえると、ジルコンと同様の方法でのバデリアイトFTのエッチングは困難であると予想されるが、TEMやAFMによるlatent trackの観察などFT密度を計測することができれば、熱年代計として使用できる可能性がある。今後もバデリアイトFT法の確立へ向けて可能性を探ってゆく。
南 沙樹*; 末岡 茂; 福田 将眞; 長田 充弘; Kohn, B. P.*; 横山 立憲; 鏡味 沙耶; 梶田 侑弥*; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (35), p.22 - 26, 2022/12
一般的に花崗岩は、地下数kmから数十kmの深部で形成される。したがって、最近形成された若い花崗岩が、現在地表に露出する地域では、極めて急速な隆起・削剥が起きている可能性がある。世界的に見ると、約5Maより若い花崗岩の分布は、変動帯に集中している。変動帯にある日本列島でも、飛騨山脈の黒部川花崗岩や、南部フォッサマグナ地域の丹沢トーナル複合岩体などで、ジルコンU-Pb年代測定(閉鎖温度900C以上)により数Ma以内の若い形成年代が報告されている。本研究の対象地域である谷川岳地域は、東北日本弧南部の背弧側に位置し、その地質は主に、後期白亜紀-古第三紀の花崗岩類と、これらに貫入する鮮新世の谷川岳花崗岩類(赤湯岩体・谷川岩体・巻機岩体)から成る。先行研究では、谷川岳花崗岩類について、形成年代を表すジルコンU-Pb年代(約4.0-3.2Ma)と、約280
C付近の冷却年代を表す、ジルコンのフィッション・トラック(ZFT)年代(約3.3-2.9Ma)及び、350-400
C付近の黒雲母K-Ar年代(約3.9-3.1Ma)などが報告されている。しかし、約280
Cより低温域における熱史は不明である。本研究では、後期白亜紀水上石英閃緑岩と谷川岳花崗岩類について、未測定の地点にU-Pb年代測定を実施し、約200
C以下の低温側の熱史・削剥史を推定するためにジルコンとアパタイトの(U-Th)/He年代測定(ZHe年代: 閉鎖温度160-200
C、AHe年代: 閉鎖温度55-80
C)を実施した。その結果、谷川岳花崗岩類は、ジルコンU-Pb年代測定により、約6.0-3.2Maの間に少なくとも3回の異なる時代の貫入によって形成されたことが明らかとなった。また、最近の山地形成に関連した削剥を最も反映していると期待される、AHe年代の閉鎖温度から地表温度(10
C)の平均冷却速度は、山頂稜線の東側に位置する巻機岩体と水上石英閃緑岩で13-36
C/Ma、稜線西側の谷川岩体の1地点(AHe年代: 約1.2Ma)で36-60
C/Maと推定された。稜線東側では、AHe年代が約3.0-2.0Ma頃に集中しており、この時期の急速な削剥が示唆される。AHe年代から得られた削剥速度について、丹沢山地や東北日本弧と比較すると、谷川岳地域の削剥速度は、島弧-島弧衝突帯の丹沢山地や、歪の集中で知られる奥羽脊梁山地のような地殻変動が活発な地域に匹敵することが示唆された。
笹尾 英嗣; 石丸 恒存; 丹羽 正和; 島田 顕臣; 島田 耕史; 渡邊 隆広; 末岡 茂; 横山 立憲; 藤田 奈津子; 小北 康弘; et al.
JAEA-Review 2022-022, 29 Pages, 2022/09
本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度令和10年度)における令和4年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発成果や大学等で行われている最新の研究成果に加え、地層処分事業実施主体や規制機関等の動向を考慮した。研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。
長田 充弘; 福田 将眞; 末岡 茂; 中嶋 徹; 梶田 侑弥*; 南 沙樹*; 岡本 晃*; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (35), p.15 - 18, 2022/09
ジルコンを用いた年代測定の標準試料の探求の一環として、照来層群歌長流紋岩中のジルコンについて、U-Pb年代測定を実施した。歌長流紋岩からは、先行研究により約2.30-2.77Maのジルコンフィッション・トラック年代,ジルコン(U-Th)/He年代、および黒雲母K-Ar年代が報告されていた。ジルコンは短柱状から長柱状の自形を呈し、カソードルミネッセンス像観察では明瞭なコア・リム構造や累帯構造を示さない。レーザーアブレーション・マルチコレクター誘導結合プラズマ質量分析装置を用いてU-Pb同位体を測定した。2試料より得られたU-Pb年代は、いずれも2.5-3.0Maを示し、それぞれ2.650.16Maおよび2.66
0.15Maの
U-
Pb加重平均値を得た。得られた年代は、先行研究による閉鎖温度の異なる年代と整合的であるため、歌長流紋岩中のジルコンが標準試料として有効である可能性がある。今後、更なる各種年代、U, Th,希土類元素などの元素濃度の測定から標準試料として適切か検討する。
沢田 輝*; 仁木 創太*; 長田 充弘; 平田 岳史*
Minerals (Internet), 12(1), p.107_1 - 107_15, 2022/01
被引用回数:1 パーセンタイル:33.1(Geochemistry & Geophysics)大江山オフィオライトは日本において最も古い地質体の一つであり、原日本における沈み込み帯の開始時期を検討する上で重要である。本研究ではジルコンのU-Pb-Hf同位体および微量元素組成分析から検討した。ジルコンU-Pb年代測定から約544Maの年代値を得た。微量元素組成分析から大江山帯の起源が中央海嶺玄武岩のようなマントル起源であることが判明した。ジルコンのLu-Hf同位体からは先行研究よりもより枯渇的であることを示すデータを得た。これらの結果は、原日本弧に沿った海洋プレートの沈み込みに古い地殻物質が関与していたことを示唆している。
南 沙樹*; 長田 充弘; 末岡 茂; 福田 将眞; 梶田 侑弥*; 小北 康弘; 鏡味 沙耶; 横山 立憲; 田上 高広*
Earth, Planets and Space (Internet), 73(1), p.231_1 - 231_7, 2021/12
被引用回数:1 パーセンタイル:10.12(Geosciences, Multidisciplinary)We performed zircon U-Pb dating on the Pliocene Tanigawa-dake granites (Makihata and Tanigawa bodies) and the Cretaceous Minakami quartzdiorite, Northeast Japan Arc. Concordia ages were estimated to be 3.95 0.11 Ma (
2 sigma) for the Makihata body, 3.18
0.13 Ma and 3.32
0.15 Ma for the Tanigawa body, and 109.4
2.2 Ma for the Minakami quartzdiorite. The Minakami quartzdiorite is possibly correlated to the bedrock in the Ashio belt because the age of the Minakami quartzdiorite is consistent with the zircon U-Pb ages of the earliest Tadamigawa granites (107-62 Ma) which are distributed to the northeast of the Tanigawa-dake region and belong to the Ashio belt. All the zircon U-Pb ages of the Tanigawa-dake granites are older than the previously reported cooling ages, i.e., K-Ar ages and zircon fission-track ages, being consistent with their difference in closure temperature. On the basis of these results, we concluded that the intrusive ages of the Tanigawa-dake granites are ~4-3 Ma, which are among the youngest exposed plutons on Earth. The U-Pb ages of the Makihata body and the Tanigawa body are different significantly in the 2 sigma error range. Thus, the Tanigawa body intruded later than the Makihata body by ~0.7 Myr.
梶田 侑弥*; 末岡 茂; 福田 将眞; 横山 立憲; 鏡味 沙耶; 長田 充弘; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (34), p.14 - 16, 2021/12
東北日本弧前弧域における地質学的時間スケールの詳細な隆起・削剥史の復元のため、北上山地に分布する花崗岩類を対象としたU-Pb年代測定およびアパタイトフィッション・トラック(AFT)熱年代学を適用した。また、東縁に分布する浄土ヶ浜流紋岩について、その熱的影響や活動時期推定のため、U-Pb年代測定を行った。結果として、北上山地に分布する白亜紀花崗岩類2試料について122.7Maと117.3MaのU-Pb年代、および15試料について156.8Maから70.3MaのAFT年代、浄土ヶ浜の流紋岩については44.3MaのU-Pb年代が得られた。先行研究および本研究で得られたAFT年代を総合すると、北上山地の西方に向けて若返る傾向が示唆された。その原因として、火山フロントの移動による浄土ヶ浜の火成活動が考えられるが、本研究で得られたU-Pb年代に比べてAFT年代は有意に古い結果となり、トラックの長さ分布を利用した熱史逆解析の結果も徐冷を示唆していることから、再加熱を積極的に支持する結果は得られなかった。今後は、追加分析によるデータの信頼性の向上や、ESR法などのより閉鎖温度が低い熱年代計などの適用を予定している。
南 沙樹*; 長田 充弘; 末岡 茂; 福田 将眞; 梶田 侑弥*; 小北 康弘; 横山 立憲; 鏡味 沙耶; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (34), p.4 - 8, 2021/12
国内において急激な隆起・削剥を経験してきた地域であると期待される、数Maに形成された若い花崗岩類が露出する谷川岳地域において、貫入年代の決定を目的にU-Pb年代測定を実施した。結果として、白亜紀花崗閃緑岩では109Ma、若い花崗岩類と推察された岩体では3.95Maから3.19Ma(3試料)のU-Pb年代が得られた。これらの年代は先行研究で報告されていた、より閉鎖温度の低い手法であるK-Ar法やジルコンのフィッション・トラック年代と整合的な値であり、本研究で得られたU-Pb年代の方が古い値を示す。したがって、得られたU-Pb年代は若い花崗岩の貫入年代に相当すると解釈でき、最低でも二回に及ぶ複数の貫入イベントによって谷川岳地域の若い花崗岩体が形成された可能性を提示した。
石丸 恒存; 尾方 伸久; 國分 陽子; 島田 耕史; 丹羽 正和; 島田 顕臣; 渡邊 隆広; 末岡 茂; 横山 立憲; 藤田 奈津子; et al.
JAEA-Research 2021-007, 65 Pages, 2021/10
本報は、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第3期中長期目標期間(平成27年度令和3年度)における令和2年度に実施した研究開発に係る成果を取りまとめたものである。第3期中長期目標期間における研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針等の検討・策定に研究成果を適宜反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで進めている。本報では、それぞれの研究分野に係る科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果等について取りまとめた。
野田 篤*; 宮崎 一博*; 水野 清秀*; 長田 充弘
GSJ地質ニュース, 10(9), p.207 - 213, 2021/09
本論は2021年に発刊された「5万分の1地質図幅「池田」」に関連して出版される解説である。四国北東部の香川・徳島県境に位置する「池田」地域は、中心部に讃岐山脈が東西に延び、その南縁には西南日本の地質を南北に二分する世界第一級の大断層「中央構造線」が分布することで知られている。本地域は、中央構造線を挟んだ両側の様々な地質を観察することができ、島弧地殻内の火成・変成作用、島弧地殻表層の堆積作用、プレート境界深部の変成作用といった異なる作用によって、ほぼ同時期に形成された岩石が隣接して分布するという沈み込み帯に特徴的な地質構造を示している。また、同地域は中央構造線の活断層や地すべりなども確認されるため、学術的だけでなく、地震・土砂災害の観点からも重要な地域となっている。
石丸 恒存; 國分 陽子; 島田 耕史; 島田 顕臣; 丹羽 正和; 渡邊 隆広; 末岡 茂; 横山 立憲; 藤田 奈津子; 小北 康弘; et al.
JAEA-Review 2021-012, 48 Pages, 2021/08
本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第3期中長期目標期間(平成27年度令和3年度)における令和3年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、「地質環境の長期安定性に関する研究」基本計画-第3期中長期計画に基づき、これまでの研究開発成果、関係研究機関の動向や大学等で行われている最新の研究成果、地層処分事業実施主体や規制機関のニーズ等を考慮した。研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針等の検討・策定に研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。
野田 篤*; 宮崎 一博*; 水野 清秀*; 長田 充弘
池田地域の地質; 地域地質研究報告(5万分の1地質図幅); 高知(13)第31号, 150 Pages, 2021/03
本図幅は著者の一人長田が博士課程前期から後期修学中に関与し、作成にかかわったものである。香川県と徳島県にまたぐ池田地域は中央構造線(中央構造線活断層系を含む)が分布していることで知られている重要な地域である。中央構造線の北側には領家帯の深成岩類・変成岩類とそれを覆う上部白亜系和泉層群,中新統瀬戸内火山岩類,下部更新統三豊層群が、南側には三波川変成岩類や下部更新統の土柱層が分布する。これらの他に段丘堆積物などが分布し、活断層はこれらの堆積物を変位させている。本図幅は上述した地質の詳細な解説だけでなく、温泉や鉱床などにも触れられている。
高橋 浩*; 御子柴 真澄*; 志村 俊昭*; 長田 充弘; 岩野 英樹*; 檀原 徹*; 平田 岳史*
Island Arc, 30(1), p.e12393_1 - e12393_15, 2021/01
被引用回数:2 パーセンタイル:20.82(Geosciences, Multidisciplinary)北海道に分布する日高変成帯は島弧地殻の断片とされ、同帯変成岩類は高変成度の下部層と低変成度の上部層とに区分される。近年の下部層のジルコンU-Pb年代測定による変成年代(約19Ma)の報告により、日高変成帯の形成史の見直しが求められていた。そのため、上部層を対象にジルコンU-Pb年代測定を行った。黒雲母片麻岩の砕屑性コアは53.10.9Maを、変成(再結晶)リムは39.6
0.9Maを示した。一方、董青石-黒雲母片麻岩の砕屑性コアは46.5
2.8Maを、変成リムは35.9
0.7Maを示した。これらの結果から、日高変成帯上部層の原岩は約53-47Ma以降に形成され、上部層の変成作用は40-36Maであったと解釈される。また、上部層と下部層の接合は下部層の変成年代と下部層で形成され上部層に貫入している深成岩類がいずれも約19Maであることから19Ma以降であると考えられる。