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高橋 昭久*; 久保 誠*; Ma, H.*; 中川 彰子*; 吉田 由香里*; 磯野 真由*; 金井 達明*; 大野 達也*; 古澤 佳也*; 舟山 知夫; et al.
Radiation Research, 182(3), p.338 - 344, 2014/09
被引用回数:62 パーセンタイル:90.24(Biology)DNA二本鎖切断(DSB)は相同組換え(HR)と非相同末端結合(NHEJ)により修復される。重粒子線治療における放射線増感剤の標的候補を明らかにすることを目的とした。がん抑制遺伝子p53欠損マウス胚線維芽細胞由来の野生型細胞, HR修復欠損細胞, NHEJ修復欠損細胞,二重修復欠損細胞を用いた。各細胞にX線,炭素線,鉄線,ネオン線,アルゴン線を照射し、コロニー形成法で生存率を調べた。10%生存率線量値(D10値)を用いて、増感比は(野生型細胞のD10値)/(修復欠損細胞のD10値)の式で算出した。D10値はいずれの線質においても、野生型細胞
HR修復欠損細胞
NHEJ修復欠損細胞
二重修復欠損細胞の順に低くなった。HR修復欠損による増感比はLET無関係に一定で約2であった。一方、NHEJ修復欠損の増感比はLETが高くなるに従い減少するものの、HR修復欠損よりも高い増感効果を示した。高LET放射線の高RBEの要因はNHEJ修復の抑制と誤修復であり、炭素線における増感剤の主要な標的候補はNHEJ修復であることが示唆された。
, AtRev1 and AtPol
in
-ray-induced mutagenesis中川 繭*; 高橋 真哉*; 鳴海 一成; 坂本 綾子
Plant Signaling & Behavior (Internet), 6(5), p.728 - 731, 2011/05
Ionizing radiations have been applied to plants as useful mutagens, but its molecular mechanism(s) for mutagenesis is less understood. The AtPol
, AtRev1 and AtPol
are Arabidopsis translesion synthesis (TLS)-type polymerases involved in the UV-induced mutagenesis. To investigate a role(s) of TLS-type DNA polymerases in radiation-induced mutagenesis, we analyzed the mutation frequency in AtPol
-, AtRev1- or AtPol
-knockout plants,
,
and
, respectively. The mutation frequency in
was little changed, whereas the frequency in
greatly decreased and in
slightly increased compared to that of wild type. Abasic (apurinic/apyrimidinic; AP) site, induced by radiations or generated during DNA repair process, leads to incorporation of any kinds of nucleotides at the opposite strand. The 7,8-dihydro-8-oxo-2'-deoxyguanosine (8-oxo-dG), induced by radiation through the formation of reactive oxygen species, makes pairs with cytosine and adenines. Therefore, AtRev1 possibly inserts dC opposite AP-site or 8-oxo-dG, which results in G to T transversions.
and
genes delays flowering under continuous light but accelerates it under long days and short days; An Important role for
CRY2 to accelerate flowering time in continuous lightNefissi, R.*; 夏井 悠*; 宮田 佳奈*; 小田 篤*; 長谷 純宏; 中川 繭*; Ghorbel, A.*; 溝口 剛*
Journal of Experimental Botany, 62(8), p.2731 - 2744, 2011/02
被引用回数:19 パーセンタイル:48.17(Plant Sciences)光周反応は季節による日長の変化に対する適応機構の1つであり、概日時計はこの機構において重要な役割を果たす。本研究では、
変異体の種子をイオンビームで変異誘発し、ELF3非存在下で連続光条件下では花成が遅延するが長日又は短日光条件下では遅延しない7系統の抑圧変異を同定した。その内
変異は青色光受容体CRY2の新しいアリルであることがわかった。
二重変異体における花成の遅延及び
遺伝子の発現量低下は連続光条件下で顕著であったが、長日又は短日光条件下では見られなかった。この結果は、
二重変異体の花成遅延は暗黒期が存在することによって影響されることを示している。この結果は、CRY2が連続光条件下において、長日及び短日光条件下よりも花成の促進にさらに重要な役割を果たすことを示唆する。
, AtRev1 and AtPol
in UV light-induced mutagenesis in Arabidopsis![$$^{1[W]}$$](/search/images/ERPHWMK1K3OX0JA.gif)
中川 繭*; 高橋 真哉*; 田中 淳; 鳴海 一成; 坂本 綾子
Plant Physiology, 155(1), p.414 - 420, 2011/01
被引用回数:16 パーセンタイル:42.55(Plant Sciences)損傷乗り越え複製(TLS)は、特殊なDNAポリメラーゼによって損傷DNAをバイパスすることによって複製障害を回避する機構である。われわれは高等植物における損傷乗り越え複製機構の役割を調べるため、TLS型DNAポリメラーゼを欠失させたシロイヌナズナの変異株における紫外線誘発突然変異頻度を解析した。AtPol
及びAtRev1を欠失させた植物では突然変異頻度は低下したことから、これらのポリメラーゼは突然変異を起こしやすいことがわかった。これに対し、AtPol
を欠失した植物では突然変異頻度が上昇したことから、AtPol
は突然変異を起こしにくいことがわかった。AtPol
とAtRev1の2重変異ではAtRev1の単独変異とほぼ同等の変異頻度であったのに対し、AtPol
とAtPol
の2重変異では、AtPol
で見られた高い変異頻度がほぼ失われた。このことから、AtPol
and AtRev1は同一の経路で働くのに対し、AtPol
はこれらとは別の経路で働くことが示唆された。
in 
夏井 悠*; Nefissi, R.*; 宮田 佳奈*; 小田 篤*; 長谷 純宏; 中川 繭*; 溝口 剛*
Plant Biotechnology, 27(5), p.463 - 468, 2010/12
被引用回数:4 パーセンタイル:14.67(Biotechnology & Applied Microbiology)EARLY FLOWERING 3(ELF3)は植物のサーカディアンリズムの維持に重要な役割を担うタンパクである。本研究では、EFL3によって制御される花成の分子機構を理解するため、
変異体の抑圧変異の単離を試みた。
及び
の2つの抑圧変異について詳しく調査した。遺伝子マッピング,発現解析及び塩基配列から
及び
はそれぞれ
と
の新しいアリルであることがわかった。花成因子
の制御に関して、
と
並びに
と
間の遺伝的関係についても調査した。単離した6つの
の抑圧変異は、花成因子の発現並びに開花時期に基づいて少なくとも4つのサブグループに分けられた。この分類方法は、未同定の抑圧変異の解析に有用である。
is defective in the DNA damage response坂本 綾子; Lan, V. T. T.*; Puripunyavanich, V.*; 長谷 純宏; 横田 裕一郎; 鹿園 直哉; 中川 繭*; 鳴海 一成; 田中 淳
Plant Journal, 60(3), p.509 - 517, 2009/07
被引用回数:21 パーセンタイル:49.42(Plant Sciences)細胞分裂周期の進行は、内的又は外的なさまざまな要因によって常にストレスを受けており、それによってDNA複製の中断や染色体の分配異常などが引き起こされることが知られている。細胞周期チェックポイントとは、こうした異常事態の際に細胞周期の進行を停止し、適切な処理が行われるまで次のステップに移行しないようにするための機構である。われわれは、シロイヌナズナの紫外線感受性変異株のスクリーニングの過程で、
(sensitive to UV 2)変異株を単離した。
変異株は、さまざまなDNA変異原やヒドロキシウレアに対して感受性を示し、その表現系は損傷チェックポイントにかかわるAtATRの欠損株に非常によく似ていた。さらに、SUV2蛋白質はGCN4型のコイルドコイルドメインを持つ蛋白質をコードしており、N末側にはPI3K様プロテインキナーゼのターゲット配列が2か所存在していた。そこで、SUV2蛋白質同士どうしの相互作用を酵母two-hybridの系で解析したところ、
は2量体を形成することが明らかになった。以上の結果から、われわれは
がATRの活性を制御するATRIPのシロイヌナズナにおけるホモログであると結論づけ、AtATRIPと命名した。
高橋 真哉*; 中川 繭; 田中 淳; 鳴海 一成; 清水 喜久雄*; 坂本 綾子
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 58, 2008/11
植物の紫外線耐性機構の研究過程で、YファミリーDNAポリメラーゼをコードしている新規遺伝子
を同定した。YファミリーDNAポリメラーゼは複製忠実度が低く、さまざまなDNA損傷をバイパスすると考えられている。
遺伝子欠損植物は、紫外線やDNA架橋剤に感受性を示す。
遺伝子産物であるAtREV1タンパク質の生化学的な機能を解析するために、組換え大腸菌を用いてAtREV1タンパク質を発現・精製し、精製したタンパク質を用いてデオキシヌクレオチド転移活性を調べた。その結果、AtREV1タンパク質は複製忠実度が低く、鋳型の塩基にかかわらず、dCMPを好んで挿入することがわかった。また、APサイトの相補鎖には塩基を挿入できるが、紫外線損傷塩基の相補鎖には塩基を挿入できなかった。AtREV1タンパク質の低い複製忠実度が突然変異を引き起こすかどうかを調べるために、野生株と
遺伝子欠損株の突然変異頻度を測定した。その結果、AtREV1タンパク質が紫外線あるいは
線で生じるDNA損傷の誤複製を起こすことで、突然変異誘発を促進していることがわかった。
in ArabidopsisNefissi, R.*; 宮田 佳奈*; 新沼 協*; 小田 篤*; 長谷 純宏; 中川 繭; 溝口 剛*
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 77, 2008/11
シロイヌナズナの
(
)遺伝子は、植物形態,開花時間,概日リズムなど多様のプロセスを制御している。
変異株は短日光周期と長日光周期の両方において野生株よりも早期に開花する。また、淡緑色の葉,伸長した胚軸と葉柄といった、光信号の受容あるいは伝達の欠損に関連した表現型を示す。このことからELF3タンパク質は機能性タンパク質であることが示唆されている。ELF3タンパク質の詳細な役割を理解するために、イオンビーム照射による突然変異誘導によって、
変異株のエンハンサーとサプレッサーの遺伝学的な選抜を試みた。その結果、7つのエンハンサー系統と1つのサプレッサー系統を得た。現在、これらの遺伝子マッピングを行っている。ELF3タンパク質の安定性あるいは活性を制御する新規因子の同定によって、植物の適切な発生を制御するうえでの概日リズムの役割を明らかにできるであろう。
Y-family DNA polymerase
catalyses translesion synthesis and interacts functionally with PCNA2Anderson, H.*; Vonarx, E.*; Pastushok, L.*; 中川 繭; 片渕 淳*; Gruz, P.*; Rubbo, A.*; Grice, D.*; Osmond, M.*; 坂本 綾子; et al.
Plant Journal, 55(6), p.895 - 908, 2008/09
被引用回数:44 パーセンタイル:71.90(Plant Sciences)We assessed the roles of
and
in TLS mediated UV resistance.
defective mutants sensitized growth of roots and whole plants to UV radiation indicating AtPol
contributes to UV resistance.
alone did not complement the UV sensitivity conferred by deletion of yeast
, although AtPol
exhibited cyclobutane dimer bypass activity and interacted with yeast PCNA in vitro. Co-expression of
and
, but not
, restored normal UV resistance and mutation kinetics in the
mutant. A single residue difference at site 201, which lies adjacent to the lysine ubiquitylated in PCNA, appeared responsible for the inability of PCNA1 to function with AtPol
in UV treated yeast. PCNA interacting protein boxes and an ubiquitin-binding motif in AtPol
were found to be required for restoration of UV resistance in the
mutant by
and
. These observations indicate AtPol
can catalyse TLS past UV induced DNA damage, and link the biological activity of AtPol
in UV irradiated cells to PCNA2 and PCNA-and ubiquitin-binding motifs in AtPol
.
(
) in 
小田 篤*; Reeves, P. H.*; 田島 武臣*; 中川 繭; 鎌田 博*; Coupland, G.*; 溝口 剛*
Plant Biotechnology, 24(5), p.457 - 465, 2007/12
被引用回数:2 パーセンタイル:7.21(Biotechnology & Applied Microbiology)シロイヌナズナでは、二つのmyb関連タンパク質LATE ELONGATED HYPOCOTYL (LHY)とCIRCADIAN CLOCK ASSOCIATED 1 (CCA1)が概日リズムの調節において、重要な役割をしている。シロイヌナズナにおいて、日長依存的な花成と胚軸の伸長は概日時計によって制御されている。われわれは、長日条件下での胚軸と花成遅延の表現型を指標に、シロイヌナズナの概日時計因子LHYの機能欠損型アリル(lhy-14)と機能獲得型アリル(lhy-2)を新規に単離した。lhy-2は機能欠損型LHYアリルであるlhy-12の形質を抑圧する変異体として単離された。lhy-12とlhy-2におけるLHYの機能喪失と獲得はLHY mRNAの異常なスプライシングによって引き起こされることがわかった。
in 
田島 武臣*; 小田 篤*; 中川 繭; 鎌田 博*; 溝口 剛*
Plant Biotechnology, 24(2), p.237 - 240, 2007/03
被引用回数:23 パーセンタイル:48.86(Biotechnology & Applied Microbiology)シロイヌナズナのEARLY FLOWERING 3(ELF3)は、概日リズム制御系,日長依存的な花成,胚軸の長さ,光反応において重要な機能を果たしている因子である。その機能欠損変異体は、恒明条件下においてリズム性を消失する。しかし、ELF3タンパク質は、既知のモチーフやドメインを持たず、生化学的な機能については、あまりわかっていない。今回われわれは、地球上のさまざまな地域に生息する60種類の野生型シロイヌナズナにおいて、ELF3遺伝子内のグルタミン反復配列数にNatural variationが存在することを見いだし、グルタミンの反復配列と、概日リズムの二つのパラメーターである長さと幅が有為な相関を示すことを見いだした。このことから、ELF3のグルタミンの反復配列が、概日リズム制御におけるELF3の機能に影響するかもしれないことが示唆された。
新沼 協*; 中川 繭; Calvino, M.*; 溝口 剛*
Plant Biotechnology, 24(1), p.87 - 97, 2007/03
被引用回数:14 パーセンタイル:15.53(Biotechnology & Applied Microbiology)概日リズムは生物が持つ約24時間周期の内因性のリズムである。シロイヌナズナの分子遺伝学的研究により、概日リズムの制御を受ける光周期依存型花成経路で主要な役割を果たす因子が、多数同定されている。しかし、花成以外で概日時計の制御下にある生理応答の分子機構に関する知見はあまり多くない。本論文では、これまでに考えられてきた概日リズム機構のモデルをまとめ、さらに概日時計による植物器官運動に関する研究の最近の進展について概説した。具体的には、(1)シロイヌナズナにおける概日時計モデルの確立の歴史,(2)シロイヌナズナの概日時計システムの修正モデル,(3)概日時計によって制御される器官運動における分子メカニズムの最近の知見,(4)トマトを用いた最新の時計生物学のモデル系と全体的な考察を示した。
坂本 綾子; 中川 繭; 高橋 真哉*; 田中 淳
no journal, ,
Translesion synthesis (TLS) is one of the cellular processes to overcome the lethal effect of unrepaired DNA damage. During screening for genes accounting for the UV-resistance in Arabidopsis, we first identified AtREV3 that encodes a catalytic subunit of DNA polymerase zeta (Pol z). Pol z is thought to bypass damaged DNA in an error-prone manner. We subsequently identified AtREV7, a regulatory subunit of Pol z, and AtREV1 that is thought to cooperate with Pol z in bypassing of apurine/apyrimidine (AP) sites. Disruption of any of AtREV3, AtREV7, or AtREV1 made the plants more sensitive to UVB than the wild type, suggesting that these REV proteins are required for plants to tolerate to the UV-induced damage. We further analyzed the UV-induced mutation frequency in rev3 and rev1. We found that the disruption of AtREV3 or AtREV1 reduced the mutation frequency to 1/4 of the level of the wild type. These results are consistent with an idea of that the Pol z and AtREV1 are involved in the UV-induced mutation in Arabidopsis. However, by using the bacterially expressed protein, although we detected AtREV1 inserted a dCMP at the opposite of the AP site in vitro, AtREV1 failed to bypass UV-induced damage as reported in other organisms. Thus, the mechanism by which the REV1 functions remains to be clarified.
中川 繭; 坂本 綾子; 高橋 真哉*; 田中 淳; 鳴海 一成
no journal, ,
植物は、紫外線(UV)や化学物質などの変異原に曝されると、DNAが損傷を受け、生長が阻害される。光合成に太陽光を用いれば同時にUVに曝されることになり、生じたDNA損傷すべてを転写や複製の支障になる前に修復しきることは難しい。一方、酵母や動物細胞では損傷が残存したDNAを複製する損傷乗り越え複製(TLS)が存在する。TLSは、損傷した鋳型DNAに特異的なポリメラーゼ群によって行われるが、これらは誤った塩基を取り込みやすい性質を持つため、しばしば突然変異の誘発に関与する。われわれは、これまでにTLS型ポリメラーゼのシロイヌナズナ相同遺伝子AtREV3, AtREV1, AtPOLHの欠損植物体がUV感受性を示すことを報告してきた。本研究では、これらの変異体における突然変異頻度の変化を指標に、REV3とREV1による誤りがちなTLS、又はPOLHによる誤りの少ないTLSが植物でも機能しているかどうかの検証を試みた。その結果、UV照射による突然変異の頻度がAtREV3及びAtREV1の欠損体では野生型に比べ著しく減少し、AtPOLH欠損体では上昇した。この結果から、AtREV3, AtREV1, AtPOLHの欠損植物体では、正常なTLSが機能しないためにUVに感受性になっていることが示唆され、植物においてもTLSがDNA損傷による生長阻害の防御機構として働いていることが推測された。
夏井 悠*; Nefissi, R.*; 宮田 佳奈*; 小田 篤*; 長谷 純宏; 中川 繭; 溝口 剛*
no journal, ,
ELF3は光応答,器官伸長,花成,概日リズム等の制御系において重要な役割を果たしている。一方、ELF3のアミノ酸配列情報からその生化学的機能を推定することは困難であり、多面的機能を発揮しうる分子機構については未解明な点が多い。われわれはELF3の多機能性発現メカニズム解明を目的として、elf3変異体の早咲き・長胚軸・小子葉・薄緑色葉の4形質に着目して、これらの形質のすべてあるいは一部を抑圧/増強する変異体の単離を試みた。変異導入はelf3-1種子の重イオンビーム処理により行った。本発表では、抑圧変異体suppressor of elf3 20(sel20)についての解析結果を報告する。sel20では、「早咲き・小子葉・薄緑色葉」の3つの形質が部分的に抑圧された。一方、長胚軸形質については増強されていた。この抑圧変異sel20は、劣性変異であり、1番染色体上腕に座上していることがわかった。現在までに、elf3変異の抑圧変異として、gi, fca, fwa, ld, ft変異が報告されているが、これらの遺伝子の染色体上の位置はSEL20とは異なっていた。上記のマーカー近傍にある花成関連遺伝子FHA/CRY2を、SEL20の候補遺伝子の1つと考え、解析を進めたところ、第2エキソン内に21塩基の欠失を見いだした。ELF3の多機能性発現における青色光受容体FHA/CRY2の役割について、解析結果をもとに議論する。
中川 繭; 高橋 真哉*; 坂本 綾子; 田中 淳; 鳴海 一成
no journal, ,
われわれはこれまでにTLS型ポリメラーゼのシロイヌナズナ相同遺伝子
,
,
の欠損植物体が、通常の栽培条件では野生型と生育に差を示さないが、UVや
線などの変異原に感受性を示すことを報告してきた。本研究では、これらの変異体における突然変異頻度の変化を指標に、REV3とREV1による誤りがちなTLS、又はPOLHによる誤りの少ないTLSが植物でも機能しているかどうかの検証を試みた。UV照射によって誘発された突然変異の頻度は、
と
では野生型に比べ著しく減少し、
では上昇した。この結果から、TLS型ポリメラーゼ相同遺伝子が欠損した植物体では、正常なTLSが機能しないためにUVに感受性になっていることが示唆された。一方、
線照射によって誘発された突然変異の頻度は、
と
では野生型に比べ減少したが、
線に感受性を示さない
は野生型とあまり差が見られなかった。以上の結果から、植物においてもTLSがDNA損傷による生長阻害の防御機構において重要な役割を果たしていることが推測された。
遺伝子は損傷チェックポイントに関与する坂本 綾子; 中川 繭; 佐藤 勝也; 鳴海 一成
no journal, ,
細胞分裂周期の進行は、さまざまな内的または外的な要因によってストレスを受けており、それによってDNA複製の中断や染色体の分配異常などといった異常が生じる。細胞周期チェックポイントは、こうした異常事態の際に細胞周期の進行を停止し、適切な処理が行われるまで次のステップに移行しないようにする機構である。われわれは、シロイヌナズナの紫外線感受性変異株のスクリーニングの過程で、
(
ensitive to
2)変異株を単離した。
変異株は、さまざまなDNA損傷処理や細胞周期阻害剤に対して感受性を示し、その表現系は損傷チェックポイントにかかわる
の欠損株に非常によく似ていた。SUV2蛋白質はコイルドコイルドメインを持つ蛋白質をコードしており、N末側にはPI3K様プロテインキナーゼのターゲット配列が存在していた。また、野生型、
、及び
株をDNA変異原や細胞周期阻害剤で処理し、細胞周期の指標である
遺伝子の発現を観察したところ、野生型に比べて
及び
では、
線照射後のG2/M期におけるチェックポイント反応が弱くなっていた。以上の結果から、われわれは
が
の活性を制御する
のシロイヌナズナにおけるホモログであると結論づけ、
と命名した。
中川 繭; 坂本 綾子; 高橋 真哉*; 田中 淳; 鳴海 一成
no journal, ,
REV3相同遺伝子AtREV3をシロイヌナズナのUV感受性変異体の原因遺伝子として単離した。AtREV3は植物で初めて報告されたTLS関連因子であり、欠損変異体rev3-1は生存に影響を示さないが、DNA複製に関与することが推測され、
線やMMCに対して感受性を示したが、酵母のRev3欠損変異体が感受性であるMMSにはほとんど感受性を示さなかった。また、光修復の活発な高等植物はUV-B照射後24hで非照射の植物体とDNA損傷量の区別がつかなくなるが、光修復の存在下でもrev3-1変異体はDNA複製が抑制されていた。これらのことから、AtREV3はDNA損傷に対して、TLS以外に働きを持つ可能性が示唆された。さらにREV1の相同遺伝子AtREV1の変異体rev1をシロイヌナズナから単離したところ、UV-B,
線に対して弱い感受性を示した。これらの相同因子がシロイヌナズナでもTLSとして働いているかを探るために、植物においても誤りがちなTLSが突然変異を誘発するという仮定の下、塩基置換型復帰変異を検出する遺伝子マーカーを導入した野生型及びrev3変異体にUV-Cを照射し、突然変異率を調べた。その結果、rev3変異体は野生型に比べ突然変異率の減少を示した。したがって、REV3は高等植物においてもTLSに関与している可能性が示唆された。
坂本 綾子; 中川 繭; 高橋 真哉*; 清水 喜久雄*; 田中 淳; 鳴海 一成
no journal, ,
To survive under the challenging circumstances, plants equip themselves with damage tolerance mechanisms, such as translesion synthesis (TLS). During our attempt to isolate novel genes accounting for the UV-resistance, we found several genes that seem to be involved in TLS. These are
,
,
and
. All these disruptants were more sensitive to UV exposure than wild-type plant although the levels of sensitivity were different each other. To obtain further information about plant TLS mechanisms, we analyzed bacterially expressed AtREV1 protein
. The recombinant AtREV1 protein inserted a dCMP at the opposite of AP site, but never inserted a nucleotide opposite of CPD nor 6-4 photoproducts. We also measured the UV-induced mutation frequencies in
-,
- or
-disrupted plants. The disruption of
or
reduced the reversion frequency to 1/4 of the level of wild type, while the disruption of
enhanced the frequency more than twice. These results suggest that UV-induced damage is processed by two competitive pathways in Arabidopsis: a more mutagenic pathway with AtREV3 and AtREV1 and a less mutagenic pathway with AtPOLH.
坂本 綾子; 中川 繭; 鳴海 一成
no journal, ,
これまでにシロイヌナズナのチェックポイントに関与する
遺伝子を同定し解析を行ってきた。
欠損株は、チェックポイントで中心的な役割を担う
遺伝子の欠損株と同様に、さまざまなDNA変異原や細胞周期阻害剤に対して感受性を示した。また、AtRAD26蛋白質のN末側領域には、ATRやATMなどを含むPIKKファミリーキナーゼのターゲット様配列が2か所見いだされた。今回、AtRAD26とPIKKキナーゼとの関係を明らかにする目的で、大腸菌中で発現させたN末側領域(AtRAD26NT)に対するリン酸化反応実験を行った。野生型の植物組織から核蛋白質画分を抽出し、[
-
P]ATPの存在下でAtRAD26NTと
で反応させると強い
Pの取り込みが見られたが、AtATR欠損株由来の核蛋白質画分では
Pの取り込みが半減した。一方、AtRAD26NTの2か所のPIKKターゲット様配列を置換した変異型AtRAD26NTS87AS152Aでは、わずかながらも
Pの取り込みが減少した。以上の結果から、AtRAD26がAtATRを主体としたPIKKによってリン酸化される可能性が示唆された。