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近藤 恭弘; 地村 幹; Cicek, E.*; 福井 佑治*; 二ツ川 健太*; 不破 康裕; 後藤 陸斗*; 平野 耕一郎; 石川 将樹*; 伊藤 崇; et al.
Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.124 - 129, 2026/03
J-PARCリニアックではさまざまなアップグレード計画が進行中であり、その中でも繰り返し周波数倍増計画は最も重要なものである。現在、リニアックは400MeVの負水素イオンビームを、3GeVシンクロトロン(RCS)へ25Hzの繰り返し周波数で供給している。しかし、RCSと計画中の陽子ビーム照射施設の両方に同時にビームを供給するためには、繰り返し周波数を25Hzから50Hzに引き上げる必要がある。照射施設へのビームライン建設に先立ち、2025年5月に現状可能な範囲でのリニアック機器の50Hz動作検証を実施した。また、J-PARC加速器における最も重要な安全装置の一つである粒子数カウンターシステムについても、50Hz動作の検証を行った。その結果、重大な問題は確認されず、今後予定されている50Hzビーム加速実証に向けた準備が整った。本論文では、J-PARCリニアックにおけるビーム加速を伴わない50Hz動作実証の詳細について述べる。
Liu, Y.*; 大谷 将士*; 宮尾 智章*; 中沢 雄河*; 柴田 崇統*; 南茂 今朝雄*; Fang, Z.*; 二ツ川 健太*; 福井 佑治*; 溝端 仁志*; et al.
Proceedings of 16th International Particle Accelerator Conference (IPAC25) (Internet), p.855 - 857, 2025/11
The Japan Proton Accelerator Research Complex (J-PARC) has achieved stable 1 MW operation on its neutron target and is advancing toward higher power levels of 1.5 MW to support high-power MR operations and a second target station. This progression presents challenges, including increased intra-beam stripping (IBSt) of negative hydrogen ions, chop leakage from higher beam currents and emittance, low-energy beam loss due to halo formation, frontend fluctuations affecting beam transmission, and RF phase and amplitude fluctuations. To address these issues, a redesigned lattice mitigates IBSt, a new MEBT1 improves chopping and collimation, and machine learning-based compensation schemes manage frontend and RF fluctuations. Additionally, longitudinal and transverse matching schemes enhance beam quality, validated through benchmarked longitudinal measurements. Results from studies at 50 mA and 60 mA beam currents demonstrate significant progress in overcoming these challenges.
石塚 悦男; 長住 達; 長谷川 俊成; 川井 大海*; 脇坂 真司*; 長瀬 颯太*; 中村 建斗*; 矢口 陽樹*; 石井 俊晃; 中野 優美*; et al.
JAEA-Technology 2024-008, 23 Pages, 2024/07
「HTTRに関する技術開発」をテーマとした2023年度夏期休暇実習において、3つの大学から5名が参加した。参加者は、HTTR炉心の解析、強制冷却機能喪失時の挙動解析、一次冷却系統のヨウ素沈着挙動解析、高温ガス炉用エネルギー貯蔵システムの概念検討について実習した。実習後のアンケートでは、就業体験として有益であったこと、一部の学生においては自身の研究に役立ったこと等の感想があり、本実習は概ね良好な評価を得た。
中野 寛子; 藤波 希有子; 山浦 高幸; 川上 淳; 花川 裕規
JAEA-Review 2023-036, 33 Pages, 2024/03
材料試験炉部では、発電用原子炉の導入を検討しているアジア諸国をはじめとした海外の原子力人材育成及び将来の照射利用拡大、並びに国内の原子力人材の育成及び確保を目的とし、国内外の若手研究者・技術者を対象に、JMTR等の研究基盤施設を活用した実践型の実務研修を実施している。本研修は、国立研究開発法人科学技術振興機構の国際青少年サイエンス交流事業「さくらサイエンスプラン」に採択され、2021年度は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、オンラインでの開催とした。アジア地域の6か国から53名の若手研究者・技術者が参加した。また、2022年度は海外から日本国への入国規制が緩和されたことにより、アジア地域の4か国から7名の若手研究者・技術者が参加し、オンサイト研修を実施した。開催した研修の共通したカリキュラムとして、原子力エネルギー、照射試験、原子炉の管理、JMTRの廃止措置計画等に関する講義を行った。2021年度におけるオンラインでの研修では各国のエネルギー事情に関する情報交換を実施し、2022年度におけるオンサイト研修ではシミュレータを用いた運転、環境モニタリング等の実習やJMTR等の施設見学を行った。本報告書は、2021年度及び2022年度に実施した研修についてまとめたものである。
永田 寛; 大森 崇純; 前田 英太; 大塚 薫; 中野 寛子; 花川 裕規; 井手 広史
JAEA-Review 2023-033, 40 Pages, 2024/01
JMTR原子炉施設は2017年4月の「施設中長期計画」において廃止施設に位置付けられたことから、廃止措置計画認可申請書を原子力規制委員会に提出するに当たり、廃止措置計画に記載する必要がある、廃止措置の工事上の過失等があった場合に発生すると想定される原子炉施設の事故の種類、程度、影響等の評価をするため、廃止措置計画の第1段階で想定される事故について、その種類の選定と程度、一般公衆への被ばく影響の評価を行った。廃止措置計画の第1段階で想定される事故として燃料取扱事故及び廃棄物の保管中の火災を選定し、大気中に放出された放射性物質による一般公衆への被ばく線量の評価を行ったところ、最大でも1.9
10
mSv(廃棄物の保管中の火災)であり、判断基準(5mSv)に比べて小さく、一般公衆に対して著しい放射線被ばくのリスクを与えることはないことが分かった。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太*; 西尾 勝久; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; et al.
EPJ Web of Conferences, 284, p.01023_1 - 01023_4, 2023/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)加速器駆動システム(ADS)の核特性予測精度の向上と京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)におけるADS炉物理実験で用いる中性子源情報の取得を目的として、京都大学の固定磁場強集束(FFAG)加速器を用いた核データ測定実験プログラムを開始した。このプログラムの一環として、鉄,鉛及びビスマスに対する陽子入射二重微分中性子収量(TTNY)及び断面積(DDX)を測定した。測定では、真空チェンバ内に設置された標的試料に107MeVの陽子ビームを照射し、核反応によって標的から発生した粒子の信号を、小型の中性子検出器を用いて検出した。検出信号とFFAGキッカー電磁石の信号の時間差から飛行時間(TOF)を求め、ガンマ線の事象を波形弁別法によって除去して中性子事象をカウントすることで中性子のTOFスペクトルを求めた。得られた中性子のTOFスペクトルから、相対論的運動学によりTTNY及びDDXを求めた。実験で得られたTTNY及びDDXを、モンテカルロ輸送計算コードPHITSによる計算と比較し、PHITSに組み込まれた核反応モデル及び評価済み核データライブラリJENDL-4.0/HEの妥当性を検証するとともに、PHITSによる計算の予測精度を評価した。
渡辺 幸信*; 定松 大樹*; 荒木 祥平; 中野 敬太; 川瀬 頌一郎*; 金 政浩*; 岩元 洋介; 佐藤 大樹; 萩原 雅之*; 八島 浩*; et al.
EPJ Web of Conferences, 284, p.01041_1 - 01041_4, 2023/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)医療用RIの製造や核融合材料の照射損傷、放射性廃棄物の核変換などの研究において重陽子加速器を用いた高強度中性子源が提案されている。そのような中性子源の設計には重陽子を様々な標的に照射した際の中性子生成データが必要である。しかし、重陽子入射中性子生成二重微分断面積などの実験データは十分でない。そこで本研究では、大阪大学核物理研究センター(RCNP)において幅広い原子番号の標的に対する200MeV重陽子入射中性子生成二重微分断面積の系統的な測定を実施した。200MeVの重陽子ビームをビームスウィンガーマグネット内の薄い標的に照射し、放出される中性子を大きさの異なるEJ301検出器(直径及び厚さが2inchと5inch)を7m、20mの位置にそれぞれ設置し、測定した。測定角度は0度から25度までの5角度とし、中性子エネルギーは飛行時間法で決定した。それぞれの測定データは入射エネルギーの半分あたりに特徴的な幅広なピークを示しており、ピークの収量は標的の質量数に従って単調に増加した。DEURACSとPHITSを用いた理論モデル計算との比較の結果、DEURACSの計算結果はPHITSのものよりも実験値に対してより良い一致を示した。加えて、得られたLi, Be, Cの結果を用いてJENDL/DEU-2020とTENDL-2017の核データライブラリのベンチマークを行った。
明午 伸一郎; 中野 敬太*; 松田 洋樹; 岩元 洋介; 吉田 誠*
EPJ Web of Conferences, 284, p.05001_1 - 05001_4, 2023/05
被引用回数:1 パーセンタイル:58.55(Nuclear Science & Technology)加速器駆動未臨界システム(ADS)や核破砕中性子源などの大強度陽子加速器施設では、電磁石コイルなどの加速器構成機器の放射線損傷を評価することが重要である。損傷指標としては、NRT(Norgertt-Robinson-Torrens)モデルに基づき、粒子束と弾き出し断面積を積分して得られるdpaが用いられてきた。20MeV以上のエネルギー領域の陽子に対する弾き出し断面積の実験データは乏しいため、J-PARCにおいてNbの弾き出し断面積の測定を行った。Nb試料を極低温(
8K)で冷却し、熱運動によるフレンケル対の再結合を抑制するとともに、マッティセン則を維持するために常伝導度を維持した。PHITSコードを用いてNbの弾き出し断面積の計算を行い、今回の実験結果と比較した。その結果、広く用いられるNRTモデルは、これまでの研究で示唆されているように、断面積を2倍程度過大評価することが明らかになった。また、最近提案された分子動力学(MD)に基づく熱中性子再結合補正モデル(arc)を用いた計算が、今回のデータと良い一致を示すことも明らかにした。
岩元 大樹; 中野 敬太*; 明午 伸一郎; 竹下 隼人; 前川 藤夫
EPJ Web of Conferences, 284, p.01033_1 - 01033_4, 2023/05
被引用回数:1 パーセンタイル:58.55(Nuclear Science & Technology)加速器駆動核変換システムの研究開発で重要となるビスマス標的に対する核種生成断面積の測定実験を行った。実験は、J-PARCの陽子ビームを用いて、0.4, 1.5及び3.0GeVの陽子ビームをビスマス標的試料に照射し、核種生成断面積を放射化法により導出した。本実験で新たに取得した計50核種127個の核種生成断面積データを最新の核反応モデル(INCL++/ABLA07及びINCL4.6/GEM)による計算結果及び評価済み核データライブラリJENDL/HE-2007の評価値と比較した。比較の結果、INCL++/ABLA07は総じて実験値を再現する一方で、INCL4.6/GEMは核分裂片に対する実験値を過小評価する等の知見が得られた。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太; 西尾 勝久; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(4), p.435 - 449, 2023/04
被引用回数:4 パーセンタイル:40.06(Nuclear Science & Technology)加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発及び京都大学臨界実験装置(KUCA)におけるADS未臨界炉物理の基礎研究を目的として、固定磁場強収束(FFAG)加速器を用いて107MeV陽子による鉄、鉛及びビスマス標的に対する二重微分中性子収量(TTNY)を測定した。TTNYは8個の中性子検出器(各検出器は小型のNE213液体有機シンチレータと光電子増倍管より構成される)からなる中性子検出器システムを用いて飛行時間法により得られたものである。測定で得られたTTNYを、粒子・重イオン輸送コードシステム(PHITS)に組み込まれたモンテカルロ法に基づく核破砕反応モデル(INCL4.6/GEM, Bertini/GEM, JQMD/GEM, JQMD/SMM/GEM)及び評価済み高エネルギー核データライブラリ(JENDL-4.0/HE)による計算結果と比較した。JENDL-4.0/HEを含む比較対象のモデルは、検出器角度5度における高エネルギーピークを再現しないなどの特徴的な不一致が見られた。測定で得られたTTNYとPHITSによって評価した20MeV以下のエネルギー及び角度積分中性子収率を比較した結果、INCL4.6/GEMがKUCAにおけるADS炉物理実験のモンテカルロ輸送シミュレーションに適していることが示された。
中野 寛子; 西方 香緒里; 永田 寛; 井手 広史; 花川 裕規; 楠 剛
JAEA-Review 2022-073, 23 Pages, 2023/01
材料試験炉部では、発電用原子炉の導入を検討しているアジア諸国をはじめとした海外の原子力人材育成及び将来の照射利用拡大、並びに国内の原子力人材の育成及び確保を目的とし、国内外の若手研究者・技術者を対象に、JMTR (Japan Materials Testing Reactor)等の研究基盤施設を活用した実践型の実務研修を実施している。本年度の研修は、昨年度に引き続き、国立研究開発法人科学技術振興機構の日本・アジア青少年サイエンス交流事業「さくらサイエンスプラン」に採択され、アジア地域の6か国から12名の若手研究者・技術者が参加し、2019年7月24日から7月31日までの期間で実施した。今回の研修では、原子力エネルギー、照射試験、原子炉の核特性、原子炉施設の安全管理等に関する講義を行うとともに、シミュレータを用いた運転等の実習やJMTR等の施設見学を行った。本報告書は、2019年度に実施した研修についてまとめたものである。
岩元 大樹; 明午 伸一郎; 中野 敬太*; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太*; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; 八島 浩*; et al.
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.404 - 409, 2023/01
加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発に資するため、固定磁場強収束(FFAG)加速器を用い、核データを取得する実験的研究プログラムを開始した。ADSの核設計及び京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)における未臨界実験体系の解析で重要となる、鉛及びビスマスの陽子入射中性子収量及び核分裂に関する核データを対象とした。中性子の飛行時間(TOF)測定で要求される短パルスビームの技術開発を行い、その要求値となるビーム幅10ns以下を達成するとともに、107MeV陽子入射による厚い標的中性子収量TTNY及び中性子生成二重微分断面積DDXをTOF法により測定した。TTNY及びDDXの測定には、小型シンチレータと光電子増倍管から構成される中性子検出器を用いた。測定で得られた結果をADSの核設計で用いられるPHITSによる解析値と比較した。さらに、マイクロチャンネルプレート(MCP)と多芯線比例計数管(MWPC)を組み合わせにより、107MeV陽子入射の
Pb核分裂反応から生成される核分裂片の質量数分布を測定した。本プログラムの最終年度となる令和4年度は、
Biに対する核分裂片の質量数分布と核分裂で生じる核分裂中性子の測定を実施するとともに、
Np核分裂計数管を用いて、陽子と標的との核反応で形成される中性子場の測定を実施する予定である。
Te
Wang, Y.*; 梶原 駿*; 松岡 秀樹*; Saika, B. K.*; 山神 光平*; 竹田 幸治; 和達 大樹*; 石坂 香子*; 岩佐 義宏*; 中野 匡規*
Nano Letters, 22(24), p.9964 - 9971, 2022/12
被引用回数:47 パーセンタイル:92.41(Chemistry, Multidisciplinary)In a conventional magnetic material, a long-range magnetic order develops in three dimensions, and reducing a layer number weakens its magnetism. Here we demonstrate anomalous layer-number-independent ferromagnetism down to the two-dimensional (2D) limit in a metastable phase of Cr
Te
. We fabricated Cr
Te
thin films by molecular-beam epitaxy and found that Cr
Te
could host two distinct ferromagnetic phases characterized with different Curie temperatures (
). One is the bulk-like high-
phase showing room-temperature ferromagnetism, which is consistent with previous studies. The other is the metastable low-
phase with
160 K, which exhibits a layer-number-independent
down to the 2D limit in marked contrast with the conventional high-
phase, demonstrating a purely 2D nature of its ferromagnetism. Such significant differences between two distinct phases could be attributed to a small variation in the doping level, making this material attractive for future ultracompact spintronics applications with potential gate-tunable room-temperature 2D ferromagnetism.
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; 八島 浩*; 西尾 勝久; et al.
JAEA-Conf 2022-001, p.129 - 133, 2022/11
加速器駆動システム(ADS)の核特性予測精度の向上と京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)におけるADS炉物理実験で用いる中性子源情報の取得を目的として、京都大学の固定磁場強集束(FFAG)加速器を用いた核データ測定実験プログラムを開始した。このプログラムの一環として、鉄に対する陽子入射二重微分中性子収量(TTNY)及び断面積(DDX)を測定した。測定では、真空チェンバ内に設置された鉄標的に107MeVの陽子ビームを照射し、核反応によって標的から発生した粒子の信号を、小型の中性子検出器を用いて検出した。検出信号とFFAGキッカー電磁石の信号の時間差から飛行時間(TOF)を求め、ガンマ線の事象を波形弁別法によって除去して中性子事象をカウントすることで中性子のTOFスペクトルを求めた。得られた中性子のTOFスペクトルから、相対論的運動学により鉄標的に対するTTNY及びDDXを求めた。
Yee-Rendon, B.; 明午 伸一郎; 近藤 恭弘; 田村 潤; 中野 敬太; 前川 藤夫; 岩元 大樹; 菅原 隆徳; 西原 健司
Journal of Instrumentation (Internet), 17(10), p.P10005_1 - P10005_21, 2022/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Instruments & Instrumentation)日本原子力研究開発機構では、放射性廃棄物の有害度低減のため、超電導線形加速器(リニアック)による陽子ビーム(出力30MW)を未臨界炉中の標的に入射する加速器駆動核変換システムを開発している。本システムでは熱出力800MWとなる未臨界炉を陽子リニアックで駆動するため、炉内の核破砕中性子ターゲットにビームを供給する。ターゲットへのビーム輸送系には、ビーム窓の健全性を確保するために、高出力ビームにおける安定性と電流密度の低減化が要求される。さらに、燃料やビーム窓の保守・交換のために、原子炉の設計と互換性のある設計が必要である。非常に多くの粒子シミュレーションにより、堅牢でコンパクトなターゲットへのビーム輸送系を開発した。ビーム光学系を最適化により、必要となる0.3
A/mm
以下のビーム窓における電流密度を実現し、ビーム窓の実現可能性を保証した。リニアックに入力するビームの誤差と加速器要素の誤差に起因する、炉内に入射するビームの誤差評価を行うとともに、改善策を考案した。さらに、加速器の信頼性向上のため、リニアックの故障時における高速補償を適用し、この補償による炉内入射ビームの誤差の影響も評価した。この結果、本研究によるターゲットへのビーム輸送系は、JAEA-ADSの要求を満足することが示された。
Ni and
Zr at 0.4, 1.3, 2.2, and 3.0 GeV竹下 隼人*; 明午 伸一郎; 松田 洋樹*; 岩元 大樹; 中野 敬太; 渡辺 幸信*; 前川 藤夫
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 527, p.17 - 27, 2022/09
被引用回数:4 パーセンタイル:42.65(Instruments & Instrumentation)加速器駆動核変換システム(ADS)等における核設計の高度化のため、NiとZrについて数GeVエネルギー領域における陽子入射の核種生成断面積測定を行い、核設計に用いる計算コードPHITSによる計算値やJENDL/HE-2007等との比較検討を行った。
明午 伸一郎; 中野 敬太; 岩元 大樹
プラズマ・核融合学会誌, 98(5), p.216 - 221, 2022/05
加速器駆動核変換システム(ADS)の実現やJ-PARCで建設を進めているADSターゲット試験施設(TEF-T)の建設には、陽子ビーム取扱い技術の開発やGeV領域の陽子に対するニュートロニクス(中性子工学)の詳細な検討が必要となる。このためJ-PARCの核変換ディビジョンでは、J-PARC加速器施設などで研究を進めてきた。本稿ではこれらの内容に関して紹介する。
中野 敬太; 岩元 大樹; 西原 健司; 明午 伸一郎; 菅原 隆徳; 岩元 洋介; 竹下 隼人*; 前川 藤夫
JAEA-Research 2021-018, 41 Pages, 2022/03
加速器駆動核変換システム(ADS: Accelerator-Driven System)の構成要素の一つであるビーム窓の核特性を粒子・重イオン輸送計算コードPHITS及び誘導放射能解析コードDCHAIN-PHITSを用いて評価した。本研究では日本原子力研究開発機構が提案するADSの運転時にビーム窓内部に生成される水素やヘリウム等の量、高エネルギー粒子により引き起こされるビーム窓材の原子弾き出し数、ビーム窓内部の発熱量及び分布を導出した。また、中性子源標的及び冷却材として用いられる鉛ビスマス共晶合金(LBE)中の生成核種、発熱密度及び放射能分布を求めた。ビーム窓解析の結果、300日間のADSの運転によりビーム窓中に最大で約12500appmのH及び1800appmのHeの生成と62.1DPAの損傷が発生することが判明した。一方で、ビーム窓内の最大発熱量は374W/cm
であった。LBEの解析では、
Biや
Poが崩壊熱及び放射能の支配的な核種であることが判明した。さらに、陽子ビームによるLBE中の発熱はビーム窓下流5cm付近が最大であり、945W/cm
であることがわかった。
中野 敬太; 松田 洋樹*; 明午 伸一郎; 岩元 大樹; 竹下 隼人*; 前川 藤夫
JAEA-Research 2021-014, 25 Pages, 2022/03
加速器駆動核変換システム(ADS: Accelerator-Driven transmutation System)の開発に資するデータとして、
Be, C,
Al,
Sc, V標的に対する高エネルギー陽子入射反応による核種生成断面積の測定を行った。得られた実験値は最新の核反応モデルによる計算値や評価済み核データライブラリの値と比較を行い、その再現性について議論を行った。
Lu target irradiated with 0.4-, 1.3-, 2.2-, and 3.0-GeV protons竹下 隼人; 明午 伸一郎; 松田 洋樹; 岩元 大樹; 中野 敬太; 渡辺 幸信*; 前川 藤夫
JAEA-Conf 2021-001, p.207 - 212, 2022/03
加速器駆動核変換システム(ADS)などの大強度陽子加速器施設の遮蔽設計において、高エネルギー陽子入射による核破砕生成物の核種生成量予測は基礎的かつ重要な役割を担っている。しかしながら、生成量予測シミュレーションで用いられる核反応モデルの予測精度は不十分であり、核反応モデルの改良が必要である。J-PARCセンターでは実験データの拡充と核反応モデル改良を目的に、様々な標的に対して核種生成断面積の測定を行っている。本研究では、
Lu標的に対して0.4, 1.3, 2.2および3.0GeV陽子ビームを照射し、放射化法により核種生成断面積データを取得した。取得したデータとモンテカルロ粒子輸送計算コードで用いられる核反応モデルと比較することで、現状の予測精度を把握するとともに核反応モデルの改良点を考察した。