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島田 太郎; 行川 正和*; 三輪 一爾; 武田 聖司
Proceedings of Waste Management Symposia 2023 (WM2023) (Internet), 8 Pages, 2023/02
廃止措置段階に発生する可能性のある事故においては、解体作業中にフィルタ等へ蓄積した粉じんが一挙に環境に放出され地表に沈着した放射性粉じんが降雨に伴う地表流とともに傾斜の下流へ移動し、窪地に蓄積することも想定される。降雨や地形、表面の被覆状態などの条件によって変動する核種の移動量と公衆の被ばく線量を評価するコードの開発を進めている。その評価にあたっては必要な評価パラメータの設定方法を整備する必要がある。そこで、地表面に沈着した粉じんの傾斜面上の流下を模擬した室内降雨試験を実施して、核種移動量評価に必要なパラメータ値を廃止措置段階で想定される劣化状態を含めて取得し、その設定方法を検討した。被覆表面と表面を流れる水との抵抗量を示す等価粗度係数が既知の平滑なアスファルトをもとに得られた劣化アスファルトと平滑なコンクリートの等価粗度係数は文献で得られた値の範囲に収まった。しかし劣化コンクリートの等価粗度係数は、想定と異なり平滑なアスファルトよりもやや低い値となった。これは本試験では地表流による浮遊と雨滴衝撃による浮遊を同時に評価しているため、雨滴衝撃による浮遊のばらつきの影響によるものと考えられる。また、3Dスキャナで各表面の凹凸を点群として取得し表面粗さを評価したところ、等価粗度係数との相関が示唆され、実際の適用の際に利用できる可能性が示された。
高井 静霞; 行川 正和*; 島田 太郎; 武田 聖司
IEEE Transactions on Nuclear Science, 69(7), p.1789 - 1798, 2022/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Engineering, Electrical & Electronic)福島第一原子力発電所内に保管されている大量の汚染コンクリートがれきの量を減らすためには、サイト内で低い放射能のがれきを再利用することが有用である。事故によるがれきの汚染の詳細は明らかでなくホットスポットを含む可能性がある。そのため、安全性を確保しながら再利用を進めるためには、コンクリートがれきの平均放射能だけでなく放射能濃度分布を効率的に評価する必要がある。しかし、厚いまたは密な物質の不均質な汚染の評価は、クリアランスモニタ等の従来の測定システムでは困難であった。本研究では、容器内に収納されたコンクリートの放射能濃度分布の評価に対する、画像再構成アルゴリズムの適用可能性を実験的に確認した。放射線は容器(505040cm)の周囲に設置したプラスチックシンチレーションファイバーにより測定した。局所的なホットスポットは、汚染瓦礫の主要核種の一つである、Csの標準線源により模擬した。放射能濃度分布は容器内の100または50のボクセル(ボクセルのサイズ: (10cm)または101020cm)に対して評価した。ボクセル数が100の場合容器内部のホットスポットは検知できなかったが、ボクセル数が50の場合容器内部・表面の両者のホットスポットを再現できた。画像再構成アルゴリズムのうち、ML-EM法により評価された濃度分布が最も精度が良く、全7つの実験ケースに対し70%の精度で平均濃度を評価できた。
三輪 一爾; 行川 正和*; 島田 太郎; 武田 聖司
MRS Advances (Internet), 7(7-8), p.165 - 169, 2022/03
本研究では、地表流と土砂移動により生じる地表面における核種移行を土中の鉛直核種濃度と粒径に応じた核種濃度を考慮して評価する方法を作成した。作成した核種移行評価法により、水平方向に均一なCs-137の初期汚染分布を有する仮想的なサイトにおいて1年間の核種移行評価を実施した。その結果、Cs-137がサイト内の窪地に集中することにより初期汚染分布濃度と比較して20%程濃度が上昇した。また、地表面における核種移行により、初期汚染分布の総核種量の0.18%が海洋へ流出した。これらの結果から、廃止措置終了確認における被ばく線量評価において地表面における核種移行を考慮することで、サイト内における外部被ばく線量の上昇と海洋へ流出した核種による水産物摂取による内部被ばく線量の上昇の可能性が示唆された。
行川 正和; 深堀 智生
JAEA-Data/Code 2012-014, 206 Pages, 2012/08
核種のさまざまな数値データ(質量,励起準位エネルギー,スピンとパリティー,天然存在比,質量欠損,崩壊エネルギー及び半減期)について、元素ごとに「核データの表(JENDL/TND-2012)」としてまとめた。核データの表は、JENDL委員会(旧シグマ委員会)及び核データ評価研究グループが発行している核図表と関連しており、存在が確認されている核種のデータが収録されている。また、Se-79及びSn-126の基底状態の半減期については、新たな量定を採用している。
行川 正和; 片倉 純一
JAEA-Data/Code 2010-017, 822 Pages, 2010/09
JENDL-4.0に収納されている406核種の中性子断面積を図と表で示した。表には、0.0253eVと14MeVの断面積,マックスウェル平均断面積(kT=0.0253eV),共鳴積分値,核分裂中性子スペクトル平均値を示した。図には、300Kにおける中性子断面積について3種類の図を示した。
若狹 有光; 行川 正和; 浦野 創; 林 伸彦; 井手 俊介; 小関 隆久
no journal, ,
EDASは、幅広いアプローチ活動(BA)の一環であるイーター遠隔実験センターのために開発される実験データ解析ソフトウェアである。EDASの目的は、実験参加者がデータ解析を遂行するための基本的な環境を提供し、データ解析ソフトウェアの信頼性と実用性を実証し、ITER遠隔参加に向けた技術的なプラットホームを確立することである。EDASは、統合データ解析・表示(eGis), プラズマ平衡解析(eSurf), 空間分布データ解析(eSlice)の3つのソフトウェアで構成される。本発表では、現在までの開発状況を報告する。
島田 太郎; 行川 正和*; 高井 静霞; 武田 聖司
no journal, ,
福島第一原子力発電所(1F)敷地内での限定した再利用にあたっては、資源化物が想定されるめやす濃度を超えないことを測定によって確認する必要がある。本研究では、1Fサイトでの検認のため、多点数での放射線検出が可能なプラスチックシンチレーションファイバー(PSF)と逆解析を組み合わせた濃度評価手法の整備を目指し、測定精度の向上のための測定体系・方法を検討した。模擬資源化物に対する放射線測定を実施するとともに、MCNPによってPSF位置の線フラックスを解析し、両者の結果を比較した。PSF長さ方向の位置分解能、線エネルギーに応じた検出効率などの補正により、測定結果と解析結果がおおむね一致し、逆解析によって資源化物の放射能濃度を推定できる可能性が示された。
三輪 一爾; 行川 正和*; 島田 太郎; 武田 聖司
no journal, ,
原子力施設の廃止措置終了確認における技術的基盤の整備のために、敷地内に残存する表層土壌汚染からの核種の地下水移行に加え、降雨強度の大きい場合に生じることが懸念される表層汚染土壌からの地表面流と土砂移動による核種移行を考慮した被ばく線量の評価方法の開発を進めている。本研究では、敷地内の地形・降雨条件等により発生する地表面流と表層汚染土壌間での核種移行、土砂移動の範囲やその量に依存した放射能濃度分布の変化や敷地に隣接する海域への直接流出による核種移行などの評価方法について検討を行った。また、汎用の土砂流出評価コードを用いて、ある地域の地形・降雨条件を基にした地表面流量及び土砂移動量の予察的解析を行い、その解析の出力を核種移行評価に適用することで上記評価を行うことができる見通しを得た。
三輪 一爾; 行川 正和*; 島田 太郎; 武田 聖司
no journal, ,
廃止措置終了確認後に敷地内に残存した表層土壌汚染は、降雨等によりその放射能分布が変化し窪地などへ核種が集中する可能性がある。本研究では、サイト解放後の公衆の被ばく線量を評価する際、放射能分布の変化を考慮するため、既存の土壌侵食解析コードのWEPPの解析結果をもとに、地表面流と土砂移動による核種移行を評価する手法の開発を進めている。本報では、土砂移動による核種移行モデルを整備して、仮想的な降雨条件で地表面流と土砂移動による核種移行評価を行ったところ、降雨イベント後に敷地内の窪地に核種が集中する結果が得られた。また、地表を移行した核種が海洋に流入することで、地下水移行経路よりも短期間で核種が海洋へ移行することも示された。よって、初期の放射能分布によっては、サイト解放後の地表面流と土砂移動による核種移行により、放射能分布の変化を考えない場合よりも、表層汚染や海洋中核種からの被ばく線量が大きくなる場合があることが示された。
三輪 一爾; 行川 正和*; 島田 太郎; 武田 聖司
no journal, ,
サイト内の土壌表層に残存する土壌への収着性が高い核種は、地表面流や土砂移動を伴う降雨等による移行によって海洋への流出やサイト内での局所的な蓄積が生じる。このため、こうした地表面流と土砂移動現象、それにより生じる核種移行、及び公衆への被ばく線量への影響を包括的に評価する手法開発を行っている。収着性が高い核種による地表汚染では土壌中濃度は鉛直プロファイルを有するので、深度毎の土壌中核種濃度に応じて移動土砂中の核種濃度を評価するモデルを作成した。さらに移動土砂中の核種濃度はその土壌粒子の粒径に依存することが知られており、解析から得られる移動土砂の粒径毎の比表面積比により核種濃度を評価するモデルを作成した。以上の評価モデルを用いて我が国における降水量が多い地域を想定したCs表層汚染に対する1年間の試解析を行った結果、周囲より標高の低い窪地に核種が集中することにより窪地内において空間線量率が数倍程度上昇する地点が生じ、福島第一原子力発電所(1F)事故後に観測されているような窪地地形における空間線量率上昇を再現することができた。
行川 正和*; 島田 太郎; 武田 聖司
no journal, ,
2020年8月の規則改正により、従来の金属くず等とは異なる被覆ケーブルや制御盤等の複合材がクリアランス対象となるとともに、核種数も274に拡大した。金属くず等の単一材質とは異なり、測定時間,密度差および集積状況と線源位置の組み合わせなどに応じた検出器応答の変化によってクリアランス判定に影響を与える可能性がある。また、被覆ケーブルについては、新たに考慮することが必要となった放射化生成物であるZn-65, Sb-125などが検出可能であるかを確認する必要がある。そこで、上記の新規対象物に対し、プラスチックシンチレーションあるいは可搬型Ge検出器による測定体系をモデル化し、PHITSコードを用いた検出器応答シミュレーションを実施し、既往の測定・評価方法でクリアランス測定が可能であるかを評価した。その結果、100kg程度に巻いた被覆ケーブルでは現実的な測定時間でクリアランスレベルが測定可能であることがわかった。一方、寸法の大きい制御盤の筐体を原姿で可搬型Geにより測定する場合、金属製部品が多数集約される部分において、線源と検出器の距離や散乱の影響により中心位置からの1回の測定ではクリアランス判定することが困難な場合があり、検出器位置を変えて複数回測定する必要があることがわかった。