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報告書

東濃地科学センターにおける走査型波長分散蛍光エックス線分析装置を用いた粉末ペレット試料中のハロゲン元素(臭素及びヨウ素)の分析手順

渡邊 隆広; 木田 福香; 奈良 郁子; 山崎 慎一*; 土屋 範芳*

JAEA-Testing 2025-006, 52 Pages, 2025/12

JAEA-Testing-2025-006.pdf:6.72MB

東濃地科学センター土岐地球年代学研究所では、高レベル放射性廃棄物等の地層処分技術に関する研究開発の一環として地質環境の長期安定性に関する研究を実施している。特に年代測定技術開発グループでは、最終処分事業や国の安全規制に必要となる科学的知見や調査・評価技術を提供するため、機器分析装置などを用いた放射年代測定や鍵層の高分解能同定法などによる編年技術(年代測定技術の開発)及び化学分析技術の高度化に関する研究を実施している。一般に将来の自然現象に伴う地質環境の変化の予測とその評価は、過去の自然現象に関する記録や現在の環境の状況に関する調査結果に基づき行われる。岩石、堆積物、土壌等の地質試料に含まれる臭素(Br)、ヨウ素(I)等のハロゲン元素からは、過去の海水準の変動や津波・高潮による陸域への海水浸入に関する情報が得られるため、過去に発生した自然現象を明らかにする上で重要な基礎データの一つとなる。年代測定技術開発グループでは、粉末ペレットを用いて地質試料のBr及びI濃度を測定するため走査型波長分散蛍光エックス線分析装置(リガク製ZSX Primus II)による分析手法を検討した。本稿では試料調製手法も含めて地質試料中のBr及びIの分析作業手順を記載する。

報告書

地質環境の長期安定性に関する研究 年度計画書(令和7年度)

浅森 浩一; 末岡 茂; 小松 哲也; 小形 学; 内田 真緒; 西山 成哲; 田中 桐葉; 小林 智晴; 三ツ口 丈裕; 村上 理; et al.

JAEA-Review 2025-035, 29 Pages, 2025/10

JAEA-Review-2025-035.pdf:1.12MB

本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度$$sim$$令和10年度)における令和7年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発成果や大学等で行われている最新の研究成果に加え、地層処分事業実施主体や規制機関等の動向を考慮した。研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。

報告書

地質環境の長期安定性に関する研究 年度報告書(令和6年度)

浅森 浩一; 末岡 茂; 小林 智晴; 西山 成哲; 田中 桐葉; 村上 理; 福田 将眞; 小形 学; 内田 真緒; 小松 哲也; et al.

JAEA-Research 2025-007, 99 Pages, 2025/10

JAEA-Research-2025-007.pdf:12.36MB

本報告書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度$$sim$$令和10年度)における令和6年度に実施した研究開発に係る成果を取りまとめたものである。第4期中長期目標期間における研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を進めている。本報告書では、それぞれの研究分野に係る科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果等について取りまとめた。

論文

波長分散型蛍光エックス線分析法による地質試料中の臭素及びヨウ素濃度の測定

渡邊 隆広; 木田 福香; 山崎 慎一*; 山岸 裕幸*; 落合 伸也*; 松中 哲也*; 奈良 郁子; 土屋 範芳*

分析化学, 74(10-11), p.611 - 619, 2025/10

堆積物等の地質試料中の臭素及びヨウ素濃度は、過去の海水準の変化、津波や高潮による陸域への海水の浸入など、種々の自然現象を理解するための重要な情報となる。しかし、地質試料に適用可能な標準試料が少ないことから、これまで蛍光エックス線分析装置(XRF)を用いた研究成果の報告例は限られていた。本研究では、標準試料の候補を新たに探索・選択することで東濃地科学センターにおける波長分散型XRFでの臭素及びヨウ素の濃度測定に必要な補正式を作成することができた。今回は地質試料の臭素濃度の範囲に概ね合致する約100mg/kgまで、ヨウ素濃度では約50mg/kgまでの補正式を作成することに成功した。

報告書

ガラスビードを用いた波長分散型蛍光X線分析装置による地質試料の全岩化学組成分析

木田 福香; 渡邊 隆広; 奈良 郁子

JAEA-Testing 2025-002, 62 Pages, 2025/08

JAEA-Testing-2025-002.pdf:2.97MB

東濃地科学センターでは高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として地質環境の長期安定性に関する研究を実施している。年代測定技術開発グループでは地質環境の長期安定性に関する研究で重要となる地質試料の年代測定技術や化学分析技術の高度化を進めている。全岩化学組成分析は岩石学や地球化学も含め多分野で幅広く活用されている。特に、鉱物組成や同位体比のデータと合わせることで岩石の成因に関するより詳細な情報を得られることから、火山の活動性評価の技術整備などへ適用されている。岩石試料についてはガラスビードを用いた蛍光X 線分析装置による全岩化学組成の分析が主流であり、本手法により迅速かつ簡便に多数のデータを取得することができる。本稿では、東濃地科学センターでのガラスビードの作成方法、波長分散型蛍光X 線分析装置(ZSX Primus II、株式会社リガク製)の使用方法、岩石試料の主要元素(SiO$$_{2}$$、TiO$$_{2}$$、Al$$_{2}$$O$$_{3}$$、Fe$$_{2}$$O$$_{3}$$、MnO、MgO、CaO、Na$$_{2}$$O、K$$_{2}$$O、P$$_{2}$$O$$_{5}$$)および微量元素(V、Cr、Ni、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Ba、Pb、Th)の定量分析方法について示した。また、分析方法とともに作業時の安全上の留意点などについて詳細に記載した。さらに、地球化学標準試料を用いた繰り返し測定による分析精度の評価結果を示した。

論文

Alternative radiocarbon age-depth model from Lake Baikal sediment; Implication for past hydrological changes for last glacial to the Holocene

奈良 郁子*; 渡邊 隆広; Lougheed, B.*; Obrochta, S.*

Radiocarbon, 66(6), p.1940 - 1957, 2024/12

 被引用回数:2 パーセンタイル:15.44(Geochemistry & Geophysics)

南シベリアのバイカル湖堆積物の放射性炭素年代測定結果を新たに取得しコア試料の年代軸を再構築した。コア試料の年代値と堆積深度の不確実性を考慮するために、本研究では新しい年代-深度モデル(age-depth modeling routine, undatable)を使用した。その結果、19cal kaBPと14cal kaBPのメルトウォーターパルス時期、及び21-20cal kaBPの最終氷期最盛期において堆積速度の著しい変動が認められた。

報告書

地質環境の長期安定性に関する研究 年度計画書(令和6年度)

丹羽 正和; 島田 顕臣; 浅森 浩一; 末岡 茂; 小松 哲也; 中嶋 徹; 小形 学; 内田 真緒; 西山 成哲; 田中 桐葉; et al.

JAEA-Review 2024-035, 29 Pages, 2024/09

JAEA-Review-2024-035.pdf:1.24MB

本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第4期中長期目標期間(令和4年度$$sim$$令和10年度)における令和6年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、これまでの研究開発成果や大学等で行われている最新の研究成果に加え、地層処分事業実施主体や規制機関等の動向を考慮した。研究の実施にあたっては、地層処分事業における概要・精密調査や国の安全規制に対し研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。

論文

$$^{10}$$Be analysis of the rock samples from the northeastern shore of Lake Pumoyum Co in south Tibetan Plateau

奈良 郁子*; 渡邊 隆広; 國分 陽子; Zhu, L.*

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 539, p.28 - 32, 2023/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Instruments & Instrumentation)

チベット高原はその広大な面積、及び地形学的な特徴から、地球規模の気候変動及び物質循環に対して重要な役割を果たしている。現在のチベット高原南部における降水量の変動は、特に南西からのインドモンスーンによる影響を受けることが知られている。したがって、この地域の降水量変動を復元することにより、アジアにおける過去のモンスーン活動の変動に関する情報が得られると期待される。チベット高原南部の標高約5,030mに位置するプマユムツォ湖は世界で最も高所に存在する湖の一つである。これまでにプマユムツォ湖の湖底堆積物を用いて過去の湖水面変動や環境変動の推測に関する研究が行われてきた。本研究では湖の北東側の湖岸から岩石試料を採取し、岩石中で生成する宇宙線生成核種である$$^{10}$$Be等の測定を実施することで、湖水面変動に伴う岩石の露出年代の推定を試みた。プマユムツォ湖湖岸の岩石中の$$^{10}$$Be濃度は、3.78-10.8$$times$$10$$^{6}$$(atoms/g)の範囲を示した。仮に岩石中の$$^{10}$$Be濃度が、湖水面変動に影響されているとすれば、$$^{10}$$Be濃度は湖から離れるに従い増加するはずである。しかし、プマユムツォ湖湖岸の岩石中の$$^{10}$$Be濃度の分布は、湖から離れるに従って減少する傾向を示した。したがって、プマユムツォ湖の湖岸段丘から採取された岩石中の$$^{10}$$Be濃度の分布は、岩石の露出年代よりも、侵食速度もしくはテクトニックな変動に影響されている可能性が高いと考えられる。

論文

Late-Holocene salinity changes in Lake Ogawara, Pacific coast of northeast Japan, related to sea-level fall inferred from sedimentary geochemical signatures

奈良 郁子*; 渡邊 隆広; 松中 哲也*; 山崎 慎一*; 土屋 範芳*; 瀬戸 浩二*; 山田 和芳*; 安田 喜憲*

Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, 592, p.110907_1 - 110907_11, 2022/04

 被引用回数:7 パーセンタイル:54.68(Geography, Physical)

小川原湖は、下北半島の太平洋沿岸に位置した汽水湖である。これまでの研究により、完新世の後期に海水準が低下したことで小川原湖が汽水化したと推測されているが、これまでに正確な年代は明らかにされていなかった。小川原湖が汽水化した年代を明らかにすることにより、過去の海水準変動の時期や規模に関する情報が得られると期待される。本研究では、小川原湖から採取した柱状堆積物(長さ約280m)中の、植物片と全有機炭素の放射性炭素年代測定、及びテフラの同定により堆積層の形成年代を決定した。また、堆積物中のハロゲン元素(臭素およびヨウ素)の鉛直分布を明らかにし、小川原湖の過去の塩分濃度変化を推定した。海水由来と考えられる堆積物中の臭素およびヨウ素濃度の増加時期から、約2200cal BPに小川原湖が汽水化したことが示唆された。

論文

Characteristics in trace elements compositions of tephras (B-Tm and To-a) for identification tools

奈良 郁子*; 横山 立憲; 山崎 慎一*; 南 雅代*; 淺原 良浩*; 渡邊 隆広; 山田 和芳*; 土屋 範芳*; 安田 喜憲*

Geochemical Journal, 55(3), p.117 - 133, 2021/00

 被引用回数:6 パーセンタイル:31.08(Geochemistry & Geophysics)

白頭山噴火年代は西暦946年であることが広く認められている。噴火で分散した白頭山-苫小牧(B-Tm)テフラは、精確な年代を示す鍵層となる。従来は、このテフラを同定するため、火山ガラス片の屈折率と主成分元素組成が使われていた。しかし、希土類元素に着目した微量元素分析やテフラ層の全堆積物に対する微量元素分析はこれまでほとんど報告例がない。本論文では、東北地方の小河原湖の堆積物コアから採取したB-Tmテフラ及び十和田カルデラ(To-a)テフラについて、火山ガラス片と全堆積物の主要元素及び微量元素分析結果を示す。主要元素及び微量元素の深度プロファイルでは、B-Tmテフラ層においてK$$_{2}$$Oと微量元素の増加が確認されたが、To-aテフラ層においては、これらの元素の増加は確認されなかった。B-Tmテフラ層で検出された高濃度の微量元素は全堆積物だけではなく、ガラス片にも確認された。B-Tmテフラ層のガラス片にみられる元素(特に希土類元素)の組成パターンは、他の日本のテフラガラスとは明らかに異なる。ガラス片と全堆積物の微量元素組成は、B-Tmテフラと他の日本のテフラを区別する上で、有用な指標となると考えられる。

論文

Geochemical characteristics of paleotsunami deposits from the Shizuoka plain on the Pacific coast of middle Japan

渡邊 隆広; 土屋 範芳*; 北村 晃寿*; 山崎 慎一*; 奈良 郁子*

Geochemical Journal, 55(6), p.325 - 340, 2021/00

 被引用回数:4 パーセンタイル:20.18(Geochemistry & Geophysics)

過去の津波浸水域に関する情報は、今後の防災や減災計画の基礎データとして利用されることが期待されている。しかし、津波堆積物を用いて過去の津波浸水域を復元するにあたり、津波堆積物の供給源の推定、洪水や高潮堆積物との区別等が現状で解決すべき課題となっている。これらの問題を解決する一つの手段として、津波堆積物の地球化学判別手法が有効と考えられるが、国内では東北地方以外での適用例は限られている。特に中部地方太平洋沿岸でのデータはこれまでに得られていない。したがって、本研究では既に採取されている静岡平野の津波堆積物の化学分析を実施し、津波堆積物の判別手法の改良を試みた。分析の結果、ナトリウムとチタンとの相対比およびクラスター分析等の統計解析を用いることによって海由来の物質で形成された堆積層を検出できる可能性が高いことが示唆された。

論文

Quantitative and semi-quantitative analyses using a portable energy dispersive X-ray fluorescence spectrometer; Geochemical applications in fault rocks, lake sediments, and event deposits

渡邊 隆広; 石井 千佳子; 石坂 千佳; 丹羽 正和; 島田 耕史; 澤井 祐紀*; 土屋 範芳*; 松中 哲也*; 落合 伸也*; 奈良 郁子*

Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 116(3), p.140 - 158, 2021/00

 被引用回数:7 パーセンタイル:34.33(Mineralogy)

携帯型成分分析計(potable XRF:ポータブル蛍光エックス線分析装置)は、迅速な化学分析、及びオンサイトでのデータ取得において重要な役割を果たす。しかし、これまでに地質試料に含まれる化学成分の定量分析の実例は限られていた。定量分析を目的として、本研究ではマグネシウムからウランまでの24元素について、地球化学標準試料等を用いて検量線を作成した。さらに、本装置の天然試料への適用性評価のため、敦賀半島等から採取された断層岩試料,能登半島の湖底堆積物、及び仙台平野の津波堆積物の定量分析を実施した。携帯型成分分析計を用いて各試料から得られた定量分析結果は、一部の試料を除き既報値とよく一致した。

論文

A Geochemical approach for identifying marine incursions; Implications for tsunami geology on the Pacific coast of northeast Japan

渡邊 隆広; 土屋 範芳*; 山崎 慎一*; 澤井 祐紀*; 細田 憲弘*; 奈良 郁子*; 中村 俊夫*; 駒井 武*

Applied Geochemistry, 118, p.104644_1 - 104644_11, 2020/07

 被引用回数:24 パーセンタイル:71.69(Geochemistry & Geophysics)

地層中の津波堆積物の分布から、過去の津波浸水域を推定することが可能である。津波浸水域に関する情報は、今後の防災や減災計画の基礎データとして利用することが期待されている。しかし、津波堆積物を用いて過去の津波浸水域を復元するにあたり、形成年代の決定、津波堆積物の供給源の特定、洪水や高潮堆積物との区別、及び目視で判別困難な泥質津波堆積物の検出等が現状で解決すべき課題となっている。本研究では上記の問題を解決する一つの手段として、津波堆積物の地球化学判別手法を提案した。仙台平野において採取された堆積物の化学分析を実施し、津波堆積物の判別手法の改良を試みた。分析の結果、カルシウム等の単成分による津波層検出は、後背地の特徴や貝殻の有無などの影響を強く受けることから必ずしも有効ではなく、ケイ素とアルミニウムとの相対比についても、砂層の検出には有効であるが、その供給源に関する情報は乏しいことが示された。一方、ナトリウムとチタンとの相対比を用いることによって海由来の物質で形成された堆積層を検出できる可能性が高いことが示唆された。

論文

チベット高原・プマユムツォ湖周辺岩石の$$^{10}$$Be測定結果

奈良 郁子*; 渡邊 隆広; 國分 陽子; 堀内 一穂*

JAEA-Conf 2018-002, p.124 - 127, 2019/02

チベット高原はその広大な面積(約2,500,000km$$^{2}$$)から、世界の高度4km以上の地域の82%を占め、その地形学的特徴から、地球規模の気候変動および物質循環に対して重要な役割を果たしている。プマユムツォ湖は、チベット南部に位置する、湖面標高5020m、表面積281km$$^{2}$$、最大水深約65mの高山湖であり、この規模の湖としては世界最高の高度に位置する湖である。プマユムツォ湖の東側には湖岸段丘が形成されており、このことから過去に湖水深が変動していたことが予測されている。本研究では、チベット高原における水循環変動の解明を目的とし、プマユムツォ湖周辺にて採取された岩石試料中の宇宙線生成核種であるベリリウム-10の測定を行った。ベリリウム-10の測定は日本原子力研究開発機構東濃地科学センターが所有するペレトロン年代測定装置を用いて実施した。チベット・プマユムツォ湖湖岸岩石中のベリリウム-10濃度は5.5-7.5$$times$$10$$^{6}$$(atoms/g)の範囲を示した。また、ベリリウム-10濃度は、湖から離れるに従って減少する傾向を示し、既報のチベット南部地域における浸食速度よりも遅い浸食速度が算出された。

口頭

西暦946年白頭山噴火による近傍・広域降下物(B-Tmテフラ)の希土類元素組成比較

奈良 郁子; 淺原 良浩*; 鈴木 毅彦*; 町田 洋*

no journal, , 

白頭山(長白山)火山の西暦946年ミレニアム噴火によって放出されたB-Tm(白頭山・苫小牧)テフラは、東アジア広域に分布する代表的な鍵層であり、完新世後期の火山活動史の復元や広域年代対比において極めて重要な指標層である。本研究では堆積環境の異なるB-Tmテフラにおける化学的キャラクタリゼーションを目的とし、それぞれのガラス質破片を対象に、希土類元素(REE)の定量分析を実施した。近傍および広域堆積物に含まれるB-Tmガラス質テフラは、全体として類似したREEパターンを示した。本研究の成果は、REE組成がテフラ識別における有効な補助指標となり得ることを示すものであり、特に風化や変質によって主成分元素組成の保存性が低下した広域テフラに対して、堆積環境を問わず比較的安定な微量元素組成がテフラ識別に有効であることを示唆する。

口頭

大井川上流域の環流旧河谷に残された湖成堆積物の堆積環境の推定

内田 真緒; 小形 学; 小松 哲也; 西山 成哲; 奈良 郁子; 木田 福香; 小北 康弘; 中西 利典*

no journal, , 

山地を流れる穿入蛇行河川が短絡した後に残される半環状の地形を環流旧河谷と呼ぶ。通常、環流旧河谷に残る河川流路堆積物の上位には周辺の斜面や支流の堆積物が存在するが、大井川上流域の環流旧河谷で掘削された堆積物試料(NSY-1)では、河川流路堆積物の上位に湖成堆積物および湖成デルタ堆積物が存在していた。これら湖成堆積物の堆積環境を理解することは、本地点の地形発達を解明する上で重要な知見となる。本研究では湖成堆積物の堆積環境の解明を目的とし、本堆積物試料の微化石(珪藻・花粉)同定、可搬型蛍光X線分析(p-XRF)および鉱物組成分析(XRD)を実施した。これらの分析結果から推定される湖成堆積物形成当時の気候および堆積環境について報告する。

口頭

日本海ReCoRDプロジェクト(ReC23-03: 中新世日本海の古気候と古海洋)の紹介

関 有沙*; 多田 隆治*; 入野 智久*; 松崎 賢史*; 吉岡 純平*; 奈良 郁子; 他20名*; ReC23-03 members*

no journal, , 

リポジトリコア再解析プログラム(ReCoRD)は、高知コアセンター(KCC)に保管されている、過去のDSDP・ODP・IODPで採取されたコア(リポジトリコア)を活用して、通常のサンプルリクエストよりも大きなチームで組織的に研究を行うプログラムである(https://j-desc.org/record/)。このReCoRDの3番目のプロジェクトとして、「中新世日本海の古気候と古海洋(ReC23-03)」が採択され、2024年度、非破壊分析とサンプリングパーティーを実施した。ReC23-03では、現在よりも温暖であった中新世の古気候・古海洋復元を目的とし、特に(1)平行葉理が観察される堆積物に記録された短周期の気候変動、(2)10.8Maの急激な温暖化時期の日本海における海洋環境復元、の2点に着目して研究を行っている。ReC23-03では再検証・改訂した年代モデルを用いて、異なる水深から採取した上記5地点のコアを正確に対比することにより、鉛直構造まで含めた過去の海洋環境を高時間解像度で復元することを目的としている。発表では、ReC23-03に提出された20件のサンプルリクエストを紹介し、リクエスト間の協力関係や進捗について紹介する。合わせて、ReCoRDの特徴でもある、XRFコアスキャナーやX線CTを用いた非破壊分析の結果を参照しながらサンプリングパーティーを行うことで得られた利点についても紹介する。

口頭

高精度年代測定に基づく小川原湖の汽水化時期の推定

奈良 郁子*; 松中 哲也*; 山崎 慎一*; 土屋 範芳*; 渡邊 隆広; 山田 和芳*; 安田 喜憲*

no journal, , 

小川原湖は、縄文後期の海水準低下により、太平洋の内海であった古小川原湖が後退したことで形成された汽水湖である。小川原湖の汽水化時期を明らかにすることは、縄文後期における東北地域の気候環境変動や汽水化が与える湖内生態系への影響を推測するために重要である。本研究では、小川原湖から採取した柱状堆積物(長さ280m)を用いて、植物片と全有機炭素の放射性炭素年代測定、テフラの同定、鉛-210、およびセシウム-137年代測定により、高精度な年代モデルを構築し、かつ堆積物中の微量元素分析結果を併せることにより、小川原湖の汽水化時期を推定した。堆積物から発見された二つのテフラ層は、屈折率および鉱物組成結果からB-TmテフラおよびTo-aテフラと同定された。植物片の放射性炭素年代測定結果は、B-Tmテフラが示す白頭山噴火年代(946年)と整合的であった。上記の年代測定結果および臭素等の微量元素濃度の変動から、小川原湖は約2000cal BPに汽水化したことが示唆された。

口頭

粉末プレス試料蛍光X線分析を用いたハロゲン元素の非破壊定量; 日本海堆積物への応用

奈良 郁子; 他7名*

no journal, , 

本研究では、ハロゲン元素を用いた日本海堆積物中の生物活動変動復元に向け、粉末プレス試料を用いた蛍光X線分析(XRF)によるハロゲン元素および無機元素の非破壊定量を行った。対象として、海水の影響を受けない淡水堆積物、汽水堆積物、および日本海の海洋堆積物を分析し、臭素やヨウ素を含む元素分布の特徴を比較した。従来、臭素は生物指標として利用されてきた一方、塩分供給の影響も受けるため、有機物定量を伴わない起源判別が課題であった。本研究では、淡水堆積物におけるハロゲンと無機元素の関係を基準とし、海水影響を相対的に評価する指標化の可能性について検討した。本手法は、簡便かつ非破壊なハロゲン元素分析に基づく古環境復元への応用が期待される。

口頭

津波堆積物の化学分析; X線分析顕微鏡による高空間分解能測定

渡邊 隆広; 奈良 郁子*; 植木 忠正*; 土屋 範芳*

no journal, , 

地層中の津波堆積物を用いて過去に繰り返し発生した歴史津波の規模を明らかにすることにより、将来起こりうる津波災害の防災、減災につなげる試みが検討されている。津波堆積物とその他の堆積層を区別するため試料の化学組成が用いられている。津波堆積物の化学分析については、迅速かつ大量の試料を処理する必要がある。しかし、陸域の堆積物はかく乱されるケースが多く、かつ堆積環境が不安定であるため、堆積物の組成は単純ではない。広範囲において適用できる汎用的な化学分析手法および解析手法は未だ確立されていない。そこで本研究では、走査型X線分析顕微鏡を用いた津波堆積物の化学分析手法および得られたデータの解析手法について検討結果を報告する。測定結果は、既報の蛍光X線分析による化学組成データとよく一致しており問題なくデータの蓄積が可能であることが示された。各元素のX線強度の主成分分析を実施した結果、形成過程の異なる津波堆積物砂層と浜堤堆積物砂層の区別ができる可能性が示唆された。今後はより明確に区別するため、多地点のデータの蓄積が必要になる。

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