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新原 隆史*; 横山 立憲; 新井 朋子*; 三澤 啓司*
Meteoritics & Planetary Science, 56(8), p.1619 - 1625, 2021/08
被引用回数:1 パーセンタイル:10.87(Geochemistry & Geophysics)NWA 1685 (LL4)コンドライトの岩石鉱物学的研究をおこなった。既往研究では、NWA 1685にはYamato-74442 (LL4), Bhola (LL3-6), Kraehenberg (LL5)に認められるものと同様の岩片を含むと記載されていた。本研究では、NWA 1685に含まれる岩片について組織や鉱物及びマトリックスの化学組成をYamato-74442, Bhola, KraehenbergなどのLLコンドライトに含まれるアルカリに富む岩片と比較した。NWA 1685の岩片中のかんらん石は、ガラス質のマトリックスに存在し、ゾーニングは認められない。また、衝撃溶融による脈状組織や割れ目がかんらん石の内部のみで見つかり、ガラス質なマトリックスには伸びていないことが確認される。また、かんらん石の主要元素および微量元素組成は均質であった。ガラス質なマトリックスのカリウム存在度は、Yamato-74442, Bhola, Kraehenbergと比較して低く、NWA 1685に含まれる岩片はYamato-74442, Bhola, Kraehenbergなど角礫岩LLコンドライトに含まれる岩片と異なり、LLコンドライト母天体での衝撃溶融イベントの後に急冷して形成され角礫岩に取り込まれたと考えられる。
新原 隆史*; 都築 祐樹*; 三澤 啓司*; 横山 立憲; 米田 成一*
no journal, ,
いくつかの角礫岩コンドライト隕石には、アルカリに富む岩片が確認される。これら岩片の形成過程として、太陽系星雲中で凝縮したアルカリに富む物質が衝撃溶融を受けたと考えられている。コンドライト隕石であるBeardsley (H5)は他のHコンドライトと比較してRbを多量に含有する。しかしながら、他のHコンドライトに認められるハライトやシルバイト及びアルカリに富む岩片の形成過程として示唆される水質変質の岩石鉱物学的な痕跡は未だBeardsleyからは見つかっていない。本研究では、特に二次変質やアルカリ元素の分布を明らかにし、岩石鉱物学的記載を通じて、Beardsleyの形成過程について考察した。Beardsleyの岩石鉱物学的特徴は他の衝撃溶融を受けたHコンドライトと類似し、灰色の岩相は衝撃溶融イベントによって形成されたことが示唆された。一方で、KOに富む灰色の岩相は衝撃溶融だけでその成因は説明できず、現段階では成因は明らかではない。