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Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 木田 徹也*; 永野 正光*; 野口 英行*
Materials Sciences and Applications, 6(5), p.353 - 359, 2015/05
蜂の巣状の構造を持つ六方晶ホウ素-炭素-窒素化合物(h-BCN)の合成を試み、その構造を調べた。試料は高周波プラズマ誘起化学蒸着法により作成した。欠陥の少ないきれいな薄膜を合成するため、h-BCNと格子定数の近いダイヤモンドを基板に用いるとともに、蒸着中の基板温度を950Cと高温に保持した。X線光電子分光スペクトル(XPS)測定の結果、合成したh-BCN薄膜の組成は、ホウ素0.31, 炭素0.37, 窒素0.6であった。放射光を用い、ホウ素K吸収端および窒素K吸収端のX線吸収端微細構造(NEXAFS)スペクトルを測定した結果、得られた薄膜は理想的な蜂の巣状の構造を持ち、窒素の欠陥はほとんどないことが明らかとなった。
Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 平尾 法恵; 木田 徹也*; 永野 正光*; 野口 英行*
Materials Sciences and Applications, 4(5A), p.11 - 19, 2013/05
シリコン(111)単結晶表面に作成した六方晶ホウ素-炭素-窒素化合物(h-BCN)ナノ結晶薄膜の構造を放射光を用いたX線吸収分光法により調べた。試料はホウ素,炭素,窒素を含む有機化合物であるトリスジメチルアミノボランを原料とし、高周波プラズマ誘起化学蒸着法により作成した。h-BCN構造が生成したことはX線回折により確認した。直線偏光した放射光を用い、ホウ素K-吸収端のX線吸収スペクトルを測定したところ、ホウ素1s軌道から価電子帯の非占有パイ軌道、及びシグマ軌道への共鳴吸収によるピークが認められた。これらのピーク強度の偏光依存性とX線光電子分光測定の結果から、ホウ素原子は3個の窒素原子と結合し、h-BCN平面内でsp2結合を形成することが明らかとなった。
Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 永野 正光*; 野口 英行*
Journal of Nanomaterials, 2012, p.528256_1 - 528256_9, 2012/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Nanoscience & Nanotechnology)シリコンポリマーは炭素ポリマーに比べてシグマ軌道間のエネルギー準位の差(バンドギャップ)が小さいため、理想的な一次元電導体として分子デバイスにおける電子配線としても注目されている。一次元ポリマー薄膜の電気伝導特性や光学特性などの電子物性は、固体表面におけるポリマーの配向に大きく依存する。そこで、真空蒸着法で作成した一次元状シリコンポリマー薄膜の配向を、直線偏光した放射光を用いたX線吸収微細構造法(XAFS)により調べた。高配向性熱分解グラファイト(HOPG)表面に蒸着したポリジメチルシラン(PDMS)のSi K-吸収端XAFSスペクトルに認められる2つのピークの強度は放射光の入射角により変化した。この入射角依存性を解析した結果、PDMS分子は、HOPG表面に平行に"寝ている"ことがわかった。これは、金属銅やインジウムスズ酸化物(ITO)表面においてPDMS分子は垂直に"立っている"というわれわれが依然報告した結果と全く反対であった。HOPG表面でのみポリマーが"寝る"という現象は、ポリマー中のCH結合とHOPG表面のパイ軌道との強い静電相互作用によると結論した。
Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 永野 正光*; 野口 英行*
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, P. 159, 2012/00
直線偏光した放射光軟X線を用いたX線吸収微細構造法(NEXAFS)により、固体表面に蒸着した一次元状シリコンポリマーの配向を調べた。高配向性熱分解グラファイト(HOPG)表面に蒸着したポリジメチルシラン(PDMS)のSi K-吸収端NEXAFSスペクトルには明瞭な偏光依存性が観測された。この偏光依存性を解析した結果、PDMSはHOPG表面に平行に「寝ている」ことがわかった。これは金属銅やインジウムスズ酸化物(ITO)表面においてPDMS分子は垂直に「立っている」というわれわれが以前報告した結果と全く反対であった。このような表面による配向の違いを、表面の平坦性や基板-分子相互作用の大きさから議論した。
Mannan, M. A.; 馬場 祐治; 木田 徹也*; 永野 正光*; 下山 巖; 平尾 法恵; 野口 英行*
Thin Solid Films, 519(6), p.1780 - 1786, 2011/01
被引用回数:19 パーセンタイル:61.3(Materials Science, Multidisciplinary)ホウ素,炭素,窒素を含む有機分子を原料物質に用い、高周波プラズマ加熱法により、ニッケル単結晶及びチタン表面にホウ素-炭素-窒素から成るハイブリッド薄膜を合成し、その配向について種々の分光学的手法により調べた。X線回折の結果、合成した薄膜は軌道を持つことがわかった。ラマン分光測定の結果も、軌道を持つB-C-N結合の生成を支持するものであった。放射光を用いたX線吸収端微細構造の測定結果から、ホウ素原子は3つの窒素原子と配位したBN構造をとり、BCN薄膜はニッケル単結晶表面に平行に配向することがわかった。一方、多結晶のチタン表面においては、BCN薄膜はランダムに配向することから、表面の化学的活性度が表面の配向に影響することがわかった。
Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; 永野 正光*; 野口 英行*
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 181(2-3), p.242 - 248, 2010/08
被引用回数:5 パーセンタイル:31.14(Spectroscopy)有機分子やポリマーなど異方性分子の薄膜の電気的,光学的特性は、結晶構造や電子構造だけでなく、分子の配向にも大きく依存する。そこで放射光を用いて、導電性透明基板として用いられているインジウム・スズ酸化物(ITO)表面に蒸着したシリコンポリマーの分子配向を調べた。試料は、最も簡単なシリコンポリマーであるポリジメチルシラン(PDMS)を用いた。PDMSを電子衝撃加熱法によりITO表面に1層ずつ精密に蒸着し、直線偏光した放射光を用いてSi K-吸収端のX線吸収スペクトルを測定した。その結果、スペクトルの吸収ピーク強度に顕著な偏光依存性が認められた。これを解析した結果、ポリマーのSi-Si分子軸は表面に対して40度傾いていることがわかった。この角度は、表面に垂直に立ったポリマーがヘリカル構造をとったときの角度にほぼ一致する。以上の結果から、PDMSは自己組織化過程により、高度に配向することが明らかとなった。
Mannan, M. A.; 野口 英行*; 木田 徹也*; 永野 正光*; 平尾 法恵; 馬場 祐治
Thin Solid Films, 518(15), p.4163 - 4169, 2010/05
被引用回数:30 パーセンタイル:73.92(Materials Science, Multidisciplinary)トリスジメチルアミノボランを原料に用いて、高周波誘起化学蒸着法により、高配向性グラファイト表面に六方晶のホウ素-炭素-窒素薄膜(BCN薄膜)を合成した。薄膜の構造はX線光電子分光法(XPS)、X線吸収端微細構造法(NEXAFS)及びラマン分光法により調べた。XPSの結果から、ホウ素原子は、炭素と窒素と結合してsp2軌道から成るB-C-Nハイブリッド相を作ることが明らかとなった。XPSスペクトルのピーク強度比から、B:C:Nの組成比は、ほぼ1:1:1であることを確認した。ホウ素及び窒素のK-吸収端のNEXAFSスペクトルには、明瞭な非占有軌道及び軌道への共鳴吸収ピークが認められ、このことからも、合成した薄膜は、軌道を持つBCNハイブリッド相であると結論した。
林 君夫; 中川 哲也; 小野瀬 庄二; 石田 卓也; 中道 勝; 高津 英幸; 中村 和*; 野口 恒行*
Journal of Nuclear Materials, 386-388, p.1083 - 1086, 2009/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)ITERに装荷するテストブランケット・モジュール(TBM)の解体・照射後試験プロセスを確立するため、トリチウムを含有する照射済みキャプセルの解体・処理技術の確立に向けて、設計及び試作試験を行った。検討の対象としたキャプセルは、JMTRでのスイープ照射試験に用いたものであり、外径約65mmの外筒内にある試料容器中に、LiTiO試料が装荷されている。照射済みキャプセルは帯のこぎりで切断され、その際放出されるトリチウムは、酸化装置を有するパージガス系によって安全に回収され、固化処理により放射性廃棄物となる。本解体装置は、収納容器(インナーボックス)に収められる構造となっており、このような構造とすることにより、ホットセルの大幅な改造を行うことなくトリチウムの安全な閉じ込めを実現できる技術的見通しを得た。非照射の模擬キャプセルを用いた試作試験において、本解体装置の切断性能が良好であることが実証された。本解体装置の設計及び試作試験の経験は、今後のTBM設計や解体プロセス検討に役立つものである。
Mannan, M. A.*; 木田 徹也*; 野口 英行*; 永野 正光*; 下山 巖; 平尾 法恵; 馬場 祐治
Journal of the Ceramic Society of Japan, 117(1364), p.503 - 507, 2009/04
被引用回数:11 パーセンタイル:53.79(Materials Science, Ceramics)トリス-ジメチル-アミノボランを原料物質として用い、高周波プラズマ誘起化学蒸着法によりSi(100)単結晶表面に高度に配向した六方晶のホウ素-炭素-窒素薄膜(BCN薄膜)を作成することに成功した。六方晶BCNの結晶が生成していることは、フーリエ変換赤外分光法及びX線回折法により確認した。メタンと水素の混合気体をキャリアーガスとして用いると、窒素を用いたときよりも炭素濃度が増大した。X線光電子分光測定の結果、生成したBCN薄膜中には、B-N結合,B-C結合,C-N結合などさまざまな結合状態が存在することがわかった。また、放射光を用いたX線吸収端微細構造(NEXAFS)測定の結果、ホウ素K-吸収端にパイ共鳴ピークが認められることから、BCN薄膜中には、六方晶BN薄膜に存在するBN結合と同様に、混成軌道を持つことがわかった。以上の結果と、NEXAFSスペクトルの偏光依存性から、生成したBCN薄膜は、高度に配向していることが明らかとなった。
林 君夫; 中川 哲也; 小野瀬 庄二; 石田 卓也; 中道 勝; 勝山 幸三; 岩松 重美; 長谷川 貞司; 小高 英男; 高津 英幸; et al.
JAEA-Technology 2009-007, 168 Pages, 2009/03
原子力機構では、国際熱核融合実験炉(ITER)に装荷するテストブランケット・モジュール(TBM)を用いて、増殖ブランケットの炉内機能試験を実施することを計画している。そして、その準備のため、日本において設計中の原型炉ブランケットにおける固体増殖材料の第1候補材料であるチタン酸リチウム(LiTiO)について、原子炉照射試験を実施してきた。本報告書は、(1)材料試験炉(JMTR)による照射試験に用いた照射キャプセル解体装置の詳細設計及び試作試験、並びに、(2)照射後試験のためのグローブボックス施設の予備的検討の結果、について述べるものである。解体装置の詳細設計では、本件に先立って実施した概念検討及び基本設計の結果に基づき、詳細仕様及び設置場所の検討,安全評価等を行った。試作試験では、解体装置の中心となる切断部を試作するとともにJMTRキャプセル模擬試験体を製作して切断試験を行い、その結果を評価して切断速度の最適化を図ることにより、十分な切断性能を達成した。さらに、キャプセル解体後の照射後試験用施設を確保するため、グローブボックス施設の予備的検討を行い、技術的成立性の見通しを得た。
Mannan, M. A.; 野口 英行*; 木田 徹也*; 永野 正光*; 平尾 法恵; 馬場 祐治
Materials Science in Semiconductor Processing, 11(3), p.100 - 105, 2008/06
被引用回数:24 パーセンタイル:72.81(Engineering, Electrical & Electronic)ボラントリメチルアミン錯体を単一の原料として用いることにより、配向した六方晶炭化窒化ホウ素(h-BCN)薄膜の合成に成功した。BCN薄膜は、メタンと水素の混合気体をキャリアーガスとして用い、高周波プラズマ誘起化学蒸着法によりシリコン(100)基板表面に蒸着した。フーリエ変換赤外分光法により、短距離秩序としては六方晶BCN層が生成していることを確認した。X線光電子分光(XPS)測定の結果、薄膜中のB, C, N原子は、B-N, B-C, C-N, B-C-Nなど、さまざまな結合状態をとることがわかった。放射光を用いたX線吸収端微細構造(NEXAFS)スペクトルを測定した結果、B原子はNだけでなくC原子とも結合し、sp軌道を持つB-C-Nハイブリッド構造をとることが明らかとなった。NEXAFSスペクトルの偏光依存性からBCN層の配向は、基板によって異なることを示唆する結果が得られた。
林 君夫; 中川 哲也; 小野瀬 庄二; 石田 卓也; 小高 英男; 勝山 幸三; 北島 敏雄; 高橋 孝三; 土谷 邦彦; 中道 勝; et al.
JAEA-Technology 2008-010, 68 Pages, 2008/03
原子力機構では、国際熱核融合実験炉(ITER)に装荷するテストブランケット・モジュール(TBM)を用いて、核融合炉用増殖ブランケットの炉内機能試験を実施することを計画している。本報告書は、炉内機能試験の準備として材料試験炉(JMTR)で照射試験を行った照射キャプセルの解体プロセスの概念検討及び基本設計について述べるものである。本設計においては、照射キャプセルはバンドソー(帯のこぎり)で切断され、放出されたトリチウムは、パージガス系によって安全に回収され、固化されて放射性廃棄物となる。さらに、事故時にトリチウムが解体装置外へ放出される可能性があることに対する安全対策として、解体装置を覆うインナーボックスを採用することにより、通常のトリチウム透過性材料を用いた既存のホットセル(ベータ・セル)を、大きな改造を行うことなく使用できる見通しを得た。以上により、トリチウムを含有する照射済みJMTRキャプセルについて、本解体プロセスが実現可能であることを示した。
関 泰; 高津 英幸; 飯田 浩正; 真木 紘一*; 小川 益郎; 野口 宏; 村田 幹生; 小澤 義弘*; 伊東 新一*; 岡崎 隆司*; et al.
JAERI-M 91-126, 511 Pages, 1991/08
核融合実験炉としての基本的構成が類似しているFER/ITERを対象に、安全性の解析と評価を行った。安全性の検討の仕方としては、まず、安全設計の考え方を明確にし、次に、運転状態、すなわち、通常運転時、分解修理時、事故時に分けて、解析・評価した。特に、通常運転時においては、トリチウム及び放射化生成物量の評価を、分解修理においてはトリチウム放出量の評価を、事故時においては冷却水喪失事故・真空破断事故・電源喪失事故の事故シナリオの検討を、それぞれ行った。また、安全に関する法規・基準を付加し、全体として、核融合実験炉の安全性を一通り概観できるようにした。
Mannan, M. A.; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; 永野 正光*; 野口 英行*
no journal, ,
シリコンポリマーは、炭素系ポリマーに比べてシグマ軌道間のエネルギーギャップが小さいため、一次元電導体や発光素子としての応用が期待されている。本研究では、導電性透明薄膜であるインジウム・スズ酸化物(ITO)表面にポリジメチルシラン(PDMS)を蒸着し、その電子状態と分子配向を直線偏光した放射光を用いたX線吸収端微細構造法(NEXAFS)及びX線光電子分光法(XPS)により調べた。多層蒸着した薄膜のSi K-吸収端のNEXAFSスペクトルには少なくとも4つのピークが認められたが、このうち、1842.0eVと1843.2eVの2つのピークに顕著な偏光依存性が認められた。この偏光依存性を詳細に解析した結果、PDMSポリマーはITO表面に垂直に並んでいることを明らかにした。
Mannan, M. A.; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; 永野 正光*; 野口 英行*
no journal, ,
シリコンポリマーは、炭素系ポリマーに比べ、価電子帯と伝導帯間(HOMO-LUMO間)のエネルギーギャップが小さいため、一次元方向に優れた電子伝導特性を持つため、その薄膜は新しい電子材料,光学材料として注目されている。このような一次元物資の薄膜の物性は、分子の配向(ポリマーの向き)に大きく依存する。そこで、最も簡単なシリコンポリマーであるポリジメチルシラン(PDMS)を種々の表面上に蒸着し、その配向について放射光の偏光特性を使ったX線吸収分光法により調べた。その結果、導電性酸化物であるインジウムスズ酸化物(ITO)表面に蒸着した多層膜PDMSのシリコン骨格は表面に垂直であることがわかった。また、加熱による配向変化,他の基板表面における配向などについても発表する。
Mannan, M. A.; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; 永野 正光*; 野口 英行*
no journal, ,
シリコンポリマーは、炭素系ポリマーに比べ、価電子帯と伝導帯のエネルギーギャップが小さいため、一次元状の電気伝導特性に優れた物質として注目されている。薄膜全体としてのポリマーの電気的、光学的特性は、電子構造だけでなく、分子配向にも依存する。そこで、最も簡単なシリコンポリマーであるポリジメチルシランを種々の固体基板表面に精密に蒸着し、その電子構造と配向を、直線偏光した放射光を用いたX線吸収端微細構造法(NEXAFS)により調べた。その結果、多層蒸着膜では、ポリマーの向きが自己組織化的にそろい、分子軸が表面に垂直になることがわかった。また、基板物質の種類,薄膜の厚み,温度などによる配向変化についても報告する。
Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; 永野 正光*; 野口 英行*
no journal, ,
シリコン系ポリマーの薄膜は、炭素系のポリマーに比べて、高い電気伝導度や紫外線発光特性など優れた性質を持つうえに、熱的にも安定であるため、新しい有機デバイス材料として注目されている。このような一次元状のポリマー薄膜の電気的,光学的特性は、ポリマーの配向に大きく依存する。本研究では、最も簡単なシリコンポリマーであるポリジメチルシラン(PDMS)が、固体表面上で自己組織化的に配向し、しかも表面の状態や温度変化により、表面に平行,垂直など種々の向きに整然と配向することを見いだした。具体的には、金属の銅表面,酸化物のインジウムスズ酸化物(ITO),高配向性グラファイト(HOPG)表面にポリジメチルシランを、膜厚を制御しながら1層ずつ蒸着し、水平偏光した放射光を用いてシリコンK-吸収端のX線吸収スペクトルの入射角依存性を測定した。その結果、銅,ITO表面に蒸着した多層膜では、PDMSは表面に垂直に配向するのに対し、HOPG表面では表面に平行に配向することがわかった。このことから、表面第1層の平坦さが、1層目のPDMSの配向を決定し、2層目以降もその配向を維持しながら堆積していくことがわかった。
Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; 野口 英行*; 永野 正光*
no journal, ,
シリコンポリマーは炭素系ポリマーに比べて、HOMO-LUMO間のギャップが小さく、理想的な一次元導体として分子細線などへの応用が期待されている。一般に一次元状ポリマーの光学的,電気的特性は、ポリマーの配向に大きく依存する。そこで、本研究では、金属,半導体など、各種基板表面に、最も簡単なシリコンポリマーであるポリジメチルシランを蒸着し、その配向を放射光軟X線を用いたX線吸収端微細構造(XAFS)の偏光依存性によって調べた。シリコンK-吸収端のXAFSスペクトルにおける吸収ピーク強度は、X線の入射角によって明瞭に変化した。そのピーク強度の入射角依存性を解析した結果、金属(銅)や透明半導体基板(ITO)表面では、ポリマーが表面に垂直に"立っている"ことがわかった。一方、高配向性グラファイト(HOPG)表面では、ポリマーは表面に平行に"寝ている"ことがわかった。以上の結果から、シリコンポリマーの配向は、同一条件で蒸着した場合でも、物質の表面状態により異なることが明らかとなった。
Mannan, M. A.; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; 永野 正光*; 野口 英行*
no journal, ,
シリコンポリマーは炭素系ポリマーに比べて、HOMO-LUMO間のギャップが小さく、理想的な一次元導体としての分子細線や光学素子など、種々の応用が期待されている。一次元状ポリマーの薄膜全体としての光学的、電気的特性は、ポリマーの配向に大きく依存する。そこで、金属、半導体など、各種基板表面に、最も簡単なシリコンポリマーであるポリジメチルシラン(PDMS)を蒸着し、その配向を放射光軟X線を用いたX線吸収端微細構造法(NEXAFS)によって調べた。NEXAFSスペクトルの偏光依存性を測定した結果、ITO(Indium Tin Oxide)及び金属銅などの表面においては、ポリマーが表面に垂直で、しかもヘリカル構造をとることがわかった。一方、高配向性グラファイト(HOPG)表面では、偏光依存性は逆になり、ポリマーは表面に平行であることがわかった。このような基板による配向の違いは、表面のモルフォロジーによると結論した。
Mannan, M. A.; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; 永野 正光*; 野口 英行*
no journal, ,
シリコンポリマーは炭素系ポリマーに比べて、バンドギャップが小さく、理想的な一次元導体として分子細線などへの応用が期待されている。またその薄膜は光伝導性や紫外領域のEL特性を持つため、新しい有機デバイス材料としても注目されている。一次元状ポリマーの薄膜全体としての光学的,電気的特性は、ポリマーの配向に大きく依存する。そこで、本研究では、金属,半導体など、各種基板表面に、最も簡単なシリコンポリマーであるポリジメチルシラン(PDMS)を精密に蒸着し、その配向をNEXAFSによって調べた。その結果、透明基板として用いられているインジウムスズ酸化物(ITO)表面では、ポリマーが表面に垂直に立っていることがわかった。一方、不活性で平坦な表面を持つ高配向性グラファイト(HOPG)表面では、表面に平行に寝ていることが明らかとなった。これらの基板による配向の違いを、分子-分子間相互作用及び分子-基板間相互作用の大きさから議論した。