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論文

Single bunch injection scheme for doubling the beam intensity of J-PARC Main Ring

田村 文彦; 沖田 英史; 發知 英明*; Saha, P. K.; 佐藤 洋一*; 吉井 正人*; 大森 千広*; 山本 昌亘; 清矢 紀世美*; 杉山 泰之*; et al.

JPS Conference Proceedings (Internet), 45, p.011129_1 - 011129_7, 2026/06

J-PARC主リング(MR)の現在の目標は、出力ビームパワー1.3MW、ビーム強度3.3e14ppp、繰り返し周期1.16秒である。3GeVシンクロトロン(RCS)は、1回の入射で2つのバンチをMRに供給し、4回の入射で8つのバンチがMRに蓄積される。RCSのハーモニック数は2であり、RCSの最大ビーム強度は2バンチで8.3e13ppp、すなわち4.2e13ppbである。RCSのハーモニック数を1に設定し、RCSが8.3e13pppの同じ強度で1つのバンチを加速できれば、MRのバンチ強度は2倍の8.3e13ppbになり、これは8つのバンチを持つ6.6e14pppの累積ビーム強度に相当する。シングルバンチ入射で8バンチ蓄積するためには160msの入射期間が必要であり、ビームパワーは2倍より若干小さくなる。本発表では、縦方向のビームシミュレーションに基づき、RCSにおける単一バンチ加速の実現可能性について議論する。

論文

Introducing GPU backend of BLonD to longitudinal beam simulations for J-PARC synchrotrons

足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 宮越 亮輔*; 沖田 英史; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; et al.

JPS Conference Proceedings (Internet), 45, p.011121_1 - 011121_8, 2026/06

欧州原子核研究機構(CERN)により開発が進められているシミュレーションコードBLonDは、ビーム進行方向(縦方向)の運動を正確に計算する能力と優れた拡張性を有している。J-PARCにおいても、3GeVシンクロトロン(RCS)や主リングシンクロトロン(MR)の安定したビーム運転やビームのさらなる大強度化に向けた計算に活用されている。大強度ビームにおいて、空間電荷効果といったビーム粒子間の相互作用を考慮したビーム挙動の評価が重要となるが、BLonDでは特に空間電荷効果を含めたシミュレーションに計算時間が長くかかることが課題となっていた。最新のBLonDではGPUバックエンドによるシミュレーションの高速化が可能となった。本発表では、J-PARCのシンクロトロンの縦方向シミュレーションを主な題材として、BLonD GPUバックエンドの評価を行った結果について報告する。

論文

J-PARC RCSにおける2倍高調波を用いたバンチ平坦化操作の最適化

足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 沖田 英史; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.280 - 284, 2026/03

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、後段施設であるメインリング(MR)や物質・生命科学実験施設(MLF)での中性子利用運転のために大強度陽子ビームを供給する。現在の運転条件において、RCSが供給するビームの進行方向(縦方向)分布は後段施設の要求する縦方向ビーム分布に対して短い。その改善のため、RCSでの加速終盤に加速周波数の2倍の周波数である高周波電圧(2倍高調波)を導入し、ビーム分布を縦方向に引き延ばす手法を検討した。実験の結果、縦方向ビーム分布が引き延ばされることを実証した。さらに、2倍高調波の導入方法を工夫することによるビーム縦方向分布の微細な調整の可能性も確認した。この手法により、MRやMLFが要求するビームの縦方向分布に適合する細かなビーム縦方向分布の調整が可能となる。本発表では、RCSにおける実証試験の結果を報告するとともに、最適な2倍高調波の導入方法の考察について報告する。

論文

J-PARC RCSの縦方向ビーム操作の現状

沖田 英史; 田村 文彦; 足立 恭介; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.795 - 800, 2026/03

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、設計強度1MWの大強度陽子加速器である。近年、RCSでは、消費電力のより少ない新しいビーム加速装置(RF空胴)の実装や、加速中のビーム損失のさらなる低減を目的としたビーム進行方向(縦方向)のビーム操作パラメータの調整を実施している。RCSにおける1MW加速時のビーム挙動を正しく理解することを目的に、新型RF空胴に発生する加速電圧や、最新の縦方向ビーム操作パラメータを精度良く反映した縦方向ビームシミュレーションを実施した。その結果、1MW運転中に新型RF空胴に発生する加速周波数よりも高い周波数の高調波電圧は、ビームの運動量広がりに対する加速電圧の裕度を示す指標であるモーメンタムフィリングファクタ(MF)に数%程度の変化を与えるものの、その影響は小さいことが確認された。また、RCSで加速中の縦方向の振動を抑制する位相フィードバックのパターンを調整することでMFを最大で10%程度低減でき、ビーム損失に対する裕度をより高められることを確認した。本発表では、近年のRCSにおける1MW運転時の新型RF空胴の運用状況と縦方向ビーム操作の現状、ならびに縦方向ビームシミュレーションによるビーム挙動評価の結果について報告する。

論文

J-PARC RCSにおけるシングルエンド金属磁性体空胴の運転経験

田村 文彦; 沖田 英史; 山本 昌亘; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 杉山 泰之*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 22nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.269 - 273, 2026/03

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)の金属磁性体(MA)加速空胴の交換計画が数年にわたり進行中である。従来の空胴は加速ギャップの上流側と下流側の電極に一対の四極空管から交互に高周波(RF)電流を供給するプッシュプル(PP)型であり、これを新たに開発されたシングルエンド(SE)型空胴に全て置き換える予定である。広帯域のMA空胴では、大強度ビーム加速時のビーム負荷補償のために大振幅のマルチハーモニックRF信号が必要となるが、PP空胴では上流側、下流側の四極管動作に大きなアンバランスが生じ、このアンバランスがビーム強度を制限する要因のひとつとなっていた。このアンバランスはSE空胴では原理的に生じないものである。現在までに6台の置き換えが完了している。SE空胴は偶数次の高次高調波をキャンセルする構成を持たないため、高調波成分が従来のPP空胴とは異なる。本発表では、J-PARC RCSでの大強度ビームを用いたシングルエンド空胴の運転経験について報告する。

論文

画像認識及び画像生成技術のマウンテンプロット画像への適用

野村 昌弘

加速器, 22(4), p.274 - 279, 2026/01

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、Linacからの入射ビームに関する情報をマウンテンプロットと呼ばれる画像とすることにより、入射ビームの運動量や入射タイミングが視覚的に分かる様にしている。このマウンテンプロットと呼ばれる画像に、画像認識技術を適用することにより、入射運動量や入射タイミングなどの数値情報のみならず、位相空間上における入射ビームの分布情報までも得ることが可能となった。さらに、画像生成技術を用いることにより、直接測定することのできない実験条件でのマウンテンプロット画像の生成にも成功した。本稿では、これから画像認識技術を使ってみようと考えている人のために、先ず画像認識技術について分かりやすく説明した後に、筆者がこれらの画像認識および画像生成技術をどの様にマウンテンプロット画像に適用し、これらの成果を得たかについて説明する。最後に今後の展望についても述べる。

論文

Neural networks approach for controlling a waveform pattern of the paint bump power supply at J-PARC RCS

杉田 萌; 堀野 光喜*; 野村 昌弘; 篠崎 信一; 高柳 智弘; 植野 智晶*; 栗山 靖敏

Proceedings of 16th International Particle Accelerator Conference (IPAC25) (Internet), p.2715 - 2717, 2025/11

J-PARC 3GeVシンクロトロンでは、大強度ビームの安定化のため、4台の水平ペイントバンプ電磁石と2台の垂直ペイントバンプ電磁石を用いてビーム軌道を調整し、入射中に蓄積するビームの密度を制御している。ペイントバンプ電磁石電源はIGBT制御のチョッパ回路で構成され、指令電流と指令電圧の高周波スイッチング制御により、ビーム軌道を時間変化させる任意の出力電流波形(ペイントパターン)を作成する。ビーム軌道の制御精度は指令電流と出力電流の差(出力電流偏差)で決まり、$$pm$$1.0%以下の偏差が要求される。現在のペイントパターン調整では、電源制御の応答関数に応じて指令電圧を作成するソフトと、手動で指令電圧値を書き換える調整を組み合わせ、$$pm$$0.2%以下の偏差を達成している。しかし、1つのペイントパターン調整に1時間程度を要している。そのため、ニューラルネットワークを用いたペイントパターン作成を行った。結果、オフライン試験ではビーム調整で使用する台形波形について瞬時の波形調整が可能となった。本発表では、学習に用いたデータ、ニューラルネットワークの構成、それによって得られた結果について報告する。

論文

Consideration for improving the longitudinal beam matching between RCS and MR at the J-PARC

沖田 英史; 足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; et al.

Journal of Physics; Conference Series, 3094(1), p.012027_1 - 012027_7, 2025/09

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、物質・生命科学実験施設(MLF)での中性子ユーザへの利用運転と同時にメインリング(MR)に大強度の陽子ビームを供給している。RCSとMRはMW級の大強度陽子加速器で安定したビーム運転には陽子の電荷同士の反発(空間電荷効果)を緩和させることが重要である。空間電荷効果の強さはビーム進行方向(縦方向)のビーム電流分布と関係しており、バンチングファクタ(平均電流値を縦方向ビーム電流分布のピーク値で除した値)が高いほど軽減できる。現在、RCSがMRに供給するビームのバンチングファクタは0.2と低く、これが原因でMR入射直後でビームロスが発生している。そこで、RCSの加速後半で基本周波数の二倍の周波数の加速電圧を重畳して不安定動作点を生成し、これを用いてバンチングファクタを増加させる手法を考案した。考案した手法で、RCSの出射ビームのバンチングファクタを0.4まで引き上げられることをビームシミュレーションで確認した。また、MRの加速電圧をRCSの出射ビーム形状に適合するように調整し、MR入射後のバンチングファクタを0.4で一定に保つことを可能とする条件を取得した。本成果は、RCSのビーム供給先であるMRのビームロス低減につながるものだけでなく、MLFに供給するビームに関しても縦方向ビーム電流分布の細かな調整を可能とするもので、RCSのビーム利用の成果創出に資する。

論文

J-PARC RCSの高周波加速システムの回路シミュレーションモデルの構築

沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 宮越 亮輔*; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; et al.

Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.765 - 769, 2024/10

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)の高周波加速システムは、金属磁性体コアを装填した加速空胴と真空管増幅器を含む高周波電源で構成される。1MW級の大強度陽子ビームを加速するRCSでは、ビームが高周波加速システムに与える負荷(ビームローディング)により高周波電源に大きな負荷がかかる。安定した大強度ビーム運転や、更なるビーム強度増強に向けた検討には、ビームローディングを考慮した高周波電源の挙動評価が重要である。本研究では、回路シミュレータLTSPICEを用いて実際に使用している金属磁性体コアや真空管の特性を考慮可能な独自の回路シミュレーションモデルを構築した。構築した回路シミュレーションモデルはRCSの大強度運転時の高周波電源の挙動を評価するのに十分な性能を有していることを確認した。本発表では、構築した回路シミュレーションモデルの詳細と大強度運転時の高周波電源の挙動を計算し実測と比較した結果等について報告する。

論文

J-PARC RCSでの大強度ビーム取り出し時の空胴電圧跳ね上がりの抑制

田村 文彦; 杉山 泰之*; 沖田 英史; 山本 昌亘; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.774 - 776, 2024/10

大強度陽子加速器J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は金属磁性体(MA)空胴の特長を生かしビーム出力1MWでの陽子ビーム加速を行っている。ビームはキッカー電磁石により1周で取り出されるが、ビームの取り出し直後、空胴に短時間電圧の跳ね上がりが発生する。これは電圧制御フィードバックに遅延があり、1ターン取り出し時のステップ状のビーム電流の減少に対する応答には一定の時間がかかることが理由であり、広帯域(Q=2)MA空胴ではこの応答の遅れは電圧の跳ね上がりとして観測される。跳ね上がりは取り出し時の電圧が高い場合には空胴機器の損傷の原因となりうるものである。電圧制御フィードバックのゲインパターンを用いて取り出しと同時に出力を抑止すればこの跳ね上がりを抑制できるが、RCSのようなマルチハーモニック運転の場合、パターン設定が煩雑である。このため、低電力高周波(LLRF)制御システムの機能としてビーム取り出しに同期し出力を抑止する仕組みを用意した。機能の詳細、試験結果、活用方法について報告する。

論文

Applying a deep generative model to mountain plot images

野村 昌弘; 島田 太平; 田村 文彦; 沖田 英史; 宮越 亮輔*; 清矢 紀世美*; 吉井 正人*; 大森 千広*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.85 - 88, 2024/10

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、Linacからの入射ビームに関する情報をビームモニタで得た強度分布の情報をマウンテンプロットと呼ばれる画像にすることにより、入射ビームの運動量や入射タイミングのオフセットが視覚的に分かる様にしている。最近話題となっている深層生成モデルの一つにCVAE(Conditional Variational Auto Encoder)がある。CVAEでは、なんらかの条件を与える事により、元の画像から与えられた条件に沿った画像が生成されることが示されている。今回このCVAEの特性を活かして、測定したマウンテンプロットの画像に新たなRCSへの入射の条件を与える事により、入射ビームの運動量分布や時間幅の情報も視覚的に分かる様にすることができた。このことは、今後の加速器の調整に有効であると考えられる。

論文

縦方向計算コードBLonDのGPUバックエンドのベンチマーク

足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 宮越 亮輔*; 沖田 英史; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; et al.

Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.543 - 546, 2024/10

欧州原子核研究機構(CERN)により開発が進められているシミュレーションコードBLonDは、ビーム進行方向(縦方向)の運動を正確に計算する能力と優れた拡張性を有している。先行研究により、J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)における縦方向のビーム挙動をよく再現するモデルを構築することができることが確かめられ、現在は安定したビーム運転のために活用されている。近年、J-PARCではビームのさらなる大強度化に向けた検討を進めている。大強度ビームにおいては、空間電荷効果といったビーム粒子間の相互作用を考慮したビーム挙動の評価が重要となるが、BLonDでは特に空間電荷効果を含めたシミュレーションに計算時間が長くかかることが課題となっていた。最新のBLonDではGPUバックエンドによるシミュレーションの高速化が可能となった。本発表では、RCSの縦方向シミュレーションを主な題材として、BLonD GPUバックエンドの評価を行った結果について報告する。

論文

Improvement of the longitudinal phase space tomography at the J-PARC synchrotrons

沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; Saha, P. K.; 吉井 正人*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; et al.

Journal of Physics; Conference Series, 2687(7), p.072005_1 - 072005_7, 2024/01

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)

縦方向位相空間トモグラフィは、ビーム進行方向(縦方向)の位相空間分布を得るための有効な測定ツールである。J-PARCシンクロトロン(3GeVシンクロトロン及びメインリング)の大強度運転時の位相空間分布の測定には、空間電荷効果や集束力の非線形性等のビーム物理を考慮したトモグラフィが必要であった。本研究では、ビーム物理を考慮可能なハイブリッドアルゴリズムを採用したCERN's TomographyのJ-PARCシンクロトロンへの導入とベンチマークを実施した。ベンチマークの結果、J-PARCシンクロトロンの大強度運転条件における位相空間分布を高精度に測定可能であることを確認した。

論文

J-PARC RCSにおける大強度1バンチ加速の検討

田村 文彦; 沖田 英史; 發知 英明*; Saha, P. K.; 明午 伸一郎; 吉井 正人*; 大森 千広*; 山本 昌亘; 清矢 紀世美*; 杉山 泰之*; et al.

Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.64 - 68, 2023/11

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は物質・生命科学実験施設(MLF)およびメインリング(MR)に大強度陽子ビーム供給を行っている。RCSのハーモニック数hは2で、通常は2つのバンチを加速している。MLFのいくつかの実験では1バンチでのビーム供給が好ましいが、この場合1つのRFバケツを空きバケツとして加速を行うため、ビーム強度は半分となってしまう。RCSのハーモニック数を1として加速できれば、1バンチあたりの強度は2倍となり、最大強度での1バンチビーム供が可能となる。一方MRは、バンチあたりの粒子数を設計より上げることができるならば、1バンチずつ8回の入射を行うことで現在の設計ビームパワー1.3MWを超える運転ができる可能性がある。本発表では、主にRCSでの縦方向シミュレーションによるh=1加速の検討について報告する。

論文

RF systems of J-PARC proton synchrotrons for high-intensity longitudinal beam optimization and handling

田村 文彦; 山本 昌亘; 吉井 正人*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 沖田 英史; 清矢 紀世美*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; et al.

Proceedings of 68th ICFA Advanced Beam Dynamics Workshop on High Intensity and High Brightness Hadron Beams (HB2023) (Internet), p.305 - 311, 2023/10

大強度陽子シンクロトロンの加速空胴に金属磁性体(MA)コアを適用することは、J-PARCの2つのシンクロトロン(RCS、MR)で先駆的に行われた。MA空胴は高い加速電圧を発生させることができ、MA空胴の広帯域周波数特性は、加速中における空胴の共振周波数調整なしで陽子の速度変化に追従した周波数掃引を可能にする。加速に使用する基本波とその二倍高調波の高周波電圧の重畳によって1つの空胴を駆動するデュアルハーモニック運転は、RCSにおける空間電荷果を緩和するためのビーム進行方向のビーム形状制御に不可欠である。MA空胴のこれらの利点は、見方を変えれば欠点でもある。ビームに起因する空胴誘起電圧は複数の高調波(マルチハーモニック)から構成され、高周波バケツ歪みや結合バンチ不安定性を引き起こしビームの運動を不安定にする可能性があるため、それら複数の高調波を同時に補償しなければならない。空胴を駆動するアンプも出力電流が大きく、陽極電圧もマルチハーモニックである。10年以上にわたるRCSとMRの運転におけるこれらの問題に対する我々の取り組みをまとめる。

論文

Development of a single-ended magnetic alloy loaded cavity in the Japan Proton Accelerator Research Complex rapid cycling synchrotron

山本 昌亘; 野村 昌弘; 沖田 英史; 島田 太平; 田村 文彦; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 吉井 正人*

Progress of Theoretical and Experimental Physics (Internet), 2023(7), p.073G01_1 - 073G01_16, 2023/07

 被引用回数:2 パーセンタイル:25.65(Physics, Multidisciplinary)

J-PARC 3GeVシンクロトロンでは、ビームの加速に金属磁性体を装荷した加速空胴を使用している。金属磁性体の広帯域特性を利用して、ビームを加速する周波数だけでなく、その高調波も増幅する多重高調波励振によってビームの安定加速を実現している。既設の空胴は真空管増幅器において、加速電場を発生させる絶縁ギャップの前後に個別に電圧を印加するプッシュプル励振となるよう設計されている。プッシュプル励振は、ビームを加速しない状態では高調波歪みを抑制でき、さらに空胴の長さを短くできる利点がある。しかし、大強度ビーム加速時にはビームが誘起する電圧によって多重高調波励振が歪められ、それを補正するために絶縁ギャップの前後にかかる陽極電圧振幅が深刻な不平衡を引き起こし、真空管の動作を制限してしまう。現状では、設計値である1MWビーム加速は達成できているが、より安定な運転を行う上では真空管の不平衡が問題となる。この問題を避けるため、シングルエンド励振の空胴を開発した。シングルエンド励振は本質的に不平衡が起こらず、さらに既設の空胴に対して遥かに少ない電力消費を達成できることが分かった。

論文

Design studies on a high-power wide-band RF combiner for consolidation of the driver amplifier of the J-PARC RCS

沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; et al.

Journal of Physics; Conference Series, 2420, p.012092_1 - 012092_6, 2023/01

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、大強度陽子ビーム加速のために高周波加速装置を構成する8kWの駆動段半導体増幅器の出力増強が求められている。現在、窒化ガリウムを用いた6.4kW半導体増幅器を基本モジュールとする25kW半導体増幅器の開発を進めている。この開発の鍵となるのが、広い周波数帯域(およそ0.1-10MHz)を持ち、かつ25kWの高出力が可能な結合器の設計である。結合器の出力と周波数帯域は同軸ケーブルと磁性体コアからなる伝送線路トランスの設計に依存する。本研究では、同軸ケーブルと磁性体コアの特性を組み込んだ回路シミュレータモデルを構築し、これを用いて目標とする出力と周波数帯域を達成可能な伝送線路トランスの設計並びに結合器の回路設計を完了させた。本発表では、結合器の回路シミュレータモデルのセットアップとそれを用いた結合器の設計の詳細について報告する。

論文

J-PARC 3GeVシンクロトロン1MW運転状況,2

山本 風海; 山本 昌亘; 山崎 良雄; 野村 昌弘; 菅沼 和明; 藤来 洸裕; 神谷 潤一郎; 仲野谷 孝充; 畠山 衆一郎; 吉本 政弘; et al.

Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.277 - 281, 2023/01

J-PARC 3GeVシンクロトロン(3GeV Rapid Cycling Synchrotron, RCS)は物質生命科学実験施設(Materials and Life science experimental Facility: MLF)および主リング(Main Ring: MR)に最大1MW相当のビームを供給している。RCSは改良を重ねつつ徐々にビーム出力を上げていき、2015年に1MW相当の試験運転に成功した。その後、供用運転としても段階的にビーム出力を増加しながら、1MWの連続運転試験を断続的に行ってきたが、2020年6月に二日間の連続運転試験を実施した際には、最終的に冷却水温度が上昇し、機器の温度を下げることが出来なくなりインターロックが発報する事態となった。その後冷却水設備の熱交換器の洗浄を実施し、2022年6月に再度1MWビーム連続運転試験を行った。2022年6月の試験時は猛暑日となり、熱交換器の性能は改善されていたにも関わらず、1MWでは運転を継続できなかった。一方、600kWであれば猛暑日であっても運転できることを確認した。

論文

画像認識技術により、マウンテンプロット画像から運動量広がりと縦方向のビーム形状を求める

野村 昌弘; 沖田 英史; 島田 太平; 田村 文彦; 山本 昌亘; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; 大森 千広*; 吉井 正人*

Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.215 - 217, 2023/01

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、機械学習の一種であるニューラルネットワークによる画像認識技術を用いることにより、ビームモニタで得た強度分布の画像から、前段のLinacからの入射ビームに関する情報が得られるようにしている。現状では、得られる情報の中で、入射ビームの運動量広がりについてはガウス分布の標準偏差として、また時間構造については強度が一定としてその時間幅として求められているが、これらの情報に関してはそれぞれの値としてではなく、運動量広がりと時間で表される位相空間上での強度分布として求められることが望まれる。そこで本研究では、ニューラルネットワークの出力を値から画像に変更し、位相空間上での強度分布の画像を学習させることにより、ニューラルネットワークの予測画像として位相空間上での強度分布が求められる様にした。その結果、シミュレーションによる画像を用いた検証ではあるが、ビームモニタで得た強度分布の画像から位相空間上での強度分布が求められることが確かめられた。

論文

J-PARC RCSにおける大強度ビーム加速時に加速ギャップに発生する高次高調波の評価

沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 杉山 泰之*

Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.262 - 266, 2023/01

J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)の大強度ビーム運転中の高周波加速(RF)空胴では、ビーム電流が誘起するウェイク電圧が発生する。RCSのRF空胴は広帯域であるため、ウェイク電圧には高い周波数成分が含まれる。現在のRF制御システムでは基本周波数の四倍までの高調波(四倍高調波)を検波しているが、四倍高調波よりも高い周波数成分(高次高調波)もビーム挙動に影響を与えている可能性が示唆されていた。本研究では、大強度ビーム運転中のRF空胴電圧を測定し、周波数解析から高次高調波の評価を行なった。加えて、ビームトラッキングシミュレーションを用いて高次高調波がビーム挙動に与える影響を評価した。本研究の結果、大強度ビーム運転中のRF空胴には複数の高次高調波が発生しており、加速後半において高次高調波がビーム電流分布を変形させることが分かった。

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