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雨倉 宏*; Chettah, A.*; 鳴海 一雅*; 千葉 敦也*; 平野 貴美*; 山田 圭介*; 山本 春也*; Leino, A. A.*; Djurabekova, F.*; Nordlund, K.*; et al.
Nature Communications (Internet), 15, p.1786_1 - 1786_10, 2024/02
被引用回数:1 パーセンタイル:70.85(Multidisciplinary Sciences)高い電子的阻止能領域の照射条件で高エネルギー重イオンを固体に照射すると、イオンの飛跡に沿って潜在イオントラックと呼ばれる柱状の損傷領域が形成される。イオントラックは、多くの物質中で形成されていることが知られているが、ダイヤモンドにおいて観察された例は皆無であった。高エネルギー(GeV)のウランイオンにおいてさえ、観察された例はない。本研究では、2-9MeV Cフラーレンイオンを照射したダイヤモンドにおいて、初めてイオントラックが観察された。高分解能電子顕微鏡による観察により、イオントラックの内部がアモルファス化していることが示唆され、さらに、電子エネルギー損失分光法による分析によって、グラファイト由来の-結合の信号が検知された。分子動力学法に基づく計算シミュレーションで、上記の実験結果を再現することに成功した。
Nordlund, K.*; Zinkle, S. J.*; Sand, A. E.*; Granberg, F.*; Averback, R. S.*; Stoller, R. E.*; 鈴土 知明; Malerba, L.*; Banhart, F.*; Weber, W. J.*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 512, p.450 - 479, 2018/12
被引用回数:370 パーセンタイル:99.04(Materials Science, Multidisciplinary)あらゆる種類の放射線影響の科学的理解は、一次損傷、すなわち、高エネルギー粒子によって開始された原子弾き出し事象の直後に生成される欠陥から始まる。このレビューでは、過去数十年にわたり一次損傷の性質について繰り返し行われてきた広範な実験およびコンピュータシミュレーションの研究を検討する。我々は、材料における結晶学的または位相的欠陥の生成、ならびに原子混合、すなわち結晶学的位置の原子が他のものと位置を交換することも検討する。我々はまた、このエネルギー粒子の損傷を定量化するための現在の国際標準であるNorgett-Robinson-Torrens(NRT)-dpaの代替案を提供するための最近の取り組みについて考察する。我々は、NRT-dpaを拡張する新しい補完的な変位量推定(athermal recombination corrected dpa: arc-dpa)と原子混合(replacements per atom: rpa)関数を詳細に提示し、それらの利点と限界について議論する。
雨倉 宏*; Kluth, P.*; Mota-Santiago, P.*; Sahlberg, I.*; Jantunen, V.*; Leino, A. A.*; Vazquez, H.*; Nordlund, K.*; Djurabekova, F.*; 大久保 成彰; et al.
Physical Review Materials (Internet), 2(9), p.096001_1 - 096001_10, 2018/09
被引用回数:10 パーセンタイル:34.98(Materials Science, Multidisciplinary)高速重イオンを非晶質SiOに照射すると、核に低密度物質、その周りの殻に高密度物質が誘起され、核/殻状のイオントラック損傷が形成されることが知られている。この核/殻状のイオントラック損傷の形成を説明するモデルとして、核部分に超高温の蒸気相が形成されることを仮定するモデルが提唱され、有力なモデルとされている。しかし、本研究での分子動力学計算の結果、イオン照射に伴うエネルギー伝達密度が低い(3keV/nm以下)条件では蒸気相は実現されない結果になるにもかかわらず、一方でそのような実験条件でも核/殻状のイオントラック損傷が形成されることが今回の実験で明らかになった。以上の解析のみならず、様々な補足実験や計算の結果、従来重要とされてきた蒸気相の形成は、照射影響(核/殻状のイオントラック損傷の形成等)を起こすための必須条件ではないことが明らかになった。
Nordlund, K.*; Zinkle, S. J.*; Sand, A. E.*; Granberg, F.*; Averback, R. S.*; Stoller, R.*; 鈴土 知明; Malerba, L.*; Banhart, F.*; Weber, W. J.*; et al.
Nature Communications (Internet), 9, p.1084_1 - 1084_8, 2018/03
被引用回数:249 パーセンタイル:98.91(Multidisciplinary Sciences)原子衝突プロセスは、電子顕微鏡、半導体加工、原子力発電等、数多くの先進的な材料技術の基本である。ここ数十年にわたる広範な実験および計算シミュレーション研究によって、弾き出し損傷時に起きる原子スケールのプロセスを理解するための物理的基礎が確立された。損傷を定量化するための現在の国際標準はNorgett-Robinson-Torrens(NRT)-dpaと呼ばれているが、現在それにはいくつかの欠点が知られている。特に、金属のカスケード損傷で生成される欠陥の数は、NRT-dpa予測の約1/3であるのに対し、原子の混合に関与する原子数はdpa値よりも約30倍大きい。本研究では、弾き出し損傷をより現実的に記述し、NRT-dpaを拡張する2つの新しい指標を提案する。
Marian, J.*; Becquart, C. S.*; Domain, C.*; Dudarev, S. L.*; Gilbert, M. R.*; Kurtz, R. J.*; Mason, D. R.*; Nordlund, K.*; Sand, A. E.*; Snead, L. L.*; et al.
Nuclear Fusion, 57(9), p.092008_1 - 092008_26, 2017/06
被引用回数:115 パーセンタイル:99.22(Physics, Fluids & Plasmas)ITER後に計画されているDEMO炉の構造材料は、これまでにないような照射、熱条件にさらされる。このような極限環境を実験的に模擬することはできないが、計算科学的な方法によって材料挙動を研究し実験的方法を補足することができる。高温や照射に対するすぐれた耐性から、タングステンは第一壁やダイバータ等のプラズマ対向面の材料として最善の候補とされている。このレビューではプラズマ対向材および高速中性子に照射されるバルク材としてのタングステンの最近の計算科学によるモデリングの成果についてまとめた。特に、計算科学的な方法によるいくつかの顕著な発見に重点を置き、残された将来の課題を指摘した。
Nordlund, K.*; Sand, A. E.*; Granberg, F.*; Zinkle, S. J.*; Stoller, R.*; Averback, R. S.*; 鈴土 知明; Malerba, L.*; Banhart, F.*; Weber, W. J.*; et al.
NEA/NSC/DOC(2015)9 (Internet), 86 Pages, 2015/00
本報では、中性子, イオン, 電子による1次的照射損傷の現在の理解についてレビューを行う。照射損傷の指標であるdpaの有効性について、特にその指標の部分的な欠陥について詳しい議論する。現在最も標準的に使われているNRT-dpaは照射損傷が単位体積あたりの照射エネルギーに比例するので、そのようなスケーリングが成り立つ場合には完全に有効であり、異なった環境での照射を比較する場合に使用できる。しかしながら、NRT-dpaはいくつかの問題点が指摘されており、ここではそれについて詳しく議論し、NRT-dpaを改良した式を提案する。