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論文

Significance of DNA Polymerase I in ${it in vivo}$ processing of clustered DNA damage

鹿園 直哉; 赤松 憲; 高橋 桃子*; 野口 実穂; 漆原 あゆみ; O'Neill, P.*; 横谷 明徳

Mutation Research; Fundamental and Molecular Mechanisms of Mutagenesis, 749(1-2), p.9 - 15, 2013/09

 被引用回数:12 パーセンタイル:36.83(Biotechnology & Applied Microbiology)

クラスターDNA損傷は、電離放射線によってDNAへリックス二回転中に二つ以上の損傷が生じるものである。クラスターDNA損傷がどの程度、また、どのように生物影響を及ぼすのかに関しては不明な点が多い。本研究では、鎖切断と脱塩基部位や8-oxo-7,8-dihydroguanine (8-oxoG)を含むクラスターDNA損傷を用い、大腸菌に形質転換し、形質転換効率及び突然変異頻度を調べた。鎖切断と脱塩基部位からなるクラスターDNA損傷の場合、鎖切断及び脱塩基部位がそれぞれ単独であった場合に対し、形質転換効率は大幅に低下することが明らかになった。損傷間の距離を離す(10-20bp)と、形質転換効率はDNA polymerase I(Pol I)の作用により回復した。一方、鎖切断と8-oxoGからなるクラスターDNA損傷の場合、クラスターDNA損傷による突然変異頻度はPol Iの働きによって低下することが明らかとなった。これらの結果は、クラスターDNA損傷による生物効果にPol Iが深く関与することを示している。

論文

The Mutagenic potential of 8-oxoG/single strand break-containing clusters depends on their relative positions

野口 実穂; 漆原 あゆみ; 横谷 明徳; O'Neill, P.*; 鹿園 直哉

Mutation Research; Fundamental and Molecular Mechanisms of Mutagenesis, 732(1-2), p.34 - 42, 2012/04

 被引用回数:16 パーセンタイル:45.3(Biotechnology & Applied Microbiology)

In vivoにおいて塩基損傷を伴った鎖切断の効果はいまだ多くが不明である。本研究においてわれわれは1ヌクレオチドgap(GAP)と8-oxoGから成るクラスターDNA損傷の突然変異誘発性について明らかにした。MutY欠損株において、GAPと8-oxoGの2つの損傷から成り、これらが相補鎖にまたがって存在するクラスター損傷の変異頻度は8-oxoGとAPサイトから成るクラスター損傷とほぼ同じ値を示したことから、クラスター損傷内において、GAPはAPサイトと同様に処理されることが示唆された。GAPと8-oxoGが同一鎖上に存在するクラスター損傷の変異頻度は8-oxoG単独損傷とほぼ等しい値であった。3つの損傷から成るクラスター損傷(GAPと8-oxoGが相補鎖、その同一鎖上にもう一つの8-oxoG)の変異頻度は8-oxoG単独損傷より高い値であったが、2つの8-oxoGが相補鎖にまたがって存在するクラスター損傷に比べて低い値であった。これらの結果から、クラスター損傷内にGAPが存在する場合、存在しない場合に比べて、8-oxoGの鋳型として向いに挿入されるヌクレオチドの変異誘発性が低くなることが示唆された。さらに、GAPの修復は相補鎖の8-oxoGにより阻害されるが、同一鎖の8-oxoGには阻害されないことが示唆され、GAPの修復が生物影響に大きく影響を与えることが示された。

論文

Biological consequences of potential repair intermediates of clustered base damage site in Escherichia coli

鹿園 直哉; O'Neill, P.*

Mutation Research; Fundamental and Molecular Mechanisms of Mutagenesis, 669(1-2), p.162 - 168, 2009/11

 被引用回数:17 パーセンタイル:44.68(Biotechnology & Applied Microbiology)

To gain insights into the processing of bistranded base lesions, several potential repair intermediates following 8-oxoG removal from bistranded clusters containing 8-oxoG and DHT were assessed. Clusters, such as DHT/AP and DHT/GAP have relatively low mutation frequencies, whereas clusters, such as AP/AP or GAP/AP, significantly reduce the number of transformed colonies, most probably through formation of a lethal DSB. These results suggest that bistranded base lesions, but not clusters containing only AP sites and strand breaks, are repaired in a coordinated manner so that the formation of DSBs is avoided. We propose that, when either base lesion is initially excised from a bistranded base damage site, the remaining base lesion will only rarely be converted into an AP site or a single strand break in vivo.

論文

Induction of DNA strand breaks, base lesions and clustered damage sites in hydrated plasmid DNA films by ultrasoft X rays around the phosphorus K edge

横谷 明徳; Cunniffe, S. M. T.*; 渡辺 立子; 小林 克己*; O'Neill, P.*

Radiation Research, 172(3), p.296 - 305, 2009/09

 被引用回数:25 パーセンタイル:60.53(Biology)

リンK殻共鳴吸収により生じるDNA損傷である鎖切断,塩基損傷及びこれを含むクラスター損傷の水和依存性を調べた。試料には乾燥及び高水和状態のpUC18プラスミドDNAを用いた。塩基損傷は、塩基除去修復酵素であるNthあるいはFpgをプローブとして用い、これらが塩基損傷を除去した際に付加的に生じる鎖切断として観測した。いずれの損傷も、リンの共鳴励起エネルギーでその収量が低下した。これはリンのK殻共鳴により生じるLMMオージェ電子($$sim$$120eV)など低速の2次電子の極めて飛程が短いため、それが生じた部位のごく近傍に損傷を集中させるため検出できないより複雑な損傷が生成していると考えられる。また高水和DNAの方がクラスター損傷の指標となる酵素処理で付加的に生じるDNA2本鎖切断頻度を増加させたことから、低速2次電子だけでなく周囲の水分子も重要な役割を果たしていると考えられる。

論文

Processing of thymine glycol in a clustered DNA damage site; Mutagenic or cytotoxic

Bellon, S.*; 鹿園 直哉; Cunniffe, S. M. T.*; Lomax, M.*; O'Neill, P.*

Nucleic Acids Research, 37(13), p.4430 - 4440, 2009/07

 被引用回数:46 パーセンタイル:69.73(Biochemistry & Molecular Biology)

The potential for genetic change arising from the effects of clustered damage sites is high. We have investigated whether clusters containing thymine glycol (Tg) are highly mutagenic or lead to potentially cytotoxic lesions, when closely opposed to either 8-oxo-7,8-dihydroguanine (8-oxoG) or an AP site. We have shown that double strand breaks (DSBs) arise when Tg is opposite to an AP site, either through attempted repair or at replication. In contrast, 8-oxoG opposite to Tg in a cluster protects against DSB formation but does enhance the mutation frequency at the site of 8-oxoG relative to that at a single 8-oxoG.

論文

LET dependence of the yield of single-, double-strand breaks and base lesions in fully hydrated plasmid DNA films by $$^{4}$$He$$^{2+}$$ ion irradiation

漆原 あゆみ*; 鹿園 直哉; O'Neill, P.*; 藤井 健太郎; 和田 成一*; 横谷 明徳

International Journal of Radiation Biology, 84(1), p.23 - 33, 2008/01

 被引用回数:40 パーセンタイル:91.3(Biology)

放射線によりDNAに生じる複雑な損傷の実体を調べるため、水和プラスミドDNAに$$^{4}$$He$$^{2+}$$イオンを照射した時の、1本鎖切断(SSB)、2本鎖切断(DSB)及び塩基損傷の収率を調べた。塩基損傷は塩基除去修復酵素処理により新たに生じるSSBとして定量した。その結果、放射線により直接生じる1本鎖切断の収率は$$^{4}$$He$$^{2+}$$イオンのLETに依存しなかったが塩基損傷の収率はLETの増加に伴い劇的に減少することが明らかになった。さらにDSB及び酵素処理により生じるDSBの収率の和(総クラスター損傷収率)は、実験で利用した最大のLETを除き、LETの増加に伴って増加した。これらの結果から、放射線のイオン化・励起密度が増すに連れ、修復酵素が処理できない複雑なクラスター損傷の生成頻度が増大することが示唆された。

論文

DNA damage induced by the direct effect of He ion particles

漆原 あゆみ; 鹿園 直哉; 渡辺 立子; 藤井 健太郎; O'Neill, P.*; 横谷 明徳

Radiation Protection Dosimetry, 122(1-4), p.163 - 165, 2006/12

 被引用回数:4 パーセンタイル:30.68(Environmental Sciences)

近年、電離放射線の照射によって複数の損傷が近接したクラスターDNA損傷が生じ、これが放射線による致死や突然変異誘発等の原因であると予想されている。われわれはクラスター損傷の性質を解明するために、ヘリウムイオンビームのLETを変えて(19, 63及び95keV/$$mu$$m)、高水和状態に保ったpUC18プラスミドDNAに照射し、生じた鎖切断(ssb, dsb)生成頻度及び、照射後の修復酵素(Nth, Fpg)処理によって生じる鎖切断生成頻度の測定を行った。その結果、ssb生成量はほとんど変化しなかったが、dsb生成量はLETに依存して増加した。また、各修復酵素処理後の鎖切断の増加量を比較したところ、LETの増加に伴う酵素修復効率の低下が見られた。以上の結果は、単独で存在していた損傷がLETの増加に伴って徐々に密集し、クラスター化していくことを示唆するものである。また、酵素による修復効率のLET依存的な低下の理由として、クラスター化した損傷の修復の困難さと、密集した損傷であることによる検出限界の二つの可能性が考えられる。

論文

The Roles of specific glycosylases in determining the mutagenic consequences of clustered DNA base damage

鹿園 直哉; Pearson, C.*; O'Neill, P.*; Thacker, J.*

Nucleic Acids Research, 34(13), p.3722 - 3730, 2006/08

 被引用回数:57 パーセンタイル:71.26(Biochemistry & Molecular Biology)

電離放射線の持つ高い生物効果はクラスター化したDNA損傷に原因があると予想されているが、その突然変異誘発効果についてはほとんど研究が進んでいない。われわれは変異原性をもたない塩基損傷である5,6-ジヒドロチミン(DHT)を相補鎖上に配置させ、変異原性である8-オキソグアニン(8oxoG)の変異誘発効果に影響を与えるかを調べた。その結果、大腸菌の野生株及びグリコシラーゼ欠損突然変異株において、DHTと8-oxoGのクラスターは単独の8-oxoGよりも変異風発頻度が高いことが明らかとなった。このクラスターの修復の初期過程において、エンドヌクレアーゼIIIはDHTを除去し8-oxoGの相補鎖上に脱塩基部位(AP)もしくは鎖切断(SSB)を生じさせる役割があると考えられる。このAPもしくはSSBを持つ中間体は、多くのクラスター化した塩基損傷に共通すると思われる。また、クラスター化した損傷による突然変異誘発の抑制に最も重要なグリコシラーゼは、複製後に働くMutYであった。大腸菌内では変異を持つプラスミドともたないプラスミドがさまざまな量比で混在したことから、損傷を持つ2つの鎖は異なる速度で複製されることが示唆された。

論文

Molecular dynamics simulation of clustered DNA damage sites containing 8-oxoguanine and abasic site

藤本 浩文*; Pinak, M.; 根本 俊行*; O'Neill, P.*; 久米 悦雄; 斎藤 公明; 前川 秀明*

Journal of Computational Chemistry, 26(8), p.788 - 798, 2005/06

 被引用回数:23 パーセンタイル:57.53(Chemistry, Multidisciplinary)

電離放射線によるDNAクラスター損傷は修復され難く、細胞のガン化など生体にとって深刻な事態を引き起こす原因の一つと考えられている。DNAクラスター損傷を持つDNA分子には、単独の損傷を持つ分子と比べるとDNA修復酵素が作用し難いことが、生化学的・分子生物学的実験によって示されているが、どのような要因が酵素の作用阻害に関わっているかはいまだ不明である。そこで本研究では、DNAクラスター損傷における酵素の作用阻害の要因を、計算科学的手法を用いて考察した。既報の実験で用いられたDNA分子と同配列となるように、7,8-dihydro-8-oxoguanine(8-oxoG)及びapurinic/apyrimidinic(AP) siteという2つの酸化損傷部位が数塩基はなれた位置に存在する40merのDNA分子を、2損傷部位間の距離を変えて6種類設計し、それぞれに対し分子動力学的(MD)シミュレーションを1nsのオーダーで行った。その結果、損傷部位における分子の屈曲や、損傷塩基と相補鎖上の塩基との相互静電エネルギーの減少など損傷DNA分子に特徴的な構造や性質が観察された。これらの特徴によって修復酵素がDNAに結合できず、したがって修復効率が低下したのではないかと推察される。

論文

Molecular dynamics of 8-oxoguanine lesioned B-DNA molecule; Structure and energy analysis

Pinak, M.; O'Neill, P.*; 藤本 浩文; 根本 俊行*

AIP Conference Proceedings 708, p.310 - 313, 2004/05

酸化損傷を受けたDNAの構造とエネルギーの変化そしてDNAと修復酵素の複合体形成の動的過程を明らかにするためにDNA突然変異源となる酸化損傷7,8-dihydro-8-oxoguanine(8-oxoG)とその修復酵素human oxoguanine glycosylase 1(hOGG1)を生理的水溶液環境下に配置しmultiple nanosecond moleculardynamics simulationを行った。その結果、DNA-酵素複合体において、N末端のアルギニン324が8-oxoGヌクレオチドのホスホジエステル結合に接近しアミノ酸と損傷部位が化学反応を行えることがわかった。DNA損傷の認識、すなわち修復酵素による損傷部位の認識とDNA-酵素の安定な複合体の形成は、その後の修復プロセスを正常に進めるために必須の条件である。

論文

Effects of hydration on the induction of strand breaks, base lesions, and clustered damage in DNA films by $$alpha$$-radiation

横谷 明徳; Cunniffe, S. M. T.*; Stevens, D. L.*; O'Neill, P.*

Journal of Physical Chemistry B, 107(3), p.832 - 837, 2003/01

 被引用回数:26 パーセンタイル:56.43(Chemistry, Physical)

相対湿度を制御した条件下で、プラスミドDNAに対して$$alpha$$線を照射した後、FpgとNthという二つの塩基除去修復酵素をプローブとして用いて、DNAの鎖切断,塩基損傷及びこれらを含むクラスター損傷の収率を測定した。相対湿度を0$$sim$$98%まで変えることで、DNAに配位している水和水の量を、5$$sim$$38分子/ヌクレオチドまで変えることができるため、$$alpha$$線のDNA損傷に与える水和水の効果を調べることができる。得られた結果は、鎖切断に関しては$$gamma$$線照射の場合のそれとほとんど同じであったのに対して、酵素処理により検出される塩基損傷はほとんど観測されなかった。以上の結果から、高LET放射線である$$alpha$$線により、DNA修復酵素が修復できないような複雑なクラスター損傷が生成している可能性が示された。

論文

Effect of hydration on the induction of strand breaks and base lesions in plasmid DNA films by $$gamma$$-radiation

横谷 明徳; Cunniffe, S. M. T.*; O'Neill, P.*

Journal of the American Chemical Society, 124(30), p.8859 - 8866, 2002/07

 被引用回数:87 パーセンタイル:87.7(Chemistry, Multidisciplinary)

$$gamma$$線照射されたプラスミドDNAフィルム中のDNA鎖切断(SSb及びDSB)と塩基損傷の収率を、DNA単位長あたりの水和水量の関数として測定した。塩基損傷は、大腸菌由来の塩基除去修復酵素(NthとFpg)を作用させ、glycosyl活性及びAPlyace活性により生じるSSbとして検出した。水和水の制御は、相対湿度をコントロールしたチェンバー中に15時間,5$$^{circ}C$$に保持することで行った。得られたDNAのコンフォメーションは、アガロースゲル電気泳動により解析した。その結果、(1)鎖切断よりもむしろ塩基損傷の収率の方が、水和水の量に依存して増加すること。(2)OHラジカルは生成したとしても鎖切断には寄与しないこと(3)extraなDSBが水和水量とともに増加することから、クラスター化した損傷が、直接効果として生じることが、明らかにされた。

口頭

Mutagenic potential of clustered DNA damage site in ${it Escherichia coli}$

鹿園 直哉; Pearson, C.*; Thacker, J.*; O'Neill, P.*

no journal, , 

クラスターDNA損傷は、電離放射線によって特異的に生じるものであるが、その変異誘発機構については不明な点が多い。そこで、二本鎖上の任意の位置に二つの塩基損傷(8-oxo-7,8-dihydroguanine(8-oxoG)とdihydrothymine(DHT))を配置させ、単独の塩基損傷に比べて大腸菌において変異誘発頻度が高まるかどうかを調べた。その結果、野生株,グリコシラーゼ欠損株において、8-oxoGもしくはDHT単独に対し8-oxoGとDHTとがクラスター化することで突然変異頻度は高まることが見いだされた。本研究で用いたクラスターDNA損傷では、DHTが先に除去される結果、多くの8-oxoGの除去が阻害されていると考えられる。しかしながら8-oxoGが先に除去されている可能性も残っている。クラスター損傷の修復過程に関してさらなる知見を得る目的から、8-oxoGが除去された後に生ずると考えられる中間体の変異誘発頻度を調べた。その結果、8-oxoGが先に除去された場合、その後生ずる脱塩基部位は速やかに1本鎖切断に変換されることが示唆された。

口頭

Mutagenic potential of clustered DNA damage site in ${it Escherichia coli}$

鹿園 直哉; Pearson, C.*; Thacker, J.*; O'Neill, P.*

no journal, , 

クラスターDNA損傷は、電離放射線によって特異的に生じるものであるが、その変異誘発機構については不明な点が多い。そこで、二本鎖上の任意の位置に二つの塩基損傷(8-oxo-7,8-dihydroguanine (8-oxoG)及びdihydrothymine (DHT))を配置させ、単独の塩基損傷に比べて大腸菌において変異誘発頻度が高まるかどうかを調べた。その結果、野生株,グリコシラーゼ欠損株において、8-oxoGもしくはDHT単独に対し8-oxoGとDHTとがクラスター化することで突然変異頻度は高まることが見いだされた。本研究で用いたクラスターDNA損傷では、DHTが先に除去される結果、多くの8-oxoGの除去が阻害されると考えられるが、8-oxoGが先に除去される可能性も残っている。クラスター損傷の修復過程に関してさらなる知見を得る目的から、8-oxoGが除去された後に生ずると考えられる中間体の変異誘発頻度を調べた。その結果、「DHTとAP」もしくは「DHTと鎖切断」では変異頻度が高くないが、「APとAP」もしくは「APと鎖切断」では変異頻度が非常に高いことがわかった。これらの結果から、8-oxoGもしくはDHTが除去された後に残ったクラスター損傷内の塩基損傷は、AP部位や1本鎖切断には変換されないことが示唆された。

口頭

Biological consequences of bistranded clustered DNA damage in ${it Escherichia coli}$

鹿園 直哉; Pearson, C.*; Thacker, J.*; O'Neill, P.*

no journal, , 

クラスターDNA損傷は、電離放射線によって特異的に生じるものであるが、その変異誘発機構については不明な点が多い。われわれは、クラスター化したDNA二本鎖上の2つの塩基損傷は単独の塩基損傷に比べて突然変異頻度は高まることを見いだした。クラスター損傷のプロセシングに関してさらなる知見を得る目的から、8-oxoGが除去された後に生ずると考えられる脱塩基部位や鎖切断を含む中間体の変異誘発頻度を調べた。その結果、「DHTと脱塩基部位」もしくは「DHTと鎖切断」では変異頻度が高くないが、「脱塩基部位と脱塩基部位」もしくは「脱塩基部位と鎖切断」では変異頻度が非常に高いことがわかった。これらの結果から、8-oxoGもしくはDHTが除去された後に残ったクラスター損傷内の塩基損傷は、脱塩基部位や鎖切断には変換されないことが示唆された。

口頭

8-oxoGとDHTからなるクラスターDNA損傷のプロセシング経路

鹿園 直哉; Pearson, C.*; Thacker, J.*; O'Neill, P.*

no journal, , 

クラスターDNA損傷は、単一の放射線のトラックによって生じる電離放射線に特徴的なものと考えられているが、そのin vivoでのプロセシングについては不明な点が多い。そこで、二本鎖上の任意の位置に二つの塩基損傷(8-oxo-7,8-dihydroguanine (8-oxoG)及びdihydrothymine(DHT))を配置させ、単独の塩基損傷に比べて大腸菌において変異誘発頻度が高まるかどうかを調べた結果、クラスターDNA損傷では突然変異頻度は高まることが見いだされた。8-oxoGと脱塩基部位(AP site)からなるクラスターDNA損傷でも同様な結果が得られた。クラスター損傷の修復過程に関してさらなる知見を得る目的から、8-oxoGが除去された後に生ずると考えられる中間体を調べたところ、「APとAP」もしくは「APと鎖切断」ではほとんど複製が起こらないことが明らかになった。これらの結果から、8-oxoGもしくはDHTが除去された後、残ったクラスター損傷内の塩基損傷は、AP部位や1本鎖切断にさらに変換されないと示唆される。

口頭

Mutagenic potential of 8-oxo-7,8-dihydroguanine depends on the location of a single strand break within a cluster

野口 実穂; 漆原 あゆみ*; 横谷 明徳; O'Neill, P.*; 鹿園 直哉

no journal, , 

電離放射線は放射線の飛跡に沿って電離や励起を起こし、DNAにさまざまな損傷を生じる。放射線のDNA損傷で特徴的なのは電離や励起や密に起こることで生じるクラスターDNA損傷である。クラスター損傷はDNAの1$$sim$$2ヘリカルターンに2個以上の損傷を持つものとして定義されている。生じるクラスター損傷は理論的には一本鎖切断(SSB)に塩基損傷を伴ったような損傷が多いと言われている。in vitroではSSBと塩基損傷8-oxoGが近傍にあると、SSBが8-oxoGの変異を増強することが報告されている。これを踏まえて、本研究では人工的に合成したモデルクラスター損傷を用いて突然変異誘発を調べる細胞内実験系を利用し、細胞内(大腸菌内)でSSBが8-oxoGの変異にどのような影響をあたえるかを検討した。8-oxoGと相補鎖のSSBとによるクラスター損傷の場合、8-oxoG単独の損傷よりも突然変異誘発率が上昇した。特にMutY欠損株の結果からSSBが8-oxoGの除去を阻害していることが示唆された。しかし、8-oxoGとSSBとが同一鎖上にあるクラスター損傷では8-oxoG単独で高い変異率を示したfpg, mutY株でも突然変異誘発率の上昇は全く認められなかった。以上から8-oxoGと相補鎖のSSBの場合、相補鎖のSSBが8-oxoGの修復を阻害すること、同一鎖の場合、8-oxoGはSSBの修復に伴い除去されている可能性がある、ことが考えられ、8-oxoGとSSBとのクラスター損傷ではSSBが二本鎖のどちらに存在するかにより突然変異誘発率が大きく変化することが推測された。

口頭

Processing of clustered DNA damage site in ${it Escherichia coli}$

鹿園 直哉; Pearson, P.*; Thacker, J.*; O'Neill, P.*

no journal, , 

ジヒドロチミンと8-オキソグアニンと呼ばれる塩基損傷からなるクラスター損傷のプロセシングに関する知見を得る目的から、大腸菌の野生株において、塩基損傷が除去された後生ずると考えられる修復中間体の形質転換効率及び変異誘発頻度を調べた。その結果、「ジヒドロチミンと脱塩基部位」もしくは「ジヒドロチミンと鎖切断」では変異頻度が高くないが、塩基損傷のない「脱塩基部位と脱塩基部位」もしくは「脱塩基部位と鎖切断」ではともに、形質転換効率は非常に低くかつ変異頻度は非常に高いことがわかった。これらの結果から、8-オキソグアニンもしくはジヒドロチミンのどちらかが除去された後に残ったクラスター損傷内の塩基損傷は、脱塩基部位や鎖切断には変換されないことが示唆された。

口頭

鎖切断と脱塩基部位からなるクラスターDNA損傷の生物効果

鹿園 直哉; 野口 実穂; 漆原 あゆみ*; O'Neill, P.*; 横谷 明徳

no journal, , 

われわれは二本鎖切断以外のクラスターDNA損傷に注目して研究を進めている。本研究では、鎖切断と脱塩基部位を含むクラスターDNA損傷を用い、大腸菌野生株での形質転換効率及び誘発突然変異を調べた。その結果、鎖切断及び脱塩基部位がそれぞれ単独であった場合に対し、鎖切断が脱塩基部位とクラスター化することで、形質転換効率は大幅に低下することが明らかになった。このことから、クラスターの大部分はプロセシングによりDSBを生じていることが示唆される。一方、各々の損傷が極近傍に存在する場合ほぼすべてのプラスミドで変異が生じており、シークエンス解析から、脱塩基部位:CのC:Gへの変化及び脱塩基部位:Cサイトの1塩基対欠失が主要な変異であることが明らかになった。これらの結果は、われわれが以前報告した塩基損傷からなるクラスター損傷での結果と大きく異なっており、クラスター損傷による生物効果はクラスターを構成する損傷の種類に強く依存することを示唆している。

口頭

Mutagenic potential of clustered DNA damage containing single strand break and 8-oxoGs

野口 実穂; 漆原 あゆみ; 横谷 明徳; O'Neill, P.*; 鹿園 直哉

no journal, , 

放射線は飛跡に沿ってDNA上にクラスターDNA損傷を生じ、その複雑性はLETの増加に伴い増す。非二本鎖切断(DSB)型クラスター損傷はDSB型損傷に比べて、生物効果が少ないといわれてきたが、近年のさまざまな研究によって、放射線誘発突然変異などの生物効果に寄与する可能性が示唆されている。そこで、本研究ではクラスター損傷の中でも比較的多く生じやすいとされている一本鎖切断(SSB)と塩基損傷からなるクラスター損傷の突然変異誘発性について調べた。損傷の突然変異頻度の測定には大腸菌によるPlasmid based assayを用いた。クラスター損傷はSSBと複数の8-oxoGを持つ損傷をモデル損傷として人工的に合成した。このとき、合成クラスター損傷は制限酵素認識配列を上に配置した。損傷を含むオリゴヌクレオチドをプラスミドDNAにつなぎ、野生株やDNAグリコシラーゼ欠損株などの複数の大腸菌に形質転換した。その後、大腸菌からプラスミドDNAを再び取り出し、制限酵素で処理し、突然変異誘発頻度を検出した。突然変異誘発頻度は8-oxoGの相補鎖2bp離れた位置に8-oxoGがある構造のクラスター損傷で最も高い変異頻度を示した。このような二つの8-oxoGからなるクラスター損傷の近傍に一つのSSBを配置すると、変異頻度は減少を示した。これはSSBと同一鎖にある8-oxoGの変異頻度がSSBの働きにより減少したためと考えられる。これらの結果から8-oxoGを含むクラスター損傷の変異頻度はクラスター損傷内にSSBがあるかどうかにより大きく影響を受けることが明らかになった。

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