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報告書

JRR-3シリサイド燃料平衡炉心における照射設備の中性子スペクトル評価手法の確立

中村 剛実; 小笠原 礼羅; 牛島 寛章; 岡田 祐次; 山口 淳史; 堀口 洋徳; 平根 伸彦

JAEA-Technology 2026-008, 39 Pages, 2026/07

JAEA-Technology-2026-008.pdf:2.55MB

研究用原子炉JRR-3での照射研究は、熱中性子から高速中性子までを対象に実施されており、照射効果を正確に評価するためには中性子スペクトルの影響を考慮する必要がある。JRR-3は20MWの高出力炉のため燃料と可燃性吸収体のカドミウムワイヤが燃焼し、燃焼度の均一化や長期運転を目的に定期的に燃料のシャッフリングと交換が実施されている。計算解析で確度良く中性子スペクトルを評価するにはこの燃焼履歴を時間的・空間的に正確に再現する必要があるため評価を難しくしている。そこで燃焼を伴うJRR-3シリサイド平衡炉心の照射設備に対して、中性子スペクトルを簡便に確度良く評価できる手法を検討し、評価結果の妥当性を検証した。本手法は、MCNPコードを用いて各照射場の初期推定スペクトルと応答関数を計算し、さらにAu-Al線やNi線等の中性子フルエンスモニターから測定した反応率を用いてSAND-IIによりアンフォールディングするものである。2023年度から2025年度にかけて特性測定を行い、7サイクル分の中性子フルエンスモニターの実測値を用いてアンフォールディングを行った結果、すべてのケースにおいて反応率のC/Eの値が1.000となり収束が良好であること、実測中性子束との差異が水力照射設備HR-1で0.3%以内、気送照射設備PN-2で0.8%以内、垂直照射設備RG-2で0%であることから解スペクトルの結果が妥当であることが分かった。本手法の適用により広く利用ニーズに応えることができ、JRR-3照射場の信頼性が向上することで、照射研究の推進に大きく寄与することが期待できる。

口頭

垂直照射設備の開発(照射設備の現状報告)

牛島 寛章; 光井 研人; 小笠原 礼羅; 岡田 祐次; 遠藤 泰一; 石島 暖大; 松田 誠

no journal, , 

JRR-3垂直照射設備は、試料を炉心に装荷することで高い中性子強度で試料照射が可能な設備であり、主にRI製造、材料照射の用途で利用されている。JRR-3再稼働後は、RI製造が7回行われ、震災前同様の体制で照射受入れが可能である。また、原子炉材料の材料照射については設備更新を行い、2024年度に2回の照射を行った。材料照射では、照射中の温度が材料の照射損傷挙動に影響を与える要因の一つとなるため、できる限り恒温かつ試料間の均一な温度分布での照射が望まれる。震災後の運転再開に向けて、JRR-3垂直照射設備の更新にあたり、従来手動操作だった温度制御装置を自動化した。更新後の最初の照射試験で、導入した温度制御装置が自動制御性能を発揮できることを確認した。また、この照射試験データを元にキャプセルを設計した2回目の照射では、試料温度を目的の290$$^{circ}$$C$$pm$$10$$^{circ}$$Cに維持しかつ試料全体で均一な温度分布を形成する照射に成功した。今後の課題として、高精度な温度制御を行うために各照射孔の実測のデータが不可欠である。そこで、カロリーメータキャプセルを製作中で、2026年度中の照射を計画している。本キャプセルは前述の材料照射キャプセルより構造を簡略化の上、機構内の工作工場で組立てすることによりコスト減を図る。本キャプセルにより各照射孔のデータが取得され、また簡略化した構造での温度制御能力が分かれば、今後の照射コスト・キャプセルの製作期間が大きく改善される。

口頭

JRR-3及びWASTEFを活用した原子炉構造材料の照射試験,2; JRR-3垂直照射設備の高性能化

光井 研人; 牛島 寛章; 小笠原 礼羅; 岡田 祐次; 鈴木 真琴; 木村 和也; 大内 諭; 仁尾 大資; 石島 暖大; 遠藤 泰一; et al.

no journal, , 

原子炉構造材の照射脆化研究における照射試料は、発電炉の温度環境を再現するために目標温度範囲290$$^{circ}$$C$$pm$$10$$^{circ}$$Cで照射される。JRR-3の運転は、原子炉起動時に出力がステップ状に上昇すること、定格出力(20MW)に到達した後の数日間は、制御棒による出力調整を頻繁に行うことから、試料に対するガンマ発熱量の変化が激しい。目標温度を一定に保つためには、既存設備の手動制御では限界があったため、自動制御ができるように垂直照射設備を高度化した。設備の自動温度制御性能を検証するため、模擬装置で原子炉模擬出力を入力し性能を確認した。その結果、原子炉出力上昇時の温度は+9$$^{circ}$$C以内、定格出力時以降では$$pm$$0.9$$^{circ}$$C以内であり、目標温度範囲内に抑えられることが確認できた。

口頭

JRR-3における中性子放射化分析の利用

小笠原 礼羅; 渡邉 七海; 岡田 祐次; 関谷 祐二*; 中村 剛実

no journal, , 

中性子放射化分析は非破壊かつごく少量のサンプルで物質に含まれている多元素を同時に特定することができる手法である。利用例としては土壌や岩石・隕石、大気浮遊塵などの環境試料中の微量元素の特定がある。また元素の含有量を推定することも可能であり、主に比較法、コンパレータ法、k0法が用いられている。そのうち多元素同時分析を行えるk0法については、現在JRR-3で利用できるよう予備実験を行い、標準物質中の元素の種類や含有量を確認することで信頼性を担保できるよう評価中である。利用については、成果占有(成果非公開)の選択も可能で、利用相談後にオンラインにて照射実験を随時受け付けている。さらに照射前後の試料郵送対応や、利用支援として役務提供を行っており、中性子放射化分析の知識がなくてもJRR-3照射設備を利用することができる。

口頭

JRR-3原子炉照射試料の温度制御技術の改善

牛島 寛章; 光井 研人; 小笠原 礼羅; 岡田 祐次; 冬島 拓実; 遠藤 泰一; 石島 暖大; 仁尾 大資; 加治 芳行; 渡邊 勝哉; et al.

no journal, , 

原子炉構造材料の照射試験では、照射温度が材料の照射損傷挙動に影響を与える要因の一つとなるため、できる限り恒温かつ試料間でも均一な温度分布での照射が望まれる。2024年5月の最初の照射では制御熱電対部の温度を目標温度である約290$$^{circ}$$Cで維持することができたが、制御熱電対から離れた試験片では目標温度から10$$^{circ}$$C以上乖離し不均一な温度分布となった。2025年2月の2度目の照射試験では、5月試験時に得られたガンマ発熱率分布を設計に反映することで、試料全体をほぼ290$$^{circ}$$C$$pm$$5$$^{circ}$$Cの範囲に収めることに成功した。また、制御配管の径の拡張等により原子炉出力上昇時の温度制御結果についても改善が見られた。2回目の照射試験におけるガンマ発熱率分布の解析結果は1回目のものと良い一致を示しており、今後のキャプセル設計においても試料全体で均一な温度分布となる制御が可能である。

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