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報告書

令和2年度原子力発電所周辺における航空機モニタリング(受託研究)

普天間 章; 眞田 幸尚; 石崎 梓; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 佐藤 一彦*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 菊池 陽*; et al.

JAEA-Technology 2021-029, 132 Pages, 2022/02

JAEA-Technology-2021-029.pdf:24.58MB

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、航空機等を用いた空からの測定方法が適用されている。日本原子力研究開発機構では、有人ヘリコプターを使用した航空機モニタリングを福島第一原子力発電所周辺において継続的に実施してきた。本報告書では、令和2年度に実施した福島第一原子力発電所周辺におけるモニタリング結果について取りまとめると共に、過去のモニタリング結果から空間線量率等の変化量を評価し、変化量に寄与する要因について考察した。また、航空機モニタリングによる空間線量率の計算精度向上に資するために、航空機モニタリングデータを用いて地形の起伏を考慮に入れた解析を行った。地形の起伏を考慮に入れる前後での解析結果を比較し、本手法による精度向上効果を評価した。さらに、空気中のラドン子孫核種の弁別手法を測定結果に適用して、空気中のラドン子孫核種が航空機モニタリングに与える影響について評価した。

論文

Oxidation of anatase TiO$$_{2}$$(001) surface using supersonic seeded oxygen molecular beam

勝部 大樹*; 大野 真也*; 高柳 周平*; 尾島 章輝*; 前田 元康*; 折口 直紀*; 小川 新*; 池田 夏紀*; 青柳 良英*; 甲谷 唯人*; et al.

Langmuir, 37(42), p.12313 - 12317, 2021/10

 被引用回数:1 パーセンタイル:6.17(Chemistry, Multidisciplinary)

超音速分子ビーム(SSMB)を用いて、アナターゼ型TiO$$_{2}$$(001)表面の酸素空孔の酸化を調べた。SSMBによって表面およびサブサーフェイスの酸素空孔を除去できた。格子間空孔が酸素空孔の大部分と考えられるが、SSMBによって効果的に除去できた。表面の酸素空孔は、TiO$$_{2}$$結晶成長後の状態では安定であるが、SSMBを用いて同様に効果的に除去できた。

論文

Thermally altered subsurface material of asteroid (162173) Ryugu

北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.

Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03

 被引用回数:44 パーセンタイル:96.99(Astronomy & Astrophysics)

2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300$$^{circ}$$Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200$$^{circ}$$Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。

論文

The Vertical profiles of iodine-129 in the Pacific Ocean and the Japan Sea before the routine operation of new nuclear fuel reprocessing plant

鈴木 崇史; 皆川 昌幸*; 天野 光; 外川 織彦

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 268, p.1229 - 1231, 2010/04

 被引用回数:26 パーセンタイル:84.94(Instruments & Instrumentation)

ヨウ素129($$^{129}$$I)は半減期1570万年の長寿命放射性核種であり、核実験や核燃料再処理工場の稼動により人為起源$$^{129}$$Iが環境中に放出される。六ヶ所村に新たに使用済核燃料再処理工場が定常運転を開始予定であり$$^{129}$$Iの放出が予想される。そこで再処理工場の定常運転前における海水中の$$^{129}$$Iの分布を把握することは長期的な環境影響評価の観点から重要である。また人為起源$$^{129}$$Iは海水循環のトレーサーとして利用できる可能性がある。そこで本研究では太平洋,日本海における$$^{129}$$Iの鉛直分布を明らかにした。太平洋及び日本海における$$^{129}$$Iの濃度は表層及び亜表層で最も高く水深とともに減少した。太平洋においては水深1500m以下において人為起源$$^{129}$$Iは観測されなかった。この結果は従来トレーサーとして利用されている$$^{14}$$Cや$$^{137}$$Csと同様の結果を示した。$$^{129}$$Iは放出源及び放出量がより明確であることや分析に使用する供試量が少ないことから海水循環を解明する有用なトレーサーになり得ると考えられる。また日本海における$$^{129}$$Iの水柱における総量は太平洋に比べて3倍高かった。これは日本海固有の海底地形及び海水循環によるものと考えている。

論文

Preliminary result of dissolved organic radiocarbon in the western North Pacific Ocean

田中 孝幸; 乙坂 重嘉; 脇田 昌英*; 天野 光*; 外川 織彦

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 268(7-8), p.1219 - 1221, 2010/04

 被引用回数:9 パーセンタイル:54.02(Instruments & Instrumentation)

海水中溶存有機炭素(DOC)は、地表面で最大の有機炭素貯蔵庫であり、大気中二酸化炭素量に匹敵する量の炭素が存在する。この量的な重要性により、DOCの動態は地球の炭素循環を考えるうえで重要な課題となっている。DOCの動態を研究するうえで、時間軸を与え得る溶存有機炭素中放射性炭素(DO$$^{14}$$C)が非常に有用であるが、測定の困難さから、世界的に見てもデータ数が極めて少ない。本研究の対象海域である西部北太平洋は、深層大循環の終点、高生物生産の海域であるという観点から、海洋炭素循環において大きな役割を担っている。しかし、西部北太平洋におけるDO$$^{14}$$Cのデータはこれまで、全く測定されていない。本研究では、炭素循環において重要海域である西部北太平洋で、世界に先駆けてDO$$^{14}$$Cの鉛直分布を得ることに成功した。

論文

Development of an extraction method for the determination of dissolved organic radiocarbon in seawater by accelerator mass spectrometry

田中 孝幸; 乙坂 重嘉; 天野 光; 外川 織彦

Journal of Nuclear Science and Technology, 46(3), p.289 - 294, 2009/03

 被引用回数:2 パーセンタイル:17.61(Nuclear Science & Technology)

加速器質量分析で高確度かつ高精度な溶存態有機炭素中放射性炭素(DO$$^{14}$$C)の測定を行うために、溶存態有機物から炭素を抽出するシステムを開発した。石油起源製品のような$$^{14}$$Cフリーな炭素や大気起源炭素の汚染を低減することにより、開発したシステムのバックグランドを減少させ、さらに大容量の海水から炭素を抽出できるシステムとなるよう工夫した。開発したシステムにおいて、試料量に対するブランクは、先行研究より低い、1%以下を達成した。この低いブランクを達成したシステムにより抽出された有機物の$$^{14}$$C値は、有機物での放射性炭素測定において一般的な方法である燃焼法と同じ値を示し、また、その精度は$$pm$$5‰であった。この結果は、開発したシステムが$$^{14}$$Cを高確度,高精度に測定可能であることを示した。さらに、実際に大容量の海水でのDO$$^{14}$$Cを測定したところ、十分な炭素の回収ができ、誤差は、$$pm$$8‰と高精度であった。これらすべての結果により、われわれが開発したシステムは高確度かつ高精度なDO$$^{14}$$Cの測定が可能であることを示した。

論文

Deep sea circulation of particulate organic carbon in the Japan Sea

乙坂 重嘉; 田中 孝幸; 外川 織彦; 天野 光; Karasev, E. V.*; 皆川 昌幸*; 乗木 新一郎*

Journal of Oceanography, 64(6), p.911 - 923, 2008/12

 被引用回数:23 パーセンタイル:46.60(Oceanography)

日本海の3海域(北東部,北西部,南東部)やその周辺地域で得た粒子状有機物(POC)について、放射性炭素($$^{14}$$C)同位体比分析を行い、その時空間変化から、日本海におけるPOCの輸送過程を解析した。日本海における沈降POC中の$$^{14}$$C同位体比の変動範囲は、POCの沈降速度から予想されるそれに比べて極めて大きかった。沈降粒子中の陸起源成分の濃度と有機態$$^{14}$$C同位体比との間には直線関係が見られ、その関係は海盆ごとに異なっていた。これらのことから、日本海におけるPOCは、表層の生物活動で生産された新鮮なPOCと、陸域などからの供給による難分解性のPOCの2成分の混合であると説明された。それぞれのPOCの成分について粒子束の変化を解析した結果、(1)新鮮なPOCと難分解性POCの両方が日本海北西部で春季に沈降する、(2)北西部の深層で分解を間逃れた難分解性POCが「POCプール」を形成し、難分解性POCは東方へ輸送される、(3)日本海南部では、北西部とは別の経路で難分解性POCが供給され、比較的素早く海底に蓄積されるといったPOCの輸送過程が示唆された。

論文

Measurement of iodine-129 in seawater samples collected from the Japan Sea area using accelerator mass spectrometry; Contribution of nuclear fuel reprocessing plants

鈴木 崇史; 甲 昭二; 天野 光; 外川 織彦

Quaternary Geochronology, 3(3), p.268 - 275, 2008/08

 被引用回数:26 パーセンタイル:53.75(Geography, Physical)

原子力施設周辺のモニタリングのみならず、海水循環のトレーサーとしての可能性が期待されているので、加速器質量分析装置を用いて海水中の$$^{129}$$I測定手法を開発した。海水試料は青森県関根浜沖から採取し、ヨウ素抽出は溶媒抽出法により行った。この抽出法による汚染の影響を評価するため、ブランクテストを行った。ブランクテストから得られたヨウ素同位体比はキャリアー中のヨウ素同位体比と誤差範囲内で一致したことから、汚染の影響はなく適切な前処理方法であることがわかった。海水中のヨウ素同位体比は$$^{129}$$I/$$^{127}$$I=(9.5$$pm$$0.4)$$times$$10$$^{-11}$$であった。この濃度は核実験で放出された$$^{129}$$I/$$^{137}$$Csから期待される核実験起源の$$^{129}$$Iと天然起源の$$^{129}$$Iから期待される以上の$$^{129}$$I濃度であった。この過剰の$$^{129}$$Iは核実験量を見積もる際に使用した$$^{137}$$Csと$$^{129}$$Iの移行挙動が完全に同じでないためか、もしくは欧州の再処理工場から放出された$$^{129}$$Iが当該海域に到達している可能性がある。

論文

JAEA AMS Mutsuによる$$^{129}$$I測定及びヨウ素循環研究への応用

鈴木 崇史; 甲 昭二; 木下 尚喜; 天野 光; 外川 織彦

JAEA-Conf 2008-003, p.24 - 27, 2008/04

日本原子力研究開発機構むつ事務所に設置されている加速器質量分析装置には$$^{129}$$I専用のビームラインが取り付けられている。このビームラインは高感度な測定を達成するために分解能の高い分析電磁石,静電ディフレクターを採用することにより分子イオン及びその破片による干渉ピークの除去を可能にしている。このビームライン性能確認試験の結果は高精度,高感度測定が可能であり、検出限界はヨウ素同位体比$$^{129}$$I/$$^{127}$$Iで10$$^{-14}$$程度である。$$^{129}$$Iはさまざまな原子力活動により環境中に放出される。特に核燃料再処理工場からの放出は大きく、欧州の再処理工場をポイントソースとして海水循環等の環境動態研究が行われている。日本では六ヶ所村に再処理工場が稼動予定である。日本分析センターとの協力により、再処理工場稼動前の日本各地の土壌,海藻,原乳中の$$^{129}$$I濃度測定を行った。現在は日本海を調査海域とし日本海海水中の$$^{129}$$I濃度を把握することにより$$^{129}$$Iの移行挙動について研究を行っている。本講演ではヨウ素ラインの性能及び今までに得られた$$^{129}$$Iに関する研究成果について概説する。

論文

溶存態有機物中放射性炭素測定システムの開発と海水中溶存有機炭素の循環に関する研究

田中 孝幸; 乙坂 重嘉; 天野 光; 外川 織彦

JAEA-Conf 2008-003, p.71 - 74, 2008/04

海水中溶存態有機物(DOC)の挙動解明は、放射性物質等の海水中での挙動や地球温暖化の影響を紐解くうえで重要な因子である。このDOC動態の時間スケールや供給源情報を与え得る放射性炭素同位体比($$Delta$$$$^{14}$$C)の測定は、測定の困難さによりデータが極めて少ない。本研究で開発した紫外線照射によるDOC酸化システムは、高酸化効率が得られ、高精度なDOC中放射性炭素の測定を可能とした。このシステムを用いて、日本海でのDOC鉛直分布を得ることに成功した。日本海大和海盆におけるDOCの$$Delta$$$$^{14}$$Cは、表面で高く(-192‰)、深さとともに減少し、1000m以深では-306‰で一定となった。日本海深層の$$Delta$$$$^{14}$$Cは、東部北太平洋の値(-550‰程度),西部北大西洋の値(-350$$sim$$-400‰)より高い値を示しており、これは、おもに両海域における海水循環の時間スケール(大西洋:約1000年,太平洋:約2000年,日本海:約500年)に起因していることが明らかになった。

論文

日本海及び青森周辺海域における粒子状有機物の循環過程

乙坂 重嘉; 田中 孝幸; 外川 織彦; 天野 光

JAEA-Conf 2008-003, p.67 - 70, 2008/04

環境動態研究グループでは、日本海及び青森周辺海域で採取された粒子状有機物中の放射性炭素(C-14)同位体比の時空間変化から、同海域における粒子状有機物の輸送過程を追跡する研究を展開している。本研究のC-14同位体比の測定は、原子力機構青森研究開発センターが所有するタンデトロンAMSを利用して実施しており、これまでに115試料が測定されている。ここでは、一連のC-14同位体比から推定された、日本海盆及び日高沖における粒子状有機物の輸送過程について報告する。いずれの海域でも、粒子状有機物のデルタC-14値は深さとともに減少し、試料を採取した水深から海底までの距離と、デルタC-14値との間には、有意な関係は見られなかった。海水中の粒子状有機物が示す古い「見かけの年齢」は、海底堆積物の再懸濁のみでは説明できず、海洋表層で生産される新しい有機物と河川等を通じて陸上から供給される古い有機物のバランスが、その「見かけの年齢」を決定付けることが示唆された。

論文

日本海における水塊構造と海水循環の解明

乙坂 重嘉; 田中 孝幸; 外川 織彦; 天野 光; 荒巻 能史*

JAEA-Conf 2008-003, p.63 - 66, 2008/04

環境動態研究グループでは、日本海の広域で海洋調査を展開してきた。溶存無機炭酸中の放射性炭素(DIC-14)は、同海域における海水流動のトレーサーとして有効であることから、一連の観測で約3,000におよぶ試料が採取され、これまでに2,500試料が、原子力機構青森研究開発センターが所有するAMS(加速器質量分析装置)によって測定された。本講演では、その成果の一つとして、日本海北部における深層水の特性と循環過程について報告する。日本海北部(間宮海峡付近)は同東部(ウラジオストク沖)と並んで、日本海の海氷形成域として知られている。一般に、海氷を起源とする低温・高密度な海水は深層へと潜り込みやすいため、海氷域はその海域の深層水を形成し、深層循環をコントロールすることが指摘されている。舟状の海底地形を持つ日本海北部海域の中央部分では、水深25mにおける海水中のDelta C-14値は、対馬暖流水起源と考えられる周辺地点での海水に比べて10‰程度しか低くないことから、アムール河を起源とする淡水の寄与は十分に小さく、少なくとも2001から2002年の冬季には、日本海北部では深層水は形成されていないことが示唆された。

論文

日本海における放射性炭素の分布と深層循環

荒巻 能史*; 外川 織彦; 乙坂 重嘉; 鈴木 崇史; 天野 光; 田中 孝幸; 千手 智晴*; 皆川 昌幸*

JAEA-Conf 2008-005, p.149 - 152, 2008/03

原子力機構では、1990年代後半より日本海全域における人工放射性核種濃度の現状把握、及び日本海深層の物質循環について観測研究を実施してきた。本報告では、これらの観測によって得られた、海水流動のトレーサとして有効な放射性炭素($$^{14}$$C)の広範な分布をもとに、深層水の特性やその循環について議論した。1999$$sim$$2002年及び2005年に実施した調査で得られた海水試料中の$$^{14}$$Cを、むつ事務所の加速器質量分析装置で測定した。その結果、各海域の$$Delta$$$$^{14}$$Cは表層の+70‰程度から深度とともに指数関数的に減少する傾向にあるが、日本海盆などの水深2000m以深では-65‰前後でほぼ一定の値となった。また、日本海盆西部域やウツリョウ海盆の底層水における$$Delta$$$$^{14}$$Cにばらつきが顕著であるのに対して、日本海盆東部域では誤差範囲内で一定の値を示した。以上のように、日本海の各海域における底層水の特性を明らかにすることができ、その要因や底層水の循環について考察した。

論文

太平洋及び日本海におけるヨウ素129の鉛直分布

鈴木 崇史; 皆川 昌幸*; 天野 光; 外川 織彦

第10回AMSシンポジウム報告集, p.147 - 150, 2008/00

ヨウ素129は半減期1570万年の長寿命放射性核種である。大気核実験や核燃料再処理工場の稼動により環境中に$$^{129}$$Iが放出されるため、環境中での$$^{129}$$Iの移行挙動が注目されている。そこで本研究では海水中の$$^{129}$$I濃度を測定することにより、海水中の$$^{129}$$Iの移行挙動を考察した。海水試料は太平洋の1地点(釧路沖)と日本海の2地点(日本海盆及び大和海盆)で採取した。試料中の$$^{129}$$I/$$^{127}$$Iは原子力機構むつ事務所のAMSで測定した。表面海水中(水深5m)の$$^{129}$$I/$$^{127}$$Iは釧路沖、日本海盆及び大和海盆でそれぞれ(7.1$$pm$$0.5)$$times$$10$$^{-11}$$, (5.8$$pm$$0.2)$$times$$10$$^{-11}$$及び(4.6$$pm$$0.6)$$times$$10$$^{-11}$$であった。釧路沖の$$^{129}$$I鉛直分布は水深とともに減少した。水深1500mから5000mまでの$$^{129}$$I濃度は一定となり、$$^{129}$$I/$$^{127}$$I=(1.4$$pm$$0.6)$$times$$10$$^{-12}$$を得た。人為起源$$^{129}$$Iを含まない天然レベルの$$^{129}$$I/$$^{127}$$Iが(1.5$$pm$$0.15)$$times$$10$$^{-12}$$であることから太平洋の1500m深まで人為起源の$$^{129}$$Iが沈み込んでいることがわかった。一方、日本海の日本海盆と大和海盆では$$^{129}$$I濃度は太平洋と同様に水深とともに減少し、2000m以深で一定値となり、その$$^{129}$$I/$$^{127}$$Iは日本海盆と大和海盆でそれぞれ(8.3$$pm$$0.6)$$times$$10$$^{-12}$$及び(9.8$$pm$$0.8)$$times$$10$$^{-12}$$であった。天然レベルの$$^{129}$$I/$$^{127}$$I値から考えると、人為起源$$^{129}$$Iが日本海の深部まで沈み込んでいるためだと考えられる。

論文

Circulation in the northern Japan Sea studied chiefly with radiocarbon

荒巻 能史*; 千手 智晴*; 外川 織彦; 乙坂 重嘉; 鈴木 崇史; 北村 敏勝; 天野 光; Volkov, Y. N.*

Radiocarbon, 49(2), p.915 - 924, 2007/10

 被引用回数:8 パーセンタイル:23.76(Geochemistry & Geophysics)

2002年夏季に日本海北部海域における放射性炭素を測定した。北緯45度以北の表層海水では、高水温と低塩分とともに50‰という高い$$Delta$$$$^{14}$$Cが観測された。これは、対馬暖水が北部海域まで北上していることを意味する。深層海水における$$Delta$$$$^{14}$$Cは海水密度とともに小さくなり、最小値は-70‰であった。この結果から、この海域における深層水の滞留時間は短いことが示唆される。北部海域で冬季に形成されると考えられる高密度水は北緯47度以北の表層海水で観測されたが、海水の深層への沈み込みを示す指標は見られなかった。

論文

High sensitivity measurement of Iodine-129/Iodine-127 ratio by accelerator mass spectrometry

鈴木 崇史; 北村 敏勝; 甲 昭二*; 外川 織彦; 天野 光

Journal of Nuclear Science and Technology, 43(11), p.1431 - 1435, 2006/11

 被引用回数:13 パーセンタイル:65.68(Nuclear Science & Technology)

日本原子力研究開発機構の加速器質量分析装置にヨウ素ラインを設置した。このヨウ素ラインは高分解能の分析電磁石及び高エネルギー分解能の静電ディフレクターによって妨害イオンを除去するシステムになっている。ヨウ素ラインを設置後、さまざまなトラブルに見舞われたが修理,改善を行った結果、0.53%の再現性と1.1%の精度に達した。10$$^{-10}$$から10$$^{-12}$$までのヨウ素同位体比を持つ標準試料を測定した結果、このヨウ素ラインは$$^{129}$$Iを精度よく測定できることを実証した。低レベルの$$^{129}$$Iを測定する際、メモリー効果が観測されたので、検出限界を再度見積もった。検出限界値はヨウ素同位体比で10$$^{-14}$$レベルであった。これらの結果から判断するとこのヨウ素ラインは原子力施設のモニタリングだけでなく年代測定やトレーサー利用といった地球環境科学分野に応用できる可能性を有している。

論文

溶存態有機物中放射性炭素測定の海水への応用

田中 孝幸; 乙坂 重嘉; 天野 光; 外川 織彦

第9回AMSシンポジウム報告集, p.70 - 73, 2006/10

海水中の溶存態有機物(DOC)の挙動解明は海洋の炭素循環や地球温暖化の影響を紐解くうえで重要な因子である。DOC動態の時間スケールや供給源情報を与えうる放射性炭素同位体比の測定は測定方法の困難さによりデータが非常に少ない。本研究ではDOC中放射性炭素の測定を海水試料で試みた。紫外線酸化法によるDOC中放射性炭素回収の有効性を確認するため、放射性炭素測定の標準試料であるシュウ酸(NIST-SRM-4990C)水溶液での実験を行った。また海水を紫外線酸化する際は、発生する塩素ガスの除去や難分解性有機物を酸化するために紫外線照射時間の検討が必要である。塩素ガスの除去については、真空ラインにヨウ化カリウムトラップを付けることにより行った。また、海水への紫外線照射時間については、約22時間の照射で90%以上の回収率を得ることができた。青森県関根浜沖表面海水の溶存態有機物の$$Delta$$$$^{14}$$C値は、-232$$pm$$14‰であった。

報告書

加速器質量分析装置ヨウ素ラインの性能

鈴木 崇史; 北村 敏勝; 甲 昭二; 外川 織彦; 木下 尚喜; 天野 光

JAEA-Technology 2006-018, 40 Pages, 2006/03

JAEA-Technology-2006-018.pdf:4.33MB

日本原子力研究開発機構むつ事業所には1997年に加速器質量分析装置(JAEA-AMS)が設置された。この加速器質量分析装置は炭素同位体比測定用とヨウ素同位体比測定用の独立したビームラインを有している。ヨウ素測定について、2000年7月に行われたアクセプタンステストの結果では精度が2.0$$sim$$1.5%、再現性が1.5$$sim$$0.7%であった。その後、マルチチャンネルプレート(MCP)の交換や再アライメントを行い、現在では精度0.6%,再現性0.26%に達した。さまざまなヨウ素同位体比($$^{129}$$I/$$^{127}$$I)を持つ標準物質を測定した結果、$$^{129}$$I/$$^{127}$$Iが10$$^{-10}$$から10$$^{-12}$$の間で理論値と測定値がよく一致したことから、測定値の信頼性が確認された。$$^{129}$$Iをほとんど含まない市販試薬を用いてこのヨウ素ラインの検出限界を見積もった結果、実質的には$$^{129}$$I/$$^{127}$$Iで10$$^{-13}$$以下であることが確認された。現在、市販されている低レベルの$$^{129}$$I標準試料はNIST SRM 3230がAMS用として利用できるが、高価であり少量しか使用できない。そこで2次標準物質を作製しNIST SRM 3230で規格化した。2次標準物質の$$^{129}$$I/$$^{127}$$Iは、Iso Trace Lab.の標準物質で(1.21$$pm$$0.01)$$times$$10$$^{-10}$$, Standard No. 3Kで(7.22$$pm$$0.03)$$times$$10$$^{-11}$$, Standard No. 3iで(2.77$$pm$$0.03)$$times$$10$$^{-11}$$であった。

論文

Anthropogenic radionuclides in sediment in the Japan Sea; Distribution and transport processes of particulate radionuclides

乙坂 重嘉; 天野 光; 伊藤 集通; 川村 英之; 小林 卓也; 鈴木 崇史; 外川 織彦; Chaykovskaya, E. L.*; Lishavskaya, T. S.*; Novichkov, V. P.*; et al.

Journal of Environmental Radioactivity, 91(3), p.128 - 145, 2006/00

 被引用回数:20 パーセンタイル:42.02(Environmental Sciences)

1998年から2002年にかけて、日本海の22観測点で観測した堆積物中の放射性核種($$^{90}$$Sr, $$^{137}$$Cs及び$$^{239+240}$$Pu)の存在量と存在比から、同海域における粒子状放射性核種の輸送と蓄積過程を明らかにした。日本海における堆積物中の$$^{90}$$Sr, $$^{137}$$Cs及び$$^{239+240}$$Puの存在量は、それぞれ0.6-87Bq/m$$^{2}$$, 5.9-379Bq/m$$^{2}$$及び0.6-78Bq/m$$^{2}$$の範囲であった。日本海盆及び大和海盆では、深海(水深2km以深)部における堆積物中の放射性核種存在量は同程度であったが、堆積物中の平均$$^{239+240}$$Pu/$$^{137}$$Cs比は大和海盆に比べて日本海盆で大きかった。特に西部日本海盆で見られた大きな$$^{239+240}$$Pu/$$^{137}$$Cs比は、この海域表層へのPu/Cs比の大きな粒子の生成と深海への急速な粒子沈降がもたらした結果であると結論付けられた。対馬海盆及び大和海盆縁辺部では、堆積物中の放射性核種の存在量及び$$^{239+240}$$Pu/$$^{137}$$Cs比が大きかった。対馬暖流による粒子状放射性核種の水平輸送が南部及び東部日本海における堆積物への大きな放射性核種の蓄積をもたらしたと考えられた。

論文

溶存態有機炭素中放射性炭素測定システムの開発

田中 孝幸; 乙坂 重嘉; 天野 光; 外川 織彦

UTTAC-J-16, p.98 - 101, 2006/00

海水中溶存態有機炭素は、大気中の二酸化炭素に匹敵する量が存在し、微生物分解され難く海水中に長期間安定的に存在している。海水中溶存態有機炭素の挙動を解明することは、海洋の炭素循環、さらには地球温暖化の影響を紐解くうえで、非常に重要な因子と考えられる。溶存態有機炭素の動態の時間スケールや供給源の情報を与えうる溶存態有機物の安定及び放射性炭素同位体比の測定システムの確立を目指し、本研究では、加速器質量分析装置(AMS)による放射性炭素同位体測定のための初期段階として、標準的な有機物を用いて、本システムの条件等を決定した。溶存態有機物の酸化については紫外線を用いて酸化する方法,二酸化炭素のグラファイト化は鉄触媒を用い水素で還元する方法を用いた。グラファイト化の方法は既に確立されていることから、紫外線酸化法の確立に向けた検討を行った。その結果、酸素ガスを加えて紫外線酸化することで、検討に用いたすべての有機物に対して酸化効率は98$$pm$$2%となり、本システムで十分な酸化効率を得ることができることが確認できた。

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