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報告書

水銀ターゲット容器内壁のキャビテーション損傷観察に関する技術資料,2; キャビテーション損傷深さの測定

直江 崇; 涌井 隆; 木下 秀孝; 粉川 広行; 勅使河原 誠; 羽賀 勝洋

JAEA-Technology 2023-022, 81 Pages, 2024/01

JAEA-Technology-2023-022.pdf:9.87MB

大強度陽子加速器研究施設(Japan Proton Accelerator Research Complex, J-PARC)の物質・生命科学実験施設に設置されている核破砕パルス中性子源水銀ターゲットでは、高エネルギーのパルス陽子ビーム入射時に、核破砕反応による中性子の発生と同時に水銀の急激な熱膨張によって、圧力波が発生する。この圧力波は、水銀中を伝ぱする過程で負圧によるキャビテーションを誘発する。水銀を充填するステンレス鋼製の水銀ターゲット容器の内壁近傍でキャビテーションが崩壊することによって、内壁表面には激しい壊食損傷が形成される。水銀ターゲット容器は、陽子ビームが入射することによって先端部分の内部発熱に起因する熱応力を低減するために、先端部を厚さ3mmの薄肉構造としている。陽子ビーム強度の増加に伴って、キャビテーションによる攻撃性は増加するため、壊食損傷がターゲット容器の疲労破壊や水銀の漏洩につながる。したがって、設計出力である1MWでの長期的な安定運転を実現するために損傷の低減化が求められている。キャビテーションによる容器壁面の壊食損傷を低減することを目的として、圧力波を低減するための水銀中への微小気泡注入や、ターゲット容器先端部の2重壁構造化などの対策を施している。損傷低減化策の効果の確認や、ビーム出力と壊食痕による損傷深さの相関を評価し、今後の運転条件を検討するために、使用済みのターゲット容器の先端部から試験片を切出し、損傷の観察を実施している。これまでに、内壁に形成されたキャビテーションによる損傷形態の観察と壊食痕による損傷の深さを測定することで、運転条件との相関について検討を実施し、気泡注入によって著しい損傷低減効果が発現されること、2重壁構造によって、先端部分の損傷形成がビーム出力に依存せず抑制できることを確認した。これらの成果によって、施設の設計目標である1MWの安定運転を実施可能な見通しを得た。本報では、これまでに開発、適用した実機水銀ターゲット容器内壁の損傷観察の手法、測定結果及び運転条件との相関についてこれまでに得られた成果をまとめる。

報告書

水銀ターゲット容器内壁のキャビテーション損傷観察に関する技術資料,1; 遠隔操作対応試験片切出し装置の開発

直江 崇; 木下 秀孝; 涌井 隆; 粉川 広行; 羽賀 勝洋

JAEA-Technology 2022-018, 43 Pages, 2022/08

JAEA-Technology-2022-018.pdf:7.84MB

大強度陽子加速器研究施設(Japan Proton Accelerator Research Complex, J-PARC)の物質・生命科学実験施設に設置されている核破砕パルス中性子源水銀ターゲットでは、高エネルギー陽子線入射時に水銀中に発生する圧力波が引き起こすキャビテーションによって、ステンレス鋼製のターゲット容器内壁に激しい壊食損傷が生じる。陽子線強度の増加と共に攻撃性が高くなるキャビテーションが引き起こす壊食損傷によって、熱応力を低減するために厚さ3mmで設計されたターゲット容器先端部では、長時間の運転により壊食痕からの水銀漏洩や、壊食痕を起点とした疲労破壊などが生じる懸念がある。これまでに、高出力での長期的な安定運転を実現するために、キャビテーションによる壊食損傷を低減するための取り組みとして、容器内壁への表面改質の適用や、水銀中への微小気泡注入によりキャビテーションの発生源である圧力波の抑制、先端部の2重壁構造化を進めてきた。損傷低減化技術の効果を確認するために容器内壁に形成された損傷を観察する必要があるが、中性子源の運転中に内部を観察することは不可能であるため、運転を終えたターゲット容器の先端部から試験片を切出し、内壁の観察を実施している。ターゲット容器の破損による水銀の漏洩を防ぎつつ、運転出力によって変化する適切な容器の交換時期を検討するためには、運転出力と損傷の関係を明らかにすることが必要である。これまでに、高放射線環境で遠隔操作可能な試験片切出し装置を開発し、実機水銀ターゲット容器からの切出しを通じて、遠隔操作性や、より確実に試験片を切出すための切削条件の検討や切出し手法の改良を重ねてきた。本報では、実機ターゲットでの作業経験、及びモックアップ試験の結果に基づいて改良した遠隔操作による水銀ターゲット容器先端部からの試験片切出し手法に加えて、これまでに実機から試験片を切出した結果の概要についてまとめる。

論文

Mesospheric ionization during substorm growth phase

村瀬 清華*; 片岡 龍峰*; 西山 尚典*; 西村 耕司*; 橋本 大志*; 田中 良昌*; 門倉 昭*; 冨川 喜弘*; 堤 雅基*; 小川 泰信*; et al.

Journal of Space Weather and Space Climate (Internet), 12, p.18_1 - 18_16, 2022/06

 被引用回数:1 パーセンタイル:22.72(Astronomy & Astrophysics)

巨大な太陽フレアによってもたらされる太陽風により磁気圏内にエネルギーが溜まり、そのエネルギーが一気に解放されるサブストームが発生する。そのサブストームが発生する際、高エネルギー電子が大量に中間圏まで降り注ぐ事象(EEP)がしばしば観測されるが、その詳細な発生メカニズムは解明されていない。本研究では、あらせ衛星により観測された2つのEEPに対して、3次元グローバル電磁流体力学的(MHD)シミュレーションや放射線挙動解析コードPHITSを使った解析によりその発生メカニズムを検討した。その結果、カレントシート散乱とwave-particle散乱がEEPの初期及びサブストーム発生後に重要な役割を果たしていることが示唆された。

論文

The Multiaxial creep-fatigue failure mechanism of Mod. 9Cr-1Mo steel under non-proportional loading; Effect of strain energy on failure lives

小川 文男*; 中山 雄太*; 旭吉 雅健*; 橋立 竜太; 若井 隆純; 伊藤 隆基*

Transactions of the Indian National Academy of Engineering (Internet), 7(2), p.549 - 564, 2022/06

改良9Cr-1Mo鋼の非比例多軸クリープ疲労負荷におけるひずみエネルギーベースの寿命評価法を提案する。非弾性ひずみエネルギー密度は、ヒステリシスループ内の面積として算出した。また平均応力の影響を実験的に検討し、非弾性ひずみエネルギー密度とクリープ疲労寿命の関係を調べた。ヒステリシスループの調査から、最大応力の低下は破損寿命の延長につながるが、ひずみ保持中の応力緩和は強度低下を引き起こすことがわかった。そこで、ヒステリシスループの最大応力とひずみ保持中の最小応力の影響を考慮した非弾性ひずみエネルギー密度の補正法を提案し、単軸および非比例多軸荷重のひずみエネルギー密度を求めた。これらの結果をもとに、非比例多軸荷重下でのクリープ疲労寿命を支配するメカニズムについて考察した。

論文

Development of the high-power spallation neutron target of J-PARC

羽賀 勝洋; 粉川 広行; 直江 崇; 涌井 隆; 若井 栄一; 二川 正敏

Proceedings of 19th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-19) (Internet), 13 Pages, 2022/03

J-PARCではMWクラスの核破砕中性子源を実現するために水銀ターゲットの流路構造としてクロスフロー型ターゲットを開発し、流路構造の改良を継続してきた。高出力の短パルス陽子ビームが水銀ターゲットに入射すると、急激な水銀の発熱と体積膨張により最大40MPaにも達する圧力波が誘起され、ターゲット容器にキャビテーション損傷を生じさせる。このため、水銀流路にマイクロバブル生成器を配置し、バブルの収縮により水銀の体積膨張をクッションのように吸収することで圧力波を低減する技術や、陽子ビームが入射する容器壁に内壁を設けて、狭隘流路に形成される速い水銀流れの大きな速度勾配を利用してキャビテーション損傷を低減する技術などを水銀ターゲット容器の流路構造に導入した。これらの技術開発により、2020年には36.5時間の1MW連続運転を成功させ、2021年4月から最大740kWの高出力で長期の安定な利用運転を達成した。本報告は、主に水銀ターゲット容器の熱流動設計に関して1MW運転を実現するまでの技術開発をまとめたものである。

報告書

レーザークリーニングによる鋼材表面塗装膜の分離・除去

山根 いくみ; 高橋 信雄; 澤山 兼吾; 西脇 大貴; 松本 孝志; 小川 潤平; 野村 光生; 有馬 立身*

JAEA-Technology 2021-038, 18 Pages, 2022/02

JAEA-Technology-2021-038.pdf:1.61MB

人形峠環境技術センターの設備解体撤去による解体物の発生予想量は全体で約13万トンである。そのうち放射性廃棄物でない廃棄物(以下NR: Nonradioactive wasteという)となる非放射性廃棄物は約80%である。しかしながら、このNR対象となる鋼材の一部には汚染された可能性を否定できないものがあり、これらについては汚染が疑われる部分の表面塗装膜を分離・除去させた後、搬出のためのサーベイを実施してからNRとしている。現在の分離・除去方法ではグラインダー等の回転研磨工具による手作業を採用しているが、この方法は粉塵の飛散と吸入防止のためのグリーンハウスの設置や作業員のタイベックスーツと全面マスクの着用を必要とする。このため、分離・除去方法のさらなる改良による作業の短時間化(低コスト化)、作業員への負荷低減、そして、過剰な研磨による二次廃棄物発生の抑制が望まれている。そこで本研究では、工事現場等で塗装膜分離・除去に使用されるレーザークリーニング技術に着目した。NR対象物の塗装膜分離・除去技術の向上を目的とし、レーザークリーニング装置を用いたNR鋼材表面塗装膜の分離・除去性能評価、高速度カメラによる塗装膜飛散挙動の観測と塗装膜回収方法の検討、鋼材表面の粉体に対するレーザー分離・除去性能評価、鋼材表面上のウラン化合物の熱力学的評価を行った。またこれらに基づいて、今後のレーザークリーニング技術の導入による実作業への適合性についても検討して今後の展開について整理した。

論文

Evaluation of multiaxial low cycle creep-fatigue life for Mod.9Cr-1Mo steel under non-proportional loading

中山 雄太*; 小川 文男*; 旭吉 雅健*; 橋立 竜太; 若井 隆純; 伊藤 隆基*

ISIJ International, 61(8), p.2299 - 2304, 2021/08

 被引用回数:4 パーセンタイル:33.99(Metallurgy & Metallurgical Engineering)

高温において多軸負荷を受ける改良9Cr-1Mo鋼のクリープ疲労強度について述べる。中空円筒試験片を用いて、さまざまなひずみ波形での低サイクル疲労試験を実施した。低サイクル疲労試験は、軸ひずみを固定した比例負荷と、軸ひずみとせん断ひずみの位相差が90度の非比例負荷の下で実施した。応力緩和とひずみ保持が破壊寿命に及ぼす影響を検討するために、さまざまなひずみ速度での低サイクル疲労試験とさまざまな保持時間でのクリープ疲労試験も実施した。2種類の多軸クリープ疲労寿命評価方法を提案した。第一の方法は、非比例負荷係数とクリープ損傷を考慮したマンソンのユニバーサルスロープ法を使用してひずみ範囲を計算する。第二の方法は、線形損傷則を用いて非比例負荷係数を考慮して疲労損傷を計算し、修正延性損耗則からクリープ損傷を計算する。第二の方法は精度が優れ、第一の方法はそれより精度は劣るが、実用性が高い。

論文

Benchmark analysis by Beremin model and GTN model in CAF subcommittee

廣田 貴俊*; 名越 康人*; 北条 公伸*; 岡田 裕*; 高橋 昭如*; 勝山 仁哉; 上田 貴志*; 小川 琢矢*; 八代醍 健志*; 大畑 充*; et al.

Proceedings of ASME 2021 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2021) (Internet), 9 Pages, 2021/07

In order to establish a guideline for fracture evaluation by considering plastic constraint in the ductile-brittle transition temperature (DBTT) region, the CAF (Constraint-Based Assessment of Fracture in Ductile-Brittle Transition Temperature Region) subcommittee has been launched in 2018 in the Japan Welding Engineering Society. In the committee, fracture tests are conducted using C(T), SE(B), and 50mm-thick flat plate with a surface flaw subjected to bending load or tensile load to verify fracture evaluation methods. Since simulation results are easily affected by analysis conditions, benchmark analysis is essential for the potential users of the guideline. Therefore, benchmark analyses are executed on brittle and ductile damages by Beremin and Gurson-Tvergaard-Needleman (GTN) models implemented in the finite element (FE) codes. The benchmark analyses are carried out in four steps; Step 0 is to confirm the output of FE codes in each member with the same input data and the same FE model. Step 1 is to confirm the result of Weibull stress analysis for C(T) specimens tested at -125$$^{circ}$$C. The Weibull parameter, m, was fixed in this step. At step 2, sensitivity analyses are conducted on Weibull stresses in different conditions. The outputs by the GTN model are also confirmed. At the final step, the fracture simulation will be run for flat plate specimens with less plastic constraint than the standard fracture toughness specimen. As the results of the benchmark analyses up to step 2, a significant difference is not observed in the Weibull stress computed by committee members with the same input data and FE model and it is confirmed that the effects of element type, nonlinear deformation theory employed in FE analysis. For the calculation of the Weibull parameter m by using the fracture toughness test results and the developed programs by committee members, the converged values of m show good agreement among them.

報告書

原子力緊急時における公衆の被ばく線量評価に関する調査と検討

橋本 周; 木名瀬 栄; 宗像 雅広; 村山 卓; 高橋 聖; 高田 千恵; 岡本 明子; 早川 剛; 助川 正人; 久米 伸英*; et al.

JAEA-Review 2020-071, 53 Pages, 2021/03

JAEA-Review-2020-071.pdf:2.72MB

原子力機構は、災害対策基本法及び武力攻撃事態対処法に基づく指定公共機関として、原子力災害や放射線緊急事態が発生した場合には、災害対応に当たる国や地方公共団体の要請に応じて人的・技術的支援を行う。防災基本計画及び原子力災害対策マニュアルでは、原子力機構は原子力緊急時において公衆の被ばく線量の推計・把握を支援することが要求されている。しかし、その支援について、基本方策,調査対象,調査方法,実施体制等について具体的かつ詳細には検討されていない。本報告では、公衆の緊急時被ばく線量の推計・把握に関する技術的支援について、原子力緊急時支援・研修センター内に設置された「緊急時の線量評価検討WG」において調査・考察した結果を報告することにより、国や地方公共団体、及び原子力機構内における今後の具体的かつ詳細な検討及び活動に貢献することを目的とする。

論文

Effect of gas microbubble injection and narrow channel structure on cavitation damage in mercury target vessel

直江 崇; 木下 秀孝; 粉川 広行; 涌井 隆; 若井 栄一; 羽賀 勝洋; 高田 弘

Materials Science Forum, 1024, p.111 - 120, 2021/03

J-PARCの核破砕中性子源に設置されている水銀標的容器は、水銀中に生じる陽子線励起圧力波が引き起こすキャビテーションによって損傷を受ける。キャビテーションによる壊食損傷を低減する方策として、キャビテーションを誘発する圧力波を低減するための水銀中への微小気泡注入に加えて、ビーム窓先端に狭隘流路を有する2重壁構造容器を採用した。損傷低減化策の効果を確認するために、使用後の標的容器先端部を切断し、内部に形成された損傷を観察した。その結果、積算出力1812MWh(平均強度434kW)で微小気泡を注入して運転した2重壁構造容器で観測された損傷は、積算出力1048MWh(平均強度181kW)の気泡を注入しない従来型容器で観測された損傷と同等であった。さらに、狭隘流路に接する側では、気泡が注入された水銀に接する側より著しく損傷が少ないことを確認した。

論文

New design of high power mercury target vessel of J-PARC

涌井 隆; 若井 栄一; 粉川 広行; 直江 崇; 花野 耕平*; 羽賀 勝洋; 島田 翼*; 鹿又 研一*

Materials Science Forum, 1024, p.145 - 150, 2021/03

J-PARCの大強度ビーム運転を実現するために、保護容器で覆われた水銀ターゲット容器の新規構造の開発を行ってきた。まず、500kWの安定運転の実現を目的とした第1段階では、初期構造を踏襲した構造で、水銀容器と保護容器の接続方法を改良し、約8か月の500kW利用運転を実現した。1MWの安定運転の実現を目的とした第2段階では、容器の後端のみで接続した新規構造を検討した。新規構造では、熱応力を低減するための水銀容器冷却や内圧に対する保護容器の剛性を増加するための板厚の増加を実施した。その結果、各容器に発生する応力は、日本産業規格の圧力容器規格の許容応力以下となり、1MWビーム運転が可能であることを確認した。

論文

Pressure wave induced sound measurement for diagnosing the operation status of the J-PARC pulsed spallation neutron source

直江 崇; 粉川 広行; 涌井 隆; 勅使河原 誠; 羽賀 勝洋; 二川 正敏

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 982, p.164566_1 - 164566_6, 2020/12

 被引用回数:2 パーセンタイル:25.94(Instruments & Instrumentation)

J-PARCに設置されている水銀を標的に用いた核破砕中性子源では、水銀を内包するステンレス鋼製の多重容器に大強度陽子線が25Hzで入射すると、水銀の急激な熱膨張によって容器の内壁に激しいキャビテーション壊食を引き起こす圧力波が発生する。放射線環境下で水銀標的容器の構造健全性を遠隔・非接触で診断するために、レーザドップラ振動計及びマイクロホンを設置している。本研究では、ビーム入射によって生じる標的容器の音響振動とビームパワーやプロファイル等の運転条件の相関を理解することを目的として、運転条件を系統的に変化させて音響振動の測定を実施した。その結果、ビーム入射によって生じる音は、運転条件と非常によい相関があることを明らかにした。

論文

Water leakage due to the welding defect and improvement to reach 1-MW beam operation in the mercury target of J-PARC

粉川 広行; 涌井 隆; 直江 崇; 羽賀 勝洋; 高田 弘; 二川 正敏

Journal of Nuclear Science and Technology, 57(5), p.487 - 494, 2020/05

 被引用回数:1 パーセンタイル:12.16(Nuclear Science & Technology)

大強度陽子加速器施設(J-PARC)の中性子源では、世界記録のパルスあたりの中性子束を達成した。J-PARCでは、水銀標的システムが破砕中性子源として使われている。標的容器は、水銀容器とそれを内包する二重壁構造の水冷却保護容器から構成され、万一水銀容器から水銀が漏えいしても標的容器の外部への漏えいを防止する多重壁防護システムとなっている。しかし、多重壁構造は、多くの溶接線を必要とする複雑な構造であった。運転中に、水銀容器と保護容器の間の中間層への水が漏えいし、計画外のシャットダウンに直面することとなった。このため、漏えいの原因に関する調査を行い、漏えい経路は、複雑な多重壁構造に起因する溶接欠陥から、水銀標的で発生する圧力波による繰り返し応力によってき裂が進展して作られたと推論した。調査結果に基づき、容器の構造を、複雑な構造上の溶接線を無くし、J-PARC中性子源の最終的な設計値である陽子ビーム出力1MWで安定した運転を実現できるように改良した。

論文

Mitigation of cavitation damage in J-PARC mercury target vessel

直江 崇; 木下 秀孝; 粉川 広行; 涌井 隆; 若井 栄一; 羽賀 勝洋; 高田 弘

JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.081004_1 - 081004_6, 2020/02

J-PARC核破砕中性子源の水銀ターゲット容器(SUS316L製)は、陽子線入射によって生じる水銀中の圧力波が引き起こすキャビテーションにより、ビームが入射する先端部厚さ3mmの壁が損傷する。キャビテーションによる損傷は、ビーム出力と共に増加するため、ターゲット容器の寿命を制限する因子となっている。J-PARCの目標である1MWにおける長期安定運転を実現するために、損傷低減化策として、圧力波抑制のための気泡注入に加えて、先端部に主流の4倍の流速を発生できる幅2mmの狭隘流路を有する先端部二重壁構造の容器を採用した。運転終了後に損傷低減化策の効果を確認するために、容器内壁を切り出して観察した。これまでの経験を踏まえ、確実に切出しを実施するためにコールド試験を通じて切出し条件を最適化して、2017年にターゲット2号機(損傷低減化策無し)、及び2018年に8号機(損傷低減化策有り)の切り出しを実施した。ワークショップでは、切出した試料の損傷観察結果を紹介すると共に、損傷低減化策の効果について報告する。

論文

New design and fabrication technology applied in mercury target vessel #8 of J-PARC

涌井 隆; 若井 栄一; 粉川 広行; 直江 崇; 花野 耕平; 羽賀 勝洋; 高田 弘; 島田 翼*; 鹿又 研一*

JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.081002_1 - 081002_6, 2020/02

J-PARCの水銀ターゲット容器は、水銀容器と二重容器構造の保護容器(内側及び外側容器)からなる三重容器構造である。2015年の500kWビーム運転時、水銀ターゲット容器の保護容器からの微小な水漏れが2回発生した。この容器破損から得られた知見を基に、設計, 製作及び試験検査過程の改善を行った。ワイヤ放電加工を用いて、1つのステンレスブロックから切り出した一体化構造を採用することにより、水銀ターゲット容器前方の溶接線の長さは約55%まで大幅に減らすことができた。放射線透過試験や超音波探傷試験による徹底的な溶接検査を実施した。2017年の9月に水銀ターゲット容器8号機が完成し、8号機を使用したビーム運転が開始された。500kWの安定的なビーム運転が実現でき、ビーム試験時には、1MWの最大ビーム強度を経験することができた。

論文

Pulsed pressure induced cavitation erosion in mercury narrow channel under flowing conditions

直江 崇; 粉川 広行; 田中 伸厚*; 二川 正敏

Advanced Experimental Mechanics, 4, p.17 - 21, 2019/08

水銀ターゲットにおける圧力波励起キャビテーション損傷を抑制するために、水銀中への気泡注入とビームが入射する先端部の二重壁構造化の二つの損傷低減化技術を導入している。二重壁構造では、4m/s程度の高速流れと2mm程度の狭隘流路によるキャビテーション損傷の低減効果を期待している。キャビテーション損傷に対する二重壁構造の影響を定量的に評価するために、流速と狭隘壁の間隔を系統的に変化させて水銀中でキャビテーション損傷試験を実施した。その結果、表面粗さで評価した損傷は流速の増加によって低減することを明らかにした。一方、水銀流動条件下では流路間隔の影響はほとんど見られなかった。

論文

Optimum temperature for HIP bonding invar alloy and stainless steel

涌井 隆; 石井 秀亮*; 直江 崇; 粉川 広行; 羽賀 勝洋; 若井 栄一; 高田 弘; 二川 正敏

Materials Transactions, 60(6), p.1026 - 1033, 2019/06

 被引用回数:3 パーセンタイル:17.96(Materials Science, Multidisciplinary)

J-PARCの核破砕中性子源で使用する水銀ターゲット容器は、1.3$$times$$1.3$$times$$2.5m$$^{3}$$と大きいため、使用済み容器の廃棄量を低減する観点で、損傷量の大きい前半部を分割できる構造を検討している。分割部のフランジには、高いシール性能(1$$times$$10$$^{-6}$$Pa・m$$^{3}$$/s以下)が必要である。このフランジの材料として、ビーム運転時の熱変形を低減するために低熱膨張材であるインバー合金は有望であるが、弾性係数が低いためボルト締結時の変形が大きくなる。実用上はステンレス鋼で補強するが、HIP接合により広い面積を全面にわたって確実に接合する条件を見出すことが課題であった。そこで、接合温度が異なる試験片(973, 1173, 1373及び1473K)について、引張試験及び数値解析による残留応力評価を行った。973Kで接合した試験片は、拡散層厚さが殆どなく接合界面で破断した。引張強度は、接合温度の上昇とともに減少し、1473Kの場合、約10%低下した。接合面近傍の残留応力は最大50%増加した。これらの結果から、1173Kが最適な接合温度であることを結論付けた。

論文

薄板試験片を用いたサンプリングクリープ試験による改良9Cr-1Mo鋼のクリープ損傷評価法の検討

金山 英幸*; 旭吉 雅健*; 小川 文男*; 川畑 美絵*; 伊藤 隆基*; 若井 隆純

材料, 68(5), p.421 - 428, 2019/05

本論文では、厚さ0.76mmの薄板試験片を用いた改良9Cr-1Mo鋼のクリープ損傷評価法を検討した。まず、薄板試験片を用いたクリープ試験の妥当性確認のため、未損傷材から作製した未損傷試験片を用いてクリープ破断試験を既報に追加して行い、試験温度873K、応力160MPaの改良9Cr-1Mo鋼のクリープ破断試験では大気中・真空中の試験雰囲気によるクリープ破断時間の差は明瞭がないことを確認した。バルク試験片のクリープ破断時間よりもミニチュア試験片と薄板試験片のクリープ破断時間が1.3倍程度長かった。つぎに、線形損傷則に及ぼす予損傷試験片の加工の影響を検討するため、予損傷材から作製した予損傷試験片を用いて予損傷条件と同条件のクリープ破断試験を行い、クリープ破断時間が係数1.3程度のバラつき範囲に整理されることを確認した。これに加えて、加速条件のクリープ破断試験を未損傷試験片および予損傷試験片に行い、同結果から薄板試験片を用いた加速クリープ破断試験による損傷評価を行った。試験結果は寿命比則で整理すると係数1.3の範囲に整理された。さらに、加速クリープ破断試験、ビッカース硬さよびラス幅に注目した組織観察の各試験結果から、クリープ損傷量の予測を試み、比較した。加速クリープ破断試験の予測結果はビッカース硬さのそれより精度が高く、ラス幅の予測結果は加速クリープ試験とビッカース硬さの間の精度であった。加速クリープ試験およびビッカース硬さによる予測結果を相加平均で組み合わせる評価手法を提案し、少ない試料数で高精度な予測が可能になる可能性が示された。

論文

Numerical study on the potential of cavitation damage in a lead-bismuth eutectic spallation target

Wan, T.; 直江 崇; 粉川 広行; 二川 正敏; 大林 寛生; 佐々 敏信

Materials, 12(4), p.681_1 - 681_15, 2019/02

 被引用回数:3 パーセンタイル:17.96(Chemistry, Physical)

To perform basic R&D for future Accelerator-driven Systems (ADSs), Japan Proton Accelerator Research Complex (J-PARC) will construct an ADS target test facility. A Lead-Bismuth Eutectic (LBE) spallation target will be installed in the target test facility and bombarded by pulsed proton beams (250 kW, 400 MeV, 25 Hz, and 0.5 ms pulse duration). To realize the LBE spallation target, cavitation damage due to pressure changes in the liquid metal should be determined preliminarily because such damage is considered very critical from the viewpoint of target safety and lifetime. In this study, cavitation damage due to pressure waves caused by pulsed proton beam injection and turbulent liquid metal flow, were studied numerically from the viewpoint of single cavitation bubble dynamics. Specifically, the threshold of cavitation and effects of flow speed fluctuation on cavitation bubble dynamics in an orifice structure, were investigated in the present work. The results show that the LBE spallation target will not undergo cavitation damage under normal nominal operation conditions, mainly because of the long pulse duration of the pulsed proton beam and the low liquid metal flow velocity. Nevertheless, the possibility of occurrence of cavitation damage, in the orifice structure under certain extreme transient LBE flow conditions cannot be neglected.

論文

核破砕中性子源の水銀ターゲット容器溶接部に対する超音波検査技術

涌井 隆; 若井 栄一; 直江 崇; 粉川 広行; 羽賀 勝洋; 高田 弘; 新宅 洋平*; Li, T.*; 鹿又 研一*

超音波Techno, 30(5), p.16 - 20, 2018/10

J-PARCの核破砕中性子源の水銀ターゲット容器(幅1.3m、長さ2.5m)は、水銀容器と二重壁構造を持つ保護容器からなる薄肉(最小厚さ3mm)の多重容器構造で、溶接組立による複雑な構造を持つので、溶接部の検査が重要である。溶接検査の精度を向上することを目的として、欠陥を有する試験片(厚さ3mm)を用いて、新たな超音波法の適用性を検討した。50MHzの探触子を用いた水浸超音波法計測では、直径約0.2mmの球状欠陥を検出できた。その大きさは、目標とする最小検出欠陥寸法(0.4mm)より十分小さい。また、フェーズドアレイ超音波法で評価した未溶接部長さは、断面観察より得られた結果(0.8$$sim$$1.5mm)と良く一致した。

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