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論文

山陰地方東部,鹿野断層近傍に分布するアプライト岩脈のジルコンU-Pb年代

田村 友識; 小北 康弘; 福田 将眞; 大橋 聖和*; 岩野 英樹*; 檀原 徹*

地質学雑誌(インターネット), 131(1), p.351 - 359, 2025/10

岩脈は断層と成因的に密接な関係を持ち、構造発達史や古応力史を明らかにする上でその年代情報は必要不可欠である。われわれは、1943年鳥取地震(Mw7.0)を引き起こした鹿野断層の近傍において、山陰帯の吉岡花崗岩を貫き鮮新世火山岩類に覆われる珪長質岩脈群を発見した。これらの岩脈群は鹿野断層とほぼ同様の走向傾斜を有し、自形ないし半自形のジルコンを多産する。本岩脈から分離したジルコンに対してジルコンU-Pb年代測定を行ったところ、33.5$$pm$$0.2Maの加重平均年代を得た。この値は既報の吉岡花崗岩のジルコンU-Pb年代範囲とほぼ一致する。吉岡花崗岩の黒雲母K-Ar年代値とあわせると、本岩脈は34Ma頃の吉岡花崗岩の貫入・定置後すぐ(2Myr以内)に貫入し、さらに吉岡花崗岩は1から2Myrかけて約350から400$$^{circ}$$C程度に冷却したと考えられる。

口頭

基盤岩中の断層破砕帯における元素の移動を用いた活動性評価の試み

大谷 具幸*; 沓名 亮輔*; 小嶋 智*; 大橋 聖和*; 各務 和彦

no journal, , 

最近活動した断層の特徴をもとに最近の活動の有無を定性的に判定するための技術を構築することは、概要調査等で遭遇した断層を評価するうえで有益である。本研究では、活動が既知の活断層を対象として。最新のすべり面である断層ガウジでの元素移動について検討を行った。岐阜県に分布する阿寺断層と根尾谷断層の断層ガウジにおいて、MnOの含有量の増加が認められた。Mnを含む鉱物の多くは非晶質であり、地表付近の酸化条件下で断層ガウジが破砕した際に地下の還元環境からもたらされた地下水から沈殿したことが示唆された。

口頭

Potential for ESR signal zeroing of the E$$_1$$' center by experimental fault slips

田中 桐葉; 大橋 聖和*; 武藤 潤*; 岡 壽崇

no journal, , 

電子スピン共鳴(ESR)法を用いた断層活動年代測定法は、断層内物質中の石英の電荷捕獲中心が地震に伴う断層すべりにより完全消滅したこと(ESR信号のゼロイング)を前提としている。しかし、ゼロイングと断層パラメータの関係については、ほとんど理解されていない。過去に行われた高速摩擦実験では、石英中のE$$_1$$'中心のESR信号強度は摩擦仕事率と相関があり、0.6$$sim$$0.9MW/m$$^2$$の仕事率で減少し始めることが示唆されている。しかし、より大きな仕事率でゼロイングが起こることを確認するためのデータが不足していた。そこで、すべり速度1m/s、変位量10m、垂直応力1.0$$sim$$2.5MPaでの高速摩擦実験を模擬石英ガウジに対して行い、実験前後のガウジに対してESR測定を行った。E$$_1$$'中心のESR信号強度は、摩擦仕事率0.96$$sim$$1.4MW/m$$^2$$では、仕事率の増大とともに減少した。摩擦面近傍の最高温度は0.96MW/m$$^2$$で260$$^{circ}$$C、1.0MW/m$$^2$$で600$$^{circ}$$C、そして1.6MW/m$$^2$$で480$$^{circ}$$Cであることが確認できた。E$$_1$$'中心は$$geqq$$300$$^{circ}$$Cで熱的に不安定になり、それ以上の温度ではより不安定になる。したがって、仕事率増大とともに摩擦熱が大きくなり、ESR信号強度は減少したと考えられる。先行研究の結果を踏まえてESR信号と摩擦仕事率の関係を考察すると、摩擦仕事率が0.6から1.4MW/m$$^2$$の範囲では、仕事率の増大とともにESR信号強度は減少することが明示された。E$$_1$$'中心のESR信号のゼロイングが起こるためには、少なくとも地表から100m以上の深さの地震断層すべりが必要であると考えられる。

口頭

Host rock thermal properties on behavior of trapped charges during coseismic fault slip

田中 桐葉; 大橋 聖和*; 武藤 潤*; 岡 壽崇

no journal, , 

断層の電子スピン共鳴(ESR)年代測定は、鉱物中の捕獲電子が最新の地震時に起きた断層すべりで完全に放出された(ゼロイング)と仮定して、最新断層活動年代を推定する開発段階の手法である。しかし、地震時の断層すべりに伴う捕獲電子の挙動は十分に理解されていない。これまでの研究によると、摩擦発熱はゼロイングを引き起こす重要な要因とされている。本研究では、摩擦発熱に関連する母岩の熱的特性が地震性の断層すべりの捕獲電子の挙動に及ぼす影響について検討した。岩石の熱特性の影響を調べるため、ムライト(HVF I)とチタン合金(HVF II)の円筒供試体を用いた2種類の高速摩擦実験を人工石英粉末に対して行った。HVF IとIIでは、単位面積あたりの摩擦仕事率の大きさが異なるように実験条件を設定した。石英の代表的な捕捉電荷の数の変化と関連するメカニズムを調べるため、出発物質と模擬断層ガウジに対して、ESR測定と粒子特性評価を行った。結果として、すべての摩擦実験で捕獲電子が生成された。HVF IとIIでは、摩擦仕事率の範囲が異なるにもかかわらず、捕獲電子の生成量は摩擦仕事率の増加とともに単調に減少し、同程度の値になった。一方、摩擦仕事率の範囲を問わず、捕獲電子の生成量は実験中に試料表面で観察された最高到達温度が高くなるにつれて減少した。ムライトとチタン合金の熱伝導率はそれぞれ4.2W/m/Kと7.5W/m/Kである。したがって、ムライトはチタン合金よりも熱を保持しやすい。このことは、HVF IIよりもHVF Iの方が、摩擦発熱により捕獲電子をより効果的に放出することができ、その結果、上述したような生成量の減少をもたらしたことを示している。本研究は、母岩の熱的特性が摩擦発熱に伴う捕獲電子への影響、すなわち、ゼロイングを支配する重要な要素になり得ることを示唆している。

口頭

高速摩擦試験により断層ガウジ模擬物質中に形成されたCCAの特徴

清水 麻由子; 大橋 聖和*; 丹羽 正和

no journal, , 

断層の活動性評価の鍵となり得る鉱物・化学組成の変化や変形組織などの特徴を的確に捉えることを目的として、断層ガウジを模擬するように鉱物組成を調整した人工試料に対し回転式高速剪断摩擦試験機を用いた高速摩擦試験を行い、試験後の試料に対して組織観察や電子プローブマイクロアナライザによる面分析を実施した。その結果、一部の試料のガウジ中に、clay-clast aggregate(CCA)とみられる組織が生じていることが明らかになった。CCAは、岩片や鉱物片の周りを細粒の粘土質物質が同心円状に取り囲んだ組織であり、地震性すべり速度における摩擦実験で形成されたとの報告があるほか、天然の活断層でも確認されている。したがって、CCAの産状や化学組成に着目することにより、地震性の断層すべりを特徴づけるような物理的・化学的変化を見出すことができる可能性がある。

口頭

Behavior of a trapped charge at the E$$_1$$' center to seismic fault slips with various frictional power densities

田中 桐葉; 大橋 聖和*; 武藤 潤*; 岡 壽崇

no journal, , 

ESR断層年代測定法は、断層破砕物中の石英に含まれる捕獲電子が、最新の地震性断層すべりによって解放された(ESR信号のゼロイング)と仮定して最新活動年代を推定する手法である。しかしながら、ゼロイングの物理条件とそのメカニズムは不明なままである。我々は、単位面積あたりの摩擦仕事率(FPD)が$$0mbox{--}1.4mathrm{,MW/m^2}$$となる高速摩擦実験をセラミックス製変形治具を用いて行った結果、E$$_1$$'中心の捕獲電子はゼロイングには至らないことを示した。そこで、より大きな摩擦仕事率での高速摩擦実験を試みたが、実験中に変形治具が破損してしまい、摩擦実験自体が成功しなかった。本研究では、模擬石英ガウジに対して、すべり速度$$1.0mathrm{,m/s}$$、変位量$$10mathrm{,m}$$、垂直応力$$0.26mbox{--}4.9mathrm{,MPa}$$の高速摩擦実験を、破損しにくいチタン合金製変形治具を用いて実施した。実験中、断層すべりに伴う摩擦発熱の影響を評価するため、摩擦面近傍の温度を熱電対を用いて計測した。E$$_1$$'中心の捕獲電子数の変化を調べるため、摩擦実験前後にガウジに対してESR測定を行った。これらの実験・分析の結果、E$$_1$$'中心の捕獲電子のESR信号強度は、FPDが$$1.1mbox{--}1.3mathrm{,MW/m^2}$$の範囲では、FPDとともに大きくなり、$$1.3mbox{--}4.0mathrm{,MW/m^2}$$の範囲ではFPDが増大するにつれて小さくなった。摩擦面近傍の最高到達温度は、FPDが$$1.1mbox{--}1.3mathrm{,MW/m^2}$$の範囲では、FPDとともに約$$300^circmathrm{C}$$から$$400^circmathrm{C}$$まで上昇し、$$1.3mbox{--}4.0mathrm{,MW/m^2}$$でもFPDとともに増大し、最大で$$721^circmathrm{C}$$まで到達した。先行研究の結果も考慮すると、E$$_1$$'中心の捕獲電子数は、FPDが$$1.1mbox{--}1.3mathrm{,MW/m^2}$$では粒子破砕により増加し、$$1.3mbox{--}4.0mathrm{,MW/m^2}$$では、次第に大きくなった摩擦発熱により減少したと考えられる。本研究ではゼロイングを実証することはできなかった。しかし、FPDを用いることで最新の地震性断層すべりによる捕獲電子数の変化量を定量化することができ、不完全なゼロイングを前提とした最新活動年代の推定は可能であることが示唆された。

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