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沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 宮越 亮輔*; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; et al.
Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.765 - 769, 2024/10
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)の高周波加速システムは、金属磁性体コアを装填した加速空胴と真空管増幅器を含む高周波電源で構成される。1MW級の大強度陽子ビームを加速するRCSでは、ビームが高周波加速システムに与える負荷(ビームローディング)により高周波電源に大きな負荷がかかる。安定した大強度ビーム運転や、更なるビーム強度増強に向けた検討には、ビームローディングを考慮した高周波電源の挙動評価が重要である。本研究では、回路シミュレータLTSPICEを用いて実際に使用している金属磁性体コアや真空管の特性を考慮可能な独自の回路シミュレーションモデルを構築した。構築した回路シミュレーションモデルはRCSの大強度運転時の高周波電源の挙動を評価するのに十分な性能を有していることを確認した。本発表では、構築した回路シミュレーションモデルの詳細と大強度運転時の高周波電源の挙動を計算し実測と比較した結果等について報告する。
足立 恭介; 田村 文彦; 野村 昌弘; 島田 太平; 宮越 亮輔*; 沖田 英史; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 原 圭吾*; et al.
Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.543 - 546, 2024/10
欧州原子核研究機構(CERN)により開発が進められているシミュレーションコードBLonDは、ビーム進行方向(縦方向)の運動を正確に計算する能力と優れた拡張性を有している。先行研究により、J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)における縦方向のビーム挙動をよく再現するモデルを構築することができることが確かめられ、現在は安定したビーム運転のために活用されている。近年、J-PARCではビームのさらなる大強度化に向けた検討を進めている。大強度ビームにおいては、空間電荷効果といったビーム粒子間の相互作用を考慮したビーム挙動の評価が重要となるが、BLonDでは特に空間電荷効果を含めたシミュレーションに計算時間が長くかかることが課題となっていた。最新のBLonDではGPUバックエンドによるシミュレーションの高速化が可能となった。本発表では、RCSの縦方向シミュレーションを主な題材として、BLonD GPUバックエンドの評価を行った結果について報告する。
野村 昌弘; 島田 太平; 田村 文彦; 沖田 英史; 宮越 亮輔*; 清矢 紀世美*; 吉井 正人*; 大森 千広*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; et al.
Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.85 - 88, 2024/10
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、Linacからの入射ビームに関する情報をビームモニタで得た強度分布の情報をマウンテンプロットと呼ばれる画像にすることにより、入射ビームの運動量や入射タイミングのオフセットが視覚的に分かる様にしている。最近話題となっている深層生成モデルの一つにCVAE(Conditional Variational Auto Encoder)がある。CVAEでは、なんらかの条件を与える事により、元の画像から与えられた条件に沿った画像が生成されることが示されている。今回このCVAEの特性を活かして、測定したマウンテンプロットの画像に新たなRCSへの入射の条件を与える事により、入射ビームの運動量分布や時間幅の情報も視覚的に分かる様にすることができた。このことは、今後の加速器の調整に有効であると考えられる。
田村 文彦; 杉山 泰之*; 沖田 英史; 山本 昌亘; 吉井 正人*; 大森 千広*; 清矢 紀世美*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; et al.
Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.774 - 776, 2024/10
大強度陽子加速器J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は金属磁性体(MA)空胴の特長を生かしビーム出力1MWでの陽子ビーム加速を行っている。ビームはキッカー電磁石により1周で取り出されるが、ビームの取り出し直後、空胴に短時間電圧の跳ね上がりが発生する。これは電圧制御フィードバックに遅延があり、1ターン取り出し時のステップ状のビーム電流の減少に対する応答には一定の時間がかかることが理由であり、広帯域(Q=2)MA空胴ではこの応答の遅れは電圧の跳ね上がりとして観測される。跳ね上がりは取り出し時の電圧が高い場合には空胴機器の損傷の原因となりうるものである。電圧制御フィードバックのゲインパターンを用いて取り出しと同時に出力を抑止すればこの跳ね上がりを抑制できるが、RCSのようなマルチハーモニック運転の場合、パターン設定が煩雑である。このため、低電力高周波(LLRF)制御システムの機能としてビーム取り出しに同期し出力を抑止する仕組みを用意した。機能の詳細、試験結果、活用方法について報告する。
沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; Saha, P. K.; 吉井 正人*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; et al.
Journal of Physics; Conference Series, 2687(7), p.072005_1 - 072005_7, 2024/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)縦方向位相空間トモグラフィは、ビーム進行方向(縦方向)の位相空間分布を得るための有効な測定ツールである。J-PARCシンクロトロン(3GeVシンクロトロン及びメインリング)の大強度運転時の位相空間分布の測定には、空間電荷効果や集束力の非線形性等のビーム物理を考慮したトモグラフィが必要であった。本研究では、ビーム物理を考慮可能なハイブリッドアルゴリズムを採用したCERN's TomographyのJ-PARCシンクロトロンへの導入とベンチマークを実施した。ベンチマークの結果、J-PARCシンクロトロンの大強度運転条件における位相空間分布を高精度に測定可能であることを確認した。
田村 文彦; 沖田 英史; 發知 英明*; Saha, P. K.; 明午 伸一郎; 吉井 正人*; 大森 千広*; 山本 昌亘; 清矢 紀世美*; 杉山 泰之*; et al.
Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.64 - 68, 2023/11
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は物質・生命科学実験施設(MLF)およびメインリング(MR)に大強度陽子ビーム供給を行っている。RCSのハーモニック数hは2で、通常は2つのバンチを加速している。MLFのいくつかの実験では1バンチでのビーム供給が好ましいが、この場合1つのRFバケツを空きバケツとして加速を行うため、ビーム強度は半分となってしまう。RCSのハーモニック数を1として加速できれば、1バンチあたりの強度は2倍となり、最大強度での1バンチビーム供が可能となる。一方MRは、バンチあたりの粒子数を設計より上げることができるならば、1バンチずつ8回の入射を行うことで現在の設計ビームパワー1.3MWを超える運転ができる可能性がある。本発表では、主にRCSでの縦方向シミュレーションによるh=1加速の検討について報告する。
田村 文彦; 山本 昌亘; 吉井 正人*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 沖田 英史; 清矢 紀世美*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; et al.
Proceedings of 68th ICFA Advanced Beam Dynamics Workshop on High Intensity and High Brightness Hadron Beams (HB2023) (Internet), p.305 - 311, 2023/10
大強度陽子シンクロトロンの加速空胴に金属磁性体(MA)コアを適用することは、J-PARCの2つのシンクロトロン(RCS、MR)で先駆的に行われた。MA空胴は高い加速電圧を発生させることができ、MA空胴の広帯域周波数特性は、加速中における空胴の共振周波数調整なしで陽子の速度変化に追従した周波数掃引を可能にする。加速に使用する基本波とその二倍高調波の高周波電圧の重畳によって1つの空胴を駆動するデュアルハーモニック運転は、RCSにおける空間電荷果を緩和するためのビーム進行方向のビーム形状制御に不可欠である。MA空胴のこれらの利点は、見方を変えれば欠点でもある。ビームに起因する空胴誘起電圧は複数の高調波(マルチハーモニック)から構成され、高周波バケツ歪みや結合バンチ不安定性を引き起こしビームの運動を不安定にする可能性があるため、それら複数の高調波を同時に補償しなければならない。空胴を駆動するアンプも出力電流が大きく、陽極電圧もマルチハーモニックである。10年以上にわたるRCSとMRの運転におけるこれらの問題に対する我々の取り組みをまとめる。
雨森 道紘*; 土屋 晴文; Tibet AS Collaboration*; 他116名*
Astrophysical Journal, 954(2), p.200_1 - 200_7, 2023/09
被引用回数:4 パーセンタイル:52.99(Astronomy & Astrophysics)Gamma rays from HESS J1849-000, a middle-aged TeV pulsar wind nebula (PWN), are observed by the Tibet air shower array and the muon detector array. The detection significance of gamma rays reaches and
levels above 25 TeV and 100 TeV, respectively. The energy spectrum measured between 40 TeV
E
320 TeV for the first time is described with a simple power-law function of dN/dE =
. The gamma-ray energy spectrum from the sub-TeV to sub-PeV ranges including the results of previous studies can be modeled with the leptonic scenario, Inverse Compton Scattering by high-energy electrons accelerated by the PWN of PSR J1849-0001, but the scenario requires sophisticated theoretical modeling. On the other hand, the gamma-ray energy spectrum can be simply modeled with the hadronic scenario in which gamma rays are generated from the decay of neutral pions produced by collisions between accelerated cosmic-ray protons and the ambient molecular cloud found in the gamma-ray emitting region. The cutoff energy of cosmic-ray protons
is estimated at
, suggesting that protons are accelerated up to the PeV energy range. Our study proposes that HESS J1849-000 should be further investigated as a new candidate for a Galactic PeV cosmic-ray accelerator, or "PeVatron".
山本 昌亘; 野村 昌弘; 沖田 英史; 島田 太平; 田村 文彦; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 吉井 正人*
Progress of Theoretical and Experimental Physics (Internet), 2023(7), p.073G01_1 - 073G01_16, 2023/07
被引用回数:2 パーセンタイル:45.69(Physics, Multidisciplinary)J-PARC 3GeVシンクロトロンでは、ビームの加速に金属磁性体を装荷した加速空胴を使用している。金属磁性体の広帯域特性を利用して、ビームを加速する周波数だけでなく、その高調波も増幅する多重高調波励振によってビームの安定加速を実現している。既設の空胴は真空管増幅器において、加速電場を発生させる絶縁ギャップの前後に個別に電圧を印加するプッシュプル励振となるよう設計されている。プッシュプル励振は、ビームを加速しない状態では高調波歪みを抑制でき、さらに空胴の長さを短くできる利点がある。しかし、大強度ビーム加速時にはビームが誘起する電圧によって多重高調波励振が歪められ、それを補正するために絶縁ギャップの前後にかかる陽極電圧振幅が深刻な不平衡を引き起こし、真空管の動作を制限してしまう。現状では、設計値である1MWビーム加速は達成できているが、より安定な運転を行う上では真空管の不平衡が問題となる。この問題を避けるため、シングルエンド励振の空胴を開発した。シングルエンド励振は本質的に不平衡が起こらず、さらに既設の空胴に対して遥かに少ない電力消費を達成できることが分かった。
沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; et al.
Journal of Physics; Conference Series, 2420, p.012092_1 - 012092_6, 2023/01
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、大強度陽子ビーム加速のために高周波加速装置を構成する8kWの駆動段半導体増幅器の出力増強が求められている。現在、窒化ガリウムを用いた6.4kW半導体増幅器を基本モジュールとする25kW半導体増幅器の開発を進めている。この開発の鍵となるのが、広い周波数帯域(およそ0.1-10MHz)を持ち、かつ25kWの高出力が可能な結合器の設計である。結合器の出力と周波数帯域は同軸ケーブルと磁性体コアからなる伝送線路トランスの設計に依存する。本研究では、同軸ケーブルと磁性体コアの特性を組み込んだ回路シミュレータモデルを構築し、これを用いて目標とする出力と周波数帯域を達成可能な伝送線路トランスの設計並びに結合器の回路設計を完了させた。本発表では、結合器の回路シミュレータモデルのセットアップとそれを用いた結合器の設計の詳細について報告する。
野村 昌弘; 沖田 英史; 島田 太平; 田村 文彦; 山本 昌亘; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; 大森 千広*; 吉井 正人*
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.215 - 217, 2023/01
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、機械学習の一種であるニューラルネットワークによる画像認識技術を用いることにより、ビームモニタで得た強度分布の画像から、前段のLinacからの入射ビームに関する情報が得られるようにしている。現状では、得られる情報の中で、入射ビームの運動量広がりについてはガウス分布の標準偏差として、また時間構造については強度が一定としてその時間幅として求められているが、これらの情報に関してはそれぞれの値としてではなく、運動量広がりと時間で表される位相空間上での強度分布として求められることが望まれる。そこで本研究では、ニューラルネットワークの出力を値から画像に変更し、位相空間上での強度分布の画像を学習させることにより、ニューラルネットワークの予測画像として位相空間上での強度分布が求められる様にした。その結果、シミュレーションによる画像を用いた検証ではあるが、ビームモニタで得た強度分布の画像から位相空間上での強度分布が求められることが確かめられた。
田村 文彦; 大森 千広*; 吉井 正人*; 冨澤 正人*; 外山 毅*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; 小林 愛音*; 沖田 英史
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.175 - 178, 2023/01
J-PARC主リングシンクロトロン(MR)は大強度陽子ビームをニュートリノ実験に供給している。高いピーク電流を持つ8つのビーム集団(バンチ)が速い取り出しによってMRから取り出され、したがってニュートリノビームも同様の時間構造を持つ。将来の実験では中間水チェレンコフ検出器(IWCD)が導入される予定であり、IWCDはピーク電流が低い時間構造を要求するため、MRの取り出し直前に、高周波によりバンチの分布を平坦化させるピーク電流低減手法を検討中である。ビームパワーの低下を抑えるためバンチ操作はできるだけ短期間で行わねばならず、また取り出しキッカー電磁石の立ち上がり期間のビーム損失を防ぐために、磁場が立ち上がる最終バンチと先頭バンチの間隔を保つ必要がある。これらの要求を満たすために、加速ハーモニック近傍のマルチハーモニックRF電圧を用いた非断熱的なバンチ操作が提案されている。この過程においてはMR全周の縦方向インピーダンスの影響が考えられるため、シミュレーションを行い、大強度ビームのバンチ操作の成立可能性についての議論を行う。
沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 杉山 泰之*
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.262 - 266, 2023/01
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)の大強度ビーム運転中の高周波加速(RF)空胴では、ビーム電流が誘起するウェイク電圧が発生する。RCSのRF空胴は広帯域であるため、ウェイク電圧には高い周波数成分が含まれる。現在のRF制御システムでは基本周波数の四倍までの高調波(四倍高調波)を検波しているが、四倍高調波よりも高い周波数成分(高次高調波)もビーム挙動に影響を与えている可能性が示唆されていた。本研究では、大強度ビーム運転中のRF空胴電圧を測定し、周波数解析から高次高調波の評価を行なった。加えて、ビームトラッキングシミュレーションを用いて高次高調波がビーム挙動に与える影響を評価した。本研究の結果、大強度ビーム運転中のRF空胴には複数の高次高調波が発生しており、加速後半において高次高調波がビーム電流分布を変形させることが分かった。
沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 杉山 泰之*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 1041, p.167361_1 - 167361_7, 2022/10
被引用回数:2 パーセンタイル:35.55(Instruments & Instrumentation)J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、広帯域の高周波加速(RF)空胴を使用している。大強度ビーム運転中のRF電圧には、複数の周波数成分を持つウェイク電圧やRF電源の出力の歪みが含まれており、加速中のビームはこれらの影響を受ける。空胴ギャップ電圧モニタの測定値はウェイク電圧やRF電源の出力の歪みの情報を含んでいる。そこで、空胴ギャップ電圧モニタの測定値を用いた縦方向ビームトラッキングシミュレーションを開発した。空胴ギャップ電圧モニタの測定値をシミュレーションに反映するために、空胴ギャップ電圧モニタの周波数応答を整理した。開発した縦方向トラッキングシミュレーションは1MWビーム加速時のビーム挙動を非常に高い精度で再現することを確認した。
山本 風海; 金正 倫計; 林 直樹; Saha, P. K.; 田村 文彦; 山本 昌亘; 谷 教夫; 高柳 智弘; 神谷 潤一郎; 菖蒲田 義博; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(9), p.1174 - 1205, 2022/09
被引用回数:7 パーセンタイル:78.30(Nuclear Science & Technology)J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、最大1MWの大強度ビームを25Hzという早い繰り返しで中性子実験及び下流の主リングシンクロトロンに供給することを目的に設計された。2007年の加速器調整運転開始以降、RCSではビーム試験を通じて加速器の設計性能が満たされているかの確認を進め、必要に応じてより安定に運転するための改善を行ってきた。その結果として、近年RCSは1MWのビーム出力で連続運転を行うことが可能となり、共用運転に向けた最後の課題の抽出と対策の検討が進められている。本論文ではRCSの設計方針と実際の性能、および改善点について議論する。
山本 昌亘; 野村 昌弘; 沖田 英史; 島田 太平; 田村 文彦; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 大森 千広*; 杉山 泰之*; 吉井 正人*
Proceedings of 13th International Particle Accelerator Conference (IPAC 22) (Internet), p.1336 - 1338, 2022/06
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)では、大強度ビーム加速時に大振幅のビーム負荷補償を行うために、真空管増幅器から大振幅の高周波電流を供給している。RCSでは四極真空管を使用しており、コントロールグリッドが正電圧に入る領域(ポジティブ・グリッド・バイアス)で使用している。この影響で、コントロールグリッドには陽極電流の一部が流れ込み、コントロールグリッド電圧波形を歪めたり、コントロールグリッドのDCバイアス電圧の急激な低下を招く影響が観測された。本発表では、電圧波形の歪みとDCバイアス電圧低下の測定結果を示し、対処可能な方法について述べる。
野村 昌弘; 沖田 英史; 島田 太平; 田村 文彦; 山本 昌亘; 古澤 将司*; 杉山 泰之*; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; 大森 千広*; et al.
Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.80 - 82, 2021/10
J-PARC 3GeVシンクロトロンでは画像認識技術を用いることにより、ビームモニタで得たビーム進行方向の強度分布の画像から中心運動量からのずれ量が得られるようになった。今後、この得られた値を加速器の制御に使用することを考えた場合には、得られた値が信頼できるかが重要となってくる。なぜなら、画像認識技術では、データ取得に失敗した画像からも何らかの間違った値が得られてしまうからである。得られた値が信頼できるかどうかは当然その画像で決まる。そこで、今回機械学習の一種であるオートエンコーダーによる異常診断の手法を画像の診断に適用することにより、画像から得られた値が信頼できるかを示す指標を得ることができた。
沖田 英史; 田村 文彦; 山本 昌亘; 野村 昌弘; 島田 太平; 吉井 正人*; 大森 千広*; 原 圭吾*; 長谷川 豪志*; 杉山 泰之*; et al.
Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.840 - 844, 2021/10
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、ビームの加速で使用する高周波として、周回周波数の2倍の周波数である基本波と、さらにその2倍の周波数の高調波(2倍高調波)の電圧を用いたデュアルハーモニック運転を行っている。加速ギャップに発生させる各高周波の電圧と位相の安定化にはマルチハーモニックベクトルフィードバック制御が採用されている。この制御のフィードバックに用いられる測定値には、各加速空胴の加速ギャップの1つに備え付けられたギャップ電圧モニタからの出力が使用されている。ビーム進行方向のビーム分布(バンチ形状)は各高調波の相対的な位相で変化するため、ギャップ電圧モニタの位相測定値の周波数応答を正確に把握することが重要となる。そこで、ギャップ電圧モニタの位相の周波数応答測定とこれを反映したビームシミュレーションを実施した結果、実際のビーム加速試験で測定されたバンチ形状をよく再現することを確認した。本発表では、周波数応答測定とビームシミュレーションについての詳細とギャップ電圧モニタ回路についての考察について報告する。
田村 文彦; 杉山 泰之*; 吉井 正人*; 山本 昌亘; 沖田 英史; 大森 千広*; 野村 昌弘; 島田 太平; 長谷川 豪志*; 原 圭吾*; et al.
Proceedings of 18th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.170 - 174, 2021/10
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)における大強度陽子ビームの安定な加速のためには高精度で安定な低電力高周波(LLRF)制御システムが不可欠である。RCSのLLRF制御システムは運転開始から10年以上大きな問題なく運転されてきたが、構成要素であるデジタル部品の陳腐化により維持することが困難となっていた。このため、2016年より次世代LLRF制御システムの開発を行い、2019年に次世代システムへの置き換えを完了した。RCSの広帯域金属磁性体空胴のビームローディングを補償するにはマルチハーモニックの補償システムが必要である。次世代システムではマルチハーモニックベクトルrf電圧制御フィードバックを採用することで、旧システムにおけるフィードフォワード法を用いた補償よりも安定な大強度ビーム加速を実現した。本発表では、次世代システムの概要、ビーム試験結果を示すとともに、更なる性能向上に向けた取り組みについて報告する。
田村 文彦; 大森 千広*; 吉井 正人*; 杉山 泰之*
Proceedings of 12th International Particle Accelerator Conference (IPAC 21) (Internet), p.3023 - 3026, 2021/08
J-PARC MRは、ニュートリノ実験に大強度の陽子ビームを供給している。将来のニュートリノ実験では、新しい中間水チェレンコフ検出器(IWCD)が建設される予定であるが、IWCDが要求する低いピーク時間構造を実現するために、MRの加速終了後ビームを取り出すまでの間(フラットトップ)で高周波(RF)電圧の操作により進行方向のビーム集団(バンチ)のピーク電流を下げる検討が行われている。操作のためにフラットトップを延長する必要があり、繰り返し周期が長くなることによる出力ビームパワーの低下をできるだけ抑えるために、操作は短時間で行う必要がある。また、取り出しキッカーのためのバンチ間の間隔も確保しなければならない。我々は、マルチハーモニックRF電圧を用いた非断熱バンチ操作を提案している。加速ハーモニックの隣接のハーモニクスを用いることで、1バンチめを減速、8バンチめを加速することができる。一定時間後、RFの位相を反転させてバンチの進行方向分布の平坦化操作を行う。はじめに行った減速と加速により、キッカーのためのバンチ間隔は保たれる。本発表では、非断熱バンチ操作のコンセプトとビーム進行方向分布のシミュレーション結果を紹介する。