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三島 理愛; 稲葉 優介*; 立岡 壮太郎*; 針貝 美樹*; 渡邊 真太*; 尾上 順*; 中瀬 正彦*; 松村 達郎; 竹下 健二*
Chemistry Letters, 49(1), p.83 - 86, 2020/01
被引用回数:4 パーセンタイル:21.18(Chemistry, Multidisciplinary)使用済燃料の再処理で生じる高レベル放射性廃液を最終処分するにあたり質の良いガラス固化体に成型するためには、白金族元素(PGM)を分離することが重要である。新たな収着材としてフェロシアン化アルミニウム(AlHCF)を合成し、濃硝酸中におけるPGM収着挙動を調べた。その結果、硝酸によりAlHCFが顕著な溶出をすることがわかった。同様にPGMであるRhの単成分溶液においてもAlHCFが溶出しRh収着が確認されなかった。しかしPd単成分溶液においてはPd収着が確認でき、AlHCFは大きく溶出せず構造が安定化した。そこでPdとRhが共在する二成分系溶液での収着試験を行ったところPd収着によりAlHCFの構造が保たれRhは収着された。また、Pd収着量とAlとFeの溶出量について、AlとFeの溶出比はAlHCF中の元素比と一致しなかったがその理由としてFeの再収着が考えられ新しい構造の形成が示唆された。AlHCFによるPGMの収着メカニズムは、単純なイオン交換だけでなく酸化還元反応と収着速度論も重要な法則である。この収着と溶出の挙動を理解することがAlHCFのPGM収着性能向上に役立つ。
栗原 正義*; 尾上 順*; 平田 勝; 鈴木 知史
Journal of Alloys and Compounds, 509(4), p.1152 - 1156, 2011/01
被引用回数:3 パーセンタイル:24.12(Chemistry, Physical)相ウランにおける遷移金属(TM)の固溶挙動を、相対論DV-X分子軌道法を用いて検討した。固溶性の評価には、遷移金属のd軌道のエネルギー(Md)、及び、遷移金属とウランの原子軌道間の軌道結合次数(OOP)を用いた。この分子軌道法による計算結果から、U 6dとTM dとの相互作用が、-U/TM合金の最大固溶度(MSS)について、重要な役割を果たしていることがわかった。また、MSSの値は、d-d軌道相互作用による安定化エネルギーにより説明され、MdとOOPはこの安定化エネルギーに影響していることがわかった。
栗原 正義*; 平田 勝; 尾上 順*; 中松 博英*
Progress in Nuclear Energy, 50(2-6), p.549 - 555, 2008/03
被引用回数:1 パーセンタイル:10.05(Nuclear Science & Technology)相ウラン金属と4d, 5d遷移金属で構成される合金の電子状態を相対論DV-X法により解析した。ウランの5f, 6d軌道と遷移金属のd軌道との相互作用を解析して、ウラン金属中での各遷移金属の安定性を評価した。
栗原 正義*; 平田 勝; 関根 理香*; 尾上 順*; 中松 博英*
Journal of Nuclear Materials, 326(2-3), p.75 - 79, 2004/03
被引用回数:12 パーセンタイル:61.53(Materials Science, Multidisciplinary)相対論DV-DFS分子軌道法を用いて3d遷移金属の相ウラン合金の合金化挙動を調べた。d軌道エネルギー(Md)の値は、ウラン合金化挙動と良好な相関があることがわかった。すなわち、Ti, V, Crのように相ウランに固溶しやすい金属は比較的高いMd値を持つ。逆にCuのように全く固溶しない金属は、非常に低いMd値を取ることがわかった。
平田 勝; Bastug, T.*; 館盛 勝一; 関根 理香*; 尾上 順*; 中松 博英*
Advances in Quantum Chemistry, Volume 37, p.325 - 333, 2001/00
相対論密度汎関数法を用いて硝酸ウラニル錯体のポテンシャルエネルギー曲線を計算した。ウランに配位している水分子及びウラニル酸素の原子位置を変化させながら全エネルギー計算を行い最安定原子間距離を求めた結果、水分子についてはこれまでに報告されている実験結果と良好な一致を示した。一方、ウラニル酸素については、わずかに原子間距離の長いところで安定となることがわかった。また、得られたポテンシャル曲線各々の化学結合の強さを反映しており、ウラニル酸素は水分子より深いポテンシャル曲線となることがわかった。
平田 勝; 館盛 勝一; 関根 理香*; 尾上 順*; 中松 博英*
Advances in Quantum Chemistry, Volume 37, p.335 - 351, 2001/00
相対論DV-DFS分子軌道法を用いて硝酸アクチニル2水和物[AnO2(NO3)2(H2O)2,An=U,Np,Pu]の電子状態と化学結合を調べた。アクチノイド原子と配位子間の結合は、原子番号の増加に伴ってイオン結合的にも共有結合的にも弱くなることがわかった。また、硝酸アクチニルの原子価安定性についてもHOMO-LUMOエネルギー準位と化学結合解析から評価し、UNpPuの順に不安定になることを明らかにした。
栗原 正義*; 平田 勝; 関根 理香*; 尾上 順*; 中松 博英*
Journal of Nuclear Materials, 281(2-3), p.140 - 145, 2000/10
被引用回数:3 パーセンタイル:26.42(Materials Science, Multidisciplinary)相対論DV-DS分子軌道法を用いて相金属ウランの価電子帯光電子分光スペクトルの理論解析を行った。実験的に得られているスペクトルを定量的に帰属し、金属ウランの価電子帯での電子状態の特徴を明らかにした。また、各原子軌道ごとの部分状態密度を示すことにより、フェルミレベル近傍の各原子軌道の寄与を示した。
平田 勝; Bastug, T.*; 関根 理香*; 尾上 順*; 中松 博英*; 向山 毅*
JAERI-Review 99-008, 29 Pages, 1999/03
京大、静岡大、理研及び原研で進めている相対論電子状態計算法(DV-DFS)を用いた重元素科学研究に関する最近の研究成果を取りまとめた。本報告書は、日本化学会第74回春季年会(1998年3月)での特別企画講演及び原研で開催した、XAFS・相対論電子状態計算によるアクチノイド研究ワークショップ(1998年11月)で講演した内容をまとめたものである。
栗原 正義*; 平田 勝; 関根 理香*; 尾上 順*; 中松 博英*; 向山 毅*; 足立 裕彦*
Journal of Alloys and Compounds, 283, p.128 - 132, 1999/00
被引用回数:10 パーセンタイル:59.64(Chemistry, Physical)ウラン炭化物(UC)の光電子スペクトルを相対論DV-DS分子軌道法により解析し、定量的な帰属を行った。理論計算によって得られたスペクトルは、エネルギーレベル、強度ともに実験スペクトルを良好に再現することができ、ウランのようなアクチノイド元素を含む固体の電子状態解析に本法が有効であることを明らかにした。
平田 勝; 関根 理香*; 尾上 順*; 中松 博英*; 向山 毅*; 武内 一夫*; 館盛 勝一
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.128 - 132, 1998/00
被引用回数:8 パーセンタイル:52.63(Chemistry, Physical)相対論DV-DS分子軌道法を用いて、硝酸アクチニル-トリエチルりん酸錯体(AnO(NO)-2TEP,An=UNp,Pu)の電子状態を調べた。有機りん酸系抽出剤を用いた6価硝酸アクチニルの抽出分配比はUNpPu順に減少する傾向を示す。この傾向を電子論的に理解するために、アクチノイド原子と抽出剤の酸素原子(ドナー原子)間の化学結合状態を解析した結果、結合電子数の減少と抽出分配比の減少に相関関係が認められた。錯体の安定性に与える5f電子の局在化傾向や、電子密度分布、結合電子数分布等から抽出系を理論的に取り扱うための基礎的な知見を得ることができた。
平田 勝; 文殊四郎 秀昭*; 関根 理香*; 尾上 順*; 中松 博英*; 向山 毅*; 足立 裕彦*; 武内 一夫*
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 83(1), p.59 - 64, 1997/00
被引用回数:19 パーセンタイル:63.17(Spectroscopy)X線光電子分光法(XPS)を用いて、硝酸ウラニル2水和物(UO(NO)・2HO)のXPSスペクトルを0~40eVの範囲で測定し、相対論DV-DS分子軌道法により帰属した。理論計算によって得られたスペクトルは、エネルギーレベル、強度ともに実験スペクトルを良好に再現することができたほか、ウランのようなアクチノイド元素を含む化合物の電子状態解析に相対論DV-DS分子軌道法が有効であることを明らかにした。
尾上 順*; 栗原 正義*; 平田 勝; 鈴木 知史
no journal, ,
To understand the alloying behavior of transition-metal (TM) elements in -phase metal uranium (-U), we have investigated the electronic structure and chemical bonding of the TM/-U alloys systematically, using the relativistic DV-X molecular orbital method. It is found that the maximum solid solubility (MSS) of the TM/-U alloys, except Ta/-U and W/-U, depends exponentially upon both the TM d-orbital energy relative to the U6d one (Md) and the orbital overlap population (OOP) between the U6d and TMd atomic orbitals, which may provide a good index for designing uranium alloys as a new nuclear fuel. In the present meeting, we will discuss the exponential dependence by considering the d-d orbital interaction and propose the whole interpretation of the TM/-U alloying behavior.
中嶌 誠門*; 渥美 博行*; 瀬尾 昭治*; 升元 一彦*; 川端 淳一*; 國丸 貴紀; 尾上 博則; 三枝 博光; 早野 明; 渡辺 邦夫*
no journal, ,
日本原子力研究開発機構では、地層処分研究開発の基盤となる深地層の科学的研究の一環として、超深地層研究所計画(以下、MIU計画)を推進している。MIU計画では「物質移動特性の評価に関する研究」として、割れ目の不均質性を考慮した物質移動の解析技術の構築を行っている。そこで、地質・地質構造と岩盤の水理特性が、物質移動現象に与える要因を検討するために、調査結果に基づき、(1)三次元割れ目ネットワークモデルの構築、(2)水理地質構造モデルの構築、(3)一様流れ場浸透流解析、(4)パーティクルトラッキング法を用いた物質移動解析を実施した。本編(その1)では、このうち1三次元割れ目ネットワークモデルの構築及び2水理地質構造モデルの構築の検討結果について報告する。
渥美 博行*; 中嶌 誠門*; 瀬尾 昭治*; 升元 一彦*; 川端 淳一*; 尾上 博則; 國丸 貴紀; 澤田 淳; 三枝 博光; 渡辺 邦夫*
no journal, ,
日本原子力研究開発機構では、地層処分研究開発の基盤となる深地層の科学的研究の一環として、超深地層研究所計画(以下、MIU計画)を推進している。MIU計画では、「物質移動特性の評価に関する研究」として、原位置の地質環境特性調査によって得られた情報に基づき、割れ目の不均質性を考慮した物質移動特性の評価が実施される。そこで、地質・地質構造と岩盤の水理特性が、物質移動現象に与える要因を検討するために、既存の調査結果の整理及び地下水流動解析を実施した。具体的には、原位置調査結果に基づいて、(1)三次元割れ目ネットワークモデルの構築、(2)水理地質構造モデルの構築、(3)一様流れ場浸透流解析、(4)パーティクルトラッキング法を用いた物質移動解析を実施した。本編(その2)では、このうち、(3)地下水流動解析及び(4)パーティクルトラッキング法を用いた物質移動解析までの検討結果について述べる。なお、上記1及び2については、前編(その1)を参照されたい。
石橋 正祐紀; 笹尾 英嗣; 中嶌 誠門*; 渥美 博行*; 尾上 博則; 三枝 博光; 川端 淳一*; 升元 一彦*; 瀬尾 昭治*; 岩野 圭太*
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分など、地下空間の利用では、割れ目や断層などの地下水の流動経路となる地質構造の把握が重要であり、結晶質岩のような亀裂性媒体では、亀裂の分布特性の取得が必要となる。地下深部における亀裂の分布は主にボーリング調査で把握されるが、必要な調査量や手順と言った調査の最適化のための方法論は十分に確立されているとは言えない。そこで、本研究では、ボーリング調査の進展に伴う亀裂の分布特性に関する情報量の変化を亀裂ネットワークモデル中に仮想ボーリング孔を掘削して検討した。本研究の結果、亀裂の分布特性に関するデータを取得するためには、亀裂の卓越方位との遭遇率を考慮した調査計画を立案することが重要であることが示唆された。また、本研究では亀裂の卓越方位の法線ベクトルの平均方向に掘削したボーリング孔で得られた情報は、全ての亀裂の方向における亀裂密度に偏りが少ないことから、亀裂の空間分布を把握するための調査においては、既存情報で把握された亀裂の方位分布に基づいて掘削方向を決定し、最初のボーリング調査の結果から得られた亀裂の卓越方位分布から、再度掘削方向を検討することが有効と考えられる。
升元 一彦*; 渥美 博行*; 岩野 圭太*; 中嶌 誠門*; 瀬尾 昭治*; 川端 淳一*; 三枝 博光; 尾上 博則; 澤田 淳
no journal, ,
超深地層研究所計画の一環として、割れ目を考慮した物質移動特性の評価を行っている。これまで、割れ目ネットワークモデル(以下、DFNモデル)に基づくモデル化及び数値解析を用いて、物質移行特性に影響を与える割れ目パラメータの評価を行ってきたが、地質学的パラメータや水理学的パラメータのパラメータ間の相関を考慮していなかった。そこで、本研究では割れ目のパラメータ間の関連性の有無がモデル化・解析結果に与える影響の評価するために、パラメータ間の相関を考慮したDFNモデルを構築し、相関を考慮していないモデルとの比較を行った。その結果、DFNモデルを構築する際、地質学的パラメータや水理学的パラメータのパラメータ間の相関性の有無により構築されるモデルが異なることを示した。
岩野 圭太*; 渥美 博行*; 中嶌 誠門*; 升元 一彦*; 瀬尾 昭治*; 川端 淳一*; 尾上 博則; 三枝 博光; 澤田 淳
no journal, ,
超深地層研究所計画の一環として、割れ目を考慮した物質移動特性の評価を行っている。割れ目のパラメータ間の関連性の有無がモデル化・解析結果に与える影響の評価するために、パラメータ間の相関を考慮したDFNモデルと、相関を考慮していないモデルをし、それらを用いた地下水流動解析および粒子追跡線解析を実施した。その結果、地下水流動解析と粒子追跡線解析から解析結果に影響を及ぼす割れ目の幾何学条件、透水量係数の設定条件を明らかにすることができた。
萩原 大樹; 飯島 和毅; 尾上 博則; 大山 卓也; 中西 貴宏; 小西 博巳*; 赤井 純治*
no journal, ,
沖積河川の河口域では、河床勾配が緩く、淡水と海水との混合で流速が低下するため特異な環境を有している。東京電力福島第一原子力発電所の事故により環境中に放出された放射性Csを吸着した微細土壌粒子についても、河口域付近における微細土壌粒子の挙動と関連づけた評価が必要である。本研究では、小高川河口域において河床堆積物を対象とした調査を実施した。現地調査では、河川縦断方向に塩分濃度を測定し、河床堆積物の表層部を採泥器等で採取した。試料はバルクの放射性Cs濃度をGe半導体検出器で測定した。構成鉱物は、XRDおよびTEMを用いて分析した。その結果、塩分濃度の分布を特定し、河床堆積物は粗粒から細粒の砂層の上位にシルト質の微細な有機質黒色堆積物が堆積していた。また、上流域の河床堆積物と比べ放射性Cs濃度が高く高水時前後でも同様の傾向を示した。TEM観察からハロイサイトや珪藻、及びバクテリアも確認された。
天本 一平; 小林 秀和; 菖蒲 康夫; 内海 和夫*; 竹下 健二*; 尾上 順*; 永山 紗智子*; 長谷川 良雄*
no journal, ,
本研究は、ガラス固化体製造時に影響を与える高レベル放射性廃液(HLLW)中の白金族元素(Ru, Rh, Pd)を事前に取り除くことを目指した無機収着材の開発を行うことを目的としている。今回は、これまでの試験で収着効果が認められたZrO系ナノシートに関して各種特性データの取得を行い、収着機構を解明する一助としてとりまとめた。
渥美 博行*; 岩野 圭太*; 瀬尾 昭治*; 升元 一彦*; 川端 淳一*; 三枝 博光; 尾上 博則
no journal, ,
日本原子力研究開発機構の瑞浪超深地層研究所における深度300mと500mの坑道において観察された異なる2つの岩盤領域(土岐花崗岩の上部割れ目帯と下部割れ目低密度帯)に分布する割れ目の分布特性と水理試験結果に基づき、割れ目ネットワークモデルによる水理地質構造モデルを構築した。その結果、深度300mのモデルと深度500mのモデルでは、割れ目の透水量係数や連結性が異なることを確認した。また、構築した水理地質構造モデルを用いた地下水流動解析および粒子追跡線解析を行い、割れ目の分布特性の違いが地下水流動特性に与える影響を評価した。その結果、割れ目の連結性が地下水の移行時間や移行経路といった地下水流動特性に与える影響が大きいことが明らかとなった。