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大野 英雄; 古川 和男
日本化学会誌, (6), p.934 - 941, 1982/00
本論文は回析実験から求められた溶融アルカリハライドの構造(我々が最近X線回析法で行なった未発表の研究を含む)に関し、計算機実験結果との比較ならびに安定同位元素を利用した中性子線回析法の問題点等をのべたものである。動径分布函数における第一ピーク位置は、X線あるいは中性子線回析結果と計算機実験結果では僅かではあるが明きらかな差(0.1~0.3が存在する。これは、イオンがお互いに近づきあった付近で、electron-shellに非対称的な変形(液体の本質を示す)がおこっているためと考えられ、球対称を維持したまま中心の偏極(分極)しうるelectron-shellを仮想するだけでは十分でないことを示している。安定同位元素を利用した中性子線回析法はX線回析法では得にくい、部分相関函数を直接求めることができるが、現在得られている結果には誤差が多く含まれているものもあり、精度をあげた再測定が必要と考えられる。