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岡村 正愛*; 安野 紀子*; 大塚 雅子*; 田中 淳; 鹿園 直哉; 長谷 純宏
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.574 - 578, 2003/05
被引用回数:90 パーセンタイル:97.71(Instruments & Instrumentation)近年、イオンビームの突然変異率が線等に比べて高いことが植物でも報告されているが、変異のスペクトルについては不明である。本研究ではイオン照射と組織培養を組み合わせる方法を使って、花色及び花弁の形態変異を誘発する効率について調査した。カーネーション(品種ビタル,チェリーピンク,フリル花弁)から採取した葉にカーボンイオンもしくはX線を照射し、シュートが再生されるまで培地上で培養した。カーボンイオン照射では、705個体の再生植物体から16個体の変異体が得られた。これらの変異体は非常にバラエティーに富んでおり、ピンク,濃ピンク,淡ピンク,サーモン,レッドの花色に加え、複色やストライプの花色,丸弁やダイアンサスタイプの花弁を持つ個体が得られた。それに対して線では、556個体の再生植物体から7個体の変異体が得られたが、それらはピンク,濃ピンク,淡ピンクの3種類だけであった。これらの結果は、イオンビームがX線に比べて花色及び花弁の形態変異において広い変異スペクトルを有すること、ならびに、イオン照射と組織培養を組み合わせた方法によって短期間で実用品種を育成できることを示している。