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勝部 大樹*; 大野 真也*; 高柳 周平*; 尾島 章輝*; 前田 元康*; 折口 直紀*; 小川 新*; 池田 夏紀*; 青柳 良英*; 甲谷 唯人*; et al.
Langmuir, 37(42), p.12313 - 12317, 2021/10
被引用回数:1 パーセンタイル:6.77(Chemistry, Multidisciplinary)超音速分子ビーム(SSMB)を用いて、アナターゼ型TiO(001)表面の酸素空孔の酸化を調べた。SSMBによって表面およびサブサーフェイスの酸素空孔を除去できた。格子間空孔が酸素空孔の大部分と考えられるが、SSMBによって効果的に除去できた。表面の酸素空孔は、TiO結晶成長後の状態では安定であるが、SSMBを用いて同様に効果的に除去できた。
大貫 敏彦*; 坂本 文徳; 香西 直文; 山崎 信哉*; 佐々木 祥人; 新里 忠史
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(9-10), p.814 - 821, 2019/09
被引用回数:2 パーセンタイル:21.58(Nuclear Science & Technology)食用きのこを栽培した後の副産物である廃菌床(SMS)を利用して、福島県の森林地帯のリター層における放射性セシウム移動の現地調査を行った。粉末状のSMSを0.350.55mのプラスチックバックに詰め、およそ六ヶ月間森林に設置した。その際、バックをそのまま(No treatment)、バックを木製の箱で覆う(With box)、バックを置いた土壌の山側にゼオライトを設置(With zeolite)の3条件を試験した。SMSバックの下の土壌とリターからSMSへの移行係数(TF)を評価した。その結果、設置六ヶ月の「No treatment」と「With zeolite」のTFはおよそ0.01から0.05であった。一方、「With box」のそれは「No treatment」と「With zeolite」の二ヶ月と四ヶ月設置のTFより一桁低いが、六ヶ月ではほぼ同じ値であった。このことは、SMSへの放射性セシウムの濃集は林間雨によるものが主であることを示唆している。さらに、たとえ放射性セシウムが土壌に強固に結合していても、数ヶ月の設置では真菌がリター層の放射性セシウム濃集に関与していることが示唆された。
Yu, Q.; 大貫 敏彦; 田中 万也; 香西 直文; 山崎 信哉*; 坂本 文徳; 谷 幸則*
Geochimica et Cosmochimica Acta, 174, p.1 - 12, 2016/02
被引用回数:18 パーセンタイル:58.95(Geochemistry & Geophysics)微生物細胞には希土類に対する高い吸着能がある。しかし、環境中での希土類の移行挙動に微生物がどのように影響するのかはわかっていない。本研究では、希土類元素の化学状態に及ぼす微生物活動の影響を調べた。Mn(II)酸化菌であるAeremonium strictumとMn(II)を含む水溶液に希土類元素を入れた。Mn(II)酸化菌からCe(IV)と特異的に結合する生体分子が放出され、その結果、Mn酸化物からのCe(IV)が脱離した。この生体分子は、3価の希土類元素や鉄とは結合しなかったので、休眠細胞から放出されることが知られている、金属に非特異的な有機物とは異なる。
清水 大輔*; 塚田 慎也*; 松浦 直人*; 坂本 潤哉*; 小島 誠治*; 並河 一道*; 水木 純一郎; 大和田 謙二
Physical Review B, 92(17), p.174121_1 - 174121_5, 2015/11
被引用回数:13 パーセンタイル:50.04(Materials Science, Multidisciplinary)Ti組成が傾斜した単結晶試料Pb[(MgNb)Ti]Oを用いてモルフォトロピック相境界(MPB)近傍の相図ならびに電気応答と結晶コヒーレンス長の相関を調べた。結晶は29mol%と34.7mol%付近に相境界がありそれらは単斜晶相MB-単斜晶相MC,単斜晶相MC-正方晶相境界と対応する。結晶コヒーレンス長のTi濃度依存性は電気応答と強い負の相関を示しており、これらはMPB近傍におけるドメインサイズ効果として説明可能である。
大貫 敏彦; Jiang, M.*; 坂本 文徳; 香西 直文; 山崎 信哉*; Yu, Q.; 田中 万也; 宇都宮 聡*; Xia, X.*; Yange, K.*; et al.
Geochimica et Cosmochimica Acta, 163, p.1 - 13, 2015/08
被引用回数:20 パーセンタイル:57.4(Geochemistry & Geophysics)微生物細胞表面における3価Ceのリン酸塩ナノ粒子の生成により、Mn酸化物によるCeの酸化収着が遅延されることを明らかにした。
大貫 敏彦; 坂本 文徳; 山崎 信哉*; 香西 直文; 塩津 弘之; 宇都宮 聡*; 渡辺 直子*; 小崎 完*
Journal of Environmental Radioactivity, 144, p.127 - 133, 2015/06
被引用回数:9 パーセンタイル:27.12(Environmental Sciences)酵母へのCsの吸着に関して、培地中に存在する鉱物の影響を調べた。その結果、鉱物の存在は酵母へのCsの濃集を阻害した。鉱物へのCsの分配係数を調べた、分配係数が大きな鉱物の存在により、酵母へ濃集したCs濃度は少なかった。この結果から、酵母は、鉱物と競合してCsを濃集している。
Arifi, E.*; 石松 宏一*; 飯笹 真也*; 浪平 隆男*; 坂本 浩幸*; 舘 幸男; 加藤 博康*; 重石 光弘*
Construction and Building Materials, 67(Part B), p.192 - 196, 2014/09
被引用回数:5 パーセンタイル:25.91(Construction & Building Technology)福島第一原子力発電所の事故によって多量の放射性汚染コンクリートが発生している。放射性廃棄物としての汚染コンクリートの減容化に対するパルスパワー放電の適用可能性が調査された。汚染コンクリートは、パルスパワー放電過程で、非汚染粗骨材を汚染マトリクスから分離することにより除染される。本研究では、放射性汚染コンクリートを模擬するために、Csの安定同位体を用いた。試験の結果、汚染コンクリートから回収された骨材の体積は最大で60%であり、一方で、回収骨材中のCsはおおよそ3%であった。大部分のCsは、放電過程で水中に移行した。これらの結果より、パルスパワー法によって、骨材の再利用による汚染コンクリートの減容できる可能性が示された。本手法の実際の廃棄物への適用性を評価していくため、より実際の廃棄物に近い条件で試験を実施する必要がある。
坂本 文徳; 大貫 敏彦; 香西 直文; 山崎 信哉; 吉田 善行*; 難波 謙二*
日本原子力学会和文論文誌, 12(4), p.257 - 266, 2013/12
福島第一原子力発電所事故により投下した放射性セシウムの植物中の局所的な分布をオートラジオグラフィー法で解析した。その結果、事故後1年程度では事故以前に生育した枝葉には粒子状の分布が得られたが、事故後に生育た枝葉には放射性Csはほとんど検出されなかった。一方、22ヶ月経過した試料では、事故後に生育した枝葉に検出された。このことは、放射性セシウムは年オーダーの速度で新しい枝葉に分布することを示している。
山崎 信哉; 白井 理*; 加納 健司*; 香西 直文; 坂本 文徳; 大貫 敏彦
Chemistry Letters, 42(8), p.819 - 821, 2013/08
被引用回数:5 パーセンタイル:24.26(Chemistry, Multidisciplinary)微生物に対するランタノイドイオンの吸着挙動を非生物的な現象として理解するために、生体膜モデルとしてリポソームを用いて吸着挙動を検討した。14種類のランタノイドイオンすべてで、pHが増加すると吸着量も増加した。またランタノイドイオンの吸着率を調べた結果、Euイオンで極大、Erイオンで極小値を得た。この選択的な吸着挙動は微生物表面で見られる結果と一致した。これらの結果から、ランタノイドイオンはリポソームの成分であるリン酸基に対する吸着であることが明らかとなった。また、リポソームは微生物の生体膜表面の良いモデル系であることも示された。
香西 直文; 大貫 敏彦; 有阪 真; 渡邉 雅之; 坂本 文徳; 山崎 信哉; Jiang, M.
Journal of Nuclear Science and Technology, 49(5), p.473 - 478, 2012/05
被引用回数:64 パーセンタイル:97.82(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所事故由来で降下した放射性Csの化学状態を抽出及び分級により調べた。抽出後に残った放射性Csは、水批により分級された画分よりも大きな雲母鉱物がほとんどない画分に70%以上が存在した。この結果は、雲母鉱物以外の土壌構成物が放射性Csを強く保持している可能性を示している。
坂本 文徳; 大貫 敏彦; 香西 直文; 五十嵐 翔祐*; 山崎 信哉; 吉田 善行; 田中 俊一*
日本原子力学会和文論文誌, 11(1), p.1 - 7, 2012/01
福島県内で採取した植物,土壌などをオートラジオグラフィ解析を行い、樹木については事故以前に生育した葉や枝にほとんどの放射性Csが存在すること、及び地表植物では根部ではなく茎と葉にほとんどの放射性Csが分布していることを明らかにした。これらの結果は、樹木や植物が放射性Csの移行を遅延する働きが顕著であったことを示している。
中川 繭*; 高橋 真哉*; 鳴海 一成; 坂本 綾子
Plant Signaling & Behavior (Internet), 6(5), p.728 - 731, 2011/05
Ionizing radiations have been applied to plants as useful mutagens, but its molecular mechanism(s) for mutagenesis is less understood. The AtPol, AtRev1 and AtPol are Arabidopsis translesion synthesis (TLS)-type polymerases involved in the UV-induced mutagenesis. To investigate a role(s) of TLS-type DNA polymerases in radiation-induced mutagenesis, we analyzed the mutation frequency in AtPol-, AtRev1- or AtPol-knockout plants, , and , respectively. The mutation frequency in was little changed, whereas the frequency in greatly decreased and in slightly increased compared to that of wild type. Abasic (apurinic/apyrimidinic; AP) site, induced by radiations or generated during DNA repair process, leads to incorporation of any kinds of nucleotides at the opposite strand. The 7,8-dihydro-8-oxo-2'-deoxyguanosine (8-oxo-dG), induced by radiation through the formation of reactive oxygen species, makes pairs with cytosine and adenines. Therefore, AtRev1 possibly inserts dC opposite AP-site or 8-oxo-dG, which results in G to T transversions.
中川 繭*; 高橋 真哉*; 田中 淳; 鳴海 一成; 坂本 綾子
Plant Physiology, 155(1), p.414 - 420, 2011/01
被引用回数:15 パーセンタイル:43.37(Plant Sciences)損傷乗り越え複製(TLS)は、特殊なDNAポリメラーゼによって損傷DNAをバイパスすることによって複製障害を回避する機構である。われわれは高等植物における損傷乗り越え複製機構の役割を調べるため、TLS型DNAポリメラーゼを欠失させたシロイヌナズナの変異株における紫外線誘発突然変異頻度を解析した。AtPol及びAtRev1を欠失させた植物では突然変異頻度は低下したことから、これらのポリメラーゼは突然変異を起こしやすいことがわかった。これに対し、AtPolを欠失した植物では突然変異頻度が上昇したことから、AtPolは突然変異を起こしにくいことがわかった。AtPolとAtRev1の2重変異ではAtRev1の単独変異とほぼ同等の変異頻度であったのに対し、AtPolとAtPolの2重変異では、AtPolで見られた高い変異頻度がほぼ失われた。このことから、AtPol and AtRev1は同一の経路で働くのに対し、AtPolはこれらとは別の経路で働くことが示唆された。
高橋 真哉*; 中川 繭; 田中 淳; 鳴海 一成; 清水 喜久雄*; 坂本 綾子
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 58, 2008/11
植物の紫外線耐性機構の研究過程で、YファミリーDNAポリメラーゼをコードしている新規遺伝子を同定した。YファミリーDNAポリメラーゼは複製忠実度が低く、さまざまなDNA損傷をバイパスすると考えられている。遺伝子欠損植物は、紫外線やDNA架橋剤に感受性を示す。遺伝子産物であるAtREV1タンパク質の生化学的な機能を解析するために、組換え大腸菌を用いてAtREV1タンパク質を発現・精製し、精製したタンパク質を用いてデオキシヌクレオチド転移活性を調べた。その結果、AtREV1タンパク質は複製忠実度が低く、鋳型の塩基にかかわらず、dCMPを好んで挿入することがわかった。また、APサイトの相補鎖には塩基を挿入できるが、紫外線損傷塩基の相補鎖には塩基を挿入できなかった。AtREV1タンパク質の低い複製忠実度が突然変異を引き起こすかどうかを調べるために、野生株と遺伝子欠損株の突然変異頻度を測定した。その結果、AtREV1タンパク質が紫外線あるいは線で生じるDNA損傷の誤複製を起こすことで、突然変異誘発を促進していることがわかった。
高橋 真哉*; 坂本 綾子; 田中 淳; 清水 喜久雄*
Plant Physiology, 145(3), p.1052 - 1060, 2007/11
被引用回数:15 パーセンタイル:37.73(Plant Sciences)AtREV1はシロイヌナズナにおいて誤りがちなDNA損傷乗り越え複製にかかわることが予想されている。今回、さらに詳細な研究を行うために、大腸菌タンパク質過剰発現系を用いてAtREV1組み換えタンパク質を作成し、精製を行った。得られた精製タンパク質をプライマー伸長法で解析し、塩基挿入活性の測定を行った。その結果、AtREV1組み換えタンパク質はプライマー末端に1から2個の塩基を挿入した。特に、鋳型DNAの塩基にかかわらずシトシンを挿入する活性が高いことがわかった。また、AtREV1は、脱塩基部位を持つ鋳型DNAに対してもシトシンを挿入した。脱塩基部位は、細胞内の生理活性によって自発的につくられるほか、細胞をさまざまなDNA変異原に曝した際につくられることがわかっている。しかし、AtREV1は紫外線によってつくられる損傷を持つ鋳型DNAに対しては、塩基を挿入することができなかった。AtREV1は、マグネシウムイオン存在下では、ある程度の基質特異性を示したが、マンガンイオンの存在価では、より緩やかな基質特異性を示すことがわかった。以上の結果から、AtREV1タンパク質が"忠実度の低い"DNAポリメラーゼであることが明らかとなった。
小林 進二*; 吉田 麻衣子; 竹永 秀信; 坂田 信也; 鎌田 裕; 坂本 宜照; 小出 芳彦; JT-60チーム
Plasma and Fusion Research (Internet), 2, p.S1049_1 - S1049_4, 2007/11
JT-60においてイオン温度とその温度勾配の実時間帰還制御を目標として、荷電交換再結合分光(CXRS)の実時間計測システムの開発を進めた。本システムでは通常のCXRS計測と異なり、最小自乗法フィッティングを使わずに、干渉フィルターを通過した CXR光の発光強度比から直接イオン温度を評価することができる。この手法により空間4点で10msごとの温度の評価が可能になった。本システムを用いたイオン温度勾配制御実験を実施し、ELMy H-modeプラズマにおいて、比例・微分ゲインの最適化により、指令値にほぼ追随して温度勾配を制御することができた。
竹永 秀信; 大山 直幸; 朝倉 伸幸; 坂本 宜照; 坂田 信也
NIFS-PROC-68, p.62 - 65, 2007/09
JT-60Uにおいて、ダイバータ密度測定のためにミリ波干渉計を開発した。種々のプラズマフェーズにて行った測定結果により、ELMy Hモードフェーズを除いては同システムの有効性を示した。ELMy Hモードフェーズでは、屈折の効果と考えられる信号強度の大きな低下があり、そのため同フェーズでは測定ができなかった。ELM free Hモードへの遷移時においては、D発光強度の急激な低下とともにダイバータプラズマ密度にも急激な低下が観測された。また、QHモードと呼ばれるELMを伴わないHモードでは、1.5kHz程度の低周波な振動がダイバータプラズマ密度に観測された。さらに、ミリ波干渉計をモニター、ダイバータ部へのガスパフをアクチュエーターとして使用し、ダイバータプラズマ密度の帰還制御に成功した。
高橋 真哉; 坂本 綾子; 佐藤 修正*; 加藤 友彦*; 田畑 哲之*; 田中 淳
Plant Physiology, 138(2), p.870 - 881, 2005/06
被引用回数:50 パーセンタイル:72.25(Plant Sciences)植物はDNA変異原の曝露により生じるDNA損傷の影響を回避するために、さまざまな機構を備えている。DNA損傷乗り越え複製(TLS)はその一つである。近年、誤りがちなDNA損傷乗り越え複製(error-prone TLS)にかかわる、DNAポリメラーゼのサブユニットのシロイヌナズナホモログ()の遺伝子破壊系統rev3が単離,解析され、植物でもerror-prone TLSの存在が示唆された。本研究では、error-prone TLSで機能していると予想される、シロイヌナズナ, 遺伝子の遺伝子破壊系統(, )の単離,解析を行い、植物のerror-prone TLSについてより詳細な解析を試みた。は、UV-B, DNA架橋剤に対して感受性を示し、株のDNA変異原に対する感受性と傾向が似ていた。一方では長期間のUV-B, DNA架橋剤に対して感受性を示した。この結果は, が程度の違いはあるがDNA変異原によって誘導された各種DNA損傷の回避に関与していることを強く示唆しており、植物にも他の生物と同様のerror-prone TLSが存在すると考えられた。
鈴木 隆博; 諫山 明彦; 坂本 宜照; 井手 俊介; 藤田 隆明; 竹永 秀信; Luce, T. C.*; Wade, M. R.*; 及川 聡洋; 内藤 磨; et al.
Proceedings of 20th IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2004) (CD-ROM), 8 Pages, 2004/11
JT-60Uは2003年に制御系の長放電時間化改造を行い、高プラズマの定常化を達成した。規格化圧力2.5のプラズマを不安定性の発生なしで、電流分布が定常に達する15.5秒間(電流拡散時間の9.5倍)維持した。また、不安定性の発生し易い位置と不安定性を引き起こす圧力勾配の大きな位置をずらすような電流分布を実現することで、さらに高い規格化圧力3を準定常(電流拡散時間の3.3倍)維持することに成功した。適切な電流分布を実現することが高性能プラズマにとって重要であるので、電流分布の実時間制御システムを開発し、安全係数分布を目標値まで制御することに成功した。
中田 弘太郎*; 長崎 晋也*; 田中 知*; 坂本 義昭; 田中 忠夫; 小川 弘道
Radiochimica Acta, 90(9-11), p.665 - 669, 2002/12
被引用回数:52 パーセンタイル:93.86(Chemistry, Inorganic & Nuclear)鉄酸化物はその表面で放射性核種を吸着することにより、地層中での放射性核種の移行を遅延させることが知られている。このような吸着反応において酸化還元反応に敏感な一部の元素に対して、単なる吸着だけでなく、鉄鉱物中のFe(II)による還元反応を伴う吸着反応の可能性が指摘されてきた。そこで、本研究ではFe(II)を含むマグネタイトとFe(III)のみのヘマタイトへのNp(V)の吸着反応について、大気条件下及び低酸素条件下で調べた。その結果、マグネタイトに対しては低酸素条件下でのNp(V)の吸着量が大気条件下よりも増加するとともに、その吸着形態は大気条件下で見られたイオン交換的な吸着よりも強い結合であることが示された。しかし、ヘマタイトではこのような現象が認めらないこと、低酸素条件下でマグネタイトに吸着したNpがNp(IV)を抽出するTTAで抽出された結果から、低酸素条件下ではマグネタイトへのNp(V)の吸着がNp(IV)への還元を伴う吸着現象である可能性を示唆した。