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山下 恵史朗*; 中山 和也*; 小松 一生*; 大原 高志; 宗像 孝司*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 鍵 裕之*
Acta Crystallographica Section B; Structural Science, Crystal Engineering and Materials (Internet), 79(5), p.414 - 426, 2023/10
被引用回数:1 パーセンタイル:37.25(Chemistry, Multidisciplinary)最近発見された塩化ナトリウムの超水和物(NaCl 13H(D)O)の構造を1.7GPa, 298Kでのその場単結晶中性子回折によって決定した。この物質は大きな水素結合ネットワークを持ち、いくつかの水分子は分岐水素結合や5配位水分子のような歪んだ結合の特徴を持つ。水素結合ネットワークは、ネットワークトポロジーと水素結合の無秩序性という点で、氷VIと類似している。擬似対称性によって接続されたネットワークの構成要素を区別しなければ、このハイドレートの全体的なネットワーク構造は、氷VIのネットワーク構造に対応する小さな構造単位に分解することで表現できる。この水素結合ネットワークは、既知の塩水和物とは対照的に、水分子の配向の乱れを含んでいる。ここでは、イオン種を含む水素結合ネットワークに関するさらなる洞察のための例を示す。
大島 宏之; 森下 正樹*; 相澤 康介; 安藤 勝訓; 芦田 貴志; 近澤 佳隆; 堂田 哲広; 江沼 康弘; 江連 俊樹; 深野 義隆; et al.
Sodium-cooled Fast Reactors; JSME Series in Thermal and Nuclear Power Generation, Vol.3, 631 Pages, 2022/07
ナトリウム冷却高速炉(SFR: Sodium-cooled Fast Reactor)の歴史や、利点、課題を踏まえた安全性、設計、運用、メンテナンスなどについて解説する。AIを利用した設計手法など、SFRの実用化に向けた設計や研究開発についても述べる。
村松 壽晴; 佐野 一哉; 寺内 誠
デコミッショニング技報, (57), p.65 - 74, 2018/03
廃止措置技術実証試験センター(仮称)は、文部科学省の支援施策である平成28年度補正「地域科学技術実証拠点整備事業」で採択された「ふくいスマートデコミッショニング技術実証拠点」の中枢の施設として整備するものである。この施設は、原子力発電所の廃止措置に関する技術について地元企業の成長を支援し、産学官が一つ屋根の下で地域経済の発展と廃止措置の課題解決に貢献するための拠点で、廃止措置解体技術検証フィールド、レーザー加工高度化フィールド及び廃止措置モックアップ試験フィールドの3つから構成される。本報告では、これらの各フィールドの設備について概要を紹介する。
中島 健次; 川北 至信; 伊藤 晋一*; 阿部 淳*; 相澤 一也; 青木 裕之; 遠藤 仁*; 藤田 全基*; 舟越 賢一*; Gong, W.*; et al.
Quantum Beam Science (Internet), 1(3), p.9_1 - 9_59, 2017/12
J-PARC物質・生命科学実験施設の中性子実験装置についてのレビューである。物質・生命科学実験施設には23の中性子ビームポートがあり21台の装置が設置されている。それらは、J-PARCの高性能な中性子源と最新の技術を組み合わせた世界屈指の実験装置群である。このレビューでは、装置性能や典型的な成果等について概観する。
副島 吾郎; 岩井 紘基; 中村 保之; 林 宏一; 門脇 春彦; 水井 宏之; 佐野 一哉
Proceedings of 25th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-25) (CD-ROM), 5 Pages, 2017/07
「ふげん」では、解体撤去や汚染の除去作業に係る廃止措置を安全かつ合理的に遂行することとしており、また、廃止措置に必要な技術開発を進めてきている。(1)原子炉本体解体に向けた技術開発:「ふげん」では、原子炉本体の特徴等に鑑み、原子炉本体解体には切断速度が速く二次廃棄物の発生量が少ない特徴を有するレーザ切断工法を適用する計画としている。レーザは原子炉施設解体への適用実績がないため、レーザヘッド,発振器,ロボット等から構成されるレーザ切断システムを構築し、解体物を対象とした切断実証を行った。(2)汚染状況調査に係る技術調:「ふげん」では、従前より施設の残存放射能量を的確に把握するため施設の汚染状況調査を行ってきている。今般、既存の実機材から試料を採取し核種分析により放射能濃度を評価する調査手法に加え、非破壊環境下で簡易的に「ふげん」の主要な二次汚染の主要核種であるCoを指標とした汚染状況を把握する調査手法の開発に着手した。
中村 保之; 岩井 紘基; 手塚 将志; 佐野 一哉
JAEA-Technology 2015-055, 89 Pages, 2016/03
東京電力福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)は炉心溶融に至ったと報告されており、炉内構造物は原形を留めておらず、溶融燃料と混在し複雑狭隘な状態にあると想定される。このような状態の中、燃料デブリ等の取出しに向けて、熱影響が少なくスタンドオフを長く取れるアブレイシブウォータージェット(以下「AWJ」)切断技術について、2012年度から3カ年で切断試験を実施し技術開発を進めてきており、燃料デブリ等の取出しに有効な工法であることを確認した。初年度の成果は、既報告書"JAEA-Technology 2013-041 アブレイシブウォータージェット切断工法による炉内溶融金属等の取出しに向けた技術開発"で報告済みであるが、本報告書は、これを含む3ヵ年の集大成として取り纏めたものである。AWJ切断技術は、切断時に使用するアブレイシブが二次廃棄物として発生するものの、圧力容器下部等に堆積した厚み等の不明な燃料デブリや炉内構造物の取出しが可能であることを切断試験により確認し、実機に適用できる見通しを得た。
手塚 将志; 中村 保之; 岩井 紘基; 佐野 一哉
JAEA-Technology 2015-047, 114 Pages, 2016/03
東京電力福島第一原子力発電所は、炉心溶融に伴い炉内構造物は原形を留めておらず、溶融燃料と混在し複雑狭隘な状態にあると想定される。このため「ふげん」では溶融再凝固した炉内構造物の取出しに向けて、2012年度から3カ年で、プラズマアーク切断技術を用いた切断試験を進めてきており、炉内構造物等の取出しに有効な工法であることを確認した。具体的には、原子炉構造材を模擬した試験体を用いた要素試験を実施し、対象物に応じて切断条件の最適化を図ることにより、溶断ドロス発生の抑制が可能であることを確認した。また、格納容器下部等に堆積していると想定される厚みが不明な燃料デブリに対し、対象を事前に加熱することで切断能力の向上を図る手法を構築した。さらに、プラズマアークで切断不可能なセラミック等の非導電材も切断可能なプラズマジェットと組み合わせた連携切断手法により、燃料デブリと溶融金属の混合材(模擬試験体)でも切断が可能であることを確認した。これらの成果から、プラズマ切断技術は、種々の条件に応じた最適な切断条件を設定することにより、燃料デブリ及び炉内溶融金属の取出し作業へ適用できる見通しを得た。
岩井 紘基; 中村 保之; 水井 宏之; 佐野 一哉
JAEA-Technology 2015-046, 110 Pages, 2016/03
「ふげん」は、熱出力557MWt、電気出力165MWeの重水減速沸騰軽水冷却圧力管型原子炉である。「ふげん」原子炉本体は、圧力管, カランドリア管, 炉心タンク等から構成される炉心領域と鉄水遮へい体から構成される遮へい領域の2つに分けられる。原子炉本体のうち炉心領域は、約25年間の運転により放射能レベルが比較的高く、圧力管とカランドリア管をそれぞれ224本内蔵する二重管で構成される複雑で狭隘な構造であり、遮へい領域は、原子炉上下部及び側部は厚板部材の遮へい体からなる積層構造となっている。特に炉心領域の解体は、構造材の放射化及びジルコニウム合金を使用していることに留意して、切断時の放射性粉じん等による被ばく低減及び発火防止対策の観点から、水中にて遠隔で解体する計画としている。以上のことを踏まえ、解体時の雰囲気線量を考慮した水位の設定や解体物の物流等を考慮した原子炉上部からの逐次解体を基本とし、炉心領域においては全炉心を上部から順に撤去する手順に加えて、解体で発生する廃棄体の放射能濃度の平坦化を目的とした手順について検討した。これらの解体手順の成立性を検証したところ、炉心領域の構造材位置による放射化量のバラつきや「ふげん」特有材料に由来する放射性核種の平坦化が図れ、物流等が成立することから、炉心を径方向及び軸方向に分割した手順が最も合理的であることが確認でき、これを「ふげん」の原子炉本体解体に係る手順として策定した。
中村 保之; 岩井 紘基; 水井 宏之; 佐野 一哉
JAEA-Technology 2015-045, 137 Pages, 2016/03
「ふげん」原子炉本体のうち圧力管、カランドリア管、炉心タンク等から構成される炉心領域は、約25年間の運転により放射能レベルが比較的高いこと、圧力管とカランドリア管をそれぞれ224本内蔵する二重管で構成される複雑で狭隘な構造であり、遮へい領域は、原子炉上下部及び側部は厚板部材からなる積層構造となっている。また、これらは、炭素鋼, ステンレス鋼, ジルコニウム合金, アルミニウム, コンクリート等の多種材料から構成されている。特に炉心領域の解体は、構造材が放射化していることや酸化しやすいジルコニウム合金を使用していることにも留意して、切断時の放射性粉じん等による被ばく低減及び発火防止対策の観点から、水中にて遠隔で解体する計画としている。以上のことを考慮し、コストに大きく影響を与える解体工期の短縮及び二次廃棄物発生量の低減、水中での適用性に加え、「ふげん」の炉心領域に特徴的な狭隘部にも適用可能な切断工法の選定を行った。
岩井 紘基; 中村 保之; 水井 宏之; 佐野 一哉; 森下 喜嗣
Proceedings of 7th International Congress on Laser Advanced Materials Processing (LAMP 2015) (Internet), 4 Pages, 2015/08
「ふげん」原子炉領域は、約25年間の運転により構造材が放射化され、放射能レベルが比較的高い。また、圧力管とカランドリア管をそれぞれ224本内蔵する二重管で構成される複雑で狭隘な構造であり、原子炉上下部及び側部は厚板部材(最大板厚150mm)からなる積層構造となっている。さらに、この原子炉領域の構造材は、炭素鋼,ステンレス鋼,ジルコニウム合金,アルミニウム,コンクリート等、多種材料から構成される特徴を有する。この原子炉領域の解体は、構造材が放射化していることや酸化しやすいジルコニウム合金を使用していることにも留意して、切断時の放射性粉じん等による被ばく低減及び発火防止対策の観点から、水中にて遠隔で解体する計画としている。原子炉領域の解体工期短縮及び二次廃棄物発生量の低減が可能な切断工法を選定するために、国内外の廃止措置で適用実績のある切断工法を調査するとともに、切断試験によりデータ取得を行い、レーザ切断工法を機関工法として選定した。本発表では、「ふげん」の廃止措置状況及びレーザ技術開発状況について紹介する。
林 宏一; 副島 吾郎; 水井 宏之; 佐野 一哉
Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 7 Pages, 2015/05
「ふげん」では、施設の汚染レベルに応じた廃棄物の区分を適切に行い、放射性廃棄物の発生量を低減するとともに、解体撤去工事を効率的かつ合理的に進めていく計画としている。このため、「ふげん」では、解体撤去工事に伴い発生する解体撤去物等のうち、放射能濃度が国の定める基準値以下となるものにクリアランス制度を適用し、「放射性物質として扱う必要のないもの」として搬出することを計画している。現在、解体中のタービン設備は、汚染状況の調査の結果、放射能濃度が国の定める基準値以下となることから、クリアランス制度を適用するため、評価対象核種の選定及び放射能濃度評価方法の構築を行った。
秋田 貢一; 林 健吾*; 竹田 和也*; 佐野 雄二*; 鈴木 裕士; 盛合 敦; 大谷 眞一*
Mechanical Engineering Journal (Internet), 1(4), p.SMM0029_1 - SMM0029_8, 2014/08
ピーニング技術による圧縮残留応力の導入は、疲労や応力腐食割れ等の鋼の強度特性の改善に有効である。ただし、圧縮残留応力は稼働時に機器に作用する熱的あるいは機械的な外力が原因で低下する可能性がある。本研究では、レーザーピーニングを施したフェライト鋼の静的引張荷重下における表面及び内部の残留応力挙動を、X線および中性子回折によって検討した。X線回折および中性子回折の相補利用により、応力緩和プロセスを明確に示す実験的確証が得られた。また、引張負荷応力下における臨界負荷応力の値は、内部の最大引張残留応力値とvon Misesの降伏条件によって推定できることを示した。
手塚 将志; 中村 保之; 岩井 紘基; 佐野 一哉; 福井 康太
Journal of Nuclear Science and Technology, 51(7-8), p.1054 - 1058, 2014/07
被引用回数:18 パーセンタイル:78.72(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所における燃料デブリや炉内溶融金属等の撤去にあたっては、対象物の性状や作業環境等の条件を考慮して取出し技術の選定及び技術開発を行う必要がある。一方、原子力機構では、試験研究の使命を終えた原子炉施設等の廃止措置を進めており、施設の解体に係る様々な技術や知見を有している。切断技術としては、「ふげん」の原子炉解体に向けてプラズマアーク,レーザー、及びアブレイシブウォータージェット(AWJ)、並びに核燃料物質取扱施設の解体に向けてプラズマジェットの各切断技術に係る切断試験や技術開発を実施してきた。このため、原子力機構では、これらの知見を有する切断技術を活用して、切断試験により切断データの取得及び評価を行い、福島第一原子力発電所の炉内溶融金属等の取出しに向けた切断条件及び工法毎の適用範囲等について取りまとめて技術提案していく計画である。本報告では、熱的切断技術のプラズマアーク及び機械的切断技術のAWJを用いた基礎的な切断試験の結果、並びにプラズマジェットを含めた今後の試験計画について報告する。
岩井 紘基; 中村 保之; 手塚 将志; 佐野 一哉
JAEA-Technology 2013-041, 57 Pages, 2014/02
福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)は炉心溶融に至ったと報告されており、炉内構造物は原形を留めておらず、溶融燃料と混在し複雑狭隘な状態にあると想定される。このような状態の中、溶融再凝固した炉内構造物の取出しに向けて、水中で厚板切断が可能なアブレイシブウォータージェット(以下、「AWJ」という)切断技術について、装置の切断能力を把握するために、切断試験によりポンプ吐出圧力やスタンドオフ等の切断条件が切断能力に及ぼす影響を確認した。切断試験では、AWJ切断装置を用いてポンプ吐出圧力、切断速度、試験体形状、試験体材質、スタンドオフ、切断雰囲気(気中及び水中)等の試験条件をパラメータとした。また、試験体は、1Fの炉内構造物に主に使用されているSUS304及び、比較のために汎用炭素鋼であるS45Cの2種類の一般鋼材を用いるとともに、試験体形状は、連続的に切断深さのデータが取得できる矢型形状及び一般的な平板形状を用いて、切断性能を確認した。今後は実機適用を考慮し、1Fの燃料被覆管と主な炉内構造物との炉内溶融金属を模擬した試験体等を用いて切断データを取得し、切断性能の確認、評価を行う計画である。
中村 保之; 手塚 将志; 岩井 紘基; 佐野 一哉
JAEA-Technology 2013-040, 80 Pages, 2014/02
福島第一原子力発電所(以下、「1F」という)は炉心溶融に至ったと報告されており、炉内構造物は原形を留めておらず、溶融燃料と混在し複雑狭隘な状態にあると想定される。このような状態の中、溶融再凝固した炉内構造物の取出しに向けて、水中切断が可能なプラズマアーク切断技術(以下、「プラズマ切断」という)について、装置の切断能力を把握するために、切断試験により切断雰囲気(気中、水中)やスタンドオフ等の切断条件が切断能力に及ぼす影響を確認した。切断試験では、最大出力電流600Aのプラズマ電源を用いてプラズマ出力、プラズマガス及びシールドガスの各流量、スタンドオフ等の試験条件をパラメータとした。また、試験体材質は、1Fの炉内構造物に主に使用されているSUS304及び比較のために汎用炭素鋼であるS45Cの2種類の一般鋼材を用いるとともに、試験体形状は、連続的に切断深さのデータが取得できる矢型形状を用いて、各条件の下で切断性能を確認した。今後は、実機適用を考慮し、1Fの燃料被覆管と主な炉内構造物との炉内溶融金属を模擬した試験体等を用いて切断データを取得し、切断性能の確認、評価を行う計画である。
越川 博; 吉村 公男; Sinnananchi, W.; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 山本 和矢*; 山口 進*; 田中 裕久*; 前川 康成
Macromolecular Chemistry and Physics, 214(15), p.1756 - 1762, 2013/08
被引用回数:16 パーセンタイル:46.58(Polymer Science)貴金属フリー液体燃料電池用自動車に適用できるアニオン伝導電解質膜(AEM)の開発において、電解質膜の耐熱性や高い含水率に起因する燃料透過が問題になっている。そこで、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合膜(ETFE)にクロロメチルスチレン(CMS)を放射線グラフト重合後、グラフト鎖をトリメチルアミンにより4級化することでAEMを作製し、含水性,安定性に及ぼす電解質膜の対アニオンの効果を調べた。4級化によって得られた塩化物塩の膜(塩化物膜)は、炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬することで重炭酸膜に変換した。また、1M KOH水溶液でアニオン交換後、窒素ガスで飽和させた水で洗浄することで、重炭酸化物塩の生成なしに水酸化物膜に変換できた。塩化物膜及び重炭酸膜に対して、水酸化物膜は4倍の伝導率及び2倍の含水率を示した。また、熱分析測定より、水酸化物膜が他の二つの膜よりも安定であることがわかった。以上の結果から、水酸化物膜の水酸化アルキルアンモニウムが化学的に不安定であること、安定化するために高い含水率を示すことを明らかにした。
Ferris, K.*; 片桐 源一*; 佐野 一哉; 東浦 則和
富士電機ホームページ及び富士電機アメリカ社ホームページ(インターネット), 11 Pages, 2012/04
原子力発電所の運転に伴い、施設の水処理系統からは放射性廃棄物である使用済イオン交換樹脂が発生する。これら廃樹脂は、浄化する系統によって放射能濃度が異なり、放射能濃度が比較的高い廃樹脂は原子力発電所の敷地内に貯蔵され、放射能レベルが減衰した後に処分される計画であるが、その貯蔵量は年々増加を続けている。日本では今後、原子力関連施設から排出される低レベル放射性廃棄物はセメントなどで固化し、廃棄体として埋設処分される計画である。比較的放射能濃度の高い廃樹脂の埋設処分を行うにあたっては、埋設コスト低減の観点からは処分量を低減させること、廃棄体の長期健全性を確保する観点からは埋設処分に適する廃棄体とするために、樹脂の安定化処理が必要になるといわれている。つまり、これらの要求を実現するためには、減容と安定化の両方を満足できる処理技術の確立が急務となっている。このようなニーズに応える技術として、使用済イオン交換樹脂などの放射性廃樹脂の減容処理と最終処分に適した安定化処理が同時に可能な減圧酸素プラズマ(Low Pressure Oxygen Plasma)処理と装置の開発を続けている。本技術の開発は、原理試作機,機能試験機による実樹脂を使ったホット試験を含めた開発を経て、実規模装置による性能評価や廃棄体に関する調査試験に至っており、富士電機及び富士電機アメリカ社ホームページにおいて、LPOP技術の要約と埋設処分へ向けたLPOP処理の効果を評価する目的として実施したイオン交換樹脂の無機化と固化試験結果について掲載する。
小林 紘二郎*; 井田 俊雄*; 山口 健志*; 大道 博行; 村松 壽晴; 佐野 一哉; 坪井 昭彦*; 社本 英泰*; 池田 剛司*
レーザ加工学会誌, 19(1), p.63 - 67, 2012/03
福井県庁と福井県の「エネルギー研究開発拠点化計画」をコーディネートする若狭湾エネルギー研究センター(以下、「エネ研」)が連携し、原子炉廃止措置研究開発センター(以下、「ふげん」)の新型転換炉原型炉施設の廃止措置とレーザ応用技術の研究を進める日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」)敦賀本部の協力を得て、高品質固体レーザ(ファイバーレーザ)を利用した原子炉や大型構造物の解体技術の実証化研究を行い、福井発の先端技術を国内外にアピールするとともに、原子炉解体技術等への応用展開を図る研究開発を進めている。廃止措置関連技術の研究やレーザ関連技術の産業利用を推進する中、エネ研とレーザックスは、原子力機構・大学・公設試験研究機関・福井県内企業等の協力も得て、運転終了後の原子炉解体に適した複数技術を比較検討した結果、水中レーザ切断法を有効な原子炉施設の廃止措置技術として選定した。本投稿では、われわれが進める水中レーザ切断の研究開発の取組概要について紹介する。
小林 紘二郎*; 井田 俊雄*; 山口 健志*; 大道 博行; 村松 壽晴; 佐野 一哉; 坪井 昭彦*; 社本 英泰*; 池田 剛司*
溶接技術, 59(7), p.64 - 69, 2011/07
福井県庁と福井県の「エネルギー研究開発拠点化計画」をコーディネートする若狭湾エネルギー研究センター(以下、「エネ研」)が連携し、原子炉廃止措置研究開発センター(以下、「ふげん」)の新型転換炉原型炉施設の廃止措置とレーザ応用技術の研究を進める日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」)敦賀本部の協力を得て、高品質固体レーザ(ファイバーレーザ)を利用した原子炉や大型構造物の解体技術の実証化研究を行い、福井発の先端技術を国内外にアピールするとともに、原子炉解体技術等への応用展開を図る研究開発を進めている。廃止措置関連技術の研究やレーザ関連技術の産業利用を推進する中、エネ研とレーザックスは、原子力機構・大学・公設試験研究機関・福井県内企業等の協力も得て、運転終了後の原子炉解体に適した複数技術を比較検討した結果、水中レーザ切断法を有効な原子炉施設の廃止措置技術として選定した。本投稿では、われわれが進める水中レーザ切断の研究開発の取組概要について紹介する。
宮下 大輔*; 竹田 和也*; 大谷 眞一*; 佐野 雄二*; 斎藤 利之*; 秋田 貢一
材料, 60(7), p.617 - 623, 2011/07
表面圧縮残留応力の緩和は、引張応力を負荷した場合には、表面圧縮残留応力にバランスしている内部の引張残留応力領域において、また、圧縮荷重が作用した場合は、表面下の最大圧縮残留応力が発生している領域において、塑性変形が生じることで緩和する。引張,圧縮のいずれの場合も、表面の合計応力(=残留応力+負荷応力)が、材料の降伏点よりも低い時点で残留応力緩和が始まる。この原因は、塑性変形により残留応力が再配分されるためである。本研究での考察はすべて材料の機械的変形挙動に基づいており、したがって、本研究で得られた結論は、機械的な表面処理によって導入した圧縮残留応力の挙動に適用可能と考えられる。